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中学生自殺 両親の訴え認めず
7月9日 20時39分

中学生自殺 両親の訴え認めず
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7年前、中学1年生で自殺した埼玉県北本市の女子生徒の両親が、「いじめが原因だった」と市や国を訴えた裁判で、東京地方裁判所は「悪口を言われることなどはあったが、それが『いじめ』とは認められない」と判断し、両親の訴えをすべて退ける判決を言い渡しました。

この裁判は、平成17年に埼玉県北本市の中学1年生だった中井佑美さんが自殺したことを巡り、両親が「いじめが原因だった」と主張して、北本市と国を訴えたものです。
自殺のあと、学校側が「いじめはなかった」と両親に報告したことなどから、裁判では、十分な調査が行われたのかどうかや、「いじめ」があったのかどうかなどを巡って5年余り争われました。
判決で、東京地方裁判所の舘内比佐志裁判長は「女子生徒は、クラスで悪口を言われたり、上履きがげた箱から落とされたりしたことはあったが、それが『いじめ』とは認めることができない。今回のケースでは、多感な中学1年生が自殺した原因を具体的に特定するのは極めて困難だ」と判断し、両親の訴えをすべて退けました。

“いじめがどんなものか分かっていない”

判決のあと、亡くなった中井佑美さんの父親の紳二さんは会見で、「いじめには複合的な要素があり、コップの水がどんどんたまっていくようなものなのに、裁判所はその一滴一滴を見ていじめを否定している。いじめがどんなものか分かっていない」と話しました。
また、母親の節子さんは「佑美にいい判決が出たと報告できなくて残念です」と声を詰まらせ、弁護団は控訴することを明らかにしました。
一方、文部科学省は「これまでの国の主張が認められたと考えられるが、児童生徒がみずから命を絶つということは決してあってはならない。引き続きいじめの防止や自殺の予防への取り組みに努めていきたい」とするコメントを出しました。
北本市の小尾富士雄教育長は「主張が認められましたが、本市の中学校に在籍していた生徒がみずから命を絶ったという悲しい出来事は、判決がどうであれ、変わりません。謹んでご冥福をお祈りします」というコメントを出しました。

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