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 今俺は非常に困っている。
何故かと言うと、ドアを開けたら知らない風景が広がっていたので呆然としている。

オーケー落ち着け、まずは現状確認だ。
俺の名前は北郷一刀、高校受験に失敗して晴れて夢だったニートになった16歳だ。
好きなことは二次小説を読むこと。嫌いなことは働くこと。
今更ながら自分はクズなんだと思えてくるが、夢だったニートになれたんだから後悔は無い。
おっと、そんなことより今を見なければ、とりあえず辺りを見てみよう。
……うん、荒野だね。辺りには灌木とかが転がっている以外何にも無い。
ちょっと待て、いきなり絶望を感じてきたぞ。
何か持っていないかとポケットの中を探すと、見たこともない大きなナイフが入っていた。
なんでナイフ?
いくら一時期不良だった俺でもこんな殺傷力抜群のアーミーナイフ? なんか持ってなかったぞ。
…ん? なんか紙も入ってる。
取りだそうとしたら
「おい、お前!」
突然声が聞こえた。
「え?」
振り向くと、黄色い布を身につけたゲームキャラで言うとあきらかにチンピラな三人組がいた。
しかし何か見たことのある風景だ。と俺が悩んでいると。
一人が
「金目のもん出せ」
と安っぽそうな剣を向けてきた。
見る限りニセモンには見えない。
ていうか何か血っぽい赤黒いシミがついていた。
まさか本物の盗賊を現代で見ることになるとは思わなかった。
どうしようか思って三人組を見ていたら、やっと思い出した。
これ恋姫だ!

真・恋姫†無双。
主人公北郷一刀が三国志の世界にタイムスリップするゲームだ。

主人公の名前がたまたま同じだったからよく二次小説を読んでいた。
同じ名前のクセに聖人君子みたいな性格の主人公が気に食わなかった。
しかし、なんで俺?
自分で言うのも何だけど俺最低だよ?
小学生の頃から喧嘩、中学生の頃は放火、卒業前は殺人未遂まで起こした俺だよ?

色々考えていたら。
「おい!? いい加減何か言えよ!!」
と怒られてしまった。
「えーと何のお話でしたっけ?」
と俺が聞いたら。
「テメーふざけんじゃねぇ!! 俺達ぁ黄巾党だぞ!」
と怒鳴ってきた。
ああ、やっぱりか。
どうやら恋姫であることは間違い無いようだ。
さあて、どうしようか。
原作ではこの後確か、劉備、関羽、張飛が助けにくるはずだが周りを見たところ誰もいない。
……え、もしかして誰も助けに来ない?

えー! こんな場面だと二次小説でもだいたいは誰か助けに来てくれてそいつに付いていくのがテンプレだろ?
何で俺には誰も来てくれないんだよ?!
もしかして俺が聖フランチェスカ学園の制服着ていないから?
ていうか現実にあんな白く光っている学生服なんかあんのか?
それどころか俺高校いってねぇよ。
それとも何か? 中卒じゃあここまで差別されんのか? ふざけやかって!!
世の中と何かに憤っていると。三人組がじっと俺を見ていた。
どうやら百面相をする俺を見てキチガイか? と思っていたようだ。


その時、突然ある考えが浮かんだ。
俺は何かにつまづいたフリをして尻からこけた。
「ひいぃぃぃ! た、助けて下さい。お金なら全部お渡します。だから命だけはご勘弁を!」
俺はナイフを背中に隠して叫んだ。
それを見た三人組は満足したように俺に近づき、なんとわざわざ手まで差し伸ばして来た。
「へへへ、最初からそうしとけば良いんだよ。」
その瞬間、俺はその手をつかんでそいつを引き寄せ、首をナイフでかっ切った。切った瞬間、映画のように血が吹き出る。
残りの二人はあまりの事にフリーズしたのか呆然としていた。
切った勢いで呆然としていたデブにその死体を突き飛ばし、残った(ノッポだっけ?)に突っ込み首を刺し、死体でビビっていたデブの目を突き刺し、殺した。
とっさのことだったし初めての殺人にしては上手くいった状況に満足し、安堵した俺はその場で座り込んだ。
息を整えて周りを見た。ちゃんと死んでいるか不安だったからだ。
念のため3体の死体を強く蹴ってみたが何も反応しなかった。


ふー……とため息を吐いた。
思ったより殺人の葛藤が無い。と言うより全然無かった。これは自分でも意外だった。
いくら警察の厄介になったことがある俺でも殺人の経験は無かったからだ。
やはり俺はどこかおかしいだろうかと少し笑ってしまった。
さて、また現状確認だ。
周りには黄色い布を身につけた三人の死体。血が付いたナイフを持って少し笑っている俺。
うん、どう見ても異常者とその殺人現場だ。
誰がどう好意的に見ても俺が犯人だ。
まあそうなんだけど。


さあこれからどうしようと思っているとポケットの紙が見えた。
そういえばこの紙何だろう? と開いてみたらそこには。

『でぃあー北郷一刀君
突然だか君は恋姫無双の世界に来てもらった。
君には物質をコピーする能力とナイフをあげるからそれで頑張ってくれ。
あ、それとその世界には主人公の北郷一刀はいないから何やってもいいよ』

としか書いてあった。
俺は10分はその紙を見たまま固まった。
再起動したパソコンのようにゆっくりと紙を折りポケットに入れ、叫んだ。
「まずお前誰だよ!? 宛名ぐらい書いとけよ!!
それと何だよ物質をコピーする能力って!? あやふや過ぎてわかんねえよ!! 頑張れって何をだよ!?」
普段ではありえないくらいの大声で叫んだ。
その後も誰だか分かんないヤツに罵声を浴びせ続け、最後には何故か社会に対する不満をぶちまけていた。

しばらく誰もいない方向に罵声を浴びせ、そしてようやく収まる。ていうか疲れて止めた。
とりあえずまたまた現状確認だ。
俺、血に染まったナイフと物質をコピーする能力を持って私服で突っ立ってる。
周り、黄色い布を身につけた三人の血まみれの死体が転がってる。
何か余計に分かんなくなってきた。
あまりの理解不能な事に頭を抱えて悩む。


とりあえず歩くか。ついでに三人組の死体を漁って金と食料と水をゲット。
ついでにそいつらのなるべく血に染まってない服を剥ぎ取る。
「うん、死体に服は必要無いもんね」と笑顔で奪った。
さて、逝くか。違った行くか。

笑顔で立ち去った。
その後ろ姿はどう見ても盗賊にしか見えなかった。
まさかの北郷違い。最低系の主人公の明日はどっちだ。


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