Side ゼロ
アザゼル襲来(笑)から二日後。
放課後の部室にイッセーとアーシアを連れて顔を出すと。
「一週間と少し振りだな、ゼロ」
「私もゼロに会いたかったよ~」
緑のメッシュを入れた女子と栗毛のツインテールの女子―――ゼノヴィアとイリナが駒王学園の制服を身にまとい、堂々と部室にいた。
「帰ってなかったのかお前ら?」
俺がそう言うと、イッセーとアーシアもうんうんと頷く。
バッ!×2
そのとき、ゼノヴィアとイリナの背中から黒い翼が生える。
「神がいないと知ったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。リアス・グレモリーから『騎士』の駒をいただいたんだ。デュランダルがすごいだけで私はそこまですごくなかったようだから、一つの消費で住んだみたいだぞ。で、この学園にも編入させてもらった。今日から高校二年の同級生でオカルト研究部所属だそうだ」
ゼノヴィアが口を開けてポカーンと間抜けな顔をしているイッセーに説明するようにしゃべる。
「私は『戦車』の駒をもらったの。私も今日から高校二年のオカルト研究部所属ね!」
ブイッ、とチョキ(笑)を突き出して得意がるイリナ。
「「それにここならゼロがいるし」」
「やっぱりそれかよ!部長、こんなのに貴重な駒をいいんですか?」
イッセーがリアスの方を向きながら声を荒げる。
「「こんなの・・・・・・(怒)」」
「まあ、デュランダル使いが眷族にいるのは頼もしいわ。イリナも戦闘経験が豊富だもの。これで『騎士』と『戦車』もそろい、眷属の穴も全て埋まったわね」
リアスは楽しげに言う。
あ、ゼノヴィアとイリナがイッセーを怒り始めた。あんなのにこんなのって言われたのが余程腹が立ったのか?
「ゴメンなさい。自分も人のことを言えませんでした・・・・・・」
「「よろしい」」
イッセー、正座させられてるよ。
「あのあと、今日まで何をしていたんだ?」
「バルパーの遺体とエクスカリバーを持って本部に一度帰っていたの。エクスカリバーは壊しちゃったけど、芯になっていた『かけら』は回収できたから奪還の任務は成功したの」
「エクスカリバーを返していいのか?てか、教会裏切っていいのかよ?」
イッセーが手を上げながら聞いた。
「いちおうあれは返しておかないと不味い。デュランダルと違い、使い手は他に見繕えるからね。イリナはともかく私にはデュランダルがあれば事足りる。あちらへ神の不在を知ったことに関して述べたら、何も言わなくなったよ」
「私たちは神の不在を知ったことで異分子になったの。協会は異端を酷く嫌うから。たとえデュランダル使いでも切り捨てちゃうってこと」
教会は異端者を嫌うからな。
「教会は今回のことで悪魔側―――つまり魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが不透明で不誠実なため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい』―――と。それとバルパーの件についても過去逃したことに関して自分たちにも非があると謝罪してきたわ」
破壊された校舎は魔王関係者が修復して行った。
コカビエルは『地獄の最下層』で永久冷凍の刑だそうだ。五体不満足な上一生シャバの空気を味わえないのは可哀相だがまあいいだろう。
近いうちに原作同様三大勢力の代表による会談があるそうだ。
二日前のことがあるからかアザゼルに対しては大した話は出ない。
イッセーは白龍皇のことが気になるようだ。
ゼノヴィアの視線がアーシアに止まる。
「アーシア・アルジェントに謝ろう。主がいないのならば、救いも愛もなかったわけだからね。すまなかった」
「私からも謝るわ。酷いこと言ってゴメンなさい」
ゼノヴィアとイリナが頭を下げる。
「ゼノヴィアさん、イリナさん。私はいまの生活に満足しています。悪魔ですけど、大切な人―――大切な方々に出会えたのですから。私はこの出会いと、いまの環境だけで本当に幸せなんです」
聖母のような微笑でアーシアは彼女らを許した。
将来の義妹はよく出来ていることだ。これはイッセーの未来は安心だな。
「では、私たちは失礼する。この学園に転校するにいたって、まだまだ知らねばならないことが多すぎるからね」
「住む場所はゼロのお家になってるからよろしくね♪」
部室をあとにしようとする二人。
「あ、あの!」
アーシアが二人を呼び止めた。
「今度の休日、皆で遊びに行くんです。ゼノヴィアさんとイリナさんもご一緒にいかがですか?」
屈託のない笑顔で言うアーシア。
「今度機会があればね。今回は興が乗らないかな」
「まだちょっとやることが残ってるしね」
「代わりといってはなんだが、今度、私たちに学校を案内してくれるかい?」
笑顔で言う二人。
「はい!」
アーシアも笑顔で答えた。
早速仲良くなれたらしい。いいことだ。
カラオケの一室。
俺はこの世界のボカロ的ななにか作った歌を歌う。この世界には基本的に前の世界と同じ漫画アニメはないからな。お気に入りは全部自分で作らなければならなかった。
だから、この世界にないアニソンは名作曲家『星野龍司』の曲として認識されている。一言いいたい、誰が名作曲家だ!
イッセーはドラグ・ソボールの曲を、ロスヴァイセは・・・・・・何故かロシア語の曲を歌っている。
祐斗は優雅にコーヒーを飲み、小猫はカラオケそっちのけでもりもりピザやらパフェやらを食べている。アーシアは一度も歌っていないが楽しそうだ。
黒歌、朱乃、リアスたちはショッピングを楽しんでいるらしい。・・・・・・悪寒がしたのは気のせいではないだろう。
その後、イッセーと祐斗の熱いデュエットが桐生の写メールによって学園中に流れ、ホモ説が更に強くなった。
二人とも・・・・・・強く生きろ。
Side ???
「大したことは出来なかったけど、収穫はあったな。エクスカリバーのデータは取れたし、なによりデュランダルが見れた」
「デュランダル、懐かしい響きね」
「ああ」
「向こうも剣は残っているけど、皆はもう残っていないのよね」
「だろうな・・・・・・」
「こっちに飛ばされてからどれくらいだっけ?」
「二百年くらいだ・・・・・・」
「はぁ。もし帰れても武偵には戻れないわね」
「知り合いだって誰もいないさ」
「本当に帰れるのかな?」
「行きは出来たのに、帰りは無理、そう言いたいのか?」
「・・・・・・」
「俺は帰りたい。もうほとんどの人たちが俺たちの事は知らないだろうけど、あっちの世界が俺の故郷だ。どんなことがあっても、こっちの世界じゃない」
「・・・・・・」
「俺はいつか必ずお前と一緒にあの場所に戻る、必ずアリアと共に」
「・・・・・・大好きよ、キンジ」
「・・・・・・俺もだ、絶対にもう失うもんか」
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