エイプリルフールに見つけた恋

１７日までにお互い答えを出すと連絡しあった



夕方　ジンは出張の帰りに　私の街への電車に飛び乗った



そのメールを見た途端



会わなきゃいけないって　感じがして



会う約束をした




私は　無理やりだけれど　覚悟をきめた　つもりだった




いまなら　まだ　元の自分にもどれる



ジンもまた　元の生活に戻れるから






ただ　会うだけだって思った



なぜ　私がさようならという結末を考え出さなければいけなかったのか



ちゃんと話すべきだと思った




ジンには誠実でありたいから







約束の時間２０分前位についたから



思い出の場所にしばらくいた



高校生のカップルがきたから



移動した




ここで撮った写真



いい顔していたな・・・



まだひと月まえなのに、すごく大きな思い出になっているんだな・・・て




時間には送れないジンが　約束の時間になっても現れない




不安になって　メールしてみた



「シネマの外のデッキにいるよ　写真撮ったとこ」



「写真とったのちょうど一か月前の今日なんだ

　
　大切なものを失うのが怖くて　動けない


　ロータリーのベンチにいいる」





　そこから下を見下ろしても　暗くてジンがわからない



　いそいで階段をおりた



　しばらく探していると


　頭を垂れて座っている男性がみえた


　
　「ジン？」


　胸が締め付けられた



　その姿に　しばらく動けなくなった



　走って行って　抱きしめたい衝動を抑え



　深呼吸をして　そばに座った


　
　私に気が付くと



　ジンは私を傷つけたことを　誤った




　私はジンが悪いとは少しも思っていない


　私がジンの思い出を受け止めることができない小さな


　自分に愛想をつかしてしまっただけ





　それなのに、ジンは自分を馬鹿だといった



　

　私の悲しみは　過去の恋バナをきいたからじゃない



　ジンがほんとうは家庭に戻りたいじゃないかな・・・って思ったから


　
　思い出を大切にするのは　まだお嫁さんを愛しているからだと




　本当は　そこに　根源があるんだと　話していて　気が付いた





　
　私の不安を　ジンはひとつひとつ　取り除こうと説明してくれた


　　
　余計なことは、心配させることは言わないでおくからと


　
　その不器用で　やさしい愛情に　甘えてしまっていいのだろうかって



　話せないことがあるという不自由さを感じさせることが私は辛い




　私はジンをいやすために、幸せに感じてもらうために




　そばにいたいと思ったんだから



　そうすることが私も幸せなんだからと




　

　　でも　ジンは言った


　「サキを不安にしないための我慢は　我慢じゃないから


　　話せない不自由さなんて　なんともないから」




　強い人なんだと思った




　この強さにかけてみてもいいんだろうか？



「ジンの強さにかけてみていい？


　これから　もし　私が嫌な話をジンがしたら


　聞きたくないと　言ってもいい？」



「うん。　そのほうがずっといい


　俺はそれで　いやだとか絶対に思わないから」




　


　ジンは強い



　わたしだったら　聞きたくないといわれたら


　やっぱり　心が折れるかも・・・・・




　ジンの強さに　かけてみる　




　もう　ジンをひとりで悲しませたくない



　ジンの辛い顔は見たくない




　二人で　背負って乗り越えていくべきなんだよね



　一人で結論なんてだめだよね。



　

　ジンの強さと　優しさが　今回もまた



　私を救ってくれたかもしれない




　
　また　一緒に歩ける結果になって　よかった



　ほっとしたら
　

　涙が止まらなくなった






　好きな人と　さよならなんて



　ほんとうに辛かったから