さらなるご都合主義。そしてまだ一回もデュエルしていないという展開の遅さ。
第3話 受験まで
あの契約の日から一週間ほど経たった。
もとの世界への帰還に関して僕にできることはないので、これからのことの考えた結果、デュエル・アカデミアに通うことをとりあえずの目標とすることにした。
デュエルモンスターズ。それはペガサス・J・クロフォードにより設立されたインダストリアス・イリュージョン社より発売されているトレーディングカードゲームであり、この世界においてすさまじい影響力を持っている。
信じられるかい?カードゲームによって企業の業績やらが左右されたり、エネルギー問題を解決したり、挙句の果てには地球どころか全宇宙が消滅の危機に瀕したりするんだぜ?
デュエル・アカデミアとはそんな影響力の高いDMのデッキを持ち闘う者「決闘者」を養成する専門学校なのだ。
帰れないという最悪の事態を想定した場合、この方面である程度の成績を納めておくのは必ず将来の糧となるはずだ。
アカデミアに奨学金制度が充実していてよかった。流石社長だ。
入学試験は間近に迫っており、幸いにも受験申し込みはギリギリ間に合うことができた。その時気付いたのだけど今年の試験は2004年度らしい。
つまりは奇しくも遊戯王GXの主人公の入学と同じ年というわけだ。町の名前とアカデミアの存在からおそらくは遊戯王GXの時代に来たのだろうとあたりを付けていたがまさか同学年になるとは。
いや、原作の主人公たちがいるとは限らないか。並行世界って可能性もあるし。
まぁどちらでもいいや。
とりあえずこの世界で生きる上で僕の最大のアドバンテージは所有しているカードの質と量、そしてカードに関する知識だ。
そもそもこの世界ではデュエリスト人口が多すぎて、大多数の人に十分なカードが供給されていない。また、レアカードの絶対数が少なすぎてその存在すら知らない人も多い。
遊戯王が僕の世界で所以資産ゲーと揶揄されていた事実からも分かるように、カードゲームというのは所有しているカードによって勝敗がわかれる要素が強い。また、それと同じくらいにカードに対する知識が大切である。
そこまで考えた際に、知識に関しては兎も角、カードに関してはとある問題を抱えていることに気付いた。
「この時代にまだ出てないカードとか使えるのだろうか?」
正直使えない可能性のほうが高いが、この時代にはまだ出ていないであろうツアーガイドの精霊が存在する以上、可能性は無きにしも非ず。
わからないのだから試すしかない。そうやって人類は進歩してきたのだから。
「でゅえるでぃすく?あ~、ちょっと待っとくれ。確かあそこにしまったような・・・」
アパート管理人のおばちゃんにデュエルディスクの入手法について聞いたところ、おばちゃんの息子が使っていたというデュエルディスクを物置から引っ張り出して来てくれた。
もう使うこともないだろうしとのことで譲ってもらう。
ありがとうおばちゃん。良い人やで
誰かに見られるわけにもいかないので、翌日の早朝に人気のない河原へ移動。
周りをざっと見回してみる・・・・。うむ、誰もいないな、デスルークデーモンに跨り、八汰烏を隣に侍らせここまでついてきたツアーガイド以外は。
「ってなんでだよ!!」
今までは黙っていたけどもう無理だ。
来るなら普通について来てくれよ!
というかお前が効果で呼び出せるのはレベル3の悪魔族モンスターのみじゃなかったのかよ!八汰烏は特殊召喚できないという制約を無視して呼び出してるし・・・
そんな世の中の理不尽に憤慨する僕の様子をなにこの馬鹿な人みたいな目で見ているガイドさん。
もういい、もういいよ!気にしたら負けなんだろ!
僕以外には彼女たちの姿は見えないし触れないようだから、はたから見たら確かに僕の方が変な奴になるのだろう。あっ、十代には見えるのかな。
気を取り直してデュエルディスクをセットする。
まずはこの時代でも存在するカードを使っての確認作業からだ。
「よし!魔導戦士ブレイカ―を攻撃表示で召喚!!」
高らかに手を振り上げ、ブレイカ―をディスクにセットする。
さながら気分は王様だぜ。
・・・・・・・・・・
なにも起きない。
あれ?
「何故なんだ?まさか壊れてるのかこのデュエルディスク・・・」
違いました。ディスクの電源入れるのを忘れてました。
これは恥ずかしい!!召喚!(キリッ なんてかっこよくポーズまで決めたのに何も起きないなんて。
横でガイドが腹を抱えて爆笑している。
ちくしょう!ちょっと間違えただけじゃないか!!
二回目の挑戦で見事に成功。
ソリットヴィジョンに関しては素直に科学の力ってすげーと感心したのだが、いかんせん僕の横でまだ笑い転げている悪魔娘がポンポンと悪魔族モンスターを呼び出すからなんというか新鮮味がないな。
さて、本題はここからだ。
まずはまだこの時代に出ていないモンスターからいってみるか
「よし、手札よりジャンク・シンクロンを召喚!!」
派手なエフェクトと共にジャンク・シンクロンが現れる。よかった、成功した。これで失敗でもしていたらもう恥ずかしくてお婿にいけなくなるところだったよ。
「おっけ。んじゃさらにボルト・ヘッジホッグを召喚する!」
「そしてレベル2のボルト・ヘッジホッグにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!」
ジャンク・シンクロンが光に溶け、3つの輪となり、ボルト・ヘッジホッグの周りを囲む。
「集いし星が新たな力を呼び起こす。光さす道となれ!シンクロ召喚!いでよ、ジャンク・ウォリアー!」
強烈な光と共に特徴的な丸い赤目をしたジャンク・ウォリアーが現れる。
「おぉ、できましたか・・・」
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この後もいろいろ試してみた。
エクシーズ召喚もできるとは思わなかったよ。
ただ三幻神とか三幻魔、地縛神なんかは怖くて召喚できなかった。
というか僕これ持ってていいのだろうか。
まぁこれで組めるデッキの幅はかなり広がった。
とりあえずは見つかったら厄介そうなカードや、シンクロやエクシーズもなるべく人前では使わない方針でいこうと思う。
さてさて、最大の問題も解決したことだし試験に向けてデッキを調整するとしますか。
この後デッキ調整に夢中になってガイドへの献上品を買い忘れた僕が彼女の折檻を受けたことはまた別のお話。
知識に関してはOCG効果とアニメ効果で違いがあるのですが、基本OCG準拠ということで。
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