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【国際】

ヒトラー命令書発見 ユダヤ人の元上官「保護せよ」

 【ベルリン=弓削雅人】ユダヤ人を迫害したナチス・ドイツの総統ヒトラーが、元上官のユダヤ人男性を迫害から保護するよう命じていたことを示す書簡が見つかった。ドイツのユダヤ系英字紙「ジューイッシュ・ボイス・フロム・ジャーマニー」が同国内の公文書館で発見し、報じた。

 書簡は、ヒトラー側近でナチス親衛隊(SS)隊長のヒムラーが、一九四〇年に警察幹部に送付。第一次世界大戦中にヒトラーが所属していた部隊の指揮官だったエルンスト・ヘス氏を「総統の要請により」迫害や追放の対象外にすると記されている。

 ヘス氏は除隊後、判事となったが、ナチスによる迫害で三六年に失職。ヒトラー宛てに自分と娘を迫害対象から外すよう請願書を送り、「ユダヤ人の烙印(らくいん)を押され、軽蔑されるのは精神的な死だ」と訴えていた。

 ヒトラーの許可で年金受給などの特別措置がとられたが、移住先のイタリアから帰国後、措置が取り消されて、強制収容所に送られた。妻がユダヤ人でなかったため虐殺は免れ、八三年に死去するまでドイツで暮らした。

 

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