ザイン問題の概略
2005年夏の報道により、ザインの存在は世間に認知されたわけですが、
その報道の内容は「奇怪な儀式」「霊感商法」といったものが主でした。
しかし、ザインという教団が内包する問題は根深く多岐にわたり、
私の力不足もあって、そうした問題点を
十分に取り上げるには至っていないのが現状です。
そこで、ここでは「謎の教団」ザインの概略、そして教団が持つ問題点を
当事者の視点も加えつつ、できる限り分かりやすくご説明させていただきます。
ザインは1980年代末に、教祖・小島露観とその妻緑姫、
そして当時の取り巻きにより誕生しました。
神智学を元ネタに、数々の思想や文献、小島自身の実体験をミックスした
「神文学」を開き、現代を革命する思想を提示したのが始まりです。
その後、「銀河皇朝軍」を結成し、「株式会社ザイン」を設立、
効果などないパワーストーン「核石」をはじめ、
薬事法に抵触すると思しきものなど、様々な商品を販売するようになり、
少しずつではありますが組織を拡大していきました。
小島露観は、「世界をザインの下に統一し、帝國を築く」と宣言し、
その野望を実現するために、TVでも取り上げられた「剣修練」「儀式」を
教団の草創期から行ってきました。
さらに1992年頃、小学館より発刊されたオカルト雑誌「ワンダーライフ」に
教団が取り上げられ、編集長と、ある編集部員がザインに取り込まれることとなりました。
教団を大きく取り上げた紙面を見た一部読者が入会に至り、その中には
今なお教団に在籍し、(株)ザイクス社員として力を振るっている者も少なくありません。
それだけなら、単なる「反社会的な思想集団」で済むのですが、
教団名を「古代帝國軍」と改称した時代には、実際に武力を行使した
国家転覆を狙っており、政治結社として街宣をぶつその裏で
部下の軍士達に数々の軍事訓練をさせておりました。
また、自衛隊を取り込もうと画策し、実際にある自衛隊員を
教団に取り込むことに成功していたことが明らかにされています。
そして小島露観は「1994年6月に東京を大地震が襲う」と予言、それに乗じて
政権を奪取しようと画策しておりました。
しかし予言は外れ、これを機にザインは活動の方向性を大きく変えることとなりました。
今までの「革命思想」はそのままに、(株)ザインの事業を
いかがわしいパワーストーン屋からよりお洒落なアクセサリー販売へと方針転換して
女性会員を集め、活動内容も「軍隊色の混じったサークル的な活動」へと
転換していきました。
さらに、わいせつなイベントを開催、「純情猥褻」「性即聖」などといったデタラメな甘言で
マインドコントロールの影響下にある女性に「性の儀式」を施すようになりました。
2005年、弊サイトを閲覧したさる方の手により、
ザインはマスコミに取り上げられるに至りました。
その後、教団名・会社名を数度改称し、
現在の教団名は「ザイクス帝國=第四帝國」、社名は「地極産業株式会社」となっております。
「ザイン」は、「自然復興」「新時代の到来」「美や富の獲得」
「内面の充実」といった様々な売り文句をたなびかせて会員を集め、
彼等の心の隙を突いてマインドコントロールを施し、多額の金銭を搾取しています。
「汚れた世の中を変えるために一歩踏み出そう」
「聖品の効果をさらに出すには、小島露観に絶対的に従わなければならない」などと
会員に働きかけ、恋愛などの個人的な悩みや現代社会への疑問を抱える者を焚きつけ、
徐々に「ザイン(=小島)の意志を我が意志とする」ように仕向けていくのが
彼等のやり口であり、それに嵌ることで会員には様々な問題が発生します。
教団の会員となると、高額な商品(中には数十万、数百万円するものもあります)や
儀式の営業が次々とかかり、言われるままにお金を使っていると、
あっという間に借金地獄に陥ります。
事実、数百万円もの借金を抱える現役会員も少なくありません。
しかし、小島の「有益な借金は財産である」といった言葉を何の疑問もなく受け取り、
借金をしてでも商品を買い、儀式を受けてしまうのです。
教団内部に於いては、高潔な人格を目指せとしながらも
実際は陰口がまかり通り、「批判があれば直言せよ」と言いながらも、
教団への疑問や不満を口にすれば逆に糾弾されてしまう…などといった
建前と現実があまりにも違うという実態も見逃せません。
会員は金銭的な負担のみならず、上官や同輩の会員の矛盾した言動に目をつぶり、
また、小島一家やその取り巻きには絶対服従を強いられる…という精神的負担を
知らず知らずのうちに強いられております。
そのために精神に悪影響が出てしまった者も少なくありません。
さらに、他のカルト同様、教団にそぐわない人間、教団に疑問を抱いた人間に
「悪存在」のレッテルを貼って放逐し、
「放逐されれば存在の根が断たれる」などの脅し文句をもって、
残った会員を恐怖で縛りつけ、さらなる搾取を行っているのです。
2005年の報道前後から、この搾取の傾向はますますエスカレートしており、
支払に窮した女性会員に、風俗業への就労を勧めるようになりました。
これに唯々諾々と従った女性会員が、身体的にも精神的にも追い込まれる様は、
まさしく「血も涙もない所業」といえるでしょう。
以後、2010年までにザインは、
「何枚もカードを作れ」「親を騙して金を作れ」「身内に頭をひたすら下げて金を借りて来い」
「借りた金は返すな」「ウチの債権は隠して自己破産しろ」
「(女性の上級会員に)パトロンを作れ、援助交際しろ」などなど、
会員に公序良俗に反する行為をけしかけて「金を作れ」と要求するようになっております。
これらは、大変悪質かつ反社会的な行為であると言わざるを得ません。
ザインに在籍することで、家族や恋人といった緊密な人間関係が
壊れてしまうことも見逃せない事実です。
他のカルトの例に漏れず、ザインも自らの思想を絶対化すると共に、家族関係などは
ただの「因習」「しがらみ」と会員に思わせてしまうのです。
その一方で、家族の方々はザインについては全く理解不可能であり、
結果として、深刻な断絶が生じることになります。
経済的、および精神的に追い詰められた会員が家族に相談できないケースや、
マインドコントロールされた会員を家族で説得してもなかなかうまくゆかず、
却って反発を強める結果となってしまうケースがあります。
(株)ザイン(現:地極産業(株))は
狡猾な経理操作で納税額を誤魔化して脱税を行っておりました。
貪った暴利は、小島一家や幹部軍士の懐を潤すほか、
国家転覆を企て自衛隊と接触、篭絡するための工作資金として
使われた疑惑が持たれております。
さらに(株)ザイン(現:地極産業(株))は、脅し混じりの執拗な営業や、
契約があやふやなままの商品販売など、
顧客との間で様々なトラブルを引き起こしております。
単に電話攻勢がしつこいだけではなく、
売る側・買う側の双方が「小島の意に従わねばならない、反発は許されない」
「強く勧められたら買わねばならない」と考えているために、
本当は購入したくないのに執拗な営業を断りきれず、
ズルズルと購入してしまう…というケースが非常に多いです。
社員がカード番号を聞き出し、勝手に商品や儀式を申し込んでしまう、
明確な合意も契約書の取り交わしもなしに、
一方的に「購入の意思あり」と看做し、商品を送りつけてくるなど、
その悪質の度は年を追う毎にエスカレートしております。
こうした現状のため、現在ザインに在籍している会員は、
多額の地極産業およびカード会社への債務を抱えていることもあって、
精神的にも、金銭的にも追い詰められている状況です。
ただ辞めるだけではなく、法的な手段も考慮に入れた救済策が必要なほどに
逼迫した状況であります。
既存会員のみでは組織が立ち行かなくなってきたザインは、
無料のレンタルブログやMixiで
「占い(ホロスコープ)」「パワーストーン」に関心を持つ人に対して働きかけ、
無料ホロスコープ鑑定をエサにカタログを請求させるやり方で、
組織ぐるみで新規顧客の獲得を目指しています。
そのほか、会員を対象とした「ザイクスアフィリエイト」による活動や、
雑誌「anan」でのヨガ「竜体道」のアピール、訪問販売に向けた動き、
悪質なものでは、名簿から個人情報を抜き出し、無許可で一般人にDMを送付するなど、
新規顧客の獲得に血眼になっております。
ザインのことを知らない方が、それと知らずにアクセスすることで
新たな被害を呼ぶ危険性があります。
以上のような教団の実態は確かに糾弾されるべきであり、私としては
その姿を余すところなく取り上げるつもりでおります。
しかし一方で、カルト問題を考えるときは、
「どうして私達はカルトに関わってしまったか」という「被害者側の問題」も
教団の問題と同様に考えていかなければならない…と私は考えております。
世間に対する認識の甘さ、他者への依存体質、自らの思い込みに囚われるあまり
物事を客観視できない視野の狭さ…など、私達元会員の側にも
反省しなければならないいくつかの問題点があります。
私達自身のこうした甘さに、ザインが付け込んできた…ということもまた
忘れてはいけない事実でありましょう。
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