45)裁判所はもう警察・検察の言いなりにならない(11年7月25日)

山口組のナンバーツーである若頭・高山清司被告は去年11月、京都市内の建設業団体幹部からみかじめ料として4000万円を恐喝した容疑で逮捕、同年12月に全面否認のまま起訴されたが、不思議なことにその後8ヶ月たった今なお裁判は始まらず、京都拘置所に勾留され続けていた。
その間、高山被告は腰痛と糖尿病が悪化し、何度か保釈を申請したが、京都地検が反対し、保釈は実現しなかった。
ところがこの19日、京都地裁は病気を理由に勾留の執行停止を決め、20日にはこの決定を不服とした京都地検の準抗告も棄却した。これにより高山被告は1ヶ月間釈放され、京都市内の病院に入院した。
高山被告の逮捕、拘留は警察庁・安藤隆春長官の「弘道会、山口組弱体化」号令に応えた大金星の摘発なのだが、一連の流れを見ると、京都府警、京都地検はまともに公判を維持できるのか、高山被告を有罪に持ち込めるのか、危うさを感じる。
本来、恐喝事件は恐喝したか、しなかったかであり、その立証は簡単なはずである。だが、高山被告の場合、恐喝の現場に立ち合っていず、カネを受け渡す場にも登場していなかった。
実際に恐喝したとされるのは山口組直系、淡海一家(滋賀県大津)総長・高山義友希被告ら3人である。高山若頭逮捕の理由は同人が被害者との会食に同席した際、「高山総長とよろしくな」と言った言葉、並びに淡海一家の組員が被害者に吐いた言葉「名古屋の頭(高山若頭を指す)に届けるから1000万円以上は持ってきてくれ」など、間接的な証言に留まっている。
高山被告を有罪に持ち込むためには、少なくとも淡海一家が恐喝したカネを高山被告に渡したことを証明しなければならないが、銀行振込でも使っていないかぎり、証明は難しいはずだ。周知のように暴力団は現金手渡し主義で、振込はまず使わない。
立証が難しいからこそ起訴して8ヶ月も高山被告の勾留を続け、そのくせ公判開始に至らなかったのではないか。換言すれば、裁判による判決の前に、警察は逮捕・勾留の形で、容疑者に対して実質的な刑を執行できる。
これまで裁判所は検察の言い分を追認してきたが、今回の高山保釈は裁判所が独自路線を採ることの表明ではないか。場合によっては検察が望む有罪判決さえ出さない可能性がある。
相手が暴力団だから、世論は警察批判もしないし、暴力団に同情もしないが、警察、検察の現状は健全でも合法でもなかろう。

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