Side ロスヴァイセ
あら?もしかしてゼロさんとイッセーさん以外の通常視点ってはじめてじゃありませんか?一回だけ自動人形視点があったようですけど。
・・・・・・私ったら何を言ってるんでしょうね。
『どうした?コカビエルが動いたか?』
「はい!なんだかエクスカリバーを使って戦争を起こそうとしているみたいで!」
私は家の固定電話でゼロさんに電話をしている。
『聖剣で戦争?ミカエル相手にか?』
「魔王さんにも喧嘩を売っているみたいです」
『まあリアスにちょっかいを出せばサーゼクスが動くとでも思っているのだろう。魔王眷属の一人でも出てきたらコカビエルはそれだけで終わりだぞ?』
相変わらず状況分析が早いです。
『コカビエルのところには誰が向かっている?』
「リアスさん、イッセーさん、黒歌さん、朱乃さん、小猫さんです。たぶん祐斗さんと聖剣使いの二人もいると思います」
『それだけか。シトリー眷属は戦術主義だからコカビエル相手には戦力外と見ていいか・・・・・・』
シトリー眷属って確か生徒会ですよね?
『ロスヴァイセ、お前もすぐに向かえ。聞いた限りの戦力ではコカビエルには敵わない』
「黒歌さんじゃ敵わないんですか?」
『あいつは最近研鑽を怠っていたからな、いつも獣化して俺の傍にいたツケだ。力を使うことは好きなくせに最近何もしていなかったから感を取り戻すのにも手間がかかるだろう。平和ボケと言うやつだ。いまお前が行けば勝つことを前提にしなくてもなくても時間稼ぎは余裕だろう』
「ゼロさんはどうするんですか?」
『俺も弓の調整が出来次第行く。まあ俺にとっては新兵器のテストみたいな物だ』
うぅぅぅ。ゼロさんはあんまりあせってないみたいです。と言うか楽観的です。
確かに私もそれなりの実力があるとは自負していますが、神話、今回の場合は聖書に名を残すほどの実力者に勝てると思うほど自惚れていません。
黒歌さんがいるとはいえ大丈夫でしょうか?黒歌さん私よりも強いみたいですから。
「ハッハッハッハッハッ!黒猫の!中々やるではないか!」
「ちょっ!?私は後衛なの!突っ込んで来ないでぇぇぇぇ!」
「天雷よ!鳴り響け!」
「逃がさないよ」
「そこ!」
「いまよ!」
私が駆けつけた学園の校庭で激しい戦闘が繰り広げられています。
祐斗さんとゼノヴィアさん、イリナさんも駆けつけていて、数頭のケルベロスを葬っていました。
よく見たら黒歌さんが一人でコカビエルの相手をしているじゃありませんか!加勢しないと!
「加勢に来ました!」
「ロスヴァイセ!いいところに!」
私は北欧式魔術を打ちながらコカビエルと相対する。
「来ないかと思ったぞ?北欧のヴァルキリー」
コカビエルが光の槍を構えながら私に話しかけてきた。
「不利そうだなコカビエル」
ふとコカビエルの後ろを見れば、死神のような黒装束を着た日本人の男がいた。
「確かに二人がかりで来られたら不味いな」
「なら、そろそろ俺も参戦しよう」
あの~、誰ですか?
「二度目になってしまうが、特別にもう一度自己紹介しよう。俺の名は遠山金次、遠山の金さんこと遠山金四郎の子孫だ」
えっと、もしかしてあのテレビに出てた桜吹雪さんのこと?
Side イッセー
「エクスカリバーが一本になった光で、下の術式も完成した。あと二十分もしないうちにこの町は崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかない」
衝撃的なことをバルパーが口にした。
ロスヴァイセさんが駆けつけてくれたけど遠山の金さんの子孫を名乗る男のせいで事態は好転しない。
なんとかケルベロスは一掃出来たけれど相当な実力者が二人もいる!
ゼロ兄・・・・・・早く来てくれないと町がヤヴァいんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
「フリード!」
「はいな、ボス」
「陣のエクスカリバーを使え。最後の余興だ。三本の力を得たエクスカリバーで戦って見せろ」
「ヘイヘイ。まーったく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスなカリバーちゃんを使えるなんて光栄の極み、みたいな?ウヘヘ!ちょっくら、悪魔でもチョッパーしますかね!」
イカレた笑みを見せながら、フリードが校庭のエクスカリバーを握った。
「リアス・グレモリーの『騎士』、共同戦線が生きているのならば、あのエクスカリバーを共に破壊しようじゃないか」
「いいのかい?」
木場の問いに答えたのはイリナだった。
「最悪私たちはあのエクスカリバーの核になっている『かけら』を回収できれば問題ないわ。フリードが使っている以上、あれは聖剣であって、聖剣ではないもの。使う者によって、場合も変わるわ。あれは異形の剣よ」
「くくく・・・・・・」
三人のやり取りを笑うものがいた。バルパーだ。
「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや、正確にはあなたに殺された身だ。悪魔に転生した事で生き永らえている」
「ほう、あの計画の生き残りか。これは数奇なものだ。こんな極東の国で会うことになろうとは。縁を感じるな。ふふふ」
木場たちとバルパーが人工の聖剣使いについて話している。
正直、俺には理解できない難しい話がいたるところに含まれている。
「―――同志たちを殺して、聖剣適性の因子を抜いたのか?」
「そうだ。この球体はそのときのものだぞ? 三つほどフリードたちに使ったがね。これは最後の一つだ」
「ヒャハハハハハ!俺以外の奴らは途中で因子に身体が付いていけなくて、死んじまったけどな!うーん、そう考えると俺様かなりスペシャル?」
ちっ、フリードのほうが死ねばよかったのに。
「この因子の結晶は貴様にくれてやる。環境が整えばいくらでも量産できるからな」
バルパーは興味をなくしたかのように手に持っていた因子の結晶を放り投げた。ころころと転がり、木場の足元に行き着く。
「皆・・・・・・」
木場は静かに屈み込んで、それを手に取った。
悲しそうに、愛しそうに、懐かしそうに、その結晶を撫でている。木場のほうには涙が伝っている。
そのとき、木場の持つ結晶が淡い光を発し始める。
光は徐々に広がっていき、校庭を包み込むまで拡大していった。
校庭の各所から光がポツポツと浮いてきて、形を成していく。形成された形は、人の形だ。
木場を囲むように現れたのは、青白く淡い光を放つ少年少女たちだった。
「この戦場に漂う様々な力が因子の球体から魂を解き放ったのですね」
「綺麗・・・・・・」
朱乃さんが説明してくれた。この光は俺も誰かの呟きに同意できる。
「皆!僕は・・・・・・僕は!」
あれが誰なのか、俺でもわかる。聖剣計画に身を投じられた者たち。処分された者たちだ。
「ずっと・・・・・・ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていていいの勝って・・・・・・。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていていいのかって・・・・・・」
霊魂の少年の一人が微笑みながら、木場に何かを訴える。
口をパクパクさせているが、俺には何をしゃべっているのかわからない。
それが伝わったのか、木場の双眸から涙が溢れ続ける。
魂の少年少女たちが口をパクパクとリズミカルに同調させていた。
歌を、歌っているのか?
「―――聖歌」
アーシアがそう呟いた。
彼らは聖歌を歌っている。木場も涙を流しながら、聖歌を口ずさみだした。
―――ッ!
彼らの魂が青白い輝きを放ちだした。その光が木場を中心に眩しくなっていく。
『僕らは、一人だけではダメだった―――』
『私たちは聖剣を扱える因子が足りなかった―――』
『皆が集まれば、きっと大丈夫―――』
彼らの声が俺にも聞こえるぞ。
本来聖歌を聞けば悪魔の俺たちは苦しむと聞いたことがある。
なのに彼らの歌う聖歌には一切の苦しみを感じない。むしろ、温かさを感じる。友を、同志を想う、温かなものを―――。
『聖剣を受け入れるんだ―――』
『怖くなんてない―――』
『たとえ、神がいなくても―――』
『神が見ていなくても―――』
『僕たちの心はいつだって―――』
「―――ひとつだ」
彼らの魂は天に昇り、大きな光となって木場のもとへ降りてくる。
『相棒』
そのとき、ドライグが俺に語りかける。どうした?
『あの騎士は至った』
至った?何に?
『神器は所有者の想いを糧に変化と進化をしながら強くなっていく。だが、それとは別の領域がある。所有者の想いが、願いが、この世界に漂う「流れ」に逆らうほどの劇的な転じ方をしたとき、神器は至る。そう、それこそが―――』
ドライグは楽しそうな笑いを漏らす。
『―――禁手だ』
闇夜の天を裂く光が木場を祝福しているかのように見えた。
ゼロ兄にも、この場で木場を見て聞いて欲しかった。
Side ゼロ
「この聖なる光はなんだ?」
「聖剣エクスカリバーを使うことに必要不可欠な因子だ。あの結晶一個分よりも明らかに増大しているな」
『あの魔剣使い、至ったようだ』
『泣ける展開じゃねぇかよ、えぇ?』
「あいつにはあとで祝福の言葉をかけてやらないとな」
「ところでお前はいつになったら助けに入るつもりだ?」
「そう連れないことを言うな。あいつは過去を乗り越えた。今入っていくのは無粋だろう?」
『では何故さっきから我らとここで見学している』
「待ってるんだよ。恐らくコカビエルはここで口にするだろう。聖書の神の不在を、な」
「お前は一体どこまで先を予想しているんだ?」
「さあな」
・・・・・・遠山金次か。既に他の場所でも原作が崩れているな。
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