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旧校舎のディアボロス
悪魔、はじめました。2
 Side ゼロ


 「ここがはぐれ悪魔が根城にしている廃屋ですわ」

 「はぐれ悪魔退治か。面倒なことこの上ない」

 「はい」

 朱乃に対して言った俺の呟きに隣に立つ小猫が返事をする。こいつは一度張り付くと中々離れないからな。
 はぐれ悪魔については・・・・・・説明は面倒だから原作を読め。

 「鉄臭いな」

 「・・・・・・血の臭い」

 俺と小猫が呟く。
 イッセーは俺たちの言葉を聞いて首をかしげている。
 まあ普通そうだろう。悪魔でも俺たちほど鼻の利く奴はいない。まあ俺の場合は悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の影響があるんだけど。
 リアスがイッセーに悪魔と悪魔の駒(イーヴィル・ピース)について説明しているから、俺の駒の特性を少し説明しておこう。
 俺の駒の特性は、あらゆる身体能力の強化だ。
 攻撃力、防御力、機動力、魔力、反応速度、思考速度、五感etc、さらに第六感的なものが開花、そして二つの特殊能力だ。

 その名も『将軍(ジェネラル)』、てな。

 あのシスコン過保護魔王が用意した特別な駒だ。
 特殊能力については今度説明しよう。はぐれが姿を現しすぞ。

 「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

 地の底から聞こえるような低い声音。

 「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しに来たわ」

 リアスが力強く言い放つと、ケタケタと気味の悪い笑い声が響いた。これは人が発することの出来る音じゃない。
 暗がりから現れたのは上半身裸の女性だ。しかしその身体は中に浮いているかのように高い位置にある。
 ずんっ。
 重い足音と共に現れたのは巨大な獣の下半身だった。

 「主のもとを逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れ回るのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげる!」

 「こざかしいぃぃぃぃぃ!小娘ごときがぁぁぁぁぁ!その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染めてあげてやるわぁぁぁぁぁ!」

 吠えるはぐれ悪魔、簡単な挑発で激昂するのは弱い証だな。

 「雑魚ほど洒落の聞いたセリフを吐くものね。祐斗!」

 「はい!」

 イッセーの近くにいた木場がリアスの言葉を受けて駆け出す。
 今回の相手じゃ俺の出番はないな。ゆっくり傍観させてもらうとしよう。

 「イッセー、さっきの続きをレクチャーするわ」

 リアスがイッセーに駒の特性うんぬんの話を始める。

 「祐斗の役割は『騎士(ナイト)』、特性はスピード。『騎士(ナイト)』となった者は速度が増すの」

 祐斗は人間の目では終えないほどのスピードで相手を翻弄し始めた。俺か?余裕で見えるぞ。

 「そして祐斗の最大の武器は剣」

 祐斗は一度足を止めて西洋剣ではぐれ悪魔の両腕を切り落とす。

 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 はぐれ悪魔はなくなった腕を振り回すかのように肩を動かしている。正直哀れだ。

 「次は小猫。あの子は『戦車(ルーク)』の特性は―――」

 「小虫めぇぇぇぇぇぇっっ!」

 はぐれ悪魔が近付いた小猫を踏み潰しに掛かる。
 ズズンッ!!
 しかし、はぐれ悪魔は小猫を踏み潰しきれない。当たり前だ、あの程度の存在で『戦車(ルーク)』を踏み潰せてたまるか。
 それでも小柄な少女が化け物を持ち上げようとしているさまはなんとも言えんな。

 「吹っ飛べ」

 小猫は高くジャンプしてはぐれ悪魔の腹部に強烈な一撃を叩き込んだ。
 はぐれ悪魔の巨体は広報へと吹き飛ばされる。

 「最後に朱乃ね」

 「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

 朱乃はうふふと笑いながら小猫の一撃で倒れこんだはぐれ悪魔のほうへ歩いていく。

 「朱乃は『女王(クイーン)』。私の次に最強の者。『兵士(ポーン)』『騎士(ナイト)』『僧侶(ビショップ)』『戦車(ルーク)』、全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」

 「ぐぅぅぅぅ・・・・・・」

 悶絶しながらも朱乃を睨みつけるはぐれ悪魔。朱乃はそれをみて不敵な笑みを浮かべる。

 「あらあら。まだ元気みたいですね?それなら、これはどうでしょうか?」

 朱乃は手を掲げて雷を撃ち出す。

 「ガガガガッガガガガッガガガッッ!」

 激しく感電したはぐれ悪魔。
 煙を上げて丸焦げになっている。これでも生きているんだから朱乃の手加減具合が絶妙だ。

 「あらあら、まだ元気そうね?まだまだいけそうですわね」

 素直に賞賛できねぇな・・・・・・。

 「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。そして何よりも彼女は究極のSよ」

 さらりとイッセーに通告するリアス。
 あれはSって言うよりいたぶるのが好きなだけだと思うんだがな。
 なに?Sと何が違うかって?Sでも間違いじゃないと思うが、朱乃は・・・・・・あれだ。そう、あれだ。うん。

 「うふふふふふふふ。どこまで私の雷に耐えられるかしらね?ねぇ、バケモノさん。まだ死んではダメよ?とどめは私の主なのですから。オホホホホホホッ!」

 これはしばらく続くな・・・・・・。











 「最後に言い残すことはあるかしら?」

 「殺せ」

 はぐれ悪魔から小さく言葉が放たれた。

 「そう、なら消し飛びなさい」

 リアスは冷徹に言い、はぐれ悪魔を黒い球体の形をした滅亡の魔力で消滅させる。

 「終わりね。みんな、ご苦労様」

 はぐれ悪魔討伐もこれにて終了。
 まあこれじゃあリンチもいいところだな。

 「部長、あの聞きそびれてしまったんですけど」

 「何かしら」

 イッセーが思い出したようにリアスに声を掛ける。

 「俺の駒・・・・・・って言うか、下僕としての役割はなんですか?」

 ふん、そんなもの決まっているだろうが。イッセーお前は―――



 「『兵士(ポーン)』よ。イッセーは『兵士』なの」



 ―――下っ端兵だろうが。
































 「血の臭いがこびりついてるにゃあ」

 「今日は下級はぐれ悪魔の討伐だったからな。無駄に血生臭い奴だったよ」

 俺は背中に引っ付いている人型になった黒歌に返事をする。
 ん?もしかして知らない奴がいるのか?なら一応軽く紹介しておこう。
 元SS級はぐれ悪魔、妖怪猫又の上位種「猫しょう」の黒歌だ。最上級悪魔並の実力を持っている。
 しかも小猫の実の姉だそうだ。
 だけど、実は黒歌が俺のところにいることはシスコン過保護魔王と堕天使総督しか知らない。本人希望で秘匿しているんだ。いつか言うつもりだけど。

 「でも力は使ってなかったみたいね」

 「他の眷属を鍛えるには俺は隅によってた方がいい時もあるからな」

 「ふーん」

 黒歌はにゃあにゃあ言いながら俺の背中に身体を擦り付けてくる。
 こいつの首輪には黒歌が妖怪、悪魔であることを隠すことが出来る術式とでもいえるようなものが施されている。堕天使総督特製の隠蔽具とでも言ったところだ。

 「今日は構ってくれるのかにゃ?」

 「構ってほしいのか?」

 「もちろん♪」

 俺は後ろを向き、黒歌の頬に手を添える。

 「んっ♪ちゅっ♪あむ♪」

























 「あれ?なんだ。ゼロ兄に激しく負けた気がする・・・・・・」

 ペラッ

 「今日も一人寂しくやるかな」

 グスンッ



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