2012.7.15 16:19

世界遺産「那智の滝」登った容疑で逮捕

 和歌山県警新宮署は15日、世界遺産の「那智の滝」でロッククライミングをしたとして、軽犯罪法違反(禁止区域への立ち入り)の疑いで、アルパインクライマーとして世界的にも著名な佐藤裕介容疑者(32)=甲府市西高橋町=ら男3人を現行犯逮捕した。

 同じく世界遺産の熊野那智大社は、那智の滝をご神体として敷地への立ち入りを禁止。朝日芳英宮司(78)は「2700年の歴史上、こんなことは初めて。ご神体として祭られているところに入るなんて宗教を侮辱されたようなもので、宮司として絶対に許せない」と話している。

 佐藤容疑者は「立ち入り禁止は分かっていたが、日本一の滝に登りたかった」と供述している。

 ほかに逮捕されたのは、東京都国分寺市東元町の会社員大西良治容疑者(35)と愛知県春日井市上田楽町の団体職員宮城公博容疑者(28)。

 新宮署によると、3人は登山仲間。那智の滝の滝つぼ近くにある「立入禁止」の札がかかった柵を乗り越え、岩の隙間に入れる“カム”と呼ばれる道具を使いながら、滝の約3分の2の高さ約100メートルまで登った。岩などに傷はついていない。

 逮捕容疑は15日午前8時半ごろ、立ち入り禁止区域へ侵入し、那智の滝の岩を登った疑い。熊野那智大社の職員が発見し、朝日宮司が交番に通報した。

 佐藤容疑者は岩壁や氷壁を登り切ることを目標とするアルパインクライミングにおいて日本を代表するクライマー。2009年には、世界の最も優れたクライミングに贈られる「ピオレ・ドール(金のピッケル)」賞を他の登山家らとともに日本人で初めて受賞した。(共同)