大韓民国の法律は誤字脱字だらけ!?

 法はその社会で一定の強制力を持つ規範として、あらゆる行為は法に照らし合わせて合法か否かが判断される。ところが文言の解釈の仕方で権利が左右されるような誤字・脱字ばかりだとどうなるのだろうか。

 国際船舶運航規定には、運航中の船舶がほかの船と向かい合って接近した場合、バックする際には汽笛を3回鳴らすことになっている。ところが韓国の海事安全法92条には、せん光を3回照らすよう定められている。法律の誤記により、船舶の運航に混乱をもたらしかねないケースだ。このミスは2007年に同法の改訂作業が行われた際、編集過程で発生した。国土海洋部(省に相当)は今年に入ってこのケースをはじめとする同法の誤字脱字を発見し、修正に向けて準備している。

 ハングル表記のミスも非常に多い。占有権について定めた民法195条には「他人の指示を受けて」の「受けて」でハングル表記に問題があり、公務執行妨害罪について定めた刑法136条には「行為を強要あるいは阻止」の「阻止」にハングル表記の誤りがある。漁業資源保護法3条は、漁業許可規定に違反した際の罰金を「50万ファン」と記している。「ファン」は1962年の通貨改革時まで使われていた貨幣単位で、現在は使用されていない。

 法律の誤字脱字は単なる「ハプニング」で終わらないこともある。ソウル中央地裁のキム・ムンソン広報判事は「誰が見ても明らかな誤字脱字ならともかく、単に誤って記載された法律には効力がある」と語る。実際に、担当する公務員のミスで誤って記載された法律により、裁判で敗れたケースも存在する。国家有効者礼遇に関する法律では、公務の際に負傷した兵士の診療費は国が負担するよう定められているが、公務員のミスにより官報には「地方自治体が負担する」と記されている。この官報に従って後に法典が発行され、裁判でこの過ちがそのまま適用された。被害者は2005年に法律を誤って記載した国家を相手取り、損害賠償を請求して勝訴した。

 法制処(内閣法制局に相当)のホームページには、法律の誤字脱字や内容の漏れについて数百件の届け出が寄せられる。しかし市民が指摘しても、法制処は「官報と一致する場合は内容に問題があっても修正できない」と説明する。法制処の関係者は「官報に誤字脱字がある場合、問題が発見されてもそれ自体が法律になるため、改正の手続きなしに修正はできない」と語った。

キム・チュンリョン記者
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