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東大MOT学生の奮闘記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-11-01

[]IPAフォーラム2007で討論してきた

10月30日に行われたIPAフォーラム2007の『「学生から見たIT産業」と「IT産業から見た学生」〜IT産業は学生からの人気を回復できるか〜』と題された討論会でしゃべってきた。IPAとは情報処理推進機構の略で、情報処理技術者試験とか、未踏ソフトウェア創造事業をやっているところ。

大学の先生から、討論会に出る学生を求めいているという話を聞いたのが討論会に参加したきっかけ。僕はてっきり、IT産業の未来について語り合うのかと思っていたのだが、「IT産業は3Kのイメージが強く、就職において人気がなくなってきているが、どうすればその人気を回復できるか」というタイトルを聞いて、ちょっとがっかりした。

@ITにこの討論会についての「IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ − @IT」という記事が上がっていた。ちなみに、記事の最初の写真に討論会に参加した学生が写っているが、前列の一番右に座っているのが僕。

この@ITの記事がはてなブックマークで大いに盛り上がっている。この記事では、討論会の内容を正確に伝え切れていないと思うので、ちょっと補足してみたい。僕はIT業界の実態を分かっていない学生なので、コメントなどでいろいろとご指摘いただけるとうれしい。

まず、会場は満員で、270人くらいの聴衆がいて、立ち見まで出ていた。主催者の方に聞いてみたところ、「多くはIT企業で人事とかをやっている人ですよ」とのこと。

ちなみに学生の構成としては、僕(東大で技術経営を専攻している大学院生、学部のときには情報技術を専攻していた)、東大の学部生1人(環境エネルギーを専攻)、筑波大の学生5人(4人は情報技術を専攻)、日本電子専門学校の学生3人(3人とも情報技術を専攻)だった。特にパネリスト・学生間で討論の内容に関する打ち合わせなどもなく、ぶっつけ本番という感じだった。

内容であるが、IT産業、IT企業、IT技術者というくくりが広すぎて、何を話せばいいのかよく分からなかった。結局、討論会の内容もぶれてしまっていたと思う。パネリスト3人は、NTTデータの元社長、TISの社長、IPAの理事長という、IT産業というよりSIerの人気がないことについて語りたいだけなんじゃないかという顔ぶれだったし、もっと明確にテーマ設定をすべきだったと思う。

主催側から、学生には忌憚のない意見を言ってほしいということが伝えられていて、みんなそれなりに突っ込んだ質問をしていたと思うのだけど、パネリストが論点をずらしたような回答ばかりするので、ちょっと気持ち悪かった。本当はもっと突っ込みたかったけど、時間が70分と短かったので、中途半端な感じで終わってしまった。

以下、@ITの記事の内容に補足しながら、流れを追ってみる。

まずは、IT企業へのイメージについて、

「IT産業へのイメージ」との質問に対して学生の1人は「IT産業は自分たちの生活に欠かせないもの、生活を支えてくれる基盤である」と優等生な回答。

優等生的な回答をしたのは僕ですよ。最初に持ち上げてから、後で落とすつもりだったのに、「東大生的な優等生発言で、すばらしいですね」とか言われてしまい、ちょっと失敗。

別の学生からは「トヨタ自動車ソニーのようなユーザー企業と違い、IT(の導入)しか行っていないNTTデータのような会社が一番謎」といった疑問が出た。イメージを聞かれても、そのイメージ自体が何もないという皮肉な答えだ。別の学生からは「(情報を発信するテクノロジなのに)IT業界が何をしているのか分からないのは問題」といった、そもそも論も聞かれた。

それに対して、

岡本氏は「モノをつくっている会社は、イメージがモノで通じている。われわれの業界はモノを作るといってもソフトウェア、もしくはサービスを提供している。目に見えてイメージはわかないかもしれない。インターンなどで実態を見てからもう1度考えていただければいい」と学生を諭した。

BtoBのビジネスをしている企業の業務が学生から見えにくいのは当然で、見えにくいなりに工夫をしないといけないと思う。でも、パネリストの口ぶりからは見えにくいのは当然のことで問題と感じていないというような雰囲気が伝わってきた。興味を持たなければ、インターンにも来ないだろうに。

キッザニアNTTデータの仕事を体験できるブースを作る計画があるみたいで、若い世代に対してイメージを伝えていきたいと言っていたが、そんなに小さい子に対してではなくて、大学生に対して何かやらないと就職については意味ないと思うんだけど。

いくつか挙げられたIT業界のイメージは実にネガティブな内容だった。いわく「きつい、帰れない、給料が安いの3K」に加えて、「規則が厳しい、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない」の“7K”というイメージだ。学生は、ほかの業界と比べて「IT業界は特に帰れない」というネガティブな印象を強く持っているようだ。

他の学生が「最近は7Kというらしいですよ」とか言ったのは正直うけた。討論会のホームページにもわざわざ書いてある通り、3Kについては問題と認識しているみたい。本当に3K的な職場なのか、話してほしかったのだけど、

ネガティブイメージを突きつけられた浜口氏は、「必ずしも全員が3Kではない」と反論。岡本氏も「3Kの“帰れない”は、帰りたくない人が帰れないだけ。スケジュール管理の問題だ。私は40年間近くIT業界で仕事しているが、何が一番幸せかというと退屈している暇がないことだ。技術が進歩するにつれわれわれの仕事も複雑化してくるが、一生懸命追いかけていくだけでも退屈しない。いい仕事を選んだと思う」と自らの仕事を振り返りつつ、学生に反論した。

論点を挿げ替えているだけで、全然反論になっていない。僕には本当に3Kなのかどうかよく分からないのだけど、はてなブックマークのコメントを見ている限りでは、パネリストの方々は相当現実の見えていない発言をしているようだ。

IT業界はどのような学生を求めているのか。重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」(浜口氏)、「チャレンジングで好奇心旺盛な人」(岡本氏)の2点を挙げた。

コミュニケーション力の定義としては、相手の言いたいこと・伝えたいことを引き出す質問ができる、ドキュメントを作成できる、自分のことを表現できるといった、聞く・書く・話すに関係する内容が上げられていた。

学生からは、「コミュニケーション力が必要というのは他の業界も一緒であって、IT業界に固有のものとして、例えば、プログラミングの知識を求めていないのか」という質問も出た。それに対しては、浜口氏、岡本氏ともに、「プログラミングの技術はあった方がいいと思うが、なくても構わない」という回答。もう少し書くと、「プログラミングは入社後にトレーニングすれば問題ない。SIerの業務の中では、いろいろな役割の人が連携して仕事をしている。みんながプログラムを書いている訳ではないので、入社後のトレーニングで適正がないと分かれば、プログラミングをあまり必要としない仕事をやってもらうこともできる」というような回答だった。

僕は、この話を「とりあえず会話ができそうな人をたくさん採用するので、そいつらを鍛えてみて、使えるやつだけ残していくよ」というような意味合いに取ったのだけど、本当のところはどうなのだろう。

ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていたような気がする。

一昔前は「体が丈夫で、従順に働いてくれれば大丈夫だよ」というスタンスで企業は採用を行っていたのかもしれないけど、今の大学生は結構将来のことについて考えていて、社会の構造は分からないなりにも自分のキャリアパスとか思い描いている。採用時にも自分の希望とその会社で描けるキャリアパスを考えて入社すると思うのだけど、学生はとりあえずコミュニケーション能力があればいいというのでは、学生は寄り付かなくなると思う。

その流れで、「入社時にITのスキルを問わないというのは、Googleのような企業の方針とは反対であるが、それですばらしいサービスを作ることができるのか」という質問が出たのだけど、「Googleの開発と日本のカスタムメイドなシステムを作るSIerの開発は違うもの。Googleはスモールチームで仕上げるが、日本は製造業的にラインを組んで仕上げるため、いろんな人材が必要になる。」とのこと。単に効率の悪いシステム開発をしているということではないかと思ったのだが、どうなのでしょう。使っている言語も違うだろうし、一概には比べられないかな。

他の話題としては、IPAの理事長によると、「Google本社には数千人の社員がいるが、その中で日本人は10人くらいで未踏ソフトウェア出身の人が3人いる」とのこと。「せっかく手塩にかけて育てたスーパークリエーターがGoogleに取られてしまっていることについてどう思うか」と聞いたが、「世界で活躍してくれるのはいいこと。スーパークリエーターはたくさんいて、中には起業して頑張っている人もいるし、いろいろな人がいてよいと思う」という回答だった。

そして、討論会の最後に、こんな質問が。

セッションの最後は学生に対しての「将来ITの仕事に就いてみたいか?」という質問。学生10人のうち8人が「働きたい」、残り2人は「絶対に嫌」という回答だった。

とあるけど、10人中、現在情報技術を専攻している人が7人もいたんだから、もともとそういう希望を持っていた人が多いのは当然。僕ももともと情報技術を専攻していて、将来的にはIT関係の仕事をしたいと思っているし。なので、純粋にこの討論会の中で10人中8人が「働きたい」になった訳ではない。

あと、討論の方法については、id:next49さんが書かれているけど(この方は聴衆として討論会に来ていた人みたい)、

今日の討論会を見て思ったのは、明石家さんまのやっている番組「恋のからさわぎ」「踊るさんま御殿」のやり方がうまいということ。これらの番組では、あらかじめお題について回答させておき、その回答に対する詳細説明として話をしてもらう。こうすることで、話を振られたときに何をしゃべれば良いのかをあらかじめ準備でき、本番に頭が真っ白になり何もしゃべれないということを防ぐことができる。また、とっさに面白いエピソードを思いつく必要がなく、充分に吟味した話題をしゃべることができる。

IPAフォーラム2007 - 発声練習

僕も同意見。素人が討論をする場合には、具体的な質問を決めておいて、それに事前に答えさせておいた方が、スムーズだろう。id:next49さんは「恋のからさわぎ」「踊るさんま御殿」を例に取っているが、分かりやすい。

今回の討論会は、主催者の方々的には成功だったようで今後もやるかもしれないというようなことを言っていたので、ちょっと提案してみようかな。

長くなってしまったけど、不明点、突っ込みなどあれば、コメントください。

next49next49 2007/11/02 01:28 IPAフォーラムはお疲れ様でした。
エントリーにまとめられた内容は当日の流れのとおりだと思います。
ただ、当日の産業界側のパネラーの方は、IT産業の代表者として
呼ばれているので、あの場ではああいう風にしか答えるしかなかった
のだろうと思います。

> ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、
> 大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、
> 明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていた
> ような気がする。

このやりとりは今回の討論会の白眉だったと思います。
そりゃ、学生はIT業界に行きたくなくなるわけです。

午後の「高度IT人材と日本の行く末」でこの質問の答えが
語られていたと思います。

そのセッションで語られていたのは、現在は専門スキルが
未分化なSEに日本のIT技術者のほとんどがとどまっているとの
ことでした。

SEは高度人材の指示のもとに作業を進める職種なので
計算機科学・情報工学を学んでいない人間でも別にかまわないというのが
事実なのでしょう。

しかし、日本に必要なのは高度IT人材であり、
SEに指示を出せる人材ですので、ITスキル標準が
しっかりとIT産業界に根付きはじめれば、大学で計算機科学・
情報工学をしっかりと学ぶということが評価されるように
なると思います。

oskimuraoskimura 2007/11/02 10:33 >本当に3K的な職場なのか、話してほしかったのだけど、
事実です。
>僕は、この話を「とりあえず会話ができそうな人をたくさん採用するので、そいつらを鍛えてみて、使えるやつだけ残していくよ」というような意味合いに取ったのだけど、本当のところはどうなのだろう。
まったくその通りです。
特にNTTデータのような「IT業界」でも上流の所では、開発や、設計は一切行われていません。
研究部門ですら○○大学院何名といった形で、採用しており、院での研究結果も全く問われてないと聞きました。

旅人旅人 2007/11/02 13:21 驚かれてると思いますが、コメントを信じましょう。
ITスキル標準が根付いても既存の企業はまず変わらないと思いますので、法律や環境を変えて、Googleのような企業が発生してこれるようにするしかないと思いますが、難しいと思います。
今度はIT技術者を呼んで討論会でもして欲しいですね。

t_yanot_yano 2007/11/02 13:26 私はパネリストとして来ている三名の会社の二社とかかわって仕事をしたことがあるけども、どちらも自社社員の実務としての開発能力はあまり重視してないようでした。実務は私のような外部から来る人の仕事で、むしろその人たちにやらせるテクニック(よく言えば統率能力)を重視しているようでした。そういう意味では、入社にあたって専門知識とかはあまり必要ないのかもしれません。そういう意味での「入社後にトレーニングするから問題ない」「なくても構わない」という回答なんだと思いますよ。
実際「プログラミングなんて早く卒業して支持するほうに回りたい」と公言する若手社員などもいましたし。そういう風に教育しているんだな、という印象を持ったのが当時の私の正直な感想です。

xixixixixixi 2007/11/02 13:30 7Kは笑った
この前まで、IT業界でコンサルをやっていましたが、まさにそうですね。
帰れないのはスケジュールがきつすぎるというのもありますが、一番は技術力の無い、例えばプログラミングもろくにできないプログラマがバグを出すので余計スケジュールがきつくなる、なのでこの重鎮の方達の意見は相当現実とかけ離れているでしょう。
SIerなどの大手では、下請けに仕事は丸投げにし、自分たちはさっさと帰るという人達も多いので、それを言うならば3Kというのはちょっと嘘になりますが。
IT業界での3Kはいわゆる下請け企業の状態を表していることが多いです。
上流のみをやっている企業やコンサルタントなどは残業とかいう概念自体あんまりないですね。
「いつでも仕事」なので。

t-murachit-murachi 2007/11/02 14:31 > 「Googleの開発と日本のカスタムメイドなシステムを作るSIerの開発は違うもの。
> Googleはスモールチームで仕上げるが、
> 日本は製造業的にラインを組んで仕上げるため、いろんな人材が必要になる。」

この回答もちょっとひどいなぁ。
製造業では部品単位での下請けはあるけど、ソフトウェア業界がやっているような、工程を上流と下流で分割して下流だけ下請け、みたいなことはやってないし (QA だけ第三者機関に委託、というのはあるけど。逆にソフトウェア業界ではそういう意味での QA って考え方が根付いていないところも多い)。

「研究所」とかいったような名目でソフトウェア開発に専念させてるような部署を抱える一部のメーカー系企業とかだと、結構純粋に人材に技術力や研究実績を求めてくれると思う (個人的に知ってるところだと、某コピー機メーカーとか、某電子楽器メーカーとか)。自信のある人はそういうところに積極的に当たってみるといいんじゃないかなぁ。

araiarai 2007/11/02 15:14 @ITでこの記事を執筆した荒井です。記事ではカバーできなった部分を補足していただき、ありがとうございます。記事で取り上げた討論以外にも、補足されていらっしゃるように面白い議論はあったのですが、時間と私の能力の制約で取り上げられませんでした。

NachbarNachbar 2007/11/02 17:46 システムインテグレーター=SIerというものを出席者の学生さんたちがどのように理解されていたのかが気になります。その辺の理解のなさから「Googleは」「いやウチはSIerだから」という齟齬が発生したのかな、と思いました。

JavaBlackJavaBlack 2007/11/03 01:11 SIerがIT企業を騙ること自体が間違いだと思ってます.

MayFieldMayField 2007/11/03 02:45 現役SEですが、7Kってのは事実ですね。「帰れない」なんてのは正にその通りで、末端になればなるほど無茶苦茶なスケジュールの尻拭いをさせられます。月間残業時間が100時間を超える事も、余程の上級職でもなければざらにあります。
因みに言うと、現在のシステム開発において最も必要なスキルは、プログラミングでも英会話でもなく、中国語会話だったりします。詳細設計・製造・単体テストくらいまでは中国のSIerを使うのが業界標準になりつつありますが、彼等が日本語や英語を正しく理解してくれるとは限らない為、中国語で的確に指示する必要があるのです。尤も、そんなブリッジSEなんて、中小企業レベルでは殆どいなかったりするんですけどね。

anyany 2007/11/03 04:15 コミュニケーションスキルの無いIT技術者は大規模開発で足並み揃えて開発できないからですね。更に突き詰めて言ってしまうと、経営者にとっては連携が出来ない、技術の伝承が出来ない、仕様がブラックボックス化する技術者は扱いづらい、という事です。逆に言えばあまり経営者の言う事ばかり聞くだけの技術者では、単に取り替えが効く歯車になる可能性も高いという事です。IT技術者として長く食って行くには会社に自分の有益性を示しながら、自分独自の売りを磨く必要があると思います。

とおりすがりとおりすがり 2007/11/03 04:43 「コミュニケーション力」の中身→ http://lovelove.rabi-en-rose.net/blog.php?n=235

KaiGaiKaiGai 2007/11/03 09:05 IPAフォーラムには参加していたのですが、裏番組の方に行ってしまってた…残念。
日本企業の場合「就職」よりも「就社」という意識が強いので、入社時のITスキルに強く拘らないという気がします。例えば、部門の縮小や廃止があった場合に、レイオフするよりも配置転換で何とかするといった具合に。
この辺、専門性で会社を渡り歩く米国のモデルが良いのかどうか、議論が必要なところだと思います。個人的には緊張感があって良いと思うのですが。

shomiryshomiry 2007/11/03 13:09 >特にNTTデータのような「IT業界」でも上流の所では、開発や、設計は一切行われていません。

NTTデータの人間なので一言。
うちの部署では要件定義・設計・開発・テスト・運用まで全部一通りを協同会社の方に丸投げせずにちゃんとやってますよ。

mitsutodamitsutoda 2007/11/03 13:19 以前SIerに居た人間として一つだけ気になるので答えますね。
「コミュニケーション力が必要というのは他の業界も一緒であって、IT業界に固有のものとして、例えば、プログラミングの知識を求めていないのか」
 IT技術は常に学習していかないと追いつけないものなので、今知識があることより、学習する姿勢やポテンシャルの方が大事だと思います。あと、「いい仕事」をするには注意深さが一番。仕事の対象が技術と人の境界領域が多くかなり複雑なので、論理的思考力や外の世界に目を向ける力とか、要求される/トレーニングになる機会も多いと思います。これらの必要性/重要性があまり語られない業界の実情は問題かもしれませんが。

ああああああ 2007/11/03 16:37 IT業界では「高校生が小学生に微分を理解させることができる」程度のコミュニケーション能力が必要です。

yamakyamak 2007/11/03 22:22 情報工学的な意味でのスキルを生かせる会社を探すなら、まずは売り上げの90%以上が自社開発の製品またはサービスという会社を探すのがいいと思います。この時点で99%の会社は外れます。そこに入っても、そこでスキルを生かせるのは多くても5%くらいの人です。他にサポートとかやる仕事はたくさんあるので。

学生の立場でそういう会社を見極めるのはかなり難しいし、新卒を採らないところも多いので、転職も含めて長い目でキャリアパスを考えた方がいいと思います。

yamakyamak 2007/11/03 22:27 追記ですが、もちろん「自社開発の製品またはサービス」が自分の持つスキルを生かせる特徴を持っているという条件も必要です。この時点でさらに99%は外れます。つまり0.01%ってことですね。これは外資系とか別に関係ないと思いますよ。

吉澤準特吉澤準特 2007/11/04 22:58 CNETブログで本件を取り上げた者です。実際の参加者からの状況解説、非常にありがたいです。次回エントリーで一部引用させて頂きます。

KOKO 2007/11/05 08:54 itoyosukeさま>
参考になりました。
>とりあえず会話ができそうな人をたくさん採用するので、そいつらを鍛えてみて、使えるやつだけ残していくよ
そうかもしれないですね、善意で解釈すればこれからは上流中心を想定していると言うことが出来ますが、
その上流で生きるための教育システムが無くって潰れてしまう感じですね。学校では優秀だっただろう人が。
確かに潰れてしまうのは、「なぜITなんか選んだの?」という人間だからというのも事実ですが、
「じゃあどうして採用したの?」があまりに都合よく無視されていますからね。
でもって、技術は下請けや派遣に担当させてるんだから仕事なんてガキの使いと一緒ですよ。
それでも大手SIerになれば、インカムだけは安定するから辞められないのですよね、結婚すれば特に。

xixixiさま>
>プログラミングもろくにできないプログラマがバグを出すので余計スケジュールがきつくなる
これは、設計も大して行わず適当に丸投げする事がそもそもの原因なんですよね、多くのSIerがそうですが。
末端に責任を求めても改善できる問題ではないのです。経営コンサルの人は知らないプロセスですが。
(もし設計まで関わっていたと仰るならすいません…ならば人の集め方まで関わるべきでした。)
設計が不安定なまま、仕事が子受け孫受けにお手玉されていけば、どうなるかは素人でも想像つくでしょう。
逆に設計さえ出来ていれば、中国に投げようがインドに投げようが、問題ない品質であがってきます。
ある意味で「オフショアは定着せず日本のプログラマは安泰」と思えてなりません。

yohgamiyohgami 2007/11/05 11:39 「IT企業」と一言で片付けてしまっているところに、このテーマの問題点が潜んでいる気がします。
私は一応、既に20年くらいIT関連に携わって、飯を食っていますがIT系の仕事って本当に様々です。
SIerみたいな会社が中心に論じられていますが、例えば車に積む各種制御装置のSoftwareを製作する仕事から、一般的な仕入〜受注〜販売〜在庫管理などのパッケージソフト開発や受託開発は全く違う仕事でしょうし、ゲーム開発も全く違った分野であって、違った能力を要求されていると思います。
まあ、長年やって感じることは常々、「新しいことにトライしようとする」人は向いている感じがしますが、日々の業務をこなすだけの人は疲れて逃げていきます。
重鎮方が「コミュニケーション能力が重要」と言うのは私は間違っていると思っています。コミュニケーション能力は皆さんが言われるように、どの業界・どの分野でも社会人としては必要能力であり、私自身は「自己啓発しようと思う能力」と「想像力」、「注意力」の3点がIT業界で働く上で大事な能力と感じています。

中小ソフト会社勤務中小ソフト会社勤務 2007/11/06 14:32 >ある意味で「オフショアは定着せず日本のプログラマは安泰」と思えてなりません
そして日本のプログラマの給料が下がっていくわけです・・・

IT営業マンIT営業マン 2007/11/06 17:52 面白いですね。
私はプログラムを書けないし、話はずれるかも知れませんが進路としてこんなのはどうでしょう。
?ITが有効活用されていない職種(建設業とかの古い体質のところ?)に就職し、何年かかけて専門的な技術も含めて極める。
?その経験を元にソフトを開発したりして起業。
?世界にひとつだけのソフトの出来上がり。
という感じ、実際うちの会社の社長がそうなので。

ビジョナリービジョナリー 2007/11/06 21:02 少なくとも重鎮の方々が、ビジョナリーではないということが分かりました。
日本では重鎮になっても、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのようにはなれないわけですね。

c-yanc-yan 2007/11/06 22:45 > これは、設計も大して行わず適当に丸投げする事がそもそもの原因なんですよね、多くのSIerがそうですが。
人月とは無能ほど儲けると見つけたりが行き過ぎてるせいで、設計側だけの問題と言い切るのも現実とは乖離しているかと. プログラマ以前にコーダすら出来ない人材多すぎ. 育てても、間ができるとまた新人がやってくるし(嘆息). 優秀な奴を囲いたい...

network_imetnetwork_imet 2007/11/07 06:17 はじめまして。
IT業界に9年たずさわっているものです。この業界を知らない方には、「プログラムを作っているんですね」とか「SEさんですね」などとよくいわれます。
私がこの仕事に入ってよかったなと思う点は、会社の業務システムなどの問題があれば、それを調査し、提案して改善できたときに、「やりがいのある仕事をしたな」と思えることです。
ITというイメージだけが先行して、わかりにくい業界だとは思いますが、一度入ってみるとおくの深い仕事だと思いますよ。

まるまる 2007/11/07 10:34 はじめまして。

この記事を楽しく読ませて頂きました。
IT系技術者としてはもう10年くらいになるのでしょうか。色々な会社を経て現在の立場でサーバー・ネットワークエンジニアとして仕事しています。

このIPAフォーラムの討論(?)は企業側上層部の持っている意識を露呈しているだけに過ぎないように感じます。
3Kに関したコメントなどを見る限りよくありがちな責任転嫁した回答をしていますが企業としての取り組みを(していないから)コメント出来ていない点など特徴的です。

もっと現場に近い人間をパネリストとして招く事で“学生側に近い”話は出たのでしょう。もっとも主催者側の思惑としてはこの結果はIT企業に提供される事を前提にしているのでしょうから実現は難しいでしょうが。

組込み組込み 2007/11/08 05:38 SIだけが語られていますが組み込みも悲惨ですよ。
携帯電話はデスマーチが基本ですし、家電関係もハードはメーカーが作ってソフトは下請けです。
7KはSIと同じです。

koroharokoroharo 2007/11/08 13:32 >shomiry
>NTTデータの人間なので一言。
>うちの部署では要件定義・設計・開発・テスト・運用まで全部一通りを協同会社の方に丸投げせずにちゃんとやってますよ。
うちの部署では要件定義・設計・開発・テスト・運用まで全部一通りを協同会社の方に丸投げしてちゃんとやってますよ。

中の人中の人 2007/11/08 22:34 >NTTデータの人間なので一言。
就社というよりも、就システム、と呼ぶ方が実態に近いことも多々ある世界。
同じ会社に属していても、たずさわるシステム次第で環境は千差万別。
会社レベルで論じるなんて意味ないな、と、この業界に入って初めて気がついた。
きれいに丸投げしているところもあれば、していないところもありますし、
定時に帰っている職場もあれば、年単位で残業100時間越の連続、なんてのもある会社。
新卒採用の場合、どこに行くかは”運”次第。

「帰りたくない人が帰れない」という場合も確かに有るだろうけれど、
何をどうやろうと帰れるわけがない、という方が多数じゃないかな。
で、ひっくるめて帰れない人と帰れる人を比べると、
帰れない人の方が多数、と、私のまわりはこんなんです。

へいほへいほ 2007/11/09 01:54 つい最近までメガバンクで働き、SIer企業に発注する立場にいましたが、銀行を
含むユーザー企業側が、本来自分でなすべき業務要件の定義をSIerに任せている
というのが、悲劇の始まりでしょうユーザー企業側が定義できない機能をどうして
SIerが作れるのか?・・・の結果、SIerがなんとか作った仕様が、ある程度の製品に
なって始めて、ユーザー企業側が仕様のおかしさに気付き、仕様変更の嵐。
責任のないSIer側に責任を押し付けるのが、日本の慣行となっているのが、IT企業が
3Kとなる(=理科系技術者から敬遠される職場となる)原因です。
ただ、ユーザー企業側も、業務要件がまともにできる担当者と、できない担当者を
きちんと評価し、できない担当者を教育していけば、SIerとの関係もよくなるはず
なのですが、評価できる人間がいないため、今のままなのでしょうね。
(私が銀行を辞めたわけでもありますが。)

ANAN 2007/11/10 17:12 大変興味深くご意見を拝見させていただきました。
私は現在就職活動中でNTTデータは第一志望です。が、最近揺れ動いています。というのも、NTTデータでは、マネジメント業務が主で、技術的な強みを感じられないからです。技術を理解せずにその上流工程やマネジメントに携われるのか疑問ですが、itoyosuke様のご意見や今回の討論でまた揺れ動いてしまいました。
それに、私の周りのSEやプログラマをみると3kというのはきっと本当なのでしょう。それでも、この道に進みますが・・・。
ありがとうございました。

足を洗った人間足を洗った人間 2007/11/10 21:59 元メーカー系SI部署出身ですが、SIerで一番必要なのは「丈夫な身体と体力」ですよ。1ヶ月に100時間の残業なんて序の口です。150時間残業を2年続けた知り合いが居ますし、私も200時間超とか経験しましたよ。まぁ、とは言えSIerに来たいという人を止める必要もないと思います。勘のいい人は、2年もやれば「こりゃあかん」と気付いて辞めますから。

離職率は年率10〜15%くらいでしょうかね。

通りすがり通りすがり 2007/11/11 11:29 IT関係のトップの上層部は、従業員を仕事するための機械という認識しかないのではないでしょうか?。だから、死ぬほど働いて、精神的な病気になって役に立たない人が出てきても、辞めさせて別の人にすげかえればいいとしか思ってないのでしょう。どういう会社でもできない人まで雇うことはできませんが、その人が辞めるときになってもきちんと再就職ができるくらいのスキルを仕事をすることであたえていなかったら、今までがんばってきた本人が一番惨めでしょう。
 上層部は現場をあまり理解されていないようですね。上層部は偉いのでしょうが、その人たちを支えているのは現場です。仕事を外注に出したからと言っても、下請けやそれらの人の努力があって、会社が成り立っているわけです。下流工程を
軽んじることは、自分を支えている足を馬鹿にするようなものです。そういう状況がこの何十年続いてきましたが、さすがにIT業界のそういう現実が情報となってネットで明らかにされ、今から就職する人に不安感をあたえるようになりました。
IT業界は不人気業種とさえ考えられるようになりましたが、なぜそうなのか業界の方がすべての方が考え直さないと、本当にこの業界の先はないように思います。
アメリカを見ると、IT産業は国をささえる立派な産業となっておりますが、日本ではさげすまれています。そういう意味でIT業界がしっかりしないと日本の未来にも影響を及ぼすでしょう。

のんきなとうさんのんきなとうさん 2007/11/12 12:58  別にIT業界に限ったことではにですけど、権力(と言うかお金のもとの栓を握っている場所)はそんなものです。官僚組織でも本当の政策を握っていない大蔵省(今で言えば財務省)が一番権力を持ち、仕事をしている各省はその下風に立ち、ビジネスでも国家権力によるライセンスに基ずくビジネス、たとえば銀行はその次に立ち、以下・・・となっていますよね。マスコミでも新聞は経営権の自由な移動は法的に管理されているから結構安泰だし、電波業界などは完全に政府の管理下です。だからTV会社も下請けに丸投げしてやり放題で高給取っていられるでしょう。

 基本的には良い仕事をすることと報酬というか見返りとはまるで関係ないのが世の中のルールでしょう。
 IT業界が「平均的な」人間にとっては良い職業環境でなく、私たち日本人は個性や創造性を生かすビジネス環境を作れなかったのは事実でしょう。平均的な日本人は個性を生かさず、機械の歯車に安住するのが良くても悪くても身にあった生き方と思います。(公務員が一番良い生活スタイルですよ。世の中の役にたっているかどうかと言うことは別としてね)

 それでもIT業界で創造的な仕事をしたいと言うなら、そのような夢を実現していらっしゃる方はご存じの通り少数はいらっしゃるわけですから、敢えて若い学生さんが、IT業界を志望されるのをお止めしませんけど、それなりの覚悟をして飛び込まれることが必要と思います。

 創造的な職業でなければならないIT業界にそのような場を提供出来ない業界リーダー(?)の言い訳など負け犬の遠吠えでしか無いでしょ。

へいほへいほ 2007/11/16 00:38 IT産業というくくり方で、仕事が決まってしまうというのが、IT業界の杜撰な
ところかな?とも感じています。プログラマ→SE→PMで、下流から上流という
呼び方でキャリアが向上していくような錯覚があるのがIT業界の異常なところ。
建設業でも、黒川紀章のようなデザイナーが居て、建築士(or設計士)が居て、
大工さんという3層構造(素人からみると)ですが、大工さん → 建築士 →
黒川紀章 というキャリアアップはない。洋服でも、お針子さん → 型紙屋
→ デザイナー というキャリアアップはあまりないのでは?
建設(建築)やアパレルは、各カテゴリでの作業方法が大きく違い、IT業界では、
各カテゴリとも、机上(PC上)で行うがために、錯覚している部分があるのでは
ないだろうか?

地方学生地方学生 2008/09/19 23:39 とあるSNSの運営会社にインターンシップに行ったけど帰れないのはあるみたい。
正直楽しい雰囲気を期待してたけど…
退社時間に帯ということもあって疲れ果てていらっしゃいました…
給料も他社よりか少し高いらしいけど…
階級が下でもらってるのは受付の方が一番もらってそうだった。

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