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月光校庭のエクスカリバー
New Life.3‐1

 Side ゼロ


 「ゼノヴィアとイリナの奴どこ行った?」

 コカビエル襲来から一週間たった。
 いまだゼノヴィアは転校してきていない。そう言えば原作でも数日たってからだったな。
 今日は日曜、前々から考えていたことでも実行するか。

 「ロスヴァイセ、いるか?」

 「どうしました?」

 部屋をノックして声を掛けるとすぐに返事が返ってきた。

 「買い物に出かけるから付いて来い」

 「へ?」

























 俺とロスヴァイセは二人で洋服店に来ていた。

 「やっぱり白いほうがロスヴァイセには似合うな、こっちはどうだ?」

 「お客様、こちらのワンピースなどはいかがでしょう?」

 「こっちなんかどうかしら?清純さが映えていいと思わない?」

 俺と女性店員と見知らぬ女性客の三人でロスヴァイセを着せ替え人形状態にしている。
 特に女性店員と女性客の目がキラキラとしてどこかに逝っている。

 「あ、あの・・・・・・」

 「どうした?」

 「これって高いんじゃ?」

 「金なら使いきれないほどある」

 俺が株と印税と宝くじで稼いでいるからな。悪魔稼業も結構儲かるし、人間の人生では使い切れないんじゃないか?と言えるほど稼いでいる。

 「だ、だからと言ってあまり使いすぎるのは・・・・・・」

 「そんなことを言って百均ばかりに通っているといつか『百均ヴァルキリー』とか言われるぞ?」

 「それにあなたみたいな逸材をそんな風に腐らせるのは勿体ないですよ!」

 俺の言葉に続いて女性店員が興奮気味に言った。

 「彼氏がいいって言っているんだから遠慮しちゃダメよ?」

 「かっ、かれ・・・・・・!」プシュー

 そんなこと今更だろうが。そっちから告白してきたくせに、初心だな・・・・・・。

 「次はこれなんてどうかしら」

 く、黒ゴスだと?なぜコスプレ風な服が・・・・・・?よく見たらエ○ァのプラグスーツやメタ○ギアのステルス迷彩だったかまである。
















 何故かロスヴァイセが気に入った黒ゴスを合わせて計五着の洋服を買って(俺の金で)、近くの喫茶店で軽食を取っているところだ。
 周りからの熱い視線の中、嫉妬の視線を四つ感じたのは気のせいではないだろう。イッセーとアーシア、祐斗も見掛けたしな。

 「こう言うところにくるのは初めてです」

 「急にどうした?」

 「えっと、私結構友達が少なかったんですよ」

 いないじゃなくてか?表情から見栄だとわかるぞ?
 それにしても、あの覆面被った猫耳二人組みは何とかならないかな、通行人に指差されているぞ?

 「今度は黒歌や朱乃を誘って女だけで行ってみるのもいいんじゃないか?同姓との交流も必要だぞ?まあ、どうしてもと言うんなら俺が二人きりで行ってやってもいいが」

 「そ、それじゃあ、また一緒に、買い物・・・・・・」

 赤くなって指先を弄りだすロスヴァイセ。
 バキッ×2。
 ・・・・・・電柱にヒビを入れるなよ、紅髪ポニーテールさんと黒髪サイドテールさん。
 普段着の祐斗がゴメンねと言わんばかりに手で謝っていた。変装と尾行が下手だと教えてやってくれ・・・・・・。











 「水族館も初めて来ました」

 「初めてだらけだな」

 あのあと近くにあった小規模の水族館に来ている。不審者一同も遥か後ろに付いてきている。

 「カクレクマノミって初めて見ました」

 「初めて以外に何かないのかな?」

 「はい、今のところは」

 そう言えば、七巻でもこの水族館に来るんだったよな。



















 一通り見て回り、館内の休憩所で暇を潰している時のことだった。尾行組みも見ている中、奴は現れた。

 「おおっと!デートかい?また綺麗な娘を捕まえてんじゃねぇか」

 「・・・・・・」

 正直、開いた口がふさがらなかった。後ろから声を掛けられ、振り向いてみればアイツがいたんだからな。
 イッセーがあれ?あの人は。と言う顔をしている。原作では確か契約常連者(・・・・・)だったはずだ。

 「ご一緒してもいいかな、ヴァルキリーのお嬢さん」

 「え!?は、はい」

 「おいコラ。なんでこんなところに一人出来てるんだよ」

 「一人じゃねぇZE☆」

 ムカつく。

 「じゃあ一体誰と来たんだよ、アザゼル」

 「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」」」」

 尾行組み!お前らが叫んでどうするんだよ!つうか滅茶苦茶迷惑だろうが!
























 「なんで堕天使の総督がこんなところにいるのかしら?」

 敵意剥き出しで口を開くリアス。尾行はやめたらしい。

 「そんなもの決まっているだろう?」

 「決まっていたんですか?」

 アザゼルの言葉に聞き返す堕天使の少女。こいつが連れのようだ。

 「義娘が前々から水族館に来たがっていたからだ!」

 「ちょっ!なんで知って!」

 義娘なんていたんだ・・・・・・。なんか拍子抜け出し。
 アザゼルと俺の間に座る堕天使の少女、薄い金色のポニーテールをしていて、赤い瞳が印象的な美少女だ。小猫並みに背が低いが、まさかのリアスを超えた爆乳・・・・・・。
 そのせいなのか、小猫が一番敵意剥き出しだね。

 「お前に娘がいただなんて初耳なんだが」

 「そりゃあ隠していたからな。劇的な再会を演出したかったんだよ」

 「「「「「「「「「再会?」」」」」」」」」

 え?どういうこと?
 俺は堕天使の少女の顔をジーッと見詰めた。どこかで会ったかな?
 見覚えは・・・・・・あったよ。

 「ま、まさか、一年ほど前の、はぐれ悪魔に襲われていた?」

 「はい!」

 パアアッ、と言う表現がまさに似合う笑顔で返事が返ってきた。
 あの時ゼノヴィアと共に助けた少女がまさかアザゼルの義娘だったとは、思いもよらなかった。
 ん?アザゼルからアイコンタクトが来た。

 『欲しいか?既にお前にゾッコンだぞ?』

 だ、そうです・・・・・・。
 聞くに、堕天使の割りに光力が弱く、戦いの才能もないそうだ。アザゼル曰く、頭脳系の才児らしい。
 ここでまさかのオリキャラ!?って言いたい気分だよ!

 「サーシャです。これからよろしくお願いします」

 堕天使の少女、サーシャは俺に(・・)向かって挨拶してきた。イッセーとアーシアと祐斗を除いた五人の視線が険しくなる。
 それにしても、堕天使にしては普通の名前だな。

 「サーシャは堕天使と人間のハーフなんだよ」

 朱乃とは事情が異なるが、と小声で俺にだけ聞こえるように付け足したアザゼル。拾って義娘にしたってことは、親に捨てられでもしたんだろう。
 最終的に、アザゼルは俺に面倒を見て欲しい、と押し付けてきた。義理とはいえ娘の恋を応援したいんだろうか?皆を納得させる言い訳を考えて欲しいものだ。
 まあ今回のことで比較的早く堕天使陣営のことが全員に伝わった。結果的にはいい方に進んだかもしれないな。








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