【ダービー】福永エース、岡部氏「勝てる」(2/3ページ)

ワールドエースとシンボリルドルフの写真を分析しながら、福永騎手（右）と岡部氏の話は弾んだ。大先輩の貴重な体験を聞いてユーイチはダービー初制覇へ自信を深めた様子だ（撮影・中井誠）【拡大】

岡部幸雄氏（以下岡部）　今年はワールドエースという有力馬でダービーに挑むけど、今はどんな気持ち？

福永祐一騎手（以下福永）　結果を出したいという気持ちが強いです。有力馬で臨める年というのは、何年もあるわけではないですから。何度も乗っている馬ですし、今のところは平常心できています。

岡部　皐月賞は２着だった。

福永　恥ずかしい乗り方でした。ただ、あの馬の走り方からして、３、４コーナーの内の悪いところを走っていけると思わなかったので、いいところを通りたいと、外に進路をとったことに後悔はないです。

岡部　悪いところで脚を滑らせたりするのはイヤだよな。どこかにそういう意識は働く。

福永　池江（寿）先生は検量室前に戻ってきたとき、『ダービーが楽しみになったな』とおっしゃってくれましたが、馬によけいな負担をかけたので申し訳なかったです。

岡部　何が起こるかわからないのが競馬だからね。

福永　岡部さんがシンボリルドルフでダービーに挑んだときの心境はいかがでしたか？

岡部　皐月賞の時点で完璧なレースをしていたので、ステッキなんか振り上げず、馬なりで勝つつもりでいたけど、現実は違った（笑）。普通にすればいい、特別なことはいらないよと。能力が高いから思えたんだけどね。自然体が一番。

福永　府中の２４００メートルですからね。強かったら、勝つと思っていますし、ワールドエースは能力が高く、いい脚を長く使えます。折り合いを教えてきて、そこは完璧になってきました。普通にスタートを切って、普通に２４００メートルを上手にまわってこようとしか今は考えていないです。

岡部　東京芝２４００メートルは展開が大事。とくに、東京は馬場が大きいからペースが遅くなりやすい。スローペースになったときのことは頭に入れておかないとな。遅くなったときは後ろからでは間に合わないから。

福永　それだけですね。今は短距離馬が出てこないので、昔より流れが速くなりにくくなっていますから。

岡部　あと、東京はごまかしがきかないからね。中山でワールドエースに乗るより、東京の方が楽だろ？

福永　楽です。

岡部　大丈夫。１２回もダービーに乗っているし、初めての競馬場でもないものな。

福永　若いときはダービーだからと特別に思ったこともありましたが、馬は騎手が何歳であろうと関係ない。そう考えたとき、やるべきことをちゃんと果たせるかどうかだと思っています。今までのジョッキー生活で今回は最大のチャンスだと思いますが、最後のチャンスだとは思っていません。でも、やはりワールドエースを勝たせてあげたい。一番チャンスがあると思うから。きちっと結果を出せる騎乗をしたい、それだけです。

岡部　落ちなきゃ（落馬）勝てるよ（笑）。

福永　ダービーはオヤジ（洋一氏＝１９７８年カンパーリの３着が最高）が勝ちたがっていたレースだというのは、母（裕美子さん）から聞いていました。何とか勝って自慢したいと思います。それくらいしかないですからね、オヤジに自慢できるのって。

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