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戦闘校舎のフェニックス
喧嘩、売ります。
 Side ゼロ


 「ほら、ベッドへお行きなさい。私も支度するから」

 そう言って俺を急かしながらリアスは服を脱ぎ始めた。

 「待て、待て待て待て!」

 俺は脱ぐのを止めに掛かる。

 「一体何事だ!」

 「ゼロ、私ではダメ?」

 「落ち着け!」

 「色々と考えたのだけれど、これしか方法がないの」

 何の方法だ!と大声で言いたいところだが原作を少し思い出したからそうは言わない。

 「何の方法だ、説明せんか。と言うかなんで俺のところに来た」

 「既成事実が出来てしまえば文句もないはずだし、身近にそれが出来そうなのは、ゼロしかいないわ」

 「話が噛み合っていない!?」

 なんとしても強行突破するつもりか?

 「だって、ゼロは経験豊富なんでしょう?」

 噛み合ってねぇ!涙目で俺を見るな!
 そんなこんなでモタモタしていると、再び床が光りだした。

 「一足遅かったわけね・・・・・・」

 「この力の波動は・・・・・・」

 来た、銀髪の美人メイド。

 「久しいな、グレイフィア」

 俺はすぐに声を掛けた。
 彼女は俺と部長を見比べてから口を開いた。

 「お久しぶりですゼロ様」

 ニコリともせずに返事をしてくれた。

 「こんなことをして破談に持ち込むつもりですか?」

 「こんなことでもしないと、お父様もお兄様も私の意見を聞いてくれないでしょう?というか私はゼロとあなたが知り合いだったことに驚きを隠せないんだけど」

 「ゼロ様が幼き日に一度お会いしたことがあるだけです。私としては、ゼロ様が他人の下に付くと言うことに驚きを禁じえませんが」

 俺ってそんなに一匹狼だったっけ?

 「それはともかく。あなたはグレモリー家の次期当主なのですから、無闇に殿方へ肌を晒すのはお止めください。ただでさえ、ことの前なのですから」

 そう言ってグレイフィアは肌蹴たリアスの服を直していく。相変わらずのようだ。

 「グレイフィア、あなたがここへ来たのはあなたの意思?それとも家の総意?それとも、お兄様のご意思かしら?」

 「全部です」

 グレイフィアの奴、言い切ったよ。しかも即答。

 「そう。兄の『女王(クイーン)』であるあなたが直々に人間界へ来るのだもの。そういうことよね。わかったわ」

 リアスは諦めたようにため息をつく。

 「ゴメンなさい、ゼロ。さっきまでのことはなかったことにしてちょうだい。私も少し冷静ではなかったわ」

 「詳しいことは明日にでも聞かせてくれ」

 「わかったわ」

 そう言ってリアスはグレイフィアに向き直った。

 「グレイフィア、私の根城へ行きましょう。話はそこで聞くわ。朱乃も同伴でいいわよね?」

 「『雷の巫女』ですか?私は構いません。上級悪魔たるもの、『女王』を傍らに置くのは常ですので」

 「よろしい」

 面倒ごとが始まるんだろうな。

















 翌日の放課後。
 祐斗にはイッセーたちと先に行かせ、俺は帰ってくるのが遅れた黒歌と会っている。

 「テロリストは既に活動していると見て間違いないな」

 「特に『旧魔王派』を味方にしようとする動きが強いにゃん」

 黒歌には『禍の団(カオス・ブリゲード)』の調査をやらせていた。短時間でこれだけの情報を集められるとは、さすがだな。
 まあこれらの情報は直接サーゼクスの手に渡るんだがな。
 黒歌を猫化させ、カバンに入れて部室に向かう。すでに焼き鳥くんは来ているようだ。

 「いい加減にしてちょうだい!」

 部室の近くまで来ると、リアスの激昂が聞こえてきた。もうそんなところまで話が進んでいたのか。
 俺は部室の扉をいつも通りに開ける。

 「一体何事だ?」

















 Side イッセー


 「一体何事だ?」

 おぉぉぉ!!ゼロ兄!ジャストタイミングだ!
 ライザーの野郎が呆気にとられている。

 「グレイフィア、説明しろ」

 「はい」

 って、ゼロ兄!なにグレイフィアさんにナチュラルに命令してるんだ!?そしてグレイフィアさん、命令を聞くんですか!
 さすがのライザーもこれには呆気にとられているようだ。
 グレイフィアさんがゼロ兄に事態の説明を終えたようだ。ゼロ兄は呆れ顔になっている。

 「くだらんな、フェニックスの三男坊」

 あれ?ゼロ兄の口調がおかしい?

 「開口一番に何様のつもりだ!!」

 「真星龍神(まことぼしのりゅうじん)だ」

 あれってそう読むんだ・・・・・・。
 って着眼点が違うな。

 「聞かない名前じゃねぇか」

 「それはそうだ。ごく最近生じた無限と並ぶことのできる存在だからな」

 ごく最近、きっとゼロ兄が生まれた時のことだろう。何故か直感的にそう思った。なんでだろう?って言うか無限ってなに?

 「フェニックスの業火はドラゴンの鱗をも傷をつけるぜ?」

 ライザーが全身からプレッシャーを放つ。
 アーシアが震えながら俺の腕に抱きついてきた。堕天使と対峙した時以上の緊張感が俺に襲い掛かる。
 木場と小猫ちゃんは臨戦態勢に入ってもおかしくない空気を作っている。
 部長も紅い魔力のオーラを全身に薄く発し始めている。

 「その程度の領域のドラゴンと一緒にするな。俺を体に傷をつけたければ最上級の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)でも持ってこい」

 なんで自分の弱点を晒すように挑発してるんだよぉぉぉぉぉ!何気に俺の弱点でもあるし!

 「お二人とも、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら、私も黙ってみているわけにも行かなくなります。私はサーゼクス様の名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 静かで迫力のある言葉をグレイフィアさんが口にすると、ライザーは顔を強張らせた。ゼロ兄はどうでもよさそうな表情だが。

 「グレイフィアがそう言うならやめておこう。くだらん種馬の相手も面倒だからな」

 「貴様ァ!この俺をコケにするつもりかッ!」

 「ライザー様!」

 「ドラゴンごときが!我慢がならん!」

 この人メッチャ短気だ!
 ライザーは炎を体から溢れさせる。

 「力の使い方がなってないにゃ・・・・・・」

 ・・・・・・今の声ってもしかして黒歌さん?どこにもいないよな?

 『Appear(アピアー)

 神器特有の音声がなった次の瞬間、ライザーの頭上に一つの水塊が出来て・・・・・・ライザーの炎を消化した。

 「ゲホッゲホッ、バカな!フェニックスの業火がたったこれだけの水で消されるなんて!」

 「ただの水ではないからな」

 ゼロ兄はただそれだけを簡潔に答えた。







 結局その後どうなったかって?レーティングゲームで決着をつけることになった。
 ただ、ゼロ兄がチートだからお互いある程度制限を設けてやるらしい。
 向こうは『フェニックスの涙』使用禁止を言い渡された、やったね。
 こっちはゼロ兄の神器(セイクリッド・ギア)の能力使用を禁止だけだ。
 楽勝じゃね?と思ったが、ゼロ兄は今回のことを俺たちを鍛えるために使おうと思っているみたいだ。
 ―――十日後。
 俺たちのレーティングゲームの初陣はその時だ。





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