社説:日中韓のきしみ 誤解や臆測が負を生む
毎日新聞 2012年07月14日 02時30分
それぞれの国の対外強硬世論が影響しているのだろうが、相手の意図や言い分を正しく踏まえない反応が目立つのは残念である。
尖閣諸島は、対中強硬派の石原慎太郎東京都知事が主導するより、国が管理した方が不測の事態を避けられる。中国にも利点があるのに、漁業監視船の度重なる挑発行為で対抗するのは、理解に苦しむ。こうした中国側の振る舞いは日本の世論のさらなる反発を招き、日中関係の大局を損なうと認識すべきだ。
一方、韓国が軍事情報包括保護協定署名を延期した背景には、中国への配慮から日米と接近しすぎることへの警戒もあったようだ。だが、昨今の日本の一連の動きが軍事大国化につながるかのような見方は、日本の立場とあまりにかけ離れている。
国家間の紛争の多くは、現実に存在する危機ではなく、相手の意図を誤解し、間違った臆測をすることから生じる場合が多い。日本は近隣諸国との無用な対立を望まないし、中韓両国も同様だろう。日中韓3国の外交においては、自分の考えを率直に説明し、相手の言い分にも十分に耳を傾けることで、摩擦をできるだけ減らす知恵が不可欠だ。