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新たな世界part2
4月1日午前5時00分〜首相官邸地下 災害対策センター〜



災害対策センターでは深夜にも関わらず集まった職員達や各省庁の関係者達が次々に送られてくる情報を前に寝食を忘れて働いていた。


対策センターの奥の方にある会議室では安全保障会議が開かれ、そこには総理大臣《上条当麻》、官房長官《海原光貴》、外務大臣《嘉納太郎》、財務大臣《榊是親》、防衛大臣《姫神秋沙》、国家公安委員会委員長《白井黒子》の6人が集まっている。


「以上が自衛隊と海上保安庁、JAXAの報告になります」


海原が先ほど届いた日本周辺の調査報告書を読み上げる。


報告書には簡単に説明すると、全ての領土の無事が確認され、領域内の艦船や航空機とも連絡が付いた。


(領域内の艦船や航空機には外国籍の物が多数混ざっており中にはアメリカ籍のスーパータンカーやウクライナのヴォルガ・ドニエプル航空のAn-124「ルスラーン」、世界最大の航空機An-225「ムリーヤ」も含まれている)


そして航空機の偵察により、日本以外の大陸や島が消え、新たに日本領海内で以前は無かった岩礁や島々が見つかったことや、日本国外からは以前の世界では使われていた物と違う周波数の通信や電波が確認され、人工衛星も日本も含め全て消えてしまっていた。


結論から言うと原因はわからないが、日本は地球とは別の惑星に転移してしまった。


「この報告内容が真実なら日本は異世界に飛ばされたと言うことになります」


海原が報告書を読み終え、室内
を見回すと何故か全員、空気読めと言いたくなるぐらい、いつも通りにのんびりとしている。


「日本が異世界に転移したのなら。焦っても。しかたない」
姫神がのんびりとそんなことを呟くと他の大臣達も全員頷く。


「ひとまずこれからどうするか方針を決めますか?」
と上条もいつもどおりにのんびりと言う。


何故か上条が率いる内閣の人間は危機感が薄いと言うより危険なことに慣れてしまっている人が多いためどんな時ものんびりとしている。


「まず。問題になるのは。食料」

と姫神が言う。


「米なら。備蓄米を含めればいくらでも大丈夫。でも。それ以外の大豆や小麦。砂糖。香辛料などはすぐに不足する」


現在、日本の食料自給率は第三次大戦後に行った農業改革により60%まで上昇したが、いまだに小麦や大豆は殆どをアメリカに頼っていた。砂糖も需要の半分しか生産していない。


「当分のあいだは。魚や米、いも類かもしくはとても不味い合成食品が主食になると思う。私からは今すぐに。海産物の調査と増産をすべきと提案する」


「なんか貧乏だった学生時代を思いだしそう、ていうか合成食品てそんなに不味いの?」


「知らない。自分で食べて確めて」


次に海原が発言する。


「資源の方もかなり問題ですね、石油やその他の資源の備蓄量はそこまでありません。


ですので、今からでも燃料統制を行うようお願いします。経団連や石油会社には私から話を通しますので」


「燃料が無いってことは電気の方は大丈夫なのか?」


「電気も危ないですね。以前の原発問題の影響により我が国では火力発電が主力です。燃料の問題が解決するまでは大規模な節電の実施が必要ですね」


現在、日本では原子力発電は電気生産量の10%代まで下がり、代わりに火力発電や風力発電、地熱発電に力を入れており、現在は火力発電が65%とかなりを占めている。


「はぁ〜3・11を思い出しそう」

上条はため息をつきながら昔のいやな思い出を思い出す。


2011年3月11日、学生寮のエレベーターに丸一日閉じ込められたことを。


「自衛隊には優先的に燃料を回してほしい」


「わたくし達、公安や警察にも治安維持のため、お願い致します」


そんなこと露知らずの姫神と白井が燃料の注文をする。


次に白井が発言する。


「総理、ひとまずは厳戒令を発令したらいかがでしょうか、わたくしが考える限り、今回の事態により治安の悪化は避けられないと思われます、暴動が起きた場合に備えるべきとわたくしは思いますが」


「確かに日本が異世界に転移しましたと言えばなにかしら起きるかもしれないな、それじゃ陸上自衛隊と警察は日本中に出動させますか」


「わかりましたわ」


次に嘉納が発言する。


「在日外国人についてはどうしますか?」


「あぁ外国人ね、すっかり忘れてた(汗)」


「私が考える限り、外国人達は母国を失ったことによりなにかしら行動を起こす可能性があります、なんらかの対策を打たなければなりません」


「対策と言いましてもね?う〜んそれはあと回しにしましょう現状ではそれより優先することが山積みですからね」


上条はかなり適当に嘉納に返した。上条からすれば今は後から日本に来た。少数派の外国人の相手より元々日本に住んでいて大多数を占める日本人の方が優先的だからである。


「あと、外務省は各大使館に今回の事態についての説明をお願いします、あとは榊さ「総理!」」


突然、上条が話している途中、血相を変えた一人の職員が慌てて飛び込んでくる。


「いったい何がどうしたんですか?」


「福岡に謎の武装集団が襲撃してきました!」


「「なに!」」


※姫神が言っていた「合成食品」はマブラヴオルタネイティブに出てくる物と全く同じです。詳しくはマヴラブ本編を見て確かめてください。


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