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未知との遭遇part1


4月1日午前6時 福岡県福岡市 中心部


まだ日が昇って間もない時、市街のいたる場所から炎が上がり
道に転がる遺体から流れる血によってアスファルトは赤黒くコーティングされていた。

機動隊の特殊車輌やパトカー、一般車輌を集めバリケードにした陣地の前には西洋の甲冑を着こんだ兵士やフードを被り、本を片手に持つ兵士?らしき遺体が堆く積まれている。

中にはファンタジー作品で良く目にする火竜や飛竜の遺体も数体ある。

福岡県警機動隊第3中隊の中隊中隊長である「黄泉川 愛穂」警部は自身も腕を負傷しながらも銃を握っていた。

出動命令が出たのは今から40分前、市街に謎の武装集団が現れ市民を襲っていると県警本部に連絡があり出動したところ、相手はただの武装集団ではなかった全身を甲冑に身を包んだ者やフードを着て火の玉や謎の黒い塊を飛ばす物、現実には存在しないドラゴンなどが市民を襲っていた。黄泉川の中隊は総勢で49人いたが、現在は30人にまで減り、残りの30人のうち半分は負傷しており、圧倒的な物量で迫る武装集団に彼女達は追い込まれていた。

「なんで自衛隊はまだ来ないじゃんよー!」
黄泉川が同僚の鉄装 綴里に愚痴る。
「市街の数ヵ所に武装集団が突然出現して幹線道路が制圧されたのが理由で到着が遅れているそうです」

「市民の避難はあとどれぐらいで終わるじゃん!」

「あと最低でも10分はかかります」
ともう一人の同僚 才郷 良太が言う。
「くそ!あと10分もつか分からないじゃん」

この時、黄泉川には退却するという選択肢はなかった。彼女達が退却すると市街中心部から逃げる避難民が逃げ切れずに武装集団に襲われてしまうからである。

黄泉川達が話していると武装集団が現れる。

「中隊長!、来ました!人数は100人以上、竜を15体確認!」

「もう来ないでくれじゃん!」

甲冑やフードを着た集団と赤い鱗に覆われた火竜、空からも飛竜が迫ってくる。

「射撃開始! 奴等を一人も通すなじゃん!」
彼女がそう号令すると隊員達は一斉にMP5や89式5.56mm短小銃の引き金を引く。

そして、武装集団に惜しげもなく銃弾が放たれていく。

次々と肉片に変わる兵士達や火竜、しかし彼らも殺られっぱなしではなかった。
仲間の死体に隠れる様に移動し陣地に近づいた一人のマージが本を開き呪文を唱えると、陣地の向こうにいる一人の隊員の足元が黒くなり、謎の黒い球体が飛び出す、球体は隊員を呑み込むと消え、吸い込まれた隊員が倒れる。しかしその隊員の呼吸は既に止まり死んでいる。

「くそ!あいつを狙え!一定の距離に入って来なければ球体は出して来ないぞ!」

一ヶ所に向けて一斉に放たれた銃弾により仲間の死体に隠れながら近づいた一人のマージがあっという間に肉片に変わる。

隊員達がMP5や89式5.56mm短小銃により張られた弾幕により兵士達は次々に死体に変わっていく、隊員達はこのまま増援が来るまで持ちこたえてくれと願う。
しかし空から飛竜が迫り火のブレスを吐く、数名の隊員が炎に巻かれ全身が火だるまになる。

「熱い!誰か、助け・・・!」

それを見た隊員が飛竜に向けて銃弾を撃ち込み飛竜も鱗を飛び散らし肉片になる。


「隊長!、このままでは!」
一人の血だらけ隊員が黄泉川に 言う。

黄泉川が辺りを見回すと隊員達の半分は負傷しながらも銃撃を続ける。

黄泉川達が着ている防刃チョッキは武装集団が放つ矢や剣、槍を防ぐが、それでも守りきれない頭や腕、足などに怪我をしている。


中には片腕を負傷し拳銃で応戦する物や弾を撃ち尽くしたのか防弾盾ライオットシールドと警棒でバリケートによじ登る敵に応戦する隊員もいる。

一人隊員が叫ぶ、
「敵増援を確認!」
目の前にまた数体の火竜と兵士の増援が迫ってくる。

「畜生、俺たちが全滅すれば・・・・」才郷が呟く。

黄泉川も絶望感に彩られた声で呟く。
「いったいコイツらは何なんじゃん」







午前6時40分 択捉島沖太平洋
「すずなみ」

海上自衛隊千島地方隊所属の護衛艦 たかなみ型護衛艦5番艦DD-114「すずなみ」とふぶき型護衛艦3番艦DD-151「こなゆき」は択捉島周辺海域の調査をおこなっていた。

第三次世界大戦後に返還された北方領土は今まであまり開発されていないこともあり、豊富な資源や豊かな漁場に恵まれている。
戦後に政府と民間が一体となって移住と開発が行われ、レニウム鉱石や鉄鉱石の採掘業者や水産業者、職を求む人などが多数移住。
現在は最大の島である択捉島を中心に発展しており、現在、択捉島の人口はロシア人も含めて10万人を超えている。

海上自衛隊や海上保安庁も留別に旧ロシア海軍基地を改修した「留別基地」を中心に活動してし、陸上自衛隊や戦略自衛隊は小田萌山の麓に作られた小田萌駐屯地に駐屯している。
北部のラッキベツ岬には戦略自衛隊の訓練場も設置されている。


「すずなみ」艦長『安部 十郎』二等海佐はCICではなくのんびりとした雰囲気の艦橋にいた。

特に海域からは何も見つからず司令部からは待機と命令を受けて、艦長を含む船員達は暇をもて余していた。

「艦長」
と、航海長の安田一等海尉が話しかけてくる。

「どうした、安田」

「暇ですね」

「しかたあるまい、ただでさえ空自のレーダーサイトが故障している影響で周囲からの脅威が全くわからないのだからな、警備を多くしたいのだろう」

「確かに警戒するのはわかりますがただ何もせずにじっとしてろとは酷いですよね」

「しかたあるまい」
二人は小さく笑う。

「そういえば艦長・・・・・」
安田が何かを言おうとした時、

『CICより報告・レーダーに感。3時方向より距離80マイル・・未確認船複数。速力18ノット!』

安部はインカムのスイッチを入れ、
「識別符号に反応は?」

「反応ありません」

安部は舌打ちをすると、
「そのまま監視を続けろ!機関全開。目標に接近し、接触を試みる、念のため乗員を戦闘配置に就かせろ」

「はっ!」

警報音が艦内に流れ、乗員達が慌ただしく自分の持ち場に移動する。

『艦長!』

CICのオペレーターが緊迫した声で安部に連絡をしてくる。

「どうした!」

「未確認船同士が戦闘を行っている模様です!」



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