Side イッセー
「ブーステッド・ギア、スタンバイ」
『Boost!!』
体育館に入り、敵に発見(?)されたから倍化を始める。
敵はチャイナドレスお姉ちゃんの『戦車』。双子の少女の『兵士』。小柄な棍使いの女の子の『兵士』だ。
「イッセー先輩は『兵士』をお願いします」
「ああ!」
俺と一緒に体育館に来ていた小猫ちゃんはお互いの相手と対峙する。
ドル、ドルルルルルルル!
え?チェーンソー?
「解体しまーす♪」
双子が楽しそうに宣言する。でもこれは意外とラッキーだ。
なぜかって?ゼロ兄に対武器用の戦法も習っていたからさ。その中にチェーンソー対策も入っていた。
チェーンソーは武器として使うには不向き、あれは押し付けて削り取るタイプの道具だから振り回している場合は致命傷を受けづらい。マウントポジションだけは取られるな。対処方法は小回りが利きにくいため回避後のカウンターがベスト。腕を狙って叩き落すのもいい、だそうだ。
鍔迫り合いには持ち込むな、とも言ってたな、木場に。
他にも徒手格闘拳や杖術(孫悟空みたいなやつが分類的に近い)、ナイフや銃、槍術に対ウィザードなどなどと、色々な対処法を短期間で習った。
あれは・・・・・・頭のよろしくない俺にはきつかった。
「あー、もう!ムカつくぅぅぅぅぅ!」
「どうして当たんないのよ!」
だって、大振りすぎてがら空きなんだもん。
『Boost!!』
来た!三段階目のパワーアップ!ここだ!
「行くぜ、俺の神器くん!」
『Explosion!!』
この段階で戦う!体中、力が溢れる!一定時間のパワーアップ状態!一瞬でも無駄にしないぜ!
「まずはキミたち!」
俺は双子に向かって駆け出す。早い!自分で言うのもなんだが、いいダッシュだ!
ドッ!
俺のはなった拳の直撃を受け吹き飛ぶ『兵士』の二人。ってあれ二人?一人しか殴っていないはずなんだけど?なぜ?
「「きゅぅぅぅぅん」」
双子は倒れて目を回している。
俺ってそんなに強くなってたのか?ゼロ兄のシゴキに感謝だな。
「はっ!」
間髪いれず、棍使いの童顔少女が俺へ突きを繰り広げてきた。あ・・・・・・。
「しょっ!しょんな!」
思わず噛んじゃうくらい向こうも驚いたらしい。
渾身の突きを出したはずなのに片手で止められちゃったんだからね。自分でやったことにビックリ。反射的に掴んじゃった。
「えい」
掴んだ棍を握りつぶす。うわ・・・・・・キュウリでも握りつぶしたみたいなグラフィックだ。そこまで軟くはなかったけど。
棍使いの少女を蹴る・・・・・・壁にぶち当たった。
確かゼロ兄がこう言ってたな、『脚は腕の三倍の力がある!!それは何故か!?人は!!足で歩くからだ!!』ごもっともです。
あと『突きを蹴り並みに強くしたければ手で歩き、蹴りを突き並みに器用にしたければ足で作業をすればいい』とか言って、逆立ちで走らされたり腕だけで崖のぼりをさせられり足でご飯を食わされた記憶はまだ新しいほうだ・・・・・・。
『ライザー・フェニックス様の『兵士』三名、『戦車』一名、戦闘不能!』
「・・・・・・あ!新技使ってない!」
せっかく魔力の才能を全て費やしたのに!
「驚くほど相手が弱く感じました」
ゼロ兄のシゴキに耐えたかいがあったのか?となると木場のほうも余裕かましてるかな・・・・・・?
ッッ!!殺気!?俺と小猫ちゃんは大きく横に跳ぶ。
ドォンッッ!
次の瞬間、俺たちがいた場所から爆発音が発生する。
「おや?はずしてしまいましたわね」
相手側最強の下僕が現れた。あれ?もしかしなくてもピンチ?
Side 仮面男A(仮称)
どうも、仮面男A(仮称)です。なんか扱いがひどいです・・・・・・。
ゼロ様の魔力によって作り出された自動人形です。短い間ですが、どうぞよろしくお願いします。
我々の任務は偵察、ないし眷属メンバー緊急事態時の救援なっています。
いくら我々がゼロ様の三分の一の力だとしても、この程度の任務は児戯に等しいです。敵も慢心だらけの青二才ですし。
私の視線の先にはトラップに足止めされた瞬間に木場祐斗に葬られていく敵兵士の姿が映っています。
駒一個消費の兵士はこれだから弱いんですよ。三人集まっても騎士一人に勝てやしません。
せめて二つ・・・・・・いや三つは消費した兵士でなければ話になりませんね。これだから犠牲作戦を使うような輩は気に入りません。
雑魚はいくら集めようが雑魚のままなら雑魚なのですから。
鍛えれば話も違ってくるでしょうが、鍛錬をしない低級悪魔では事実上無理ですね。
まあ木場祐斗の実力が短期間で非情(誤字に非ず)にあげられているのもありますか、・・・・・・正直見ていて『兵士』が哀れです。
はぁ、なんで私はこんなことを話しているのでしょう。
お?兵藤一誠と塔城小猫が木場祐斗と合流しましたね。戦局はどう動くでしょうか。
そう言えば原作の特大雷を観測していませんね。二人で倒しちゃったんでしょうか。
あっ。上空で姫島朱乃と敵『女王』が交戦していますね。見た限りでは姫島朱乃が有利なようです。原作と違って相手は『フェニックスの涙』を禁止されていますから大丈夫でしょう。
こっちにも状況に動きが出ましたね。木場祐斗が相手の『騎士』の挑発に応じました。
お?赤龍帝の篭手を使ってから出て行くとは、頭もちゃんと進歩しているようですね。敵の前に出て行くときは予め武器を出しておけ、でしたっけ。ゼロ様の教えをちゃんと守っているようで安心しました。
『・・・・・・ライザー・フェニックス様の『騎士』一名、『戦車』一名、戦闘不能』
・・・・・・あの三人はどんな過酷な修行を受けてきたんですか?その情報をいただいていないのでわかりませんが、相手の『騎士』と『戦車』が瞬殺されてしまいましたよ?
あっ。後から接近してきた『兵士』二名、『僧侶』一名、『騎士』一名が野良犬を追い払うがごとく倒されていく・・・・・・。
『ら、ライザー・フェニックス様の『兵士』二名、『騎士』一名、『僧侶』一名、戦闘不能・・・・・・』
審判役も驚いているようです。仕方ないですよね、瞬殺ですし。私もここまでとは思いませんでした。
『リアス・グレモリー様の『女王』一名、ライザー・フェニックス様の『女王』一名、戦闘不能』
おや、『女王』同士の戦いは相打ちで終わりましたか、まあ完璧に有利状況ですから大した痛手ではないでしょう。あとは不死身を倒せるかどうか、でしょうし。
最後に私から一つ・・・・・・。接近戦メンバーの実力が上がりすぎです!
Side イッセー
ん?なんだろう。誰かに褒められた気がする。
いま俺は小猫ちゃんと木場との三人で新校舎の屋上を目指している。そこで部長と焼き鳥が戦っているみたいだ。
なんかサラッとライザーの眷属たちをほとんど倒しちゃったけど、俺たちってそんなに強くなってたんだね!
『それはそうだ。あんな特訓を受けて生きているほうが不思議なくらいだ』
あれってそんなにひどかったのか?
『ああ、死なない程度どころか一歩間違えれば死ぬ寸前だったぞ?』
さっき、と言うかレーティング・ゲームが始まって少ししたら聞こえてくるようになった赤い龍の帝王、ドライグと会話しながら話す。
俺の神器に宿ったドラゴンさんは相棒と呼んでくれた。なんか嬉しい。
それと、あとでゼロ兄に文句を言っておこう・・・・・・。
「部長ォォォォォォォッ!兵藤一誠!ただいま参上しましたァァァァァァァッ!」
「なにいいところ持って行ってるんですか・・・・・・」
「あはは」
全員の視線が俺たちに向く。
「イッセー!小猫!祐斗!」
「イッセーさん!」
アーシアとちょっとボロボロになった部長が歓喜の声を上げる。アーシアが俺だけを呼んでくれたのが嬉しかったり・・・・・・。
「ちょっと待て!なんでお前ら無傷なんだ!?」
「文字通り地獄の特訓の成果だね」
木場がライザーの疑問に答える。
「クソッ。レイヴェルの奴、見逃したのか」
「いえ、首を絞めて眠ってもらいました」
ライザーの言葉に小猫ちゃんが訂正を入れる。
「・・・・・・お前ら十日間何やったんだ?」
「「「地獄の特訓としか言い様がない」」」
俺と小猫ちゃんと木場の言葉が重なる。
「さて。新作の魔剣、不再生剣の試し切りと行こうか」
「生きたサンドバック・・・・・・」
「(アーシアに)いいところ見せてやるぜェェェェッ!!」
懐からゼロ兄にもらったビンを取り出す。
「『赤龍帝からの贈り物』!」
『Transfer!!』
・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『・・・・・・・・・・・・ライザー・フェニックス様、戦闘不能。リアス・グレモリー様の勝利です』
Side ゼロ
「俺が出るまでもなかったな」
「まったくだにゃん。一体何をしたら短期間であそこまで強くなるのか不思議だにゃ」
俺は試合後、家に帰ってきてから黒歌と話していた。
黒歌は小猫の活躍に驚き、喜びながらもなにか寂しそうな表情をしていた。
「ああそうそう」
「どうしたにゃ?」
「悪いけど明後日までに皆に会いに来てくれないか?」
俺は言葉を一度区切り、続ける。
「リアスがうちに住み込もうとしているみたいでな」
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