【ED タチのいい話、悪い話】勃起障害自覚、30代から急増

2009.12.25

 男性が加齢に伴ってED(勃起障害)を自覚する頻度はどれぐらいか。東京歯科大学市川総合病院・泌尿器科の丸茂健教授が約1500人を対象に行ったアンケート調査では、年代ごとに次のような頻度で増加することが分かっている。

 「20代1.8%」→「30代2.6%」→「40代8.6%」→「50代20%」→「60代41.7%」→「70代64.3%」。

 加えて、その対象者に治療している病気(高血圧症、心臓疾患、糖尿病、高脂血症)を聞いたところ、他の病気と比べて30代から有病率10%前後の伸びで急増していくのが「高血圧症」。それに伴い「心臓疾患」の発症が50代から増えてくる。

 「高血圧はもっとも動脈硬化を進行させるEDの最大の危険因子。心臓に血液を送る冠状動脈の狭窄の程度とEDの発症は相関することが分かっています。高血圧の人でEDを発症したら、5〜10年後に狭心症や心筋梗塞(こうそく)などを発症する可能性が高くなるので要注意です」(丸茂教授)

 厚労省が3年ごとに行っている患者調査によると、主な慢性疾患の中でも高血圧性疾患の1日の治療者数は約60万人(08年調査)とダントツに多い。

 高血圧の人がEDになりやすいのには、服用している血圧降下薬の副作用(末端の陰茎動脈に行く血圧も下がる)にもその要因があるという。

 1500人対象の調査では、糖尿病と高脂血症の有病率は年代とともにゆるやかに上昇し、70代でも10%以下だ。が、動脈硬化の危険因子であることには違いない。

 血糖コントロールが悪いと神経障害と動脈硬化を進行させる糖尿病患者のED合併率は国内外でいくつも報告されているが、大まかな発症頻度は約30%ほどだ。

 高脂血症とEDの関係では、血中の善玉(HDL)コレステロール値が60(ミリグラム/dl)以上の人は30(同)の人と比較してED危険度が0.3倍と低い。一方、血中総コレステロール値が240(同)以上の人は180(同)未満の人と比べて約2倍高くなるという報告がある。

 「ED治療薬は85%の人に有効だが、中高年は生活習慣病の治療.管理も怠りなく」と丸茂教授。メタボおよび予備軍なら勃起の具合を確認しよう。