加古川市で親類ら7人を刺殺したとして殺人罪などに問われ、一審で死刑判決を受けた無職藤城康孝被告(55)の控訴審で、「妄想が判断能力に著しく影響を与えていた」として、被告の完全責任能力を否定し、心神耗弱状態だったとする精神鑑定結果が出たことが13日、分かった。
大阪高裁(米山正明裁判長)は2010年4月、いったん指定した判決期日を取り消し審理を継続させ、一審とは別の鑑定人を職権で選んで鑑定を実施した。09年5月の神戸地裁判決は完全責任能力を認めたが、死刑判決が破棄され、減軽される可能性が出てきた。
13日、大阪高裁で開かれた公判で、鑑定人は藤城被告の攻撃性が高まった時期などから「遅くとも事件の約2年前から妄想性障害にかかっていた」と述べた。
犯行動機を「長年の恨みを爆発させた」とする検察側の主張に対し、鑑定人は「根本には被害妄想がある」と否定した。
一審判決によると、04年8月2日未明、自宅の両隣の民家に包丁と金づちを持って相次いで侵入。7人を刺殺、1人に重傷を負わせた上、自宅に放火して全焼させた。
(2012/07/13 08:05)
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