東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 速報ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

仙台聴取会 騒然 発言者に東北電と原発推進団体幹部

2012年7月16日 07時11分

 政府は十五日、将来の原発比率について国民の意見を聴く二回目の意見聴取会を仙台市で開いた。抽選で選ばれた九人の発言者の中に、東北電力や原発推進団体の幹部二人が含まれ、「原発が不可欠」など従来通りの主張を展開し、会場から批判の声が上がった。

 聴取会は、政府が提示した二〇三〇年時点の原発比率(1)0%(2)15%(3)20〜25%の三案に対し、抽選で選ばれた各三人が意見を述べる形式。この日は進行側の手違いで、0%案四人、15%案二人、20〜25%案三人だった。

 このうち、原発の新増設を前提とする20〜25%案に対し、東北電力の岡信慎一執行役員(企画部長)は「会社の考え方をまとめて話したい」と切り出し、電力の安定供給などを理由に、原発は必要と自社の主張を述べた。

 また、原子力推進を目的に企業や商工団体などで組織する東北エネルギー懇談会の関口哲雄専務理事(元東北電力執行役員待遇)は「政府の案は再生可能エネルギーを大きく見積もりすぎだ」と、原発の積極的な活用を訴えた。

 広く国民の意見を聴くはずの会が一転、原発推進団体の会と化し、参加者からは「被災者をばかにしているのか」など非難の声が上がった。司会者が「お静かに」を連発するが、会場の怒りは収まらず、一時中断した。

 会場にいた仙台市の男性会社員(35)は「推進の考えでも、一般の人の意見を聞きたかった」と憤っていた。

 事務局によると、聴取会には百七十五人の参加応募があり、抽選で百三十人を選んだ。うち意見表明を希望したのが九十三人で、0%案が六十六人、15%案が十四人、20〜25%案が十三人。

 これほど差があるのに、バランスを取ろうとするため、0%を支持した人はいずれも宮城県の人だったのに対し、15%と20〜25%案は東北電力関係者二人のほか、東京都の会社員二人、神奈川県の会社員一人と、いびつな発言構成となった。

 岡信、関口両氏は取材に対し、会社や組織からの依頼で応募したことを否定した。

 政府代表として出席した細野豪志原発事故担当相は「抽選で選ぶので仕方ない。福島で開催するときは一般の県民の声が聞けるよう選び方を考えたい」と話した。

(東京新聞)

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo