松井の元代役・カブレラがＭＶＰ…オールスター

４回２死一塁、左越え２ランを放つジャイアンツ・カブレラ（投手はレンジャーズ・ハリソン＝共同）

　◆第８３回オールスター戦　ア・リーグ０─８ア・リーグ（１０日、カンザスシティー・カウフマン・スタジアム）　米大リーグ第８３回オールスター戦は、ナ・リーグがア・リーグを８―０で下した。レンジャーズのダルビッシュ有投手（２５）は登板機会がなかったが、インディアンスの守護神、ペレスと変化球の握りを交換するなど、初の夢舞台を堪能。「楽しめました」と振り返った。ＭＶＰには２ランを含む２安打と活躍したジャイアンツのメルキー・カブレラ外野手（２７）が輝いた。ナ・リーグは３連勝で通算成績を４３勝３８敗２分けとし、今年のワールドシリーズの本拠地開幕権を獲得した。

　会心のふた振りで栄光をつかみ取った。初回。カブレラはチーム初ヒットとなる左前打で５点を先制する猛攻の口火を切った。さらに、６点リードの４回には２死一塁で左翼フェンス奥のア・リーグのブルペンに着弾する２ラン。「ＭＶＰを取れるなんて思わなかった。驚いているよ」と話したが、主役と呼ぶにふさわしい活躍だった。

　０６年、松井が左手首を骨折して離脱した直後、２１歳の若さで台頭した。正左翼手に昇格して打率２割８分と奮闘し、本塁打をもぎ取る好守などでも鮮烈な印象を残した。松井のポジションを脅かす存在へと成長したが、「代役」が本家を超えるることはなかった。松井は復帰後に左翼の定位置を再奪取。一方、中堅のレギュラーとなったカブレラは徐々に成績を落とし、０９年オフにブレーブスにトレードされ、１０年オフに解雇された。

　それでも、昨年はロイヤルズで３割５厘と復活。ジャイアンツに移籍した今季は前半戦で両リーグ最多の１１９安打を放ち、打率３割５分３厘と才能が開花。古巣ロ軍の本拠地での球宴出場を決め、“凱旋試合”となった球宴で大きな拍手を浴びた。苦労を知る母親はＭＶＰ受賞会見に同席し、息子の隣で涙を流し続けた。

　「ただ自分に投票してくれたファンに感謝したい」。ジ軍は首位と０・５ゲーム差の西地区２位と好調を維持。レイズとのワールドシリーズが実現すれば、松井との“再戦”に注目が集まる。

　◆メルキー・カブレラ（Ｍｅｌｋｙ　Ｃａｂｒｅｒａ）１９８４年８月１１日、ドミニカ共和国生まれ。２７歳。０１年にヤンキース入団。０５年メジャーデビュー。１０年はブレーブス、昨年はロイヤルズでプレーし、オフにトレードでジャイアンツ加入。大リーグ通算９５４試合出場、打率２割８分３厘（３３７６打数９５５安打）、６６本塁打、４０１打点。１８３センチ、９１キロ。左投両打。今季の年俸は６００万ドル（約４億８０００万円）。