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日本の状況part1
4月2日 午後12時30分 日本


この日の日本中の都市は静まりかえっていた。

昨日、発令された非常事態宣言により大規模な節電や食料が配給制になったからである。

食料を配給制にした影響で食品を仕入れられなくなったスーパーやデパート、飲食店などは大半が閉店、新聞はインクや紙が少ないのでいつもよりかなり枚数を減らされ、スポーツ新聞や芸能関係の新聞などは政府から資源のムダと発刊中止され、書籍なども大量の紙とインクを食うため禁止、もちろんトイレットペーパーやティッシュペーパーなどを含む生活必需品は全て配給制に移行、燃料もガソリン、軽油、ハイオク、重油に関する全てが配給制になっている。

しかも燃料は警察や消防、自衛隊などの公用車や鉄道やバス、物流業に優先され、タクシーや自家用車の配給はほとんどなかった。

また優先的に燃料は回されているが鉄道やバスも節電や燃料統制の影響で鉄道やバスも運転本数が大幅に減ってしまっている。

また、燃料や食料の統制は経済にも暗い影を落としている。

転移により卸売業や小売業、 宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業などの第三種産業の大半が休業、テレビやラジオなどの放送局も節電により放映時間が制限され、それにより芸能事務所なども営業を中止せざる終えなかった。

また先日の武装勢力(たとえ相手が国家でも国交は無いため武装勢力=テロリストの扱い)の侵攻により被害を受けたこともあり日本各地の海岸には陸自の地対艦ミサイル部隊や地対空ミサイル部隊が配備され、空自も高射隊を出動させ、各飛行隊を日本上空の至る空域に展開、海自は護衛艦や哨戒機で24時間体制で日本周辺に睨みを聴かしている。

特に東京の都心部には市民や在日外国人の暴動、武装集団の来襲に備え、至る所にSATや陸上自衛隊の装甲車が配置され、新型兵器の20式強化戦闘服パワードスーツを着た隊員が出動していて、かなりピリピリした雰囲気で厳重に警備され。

そして、ここ霞が関にある首相官邸の前には検問所が置かれ、戦車部隊、地対空ミサイル車輌までもが配置してあり、敷地にある池も水が抜かれヘリポートに変形して戦闘ヘリが着陸している。

元々ある高さ5メートル以上のコンクリート製防護壁や小窓が少ない造りも相まってまるで要塞の様であった。

そして、上条は地下の閣議室で大臣達と今後について会議していた。

「現在、捕虜の取り調べの結果、福岡に来襲した武装勢力はアカネイア神聖帝国から、硫黄島で捕虜にしたパイロットからはエルベディア共和国と言われる国から出撃したらしいです」
と海原が報告書を読み上げる。

「アカネイア神聖帝国とエルベディア共和国か」
と上条。

「しかし、どちらとも面識は無いそうで偶然、同時に日本に侵攻したそうで、両国共に領土が欲しかったようです」

「後先、考えずに侵略するなんて馬鹿かそいつらの国、大丈夫か?」
嘉納が疑問を口にする、

「さあ?エルベディアの捕虜から聞いた話しによると、この150年間、負け知らずだったらしく、今回も負けないと考えて空軍の戦力の半分を投入していたらしいです」

「エルベディア馬鹿だぁ〜」
思わず突っ込む上条。

「アカネイアのほうは捕虜は皆、詳しいことを聞かされていなかったらしくあまり有益な情報は無かったですね、ただ、彼らは魔法を使って特定の範囲内なら移動が出来るらしいのでその点は危ないですね」

そこへ、姫神が口を挟む、
「エルベディアの方はもっと危険。奴らの技術力は鹵獲した戦闘機や爆撃機。搭載していた装備からして。核兵器や長距離弾道ミサイルを所持していてもおかしくない」

姫神の言うとおり、エルベディアはこちら側(日本側)から見て西暦1950年代くらいの装備や機器を使用していた。

ということは第二次大戦中に開発された、核兵器や弾道ミサイルなどの戦略兵器を保持していても可笑しくなかった。

「確かに、その点は危険だが相手は一応、近代国家だぞ話し合いの余地はありそうだが」

榊が海原に質問する。

「現在、あらゆる手段を使って交信を呼びかけています、爆撃機や戦闘機に搭載されていた無線機やモールス信号も使い呼び掛けいますがまだ返信はありません」

「アカネイアの方は?」

「こちらはまだ技術力は中世ぐらいで通信手段が全く無いようでして、無いこちらから乗り込んでいくしかありません」

海原がそう言うと会議室にいた海原以外の全員が項垂れる。

「でも、悪い話だけじゃありませんよ」
と海原が言う。

「たとえばどんなこと?」
上条が訪ねる。

「はい、たとえば今朝、油田が見つかりました」

「「はぁ!」」
会議室にいた全員が驚愕する。

「いったい、何処で?」

「秋田や新潟、北海道にある旧油田や現在も細々と採掘をしていた油田から莫大な量の原油が吹き出しまして、専門家の言う話だとかなり質が良い物らしいです、あと同時に大量の天然ガスの副産物も見つかっています」

「・・・・・・・・・・」
唖然とする一同。

「あとは、海産物も以前とあまり種類は変わらないそうですので漁も可能だと言うことと、現在採掘をしていた鉱山からも何故か新しい鉱脈に当たったり、それまで確認されて無かった鉱石が見つかったりしたそうです」

「と、言うことは急いで大開発すればひとまず大丈夫ということか?」
と上条が言う。

「いいえ、いくら資源が見つかっても日本で産出できない種類があります」

例えば、天然ゴムやアルミニウム、タングステン、チタン、プラチナなどの工業に必要不可欠だが日本では産出できないのでこれらが問題だと海原は言う。

「では、そこは海外に進出するしか他は無いな」

榊が呟くとそれを聞いた他の大臣達も頷く。

そこへ、白井が、

「偶然、昨日、海自が択捉島沖で保護したガリア公国と言う、国の軍艦にガリアの宰相が乗っておりました。何らかの会談をすべきと私は考えますが?」

「早急に国交を結ぶべきだな、嘉納さんは今すぐに択捉島に行けますか?」
上条が嘉納に訪ねる。

「ええ、大丈夫です、こんな国難の時に嫌だとは言えませんからね」

「それじゃ、そのガリア公国?だっけ?、その国の相手は外務省に頼みます」

「では次に合成食料の配給についてですが」






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