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この先の展開の選択肢が三つほどあり、どれにしようかしばらく迷い一週間ほど空きそうなのでその通知と次の話までのつなぎとして短いけど投稿しました。
ほんとはもっと切嗣陣営の現状を書きたかったけど、説明を加えるより夢だけで終わらせた方が見易いと思ったんですが書く必要性が見つかったら加筆するかもしれません。
12 幕間 切嗣の見る夢
  
   interlude in  


……記録を逆再生していた。
劣化が酷い。意味が見失われている。
しかしリモコンはない。思い通り操作することは出来ない。
 


男は救える命があるのなら、容赦をした事はない。
さまざま手段――そう言えるほどはコロシカタに種類はなかった。
ただ効率的だった。それを追求したのかはさておき、見慣れた現代の町で、都市で、国家で。

殺した。
ただの殺人鬼から。
殺し、殺シ、コろし、こロしコロシころし殺し尽くして。
――――望んだわけでもない英雄となる。
 
男に日常なんてない。
常に戦いの場に居た。
 
人の中にいることは無い。
普通なら武器の調達に人と会う必要があるが、そいつの魔術はどこであろうと武器を作り出せたので人とまともに話すのさえ半年がザラだった。
 
同じ事を繰り返すだけの生涯。
価値を見つけることが出来なかった。
正義を貫いて一度も笑顔を見たことは無い。

使う魔術は記憶を磨耗させていく。
救った命、奪った命を以ってしても色はそぎ落とされた。
もしかしたら記憶さえも余分なのかもしれない。
ただ立ち止まることなく、正義の味方であり続けられたら構わないのだろう。

苦痛は絶え間なく。
綺麗なものさえいつか判らなくなる。
そのいつかが訪れないと既に知っていても。
 

 歌を聞く。
 

 I am the bone of my sword. 
   Steel is my body, and fire is my blood.


 ひたすらに自分を硬い鉄で覆ったのだと知る。


 I have created over a thousand blades.
      Unknown to Death,
             Nor known to Life.


 笑顔を最後に見たのは、はたしてどれほど昔か。


 Have withstood pain to create many weapons.


 故に思う。


 Yet, those hands will never hold anything.


 自分とよく似ているが違う、と。


 ――――So as I pray, unlimited blade works.

 
 こんな絶望の中を自分はずっと歩けなかった。



やがて男の外見に変化が生じた。
赤い外套が消え、浅黒い肌は東洋人の黄色い肌に。白い髪は錆びた赤銅のような色に。
故郷を捨て、家族と呼べた人間を捨て、戦争に出たのは二十を過ぎる前だった。

「――――――」

じきに眠りから醒めると気づいた。
正体不明のサーヴァントの正体を探るのはここまでというコト。
もう普通に眠り、過去を覗く必要はない。
全てが揃った。この英霊を信用してもいいだろう。

 そう考えていた時。ふと、ある記録に行き着いた。

こちらに背を向ける少女の前に一人の男がいた。
その表情を瞬きすら忘れ、この記憶の主はただ見ている。
男は偽物の笑顔を浮かべている。戦場で身につけた勘がそういうものだと判断した。

心の底から湧き出した笑みではなかった。
愉悦から生じたものではなく、また利益(やさしさ)から生じたものでもない。
 
無理をして作った笑顔。相手を思い遣って作った笑顔。
その顔を浮かべているのは責任、資格、捨て去った物―――その全てを投げ出した男。
 
 ”………どうして……”
 
そんな事が出来るのか、と夢の中の英霊は呟いた。
 
答えは得られない。
答えをくれたかもしれない男はその後すぐに消えた。
答えを理解していたかもしれない少女に少年は聞けなかった。

そして悟った。
剣には成れないと。
剣には斬り捨てるモノと守るモノが必要なのだから、
片方しかない自分の手はけっして届かない……。

 

そしてブツンと途切れた。
まだ先はあるようだが気にはならない。
そうして英霊の正体に切嗣は見切りをつけた。






「―――随分と殺し方の巧いやつだ」
 
日差しを浴びている。
たばこを取り出しながら切嗣はアーチャーへの感想を口にした。
武器から使った人間の経験を借りるのだから。ソレも当然かと益体もない思考をする。

「皮肉だな。英雄様の業が栄光も誇りさえもアイツにはもたらさないなんて……」

正義では世界は救えない。
アーチャーは自分よりも人を殺していた。
衛宮切嗣だからこそ、多くを救うべく、犠牲を認める行いだと気づけた。
英雄として崇められ、その果てでさえも世界を救えなかった男がいた。

「……ああ、だから聖杯は僕が使う」

衛宮切嗣は救った命の対価としてこの世全ての悪を背負う覚悟を強くする。
そう、悪辣な手段を用いようが零れ落ちる命は常に存在する。
切嗣とアーチャーの為してきた事は、命を守るのに効率が良かったというだけだ。

「この手が救いきれないのなら、救えるモノに託そう。それまでは――――」

理想を口にはしない。してはいけない。
その資格を得るまでは、娘を抱きしめてやれるまで。
真に聖杯が願望機たりえるならばと。辿り着いた結果のみを求め望み続ける。


魔術師殺しは人間(ヒト)の心を捨てれずとも。
機械だと自分を誤魔化すのは得意だった――――



  interlude out





アニメで鶴翼三連して腕が逝ったのは強化のし過ぎのせいなんだと最近気づいた。
オーバーエッジだけじゃ(神秘ではなく)威力がAランクに届かないのかなーと思いました。って、日記かよ。


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