児童の障害や個性に配慮した教育が求められる特別支援学級で、担任による暴力や暴言が繰り返されていた。懲戒免職となった渦が森小(神戸市東灘区)の男性教諭(60)は「ふざけが過ぎた」と釈明したというが、特別支援教育の専門家は「弱い立場の児童へのいじめ行為は言語道断」と厳しく批判した。
市教委によると、教諭は2009年度から同校の特別支援学級を担当、11年度から男子児童の担任になった。いじめ行為は2学期から始まったという。
11年12月に厳重注意を受け、たたくなどの暴力は収まったが、今度は児童を怖がらせるような発言をするようになった。学校側は授業の見回りを続けたが、教室で2人きりになった際などに続けていたという。
市教委は当初、教諭が児童に積極的に接した結果とし、悪意を持った行為とはとらえなかったという。だが、教諭は児童らに謝罪した後も侮辱的な行為をやめなかった。
渦が森小では13日夕、飯塚博校長が報道関係者に対応。「保護者、地域の方、とりわけ子どもに影響が出ることが残念。二度と繰り返さないようにしたい」と謝罪した。
飯塚校長によると、特別支援学級では児童4人を教諭2人が担当。男性教諭は気さくで明るい性格で、普段は男子児童とも仲が良かったという。
特別支援教育に詳しい関西国際大教育学部(尼崎市)の藤田継道教授(68)=臨床心理学=は「特別支援学級の子どもは嫌なことがあってもメッセージを伝えにくい。弱い立場の子にいじめ行為を繰り返したなら、免職はやむを得ない」と話す。
一方で、専門知識のある教員が足りず、希望しない教員も特別支援学級の担任になっている現状を指摘。この担任も同校赴任前、同学級は2年間担当しただけだった。
「子どもがパニックになった場合、原因や対処法が分からないと余計に混乱させてしまう。指導方法が普通学級と違うことを理解する必要がある」と強調した。
(2012/07/13 23:15)
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