どちらの展開にしようか迷ってたら、一つの話に纏めきれなかった。
そして、この話を書き終えた後も決まってません。
次の話こそ、更新が遅くなるかな。
拙い戦闘回です。お目を汚す事がなければいいのですが……
06 夜の開展
interlude in
ビルの屋上から屋上へ。
跳躍を繰り返す槍兵の姿は一般の人間の目には捉えられず、機械のの目にさえあるいは。
それだけの速度がサーヴァントには許されていた。
月が雲に隠れた刹那。
闇が黒く、あらゆるものを隠す。
「は――――」
はるか遠方より飛来する凶器。
ランサーは最低限の力でそれを逸らし、ごく僅かな時間のロスのみで射手に向かって駆ける。
ヒュッ――
ヒュッ――――
音速を超えて迫る無数の刃。
これには最速を謳うランサーのクラスのみにしか許されぬ程の疾走で避ける。
シュンッ
「はあーー!」
魔力を大量に詰め込んだ大砲。
速度も威力も段違いのそれを弾き飛ばす――――!
「……見事だ、アーチャー……!」
いまだその姿を捉える事ができない。
最高速で迫っているにもかかわらず。無論、放たれる矢に妨害を受けている為でもあるが、それでも。
七騎のサーヴァント。その中でも三騎士と呼ばれるセイバー、ランサー、アーチャー。
同じ騎士でありながらも土俵が違うその戦いに期待などしていなかったランサーは、しかし。
「貴様の首級、必ず――――!!」
己が命の危険が迫るその攻防に喜悦を顔に表していた。
人間の範疇を大きく逸脱している身体能力をもつサーヴァント。
その超人の一km以上先さえ捉える視力が二km駆けた今も弓持つ英霊を捉える事が出来ないでいた。
そして、彗星のごとき矢の雨。
A+の敏捷を持つランサーを捉える行動予測は同じ、心眼(真)を持つが故だろう。
いまだ敵の宝具も自分の宝具も開放されてはいないが。まさしくこの矢は英雄と呼ばれる者にしかできぬ、極限の業。
血が滾る。
戦士としての血。
戦いに生き、本能でそれを愉しむ者の血が……!
ここで何故ランサーが実体化し、アーチャーに向かっているのか説明する必要があるだろう。
彼は主にアーチャーを討つと誓った。
アーチャーの保有する単独行動のスキル。マスターを失っても現界をある程度続ける事のできる能力。
ケイネスがマスターを仮に倒したとしても、アーチャーは残った時間でケイネスに報復か、別のマスターと再契約するという選択肢が残されている。
どちらにしてもそれは厄介だ。出来るのなら、主従ともども倒す事こそが最善。
だが、遠距離戦を得意とするアーチャー相手に近距離戦を得意とするランサーではまともに戦う事さえできない。
それは一方的な勝利というわけではないが、どちらにせよランサーに華やかな闘争はできない。
絶望的とまではいかないが確かな距離。ランサーはただ走ることにのみ戦いが待っている。
霊体化をすれば煩わしいとさえいえる矢をわざわざ避けたり、弾き飛ばす事もしないで済むだろう。
もっとも、霊体になれば無敵というわけではない。
実体との干渉力が落ち、目に見えなくなるなどのメリットはあるが、サーヴァント同士となればそんなものは基本ないに等しい。霊体化の隙に討たれてしまっては元もこうもない。
ならば最初から霊体化をすればその危険もなかった。
だが、それでは今度はアーチャーの位置が掴めなくなる。姿は見えずとも、矢の飛んでくる方向に向かえば必ずそこにアーチャーはいるのだ。
そう、ランサーは自分を餌にアーチャーを釣り上げる。
ランサーだけでなく、アーチャーも敵の首級が欲しい筈なのだから。
「づ―――、っは!!」
放たれる矢と矢の間隔が狭い。
だが、それだけ近づいたという証拠。
なのに、アーチャーの宝具が来ないというのがランサーには不思議だった。
もしや英雄に相応しくない臆病者で、勝てる見込みが薄いと悟りマスターの勝敗に全てを委ねたのか。
時間稼ぎとするのなら、とその速度を上げるランサー。
そして、見た。
矢があるその場所に弓兵が居ないことを。
おかしな光景だった。
宙に浮かぶ凶器が投げるモノも、飛ばすモノもいないのにランサーに向かっていくのだから。
”―――――これこそがアーチャーの宝具の能力なのか”
ただの普通の人間が見れば驚愕どころではないその光景を、ランサーは冷静に落胆を感じながら、分析する。
英霊であればそれは不思議ではない。魔術で再現できないことでもない。
ならば、このアーチャーの正体とはいったい……
アサシンを討ったサーヴァントも同じ事をしていた。
それが数多の宝具であるか、ただの矢であるかの違い。
サーヴァントのクラスを偽る事が目的なのだろうか。
ならば長期戦を狙っている可能性も高い。ここで決着をつけず、敵陣営の情報を集めようとしている。
宝具を使わないのもそのため。わざわざ情報収集なんかで真名を悟られたくなどないだろう。
そしてついに矢が放たれるその場所に着いた。
これが宝具ならば魔力の流れを断つ赤の槍でその力を止められるかもしれない。
槍を振りかぶるランサー。
――――と。
白と黒の中華剣がその首を落とさんと高速で迫る。
「――――っふ!」
それを弾き飛ばすランサー。
そして生じたその隙を突いて接近する赤い外套の男。
その手には先ほど弾き飛ばされた物と同じ双剣。
「―――――」
アーチャーの初撃は重心をぎりぎりまで悟られずズラしたランサーの体捌きで避けられる。一歩間違えれば致命傷になった筈だ。そして四つの武器が重なり、弾け合い、互いの命を奪わんと奔る。
当然不意を突かれたランサーが不利、そして既に槍の間合いではなくアーチャーの持つ剣の間合いとなっている。
だが、すぐに互角となり、そして僅かに天秤がランサーに傾き始める。
「弓兵が剣士の真似事か。構わないがこの俺を舐めてくれるなよ――――!」
そう、いかに不意を突こうともこのランサーには通じない。
ディルムッド・オディナは多くの戦いを経験してきた。一対多で戦った事もある彼は死角からの攻撃だろうと対応できないはずがない。
だが、勝者は決まらない。
ランサーの変幻自在の槍術。二本の槍を自由自在に操るランサーの敵を幾人も殺してきた業がアーチャーの命を獲ることが出来ない。
「―――ハ、どうしたランサー。その程度では、槍兵の名が泣くぞ?」
胴を狙った赤槍の払いは黒の短剣に弾かれる。
赤槍よりも短い黄槍の心臓に向けた突きはもう一方の白の短剣に流される。
「貴様、本当に弓兵か? これほどまでに俺の槍を防ぐとは。
だが、剣士ではない。才能がないにも関わらずこれだけ技術を高めるとはな。
……素直に賞賛したいところだが、―――ぬ!」
何十合と切り結んだ末にランサー―――ではなく、アーチャーの双剣がその手から離れた。ランサーの槍に砕かれたのだ。武器を失った相手を倒す事もその原因となった者によるならば躊躇いはない。
だが、一秒に満たぬ時間さえ経たずに、またもその手に双剣は握られていた――――!
「はぁッ!」
今度こそ本当に隙を晒したランサーに裂帛の気合を以ってアーチャーの一撃が迫る。僅かにランサーの体勢が崩れた。
その間隙。いつの間にか白と黒の中華刃はランサーの二槍のように翼のごとき長剣へと形を変えていた……!
「だあぁあああ!!」
だが、届かなかった。
「づっ―――」
アーチャーから苦悶の声が上がる。
元より敵のあらゆる攻撃を捌き、晒された隙を確実に突く事しか彼には白兵戦の武器となるものは無かった。
自力で劣り、さらに魔槍の真価が開帳されれば瞬く間に傾いた天秤は取り返しがつかなくなる。
故に最強の自分を維持しつづける。ランサーに宝具の真名を開放させる隙を与える事は許されない。
何百合と続く攻防。ランサーの攻めがアーチャーを掠ることはあるがその逆は無い。されど勝負が着かなければその過程に一欠けらの価値もない。
ランサーにはそれが白兵戦で劣るという事実を利用し、わざと隙を作り、罠と知らず踏み込んだ獲物を狩る戦術だと看破する。
だが其処以外の箇所の守りは堅く、空けられた心臓や首を獲る好機は時間が経つにつれてより大胆に彼を惑わす。
ダンッ!!
「――――っ!」
今、彼らがいるのはさびれたビルの屋上だ。
そのコンクリートを強く踏み抜きランサーは強引に後退した。仕切りなおすためだ。だが現代出身ではない槍兵は人工の大地の強度を見誤った。
予想より距離の短い跳躍はあやうく体を輪切りにしかける。
そして必滅の黄薔薇を落とし、
「なに――――」
「刺ッ―――!」
残った破魔の紅薔薇を両手で持った。二槍に慣れたアーチャーに対しては効果は高いだろう。
槍術の最速である突きを繰り出す。
だが依然、急所を捉えることが出来ない。アーチャーは無様に地面を転がってでも避ける。戦闘の余波で出来た小石一つとっても利用価値があるのではないかという程まで周りの環境を利用しつくす。
そう、両者は共に心眼を備えている。いつか決着がつこうともそれはまだ、先の話である。
槍兵がステータス面および技巧で勝ろうともこの戦いの場は弓兵の用意した舞台だ。何ががあるか分かったものではない。そしてなにより、窮地において、その場に残された活路を見出す戦術理論を持つ彼らは誰よりも生き汚いのだから………!
「む―――――?」
「――――なに?」
同時に上がる声。
轟音を鳴り響かせながら。そして轟音はソレが纏う雷によって起きながら。槍兵と弓兵の戦場へと戦車が空を翔けてきた。
戦いの最中に疑問の声を上げても無理はない、……と言いたいところだが、生憎と幾度もの戦場を駆け抜けてきた彼らにそんな愚行はありえない。
だが、口から漏れた。
……奇妙なのだ。今この瞬間を攻めてくるサーヴァントがいるなんてコトは。
「双方、武器を収めよ。王の御前である!」
サーヴァントの脱落を狙うなら、ランサーかアーチャーのどちらかが敗北し、どちらかが勝者となった後で来ればよかった。即ち漁夫の利を狙う。それを嫌ったのなら元よりこの場に来なければいい。
……思慮の足りないマスターが令呪を使ったか?
「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した」
ランサーとアーチャーの視線が交差する。
今は刃を収め、この意味のわからない男の話を聞くべきだと。
―――第四次聖杯戦争が始まった夜。運命は収束する。
もし、fateではなくUBWだったらで話を思いついたから、作者の気分転換に書いてみようかな。外伝みたいなかんじでやればいいか、それとも短編で投稿するか。でもあっちへふらふら、こっちへふらふら寄り道してたらもっとモチベ下がるかもしれんし、どうしよう。
批判、感想お待ちしております。
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