PV1万記念。のはずが、こんなに遅くなりました。申し訳ないです。時間軸もへったくれもなく、本編との関係もない小話。
小話『おっぱい』Part1
『お前は、一体何をしてる?』
『お前は、一体何を求めている?』
『平穏? 家族? 大いに結構! それもまた、素晴らしき夢の形、その一つだ』
『だがな、違うだろう? 兵藤一誠ッッ!』
『お前は憧れてきたはずだ』
『お前は夢にまで見てきたはずだ』
『忘れてはいないか、お前は』
『目を逸らしていないか、お前は』
『そうだ!』
『形、色、弾力、感度、その他数え切れないほどの夢が詰まった物ッッ!』
『永遠に抗えない男の性!』
『餓えているだろう、あの柔らかさに!』
『蕩けているだろう、あの魅力に!』
『そうだ!』
『恐れるなッ! 進めッ!』
『掴めッ! 吸えッッ! 揉みしだけッッッ!』
『叫べ! その名は!』
『おっぱいッッッッ!!!!』
『ウオオオオオオオオオオオッッッ!』
『ジークッ! おっぱいッ! ジークッ! おっぱいッ! ジークッ! おっぱいッ!』
『……だ、大丈夫か、相棒?』
「……いや、病院行こう」
最悪の目覚めだった。
「黒歌さん、おっぱい揉ませてもらえませんか?」
オーフィス以外がお茶吹いた。親父お袋はもちろんのこと、アーシアや小猫ちゃん、黒歌さんさえも気管につまらせたらしい。
朝食後の家族の団欒中、今もなお頭の中から離れないワード。結局自分じゃどうにも出来無かったので、相談してみようと思ったんだが。
卒倒された。まぁ、無理もない。言ってる本人の俺も首を吊りたいぐらいだ。
「まぁ、流石に今のは冗談ですけど、病院には割と本気で行きたいです……」
「ど、どうしたのイッセー?」
動揺を隠しもせずに尋ねてくる黒歌さん。語尾からにゃんが消えている。それほど今の俺は切迫していた。
「今朝酷い夢を見たんですけど、何人もの俺が今もおっぱいおっぱい言ってて、そのワードが頭から離れなくなりまして……」
『これは本当のことだ……俺もどうしていいのか分からん』
「……重症です」
「俺もそう思う」
ドライグを証人にして原因を話してみると、白音ちゃんが驚愕の表情で言う。アーシアはよく状況が飲み込めていないようで、オロオロ。黒歌さんはさっきと違って頭を抱えていた。
なぜか全く驚いてなかったオーフィスは、触れ! と言わんばかりに胸を突き出してるが、それは最後の最後、本当に他に方法がない場合にとるべき手段なのでスルー。
……あ、そういえば、わざわざ病院行かなくても、アーシアのトワイライト・ヒーリングがあれば治療は可能だよな。やってみるか。
「アーシア、取り合えず俺の頭に『聖母の微笑み』かけてみてくれ」
このまま噂が広がって、万一赤龍帝が乳龍帝なんて名前になったら、ドライグが泣くし、俺も泣く。そんな致命傷は避けたい。
「は、はい! イッセーさん!」
あわあわ慌てながらも、すぐにポウ、と優しい緑色の光が頭を中心に広がる。温かい感じはするが、頭の中で別の俺がおっぱいおっぱい騒ぎ続けている。効果は、無い。
「ど、どうですか……?」
「ダメみたいだ……おっぱいが頭から離れない……本当にどうしたんだ俺は!?」
『こんな事、今までの所有者でも起こらなかったんだが……』
マジか。一体何が起きたんだ、俺に。意味が分からん。『聖母の微笑み』で治らないってことは、これは病気じゃないんだろうし……。
「……揉ませる、べきなのかにゃん」
「……!?」
「はうっ!?」
「我のは?」
本気で困惑している俺を見て、ただならぬ状態だと悟ったのか、凄く真剣な表情の黒歌さん。その思考内容は、俺に胸を揉ませるか揉ませないか。……何をやってるんだ、俺は。
他のメンバーは、黒歌さんの独り言にさらに驚愕して、自分の胸を見つめている。……アーシアも白音ちゃんも、この世の終わりみたいに絶望しなくていいから。俺は別におっぱい星人じゃないし。
そしてオーフィス、君は黙ってなさい。話が余計にややこしくなる。
「……イッセー、揉んでみなさい」
……え?
黒歌さんの言葉が一瞬理解出来なかった。ハハハ、そんな結論に至るわけが……。
「揉ませろって言ったのはあなたでしょ? だから、やってみるといいにゃん♪」
「いや冗談だって言いましたよね!?」
あった。どういう発想の下そうなったのかは不明だが、黒歌さんは揉ませる気満々だった。
それで治るなら、と少し恥ずかしそうに、着物を開けさせる黒歌さん。いや、さっきも言ったけどもちろん冗談ですよ!? つーかそんな簡単な方法で治るとは思えない……!
「……わ、私も……」
「私も脱ぎますっ!」
「我のは?」
「何でそうなるんだ!?」
黒歌さんに倣って、服を脱ぎだす三人。ちょ、この流れは予想してなかった! まずい、親父、お袋、助け――
「今から出掛けてくるから、お留守番よろしくね」
「イッセー……孫が何人出来るかは分からんが、頑張るんだぞ」
『諦めろ、相棒……』
――る気ゼロかよぉぉぉぉぉッ!
そそくさと家から出て行った両親。神器の奥深くに閉じこもるドライグ。俺には止める暇も無かった。バタン、と無情にも閉まる扉。
ストッパーが居なくなったこの場で、残るのは、カオスだ。
『おっぱい! おっぱい!』
「イッセー……」
「……イッセーお兄ちゃん」
「イ、イッセーさん……」
「我のは?」
なんかテンション上がってる頭の中の俺と、瞳を潤ませて、近づいてくるみんな。思考にも逃げられないとは……八方塞がりだ。
諦め悪く周囲を見渡すが、都合よくこの場を丸く治めるものなんてあるはずもなく。頼みの綱なんてものは、こんな状況だ。存在しない以上どうしようもない。
「こんなのどうしろってんだよ!?」
いや俺の軽々しい言葉がキッカケだけども! こんな事になるなんて予想出来ないから!
『ほら、おっぱいが目の前にあるんだぜ、俺』
『こいつを揉まなくてどうするんだ?』
『大きいおっぱいは、もちろん夢が詰まっている』
『小さいおっぱいにも、これからの希望が詰まっている』
『恐れることはない。さあ、揉むんだ!』
『ぽちっとぽちっとずむずむいやーん!』
『揉めばきっと、俺達も満足するから!』
アホの波状攻撃で、頭が痛くなった。……。分かったよ……。もう、疲れた……。
結局最後の俺の言葉を信じ、ヤケクソになって全員のおっぱいを揉んでみた。くすぐったそうな声とかを理性で聞き流し、精神を疲弊させながら、揉む。
頑張ってはみた。が、結局このアホみたいな頭が治ることはなかった。
『まだまだ揉み足りないぜッ!』
「もう勘弁してくれ!」
続く……のか?
お気づきの方もいるでしょうが、これPART1と銘打ってるだけあって、続く予定だったりします。たまに本編との間に入ってるかも。
ダメな方の反響が高いとこれで終わりますが。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。