現代日本のデモ:「何となく」で参加 國分功一郎さんに聞く
毎日新聞 2012年07月11日 東京夕刊
普段は秩序だった暮らしを営む人々が、政治や社会に不満を抱いて行動を始めると、暴走して統制できなくなるかもしれない……。デモは人々にその事実を突き付けます。現在の体制や秩序は、権力の側が努力を怠れば壊れるということを示している。その意味で、デモは民主主義のためのものというより、民主主義も含めた制度の外にあるのではないでしょうか。
デモで何かが変わるのかと、有用性を問う声もあります。しかし、デモの存在は、現状に疑問をもっているけれどもうまく表現できずにいる人を勇気づけ、次の行動につながります。
他方、原発に対する意見をきちんと表明している言論人が少ないことが気になります。また、「セクトが復活するのではないか」とか、逆に「抗議行動にしては整然と行儀がよすぎる」など、さまざまな意見があります。しかしデモの形は多様であっていい。
何か政治や社会に問題があれば集まるという行動は、これからの日本にカルチャーとして根付くのでは。絶えずどこかでデモが行われているということが、社会に変化をもたらすのではないでしょうか。【聞き手・手塚さや香】