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処女作。亀更新の上に展開がかなり遅いと思われます。

遊戯王GXの時代ではなかったカードを使用するため、気になる方はプラウザバック推奨。
シンクロ、エクシーズは使えますが基本自重。
基本的にOCG準拠ですが、アニメやTFのオリカを使用するかも。TFキャラは出す予定。

また手探り状態での執筆なため、誤字脱字文法ミスはデフォルト、内容にも矛盾が生じるやもしれません。


主人公 一之瀬 彰(いちのせ あきら)


主人公の名前なんてどうでもいいから前書きで紹介しときます。
プロローグ

「そこのバス!ちょっと待ったぁああああああああああああああああああああっ!!」

冷たい雨が降りしきる暗い夜道を、その雨音に負けぬよう叫びながら疾走する。

重い荷物を抱え、雨の中を走っているのだ。当然息も切れ切れ、傘も本来の機能をほとんど果たしておらず、体はただ雨にうたれるがままになっている。

僕がそんな状態を捨ておいてでも走っているのは至極簡単な理由、時間がないのだ。

ようやく目の前に視認できたバスが今にも発車しそうなのだ。

普段の僕は時間というものを大切にし、集合時間に遅れるなどといった失敗はしない。

特に今回などは地元を離れ、憧れである都会の高校へと進学するために一人暮らしを始める、その第一歩目なんだ。僕の人生で間違いなく上位にランクインする出来事に違いない。
事前の準備を怠るわけがないし、今日のタイムスケジュールだって完璧に計画したはずだった。

それなのに遅れた理由は単純。想定外のイレギュラー。

人間は古来より自然の力には敵わない。

随分と大袈裟なことを言ったが、つまりは僕の住んでいる地域周辺に局地的な豪雨が襲い、雷が落ち、我が家で停電が起きただけのこと。

そしてそれがちょうど僕が家を出ようとした時間帯に重なっただけのことだ。

畜生、石原○純めっ!朝の天気予報ではこんな雷雨が降るなんて聞いてないぞ!!

電力の復旧自体はすぐに行われた。それはいい、うん、それはいいんだよ。さすが日本人、仕事が早いね。

問題はそのわずかな時間に起きた悲劇なのだよ。

その時僕は出発前に最後の荷造り確認をしていたんだ。まぁ荷造りといっても服やら生活用品は前日に発送済みなので、持っていくのは数日分の服といったお泊りセットの類のわけなんだけどね。

それともうひとつ、持っていかなきゃならないものがあったんだ。
この話題について引っ張る必要もないからさらりと言うけどカードなんだよね。うん、遊戯王カード。

君たちも少年のころにやった事なかったかい?カードゲーム。 

僕も周りの友達の影響で始めたんだけど、その魅力にどっぷり嵌まり、現在までに至るわけだ。
長年やっているということはその年月に比例して所有しているカードも増加していく。

その結果が今目の前に散乱している大量のカード群なわけだが・・・。

すまない、僕としたことが焦って先走ってしまった。何が起きたか説明しよう。

停電→部屋真っ暗→僕パニック→何か蹴飛ばしたような?→数分後電力復旧→部屋が明るくなる→目の前に散らばる大量のカード←今ココ!

うん、カードケース蹴飛ばしたみたいだ。わかるかい?わかってくれるかい?

例えるなら完成間近のドミノを誤って倒してしまった時のようなこの虚しさと切なさ、そして一抹の寂寥感を・・・。

「うわぁ、やってしまった・・・」

これでも僕の所有しているカードの一部なのだけど・・・それでもひどい有様だ。

ほとんどのカードは前日他の荷物と一緒に送ったのだが、送りきれなかったのがこの床に散乱しているカードだ。わざわざ無駄な金払わずともこのくらいなら自分で持っていけると考えた三日前の自分を殴ってやりたい。

後悔後先立たず、覆水盆に返らず・・・いや、この場合は水ではなくカードなのだからケースに返せるか・・・ってこんな馬鹿なことを考えている場合じゃない。

出発予定時刻までもう時間が無いし、さっさと片付けなきゃ。
なにより停電や豪雨で交通機関になんらかの影響が出ているかもしれない。

~~~~~~~~~~

今回の引っ越しの際、無駄な失費は避けるべきという方針の元に夜行バスを利用するという選択をとってしまったのは失敗だったかもしれない。

バスの停留所まで家から若干と評する以上の距離があるのだ。
こんなことになるならば金を惜しまず新幹線でも利用すればよかった。

まぁ結果論なのだけどね。豪雨やら停電やらが起きてカードばらまいて遅刻なんて予想できるはずもないし。

そんな益体も無いことを考えながら駆けること十分程、停留所手前まで来た僕の目に映ったのは今にも発車しそうなバスの姿。

周りに他の車両も見えないし、おそらくあれが僕の乗る予定のバスだろう。

「そこのバス!ちょっと待ったぁああああああああああああああああああああっ!!」

こんな初めの一歩で「僕の満喫一人暮らしライフ」が挫かれるなんて嫌だ。
スタートくらいは心地よくきりたいよ。

「お~い!待ってくれぇええええええええええええええっ!!」

そんな僕の魂の叫びが聞こえたのか動き出したバスが停車する。
その様子に安堵しながらバスに駆けよると、ブザー音と共にドアが開き、中から赤毛の小柄な少女が出てきた。レディーススーツに洒落た帽子といった外見を見る限り社員さんなのかな?

どこか悪戯めいた猫のような感じのする子だ。

ただその帽子と肩から掛けているバッグに付いている禍々しい髑髏の装飾が気になるよ・・・。
うん、彼女の印象や雰囲気に合っているのは認めるよ?認めるけど、少なくとも仕事着に付けるようなモノじゃないと思うんだよ僕は。

それにしてもこの子・・・どこかで見たことあるような・・・

そんなことを考えながら彼女の背を追いバスの中に乗車する。すぐに僕の背後でドアが閉まる合図のブザー音が鳴り、バスが発車した。僕まだ乗車券渡してないんだけど・・・

「えっとこれ乗車券です・・・」

とりあえず乗車券を渡そうとするが、彼女はそれを無視してどこぞの不思議な国のチシャ猫のようにニヤニヤ笑いながら僕を席に誘導する。

先ほど雨にうたれながら馬鹿みたいに叫んでいたことを笑われているのだろうか・・・。

恥ずかしい!!やはり女性に、よりにもよって確実にかわいいと分類されるような女性に失態を見られるというのはこの年頃の男としてかなりキツイものがあるよ!!

その羞恥ゆえに僕は顔を俯け、席に座ったと同時に仕切りのカーテンを閉め、さらには茹った顔を隠すために座席に用意されていたブランケットを頭から被り、そのまま寝た。寝てしまった。

それゆえに僕は気が付けなかった。

例えば乗車客が自分以外誰もいないこと。

例えば運転席に誰もいなかったこと。

例えば母から自分の乗るバスは運行中止になったという旨のメールが来ていたこと。

そして行き先表示幕に書かれていたこと。

しっかり確認していればこう表記されていたはずだ

現実発異世界方面行
初めのタイトルは現実発魔界経由異世界方面行でしたが、読みにくい上に魔界というワードを上手く絡められずに現在のものに。

誤字や脱字、文法ミスは見つかり次第修正致しますのでご指摘くださいな。


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