Side ゼロ
「と言うわけなんだが」
何がと言うわけだって?昨日の夜に言った黒歌の件だ。
部室のソファで、俺の前にはリアスと小猫、隣にはイッセーと黒歌が座っている。
小猫と黒歌が縮こまっているが、ちゃんと話は進んでいる。
「どこかの神器使いのもとで養ってもらっているとは聞いていたけど、まさかあなたのもとだったとは思わなかったわ」
リアスが苦笑しながら感想を述べる。
朱乃と木場も似たようなもののようだ。
ちなみに、イッセーにはすでに小猫が猫又だと教えてあるぞ?黒歌のことを教えた時に自分で予想はしていたようだけどな。
「黒歌お姉様・・・・・・」
小猫の声に黒歌がピクリと反応する。小猫の声音にはまだ躊躇いが残っているが・・・・・・。
「お姉様はなんで、手配が取り消された後すぐに私のところに来てくれなかったんですか?」
「それは・・・・・・」
黒歌は表情を暗くする。チラチラと俺のことを見ているのは助けを求めているのだろうか?
「ゼロ兄のところから離れたくなかったんじゃないのか?」
・・・・・・え?まさかのイッセーからの助け舟?しかも何気に的を射ているし。
黒歌もはっきり言われたことに顔を真っ赤にしている。俺か?自分ではよくわからん。
くっ!リアスと小猫と朱乃の非難するような視線が!
「ま、まあ、黒歌、二人きりで話したいことがあるだろう?俺たちは一度席をはずそう」
俺は立ち上がり、ドアのほうに歩き出す。
「ゼロ、私からも少し話があるんだけど」
「あら、奇遇ですわね、部長。ゼロ、私も話があるの」
うわーん。
リアスと朱乃のO☆HA☆NA☆SHIが終わり、部室を覗いてみたら黒歌と小猫が抱き合って泣いていた。仲直りできてよかったよかった。
深夜、黒歌は先に家に帰り、悪魔稼業を終えてイッセーと家に帰る途中、そいつと遭遇した。
「まさか会いに来てくれるなんて思わなかったよ」
「え?誰この子、知り合い?」
イッセーは目の前の黒ゴスの少女を見て首を傾げている。
「知り合い、違う。初対面」
「はじめまして『無限の龍神』。俺は兵藤零、知っているだろうが俺は『大宇宙の真星龍神』を宿している」
俺の挨拶にイッセーは愕然とする。
そりゃあそうだ。いきなりドラゴンだって言ったんだもんな。
「我のこと、オーフィスでいい」
「そうか、俺のこともゼロでいいぞ」
「ゼロ、我を超える力持ってる」
やっぱりその話だろうな。
「イッセー、お前は先に帰っていろ」
「で、でも、大丈夫なのか?」
「ああ、大体、こいつは世界最強だ。お前がいても話にならない」
イッセーを家に帰し、俺はオーフィスを公園に連れて行く。あまり人気がないほうが都合がいいからな。
「ゼロ、我より強い」
「完全に力を解放すればな。今の状態じゃあお前の足元にしか及ばん」
公園のベンチに座って会話を再開させる。
「我、静寂な世界に帰りたい。力、貸してほしい」
やはりそう来るか。予想通りだ。
「俺は次元の狭間には興味はない。グレートレッドにもだ。それにお前の提案にはメリットがない」
「そう」
「一つ聞きたいんだが」
「?」
「何故そこまで次元の狭間に拘る。生まれ故郷だと言うことは知っているが、グレートレッドなど放って置けばいいだろう」
正直、これは原作を呼んでいても疑問だった。
俗世に染まったオーフィスが、次元の狭間で何をするというんだ?
「我、ただ静寂な世界に帰りたいだけ。グレートレッド、勝手、我に近付いてくる」
・・・・・・ああ、なるほど。グレートレッドが近くを飛び回って煩いってことだな?ドラゴン同士は引き合うって話をどっかで聞いた気がする。
「帰るだけなら次元の狭間にずっと居座る必要はないだろう。人間界や冥界からたまに行けばいいだけだ」
「我、静寂な世界で暮らしたい」
そう来るか。
「あんな場所、長い時間留まっていたら退屈じゃないか?」
「退屈?」
おい、なんでそこで首を傾げる。まるで言葉の意味がわからないように。
「せっかくの長い時間なんだ、楽しまなきゃ損だろう」
俺は別に今すぐ『禍の団』からオーフィスを抜けさせようとしているわけではない。どちらかと言うと抜けさせるための布石なんだがな。
それから軽く談笑(?)をする。
「我、また会いに来る」
「そうか、じゃあなオーフィス」
そうこうして分かれたわけなんだが。
繁華街のほうから強い力の波動を感じる。達人級に隠しているが神クラスの力だ。
もちろん行くさ。
・・・・・・。
「お前さんが新種の龍神か」
この爺さん、まさか・・・・・・。
「ご老人、つかぬ事をお聞きするが、あなたはどこの神で?」
「わしか?わしの名はオーディンじゃ」
やっぱりかぁぁぁぁぁぁ!!!!
となると爺さんの斜め後ろで俺のことをじーっと観察してるヴァルキリーってロスヴァイセか!?
「北欧の主神がどうしてこちらに?」
「なに、お前さんのことを見に来ただけじゃよ。・・・・・・お前さん、すでに無限を越えておるじゃろ?」
「力を全て解放させれば、ですが」
「そうじゃろうな。お前さんの力にリミッターをかけられているのを感じるわい」
爺さん、あんたの後ろで俺に熱い視線を送っているヴァルキリーを何とかしてくれ。
「ん?なんじゃ?こやつが気に入ったか?なんならもらっていくか?」
おい。
「はっ!すみません!まじまじと凝視してしまって!」
「いや、そこまで気にしてないよ」
かなり気になったぞ。
「凛々しくてカッコイイなぁ、って少し見惚れていただけです!」
何故自分から暴露する。反応に困るだろうが・・・・・・。
「どうじゃ?器量もいいし素直な娘じゃぞ?」
あんたも煽るな。
そしてあんたは期待した視線を俺に向けるな。
「あっ、あの、お名前を伺ってもいいですか?あっ、私、ロスヴァイセといいます!」
「俺の名は兵藤零だ」
「ゼロさんですね。あっ、あの・・・・・・」
ロスヴァイセは顔を真っ赤にして指をいじる。
と言うか年下にさん付け?
「ひっ、一目惚れしました!私と付き合ってください!」
・・・・・・頭を下げるな。
なんかどっかの学生の告白みたいじゃねえか。俺は学生だけど。
さて、なんて返事を返す?別にNOではないが・・・・・・。
爺さん、ニコニコしてないで何とかしてくれ。
キュピン
アイコンタクトが帰ってきた。受け入れてやれ、かよ・・・・・・。
「そ、その、私ではダメでしょうか?」
グハッ!なんだその上目遣いは!歳上の女性の上目遣いはここまで強力なのか?朱乃とは違う感覚が・・・・・。
「ダメではない。だが俺はすでに女を囲っているぞ?」
黒歌のことね。
「二番目でも三番目でも、何番目でもいいです!私をゼロさんのものにしてください!」
まさかここまでとは。一途といっていいのか?
「わかった。そこまで言われては男が廃る。ロスヴァイセ、今日からお前は俺のものだ」
「は、はい/////」
「と言うわけで、この女性を家に住ませてあげたい」
「不束者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「「「・・・・・・え?」」」
「?」
イッセーとおじさんとおばさんが呆然としている。アーシアは首を傾げるだけだ。
黒歌?既に買収済みだ。問題はリアスだ。北欧の戦乙女を落としちゃったからな・・・・・・。これを気に北欧神話と悪魔で同盟でも結べないかな?さすがに一介のヴァルキリーじゃ無理か。
「なんでゼロ兄はこんなにモテるんだ・・・・・・」
「イッセーさんには私がいますから落ち込まないでください!」
こらそこ。さりげなく告白するんじゃない。
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