月光校庭のエクスカリバー
燃えろ、オカルト研究部!1
Side ゼロ
リフォームされて広くなった部屋のキングサイズのベッドの上で、俺の朝は始まる。・・・・・・変な言い方だな。
まあ聞いてくれ。大体予想できていると思うが、いまの俺は一人寝ではない。二人でもないんだがな。
合計人数六人で寝ている。俺を中心にリアス、黒歌、朱乃、ロスヴァイセ、小猫だ。
朱乃とロスヴァイセ、小猫は裸に俺のシャツ、黒歌は着物、リアスは全裸だ。正直理性が蝕まれる。もう手を出してもいいのではないか?と。
だがまあ、慣れた。最初は寝づらかったがもう大丈夫だ。
ちなみにイッセーとアーシアは俺たちのまねをして一緒に寝始めている。
「うぅん・・・・・・」
艶かしい声が耳をくすぐる。
腕や体を枕にしたり抱きついて寝られたら身動きが取れない。寝違えるような体はしていないが寝返りをうてないと言う辛さ。
ふにょんふにょん。
・・・・・・女の甘い体臭や柔らかい肉感にもけっこう慣れた。
「いただきます」
朝食、でかいテーブルで皆一緒に食べる。
祐斗も連れてきてやりたかったな・・・・・・。
「ゼロさん、今日は私が作ったんですよ?」
「初めて食べる料理だから比較は出来ないけど、美味しいよ」
俺の言葉に嬉しそうに笑うロスヴァイセ。本当に何の料理だこれ?ドイツとフランス、イタリアの味を感じるぞ?
「こっちは私が作ったの。どうかしら?」
「朱乃の料理も美味しいよ」
うふふと笑う朱乃。
朱乃の料理は和食だけだが洋食とかと一緒でも行ける。そこまで和に凝ってないし。
今日は旧校舎を使い魔でお掃除するから家でオカルト研究部会議(?)を行う。十時ごろに祐斗が来る予定だ。
率直に思う・・・・・・祐斗もここに住まわせればいいのに。疎外感バリバリなんじゃないかな?
ちなみに俺の使い魔は『獄炎地龍』と言う上級ドラゴンの幼生だ。ぶっちゃけ言うとポ○モンのグラ○ドンのミニバージョン。
俺的には『天緑龍』の方がよかったな。わかると思うけどポケ○ンのレッ○ウザだ。
「で、こっちが小学生の時のゼロなのよ!」
「昔から変わらない顔つきですね」
「言われてみれば全然変わってないにゃん」
「なにやってるんだよおばさん」
会議なんて何のその。おばさんが持ってきたアルバムで崩壊した。
「小さいイッセーさん・・・・・・」
「アーシア見ないでェェェェ!」
イッセーとアーシアが夫婦漫才をやっているが気にしない。
そう言えばおばさん。
「いつか女の子のお友達がたくさん家に着たら、二人のアルバムを見せたいわぁ」
とか言ってたな。今やらなくてもよかったのに。
「「「小さいゼロ(さん)・・・・・・」」」
リアスと朱乃、ロスヴァイセがまじまじと写真を眺めている。顔を真っ赤に染めながら・・・・・・って!!
「「「幼いころのゼロ(さん)幼いころのゼロ(さん)幼いころのゼロ(さん)幼いころのゼロ(さん)・・・・・・」」」
なんで風呂で全裸の写真があるんだぁぁぁぁぁぁ!!
俺は神速で写真を奪い取る。三人とも首まで真っ赤だし、しょっちゅう風呂場に乱入するくせに。
「三人とも気が合うわね/////」
「これは、いいです/////」
「はい。いいです/////」
なんだか三人だけの世界に入り込んでいるし。
これは小学校高学年の時の写真か、このくらいのころに黒歌に貞操を奪われたんだよね・・・・・・。初めてが押し倒されてってどうよ?
「お、おい!木場!お前は見るな!」
イッセーが祐斗からアルバムを奪い取ろうとするが、ひょいっと軽快な動きでかわす。
「ハハハ、いいじゃないか、もう少しイッセーくんのアルバムを楽しませてよ」
ひょいひょいとイッセーの襲撃を回避していく祐斗。
イッセーが変な決意を新たにしている時、祐斗の視線があるページに固定される。
イッセーは祐斗に近付き、その箇所を見た。
「ゼロくん、これに見覚えは?」
差し出された写真は―――剣ととある親子が写った写真だった。子供のほうは幼稚園児、幼馴染の少女だ。
正直彼女を見ると嫌な気分になってくる。別に嫌いだったり憎んでいるわけじゃないんだが・・・・・・。昔の、あの時の彼女の表情と言葉を思い出す。
祐斗が指差しているのはその剣だ。
「覚えているぞ。俺はこのころから裏に関わってたからな」
「そうか、まさか、こんな思いがけない場所で見かけるなんて」
「なんなんだ?」
イッセーが割り込んでくる。
祐斗は苦笑するも、その眼光にはありありと憎悪が浮かんでいる。
「「イッセー(くん)、これは聖剣だ(よ)」」
「ナイスキャッチよ、イッセー」
後者の裏手、草の生えていない少しだけ空けた場所で、俺たちオカルト研究部の面々は野球の練習をしていた。
「来週は駒王学園球技大会よ。部活対抗戦、負けるわけにはいかないわ」
何もしなくても負けないから。俺たち悪魔だぞ?身体能力面で既に勝っているからな?
時間は夕方近く、もうすぐ空も赤くなるだろう。
黒歌とロスヴァイセは既に教師として学校に通っている。早くも男子から人気を獲得した。
「バッティングの練習はこんな感じでいいわね。野球なら四番は小猫に決定ね」
「了解です」
何故か知らんが俺より小猫のほうがホームランをよく打つ。なんでだろう?
「次はノックよ!さあ、皆!グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」
リアスは気合が入りすぎだ。この手のイベントが好きなのはわかるが自重してくれ、俺たち悪魔が本気を出したら一般生徒が可哀相だろうが。
「ほら、アーシア!行くわよ!」
「はぅ!あぅあぅあぅ・・・・・・あっ!」
アーシアはダメだな。運動音痴は悪魔になっても体の動かし方をちゃんとわかっていない。
「アーシア!取れなかったボールはちゃんととってくるのよ!」
「は、はいっ!」
ルールを知らない人に無理やり野球をやらせているように見える。
「次、祐斗!行くわ!」
カーン!
今度は祐斗のほうにボールを飛ばす。
「・・・・・・」
コン。
ぼけーっと、俯いていた祐斗の頭部にボールが直撃する。
「木場!シャキッとしろよ!」
イッセーが祐斗に声を掛ける。
「・・・・・・あ、すみません。ボーッとしてました」
祐斗は下に落ちたボールを拾うと、作業的にリアスのほうへ投げる。
リアスもため息をつきながらボールをキャッチした。
「祐斗、どうしたの?最近、ボケッとしてて、あなたらしくないわよ?」
「すみません」
素直に謝る祐斗。
原作で知っているし、聖剣計画の詳しいことも研究好きな知人に聞いているから祐斗の事情はわかる。
うまく原作通りにことを進めたいが・・・・・・俺も引きずっているものがあるからな。
俺は疎遠になった幼馴染のことを思い出す彼女と離れた日のことは黒歌にすら話していない。
「はぁ・・・・・・」
コン。
「・・・・・・」
夕日に染まった公園・・・・・・鮮血が飛び散った公園・・・・・・。
「ゼロ兄!」
「あ・・・・・・」
どうやら俺までボーッとしていたようだ。
ボールを拾い、リアスのほうへ投げる。
「すまん。ボーッとしていた」
「ゼロ、あなたまで?」
「ちょっとな」
Side イッセー
部室に入ると、既に俺とアーシア以外のメンバーは揃っていた。・・・・・・って部員じゃない方もいらっしゃる。
「せ、生徒会長・・・・・・?」
そう、ソファに座っているのはこの駒王学園の生徒会長様だ。女性の会長さんで、冷たく厳しいオーラを発している知的でスレンダーな美人さん。
お名前は支取蒼那先輩。三年の上級生だ。
「なんだ、リアス先輩、もしかして俺たちのことを兵藤に話していないんですか?同じ悪魔なのに気付かないほうもおかしいけどさ」
こいつ、最近生徒会の初期として追加メンバーで入った男子生徒だっけ?
だけどまあ、こいつのおかげで事情は察した。
「サジ、基本的に私たちは『表』の生活以外ではお互い干渉しないことになっているのだから仕方ないのよ。それに彼は悪魔になって日が浅いわ。兵藤くんは当然の反応をしているだけ」
確かに日は浅いけど、集中すれば悪魔かどうかは見抜けるようになったぞ?
「この学園の生徒会長、支取蒼那様の真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主様ですわ」
朱乃さんが生徒会長について説明してくれた。
上級悪魔?シトリー家ですか。詳しいことは知らないけど、『七十二柱』にシトリーの名があったのは覚えてる。
***************省略***************
「ハハハ!匙くん!俺のこともよろしくね!つか、アーシアに手を出したらマジで半殺しにすっから」
俺は握手をしながら殺意を向けながら笑顔を作る。もちろん思いっきり力をこめた握手だ。
「ガァッ、お、お前、なんちゅう握力してヤガる・・・・・・」
俺と握手している匙元士郎はプルプルと震えている。
色々馬鹿なことを言っているが、ゼロ兄のシゴキを受けた俺と一般人から転生しただけのお前が俺に敵うわけないだろう?鍛えた人間と鍛えていない人間と同じような構図なんだよ。
俺はアホなことを抜かす匙元士郎を勝ち誇りながら鼻で笑う。
「イッセー、アーシア。匙君と仲良くね。他の生徒会メンバーともいずれ革めて悪魔として出会うでしょうけど、同じ学び舎で過ごす者同士、喧嘩はダメよ?」
部長がそういうなら喧嘩はしませんよ。ええ、喧嘩はね。
にしても、この学園は秘密と謎が多そうだ。
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