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【大相撲】

日馬 連覇で人命救う 懸賞金でモンゴル医療に貢献

2012年7月13日 紙面から

隠岐の海(右)を寄り切りで下し、無傷の5連勝を飾った日馬富士

写真

◇名古屋場所<5日目>

 (12日・愛知県体育館)

 横綱白鵬(27)=宮城野=が新小結の妙義龍をはたき込みで退け、全勝を守った。6大関は初日以来の安泰。把瑠都(27)=尾上=は安美錦を押し出し、日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は隠岐の海を寄り切って、ともに5連勝とした。前日に不覚を取った稀勢の里は小結豊ノ島を押し出し、旭天鵬を寄り切った琴奨菊とともに4勝目を挙げた。琴欧洲も史上初のブルガリア出身対決で碧山を寄り倒して4勝1敗。鶴竜は若荒雄に辛勝し、白星を先行させた。幕内の勝ちっ放しは白鵬と2大関に、舛ノ山ら平幕3人を加えた6人のまま。

     ◇

 横綱白鵬の8連覇を阻止した2度目の優勝から1年。あの歓喜をもう一度とばかり、大関日馬富士は右手中指の痛みを押して無傷の5連勝。隠岐の海をもろ差しから慎重に寄り切った。取組後、右手を少し気にしたが「大丈夫。一日一番だから怖いなんて言ってられない。全身全霊で取れば問題ない」と胸を張った。

 先場所後の5月下旬。日本・モンゴルの国交樹立40周年で、白鵬らモンゴル人力士と一緒に帰国し、数々のチャリティーに出席。モンゴルの心臓病の子どもへの医療支援NPO「ハートセービングプロジェクト」の会員である日馬富士。使わなくなった救急車や消防車が神奈川県厚木市から首都ウランバートルへ贈られた際には贈呈式にも参加。「みんな喜んでた。多くの人の命が救われる」と目を細めた。

 「帰国するたびに景色が変わっていく」。目覚ましい母国の発展を実感する中、地方に行けば、まだ貧しい人たちも多い。「病院が不足しているし、施設も古い。頭を下げて、その子の命が救えるならたくさんチャリティーをしてあげたいと思う」

 慈善活動に積極的に参加するきっかけは、2006年に交通事故で亡くなった父、ダワーニャムさんの言葉だった。「着るもの、食べることが不自由なくできるようになったら、次は人のために尽くしなさい」。そう諭されて以来、自らの懸賞金をモンゴルの地方での検診活動の費用などに充てている。

 史上初の6大関時代。自らの存在が埋もれそうになる時も、歯を食いしばって頑張っていくことが子どもたちにとって最高の激励になる。「いつかモンゴルに病院を造りたい。それが夢」

 まだ5日目。優勝争いはこれからが本番。「もっと集中して大事な一番に備えたい」。名古屋連覇へ、さらに気持ちを引き締めた。 (竹尾和久)

 

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