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【社会】

大津のいじめ 自殺の中2 40万円工面 3カ月前から貯金などで

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 大津市の市立皇子山(おうじやま)中二年の男子生徒が昨年十月にマンションから飛び降り自殺した事件で、男子生徒は亡くなる三カ月前から自分の貯金から現金を引き出したり、親戚の財布から抜き取ったりし、これらの総額が四十万円前後に上っていた。生徒を知る関係者が十四日、明らかにした。自殺直後に中学校が全生徒に実施したアンケートには、いじめたとされる同級生から男子生徒に「金銭の要求があった」との回答が伝聞として十五件あった。

 関係者によると、男子生徒は昨年七〜八月、三回にわたって、お年玉などをためていた郵便貯金から十二万四千円を下ろしていた。ほかにも数回にわたって引き出したり、親戚の財布や親戚が経営する店のレジから金を取ったという。

 アンケートでは、同級生が「お金を持ってくるように脅していた」「キャッシュカードの暗証番号を教えろと言った」とする回答があった。いずれも伝聞だが、六人は実名を記しての回答だった。

 滋賀県警は「通帳などからお金が引き出されていることは把握している。自殺した生徒が引き出したかどうか裏付けが必要。まずは捜索した暴行容疑で調べ、その後、付随して出てきた容疑を調べる」としている。

◆「いじめでなく けんかと判断」校長が会見

 この事件では、生徒が自殺する前に二回、女子生徒が「男子生徒がいじめられている」と担任に声を掛けたものの、学校側は「けんか」と判断するなどして生かせていなかった。藤本一夫校長(59)は十四日、昨年十一月以来、八カ月ぶりに会見し「その場できちんといじめを疑えば、被害は軽減できた可能性があった。自殺した生徒と保護者に申し訳ない」と謝罪した。

 一回目は昨年九月三十日の放課後、二回目は自殺する六日前の昨年十月五日の午後、それぞれ女子生徒が担任に「いじめです」などと声を掛けた。だが担任は男子生徒といじめたとされる同級生に個別に話を聞き、「けんかです」と答えるなどしたため、いじめではないと判断した。

 この後、学校側は、担任や学年主任、教育指導担当の教師ら五人ほどで緊急の会議をしたが、「けんかはいじめにつながる可能性があるので注意が必要」と申し合わせた程度にとどめた。

◆いじめ相談 電話やネットで

 文部科学省や法務省、民間団体などは、いじめに悩む子どもの相談を、電話やインターネットのホームページで受け付けている。

 文科省のダイヤルは無休。NPO法人チャイルドライン支援センターは月−土曜の午後4時〜午後9時。東京、埼玉、栃木、山梨、愛知の1都4県は同じ時間帯で日曜も受け付ける。

 法務省、ダイヤル・サービス社(東京都千代田区)が運営する「子ども110番」はホームページの専用フォームからも相談できる。内容を書き込むと、法務省は最寄りの法務局から連絡があり人権擁護委員などが対応。子ども110番は臨床心理士やカウンセラーなどから返信がある。

 

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