
ここ数年、取引価格の高騰が続くウナギ。専門店ではメニューの値上げに踏み切る店が相次ぐ=香川県高松市内
「土用の丑(うし)の日」(27日)を前にウナギの価格が急騰している。養殖ウナギ用の稚魚が不漁でここ数年、高値が続き、市場での取引価格は5年間で3倍に跳ね上がっている。香川県内でも、うなぎ専門店が相次いでメニューの値上げに踏み切り、閉店する店も現れた。スーパーではアナゴのかば焼きなどの代替品が人気を呼んでいる。
高松市中央卸売市場などによると、国産ウナギの卸売価格は1キロ5千円台前半と昨年の1・7倍に急騰。市場関係者は「こんな価格は見たことがない」と舌を巻く。国産の代替として需要の高まる外国産も昨年の2倍の1キロ4千円台で取引されている。
うなぎ専門店では値上げの動きが相次ぐ。各店ともここ数年、毎年のように価格を引き上げているが、今年はもう一段の値上げに踏み切る店が多い。
「この値段では、なかなか食べてもらえない」。高松市多賀町の「うなぎ屋竹うち」の店主竹内英樹さんは嘆く。同店ではウナギが2段になっている「うな重」を3100円にまで値上げした。もともとは2千円を切っていたメニュー。今年はウナギを1段に減らし、2500円に抑えたうな重をメニューに加えた。
価格高騰はうなぎ屋の経営にも大きな打撃となっている。高松市内で2店舗を展開していた専門店は、長引く高値と来店客の減少で、昨年末に1店を畳んでいる。
スーパーの売り場にも変化が見える。マルナカでは国産ウナギのかば焼きの価格が1尾1780円と昨年の1・4倍に上昇。手に取る買い物客は少なく、代わりにアナゴやサンマのかば焼きが注目を集めている。店側も取扱量を増やしており、売り上げが昨年から倍増する商品もある。
土用の丑の日用の予約販売も出足が鈍い。コープかがわでは前年比3〜4割減で推移しており、担当者は「この水準のまま当日を迎えそう」と声を落とす。
スーパーで品定めをしていた高松市太田下町の主婦松下敦子さん(42)は「(ウナギは)最近は特に高いので買わないし、食べたいときは代わりにアナゴのかば焼きを買う。丑の日はアナゴで我慢するしかないと思う」と話していた。