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【社会】

校長「けんかと判断」 大津・中2自殺

2012年7月15日 00時59分

 昨年10月に大津市立皇子山(おうじやま)中2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した事件で、自殺する前に2回、別の生徒が「男子生徒がいじめられている」と担任に伝えたものの、学校が「けんか」と判断するなどして生かせていなかった。藤本一夫校長(59)が14日の会見で「その場できちんといじめを疑えば、被害は軽減できた可能性があった。自殺した生徒と保護者に申し訳ない」と謝罪した。

 藤本校長の会見は11日に中学校が滋賀県警の強制捜査を受けてから初めて。

 1回目の指摘は、昨年9月30日の放課後、女子生徒が担任に「いじめと違う?」と伝えていた。担任は、教室にいた男子生徒に「大丈夫か」と聞くと「大丈夫」と返答したため、いじめではないと判断した。

 2回目は、生徒が自殺する6日前の昨年10月5日午後3時半ごろ、女子生徒が教室にいた担任に「いじめです」と訴えた。担任が男子トイレに駆けつけると既に騒ぎは終わっており、男子生徒は1〜2発、いじめたとされる同級生は数発、相手を殴ったと説明した。

 自殺した男子生徒といじめたとされる同級生に個別に聞き取ったが、ともに「けんかです」と答えたため、いじめではないと判断。2人は互いに謝り、男子生徒は「友達でいたい」と話したという。

 その日、双方の保護者と生徒から聞き取りをした後、担任や学年主任、教育指導担当の教師ら5人ほどで、緊急の会議を開き、担任は冒頭で「けんかがあった」と説明。参加者からは「日ごろ、男子生徒がヘッドロックをされたり、後ろからのしかかられたりしており、受け身になる頻度が高い」と報告があった。だが「けんかはいじめにつながる可能性があるので、注意が必要」と申し合わせた程度にとどめた。

 翌週の11日に生徒に定期的にしている「全校迷惑調査」を控えており、調査結果を踏まえて対応を検討することにした。だが、男子生徒はこの日朝、自宅マンションから飛び降りて死亡した。

 「いじめられている」と伝えられた2回とも、女子生徒への聞き取りをしていなかった。藤本校長は「けんかはいじめにつながりやすいという認識は教員たちは持っていたが、言葉だけで形骸化していた」と話した。

 会見は報道陣の求めに応じて藤本校長が出席。校長の会見は延べ3時間半に及んだ。

◆「放置認めた」憤る父

 会見を受け、男子生徒の父親(47)は「いじめの可能性があったのに、放置していたと認めたということ。いいかげん過ぎる対応」と怒りをあらわにした。

 「夜回り先生」として知られる教育評論家の水谷修さんは「教師たちがいじめだと気づいていなかったはずがない。担任が会見に出て、きちんと説明し、謝罪するべきだ」と話した。

(中日新聞)

 

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