兵庫県は、県営住宅の入居名義人が死亡や転居した場合、従来認めていた親子やきょうだい間の継承を廃止し、原則、夫婦や同居している婚約者、事実婚などに限定する厳格化の検討を始めた。県営住宅は応募倍率が高く、入居希望者と長期居住者の公平化を図るのが狙い。県の調査で、県内では少なくとも11市が市営住宅で同様の措置を取っていることが判明。県が厳格化に踏み切れば、他の市町にも広がりそうだ。(井関 徹)
公営住宅の継承資格をめぐっては、国土交通省が2005年、原則、夫婦などに限るとする指針を通知した。しかし、県営住宅には住宅困窮者のセーフティーネットという役割もあるため厳格化を疑問視する声があり、見直したのは26都府県にとどまる。
兵庫県は現在、公営住宅法や条例に基づき夫婦間のほか、1年以上同居するきょうだいや子どもらの継承を容認。10年度の継承件数は575件で、このうち約2割は夫婦以外が引き継いだ。離婚で名義人が転居するケースが増えているという。その一方で、入居希望者の応募倍率は近年、10倍前後で推移。10年度は1947戸の募集に対し2万2817人が申し込み、11・7倍に達した。景気の低迷などで入居希望が増えているとみられる。
県は本年度、有識者らの審議会に諮問。厳格化の是非や、通知でも認められている高齢者や障害者など住宅困窮者の特例の範囲を協議しており、年度内に方針を最終決定する。
県によると、県営住宅は6月1日現在、全41市町に5万3185戸あり、このうち4万6622戸が入居している。
6月に実施した県の調査によると、県内では尼崎、相生、豊岡、加古川、赤穂、西脇、三木、小野、養父、丹波、たつの‐の11市が厳格化を実施していた。未回答の市町も複数あった。
(2012/07/15 07:15)
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