地域間の所得格差を計る代表的な指標は、人口1人当たりの県民所得である。ここでの県民所得には個人所得の他、法人所得も含まれており、個人の所得水準というより地域全体の経済力を示しているととらえた方がよい。 2009年度の上位1〜5位は、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、静岡県の順である(下表参照)。上位5県の平均は、316万9千円である。事業所が集中しており、昼間人口の割に夜間人口が少ない東京都は391万円とやや特別な高さとなっている。東京を別格として、2位以下は工業出荷額規模の大きな地域が並んでいる(図録7500)。2007年度以前に第2位だった愛知県の順位が下がったのはリーマンショック(2008年9月)後の自動車産業の落ち込みによるところが大きい。 下位1〜5位は、高知県、沖縄県、宮崎県、長崎県、熊本県と主に西南方面の遠地で構成されている。青森が05年度の下位5県内から06年以降離脱したのは、「使用済み核燃料の再処理工場が試運転を始めたことなどで製造業の生産が増えた」(日経NET2009.2.12)からとされる。1989年以降沖縄県が最下位を続けてきたが、2009年には高知県が最下位となった。下位の平均は209万円であり、上位5県の平均はこれの1.51倍となっている。 1人当たり県民所得:上位5位及び下位5位までの都道府県
次ぎに、都道府県間の所得格差(人口1人あたり県民所得の格差)の推移を追ってみよう。所得格差の計り方は、ジニ係数を使う場合の他、上位と下位の所得の格差を使う場合がある。ここでは、実感しやすい後者を使用する。具体的には、下位5県の平均値に対する上位5県の平均値の倍率の推移を見た。ジニ係数の推移が所得倍率の推移とほぼ同じ動きである点は末尾に参考として掲げたジニ係数の推移図を参照。 高所得5県と低所得5県の間の所得格差は1961年の2.18倍から高度成長の時期における工場の地方分散などにより1975年の1.58倍へと縮小した。 その後、地域間格差はほぼ横ばいの状況となったが、1980年代後半のバブル経済の時期にはやや格差が拡大した。その後の景気低迷の中で、景気対策としての地方への公共事業の重点配分などの結果、さらに地域間格差は低下し、2001年には1.57倍とそれまでの過去最低タイとなった。 ところが、その過程で、国、地方を通じた財政赤字は巨大な規模に膨れ上がり、小泉政権下では、公共事業抑制、行財政改革、地方分権改革など、「改革なくして成長なし」を合い言葉とした改革路線が本格化し、それに伴って、地域間格差も5年連続上昇し、2005〜06年には1.68倍へと上昇している。 2006年10月に小泉政権が安倍政権にかわり、小泉改革の修正が図られるようになって2007年には格差が縮小をはじめ、2008年には9月リーマンショック後の世界不況でさらに格差は縮小したのだった。オイルショック後の1974年、バブル崩壊後の1992年、そしてリーマンショック後の2008年と景気の大きな後退局面では、常に、地域格差が縮小しているのが印象的である。こうした格差の景気変動は経済成長をリードしていた所得上位地域の落ち込みと経済低迷地域への財政的テコ入れが同時進行するからだと思われる。2009年度には1.51と史上最低レベルとなった。 全体として高度成長期以前の地域間格差と比べるとそれ以降の格差のレベルは低く、図録8390、8392で見たように、諸外国と比べても地域間格差の水準は低くなっている。図録8390、8392における日本の地域間格差のジニ係数は、それぞれ、0.09、0.07464(2001年)であり、ここでの同じ原数値をジニ係数にした値0.067とやや食い違っているが、国際比較のジニ係数は地方ブロックを単位とした計算であるのに対して、ここでの計算は都道府県を単位とした計算であるためと考えられる。 なお、アジア諸国の国内格差を示した図録8400からも日本の地域間格差の相対的な小ささがうかがえる。 参考図(2003年度まで、ジニ係数推移) (資料)国土交通省国土審議会資料(2006.8.7) (2006年12月19日収録、2007年3月7日・2008年2月5日更新、2009年1月13日内閣府HPデータに更新、2月14日更新、2010年2月20日更新、2011年4月27日更新、2012年3月1日更新) |
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