2008-09-18【書評】未来をつくる図書館
■ 『未来をつくる図書館』(菅谷明子著、岩波新書、2003年、735円)
ニューヨーク公共図書館の活動、及びそれを利用する様々な市民を紹介。
アメリカの公共図書館である同図書館(公立ではない。NPOが運営)は、日本の図書館と同様、古い本の集積所だと市民から思われている節がある一方で、市民に書籍は元より、映像、データベース、ネット・パソコン環境、資格・ノウハウ講座、就職情報などを提供し、市民に情報を活躍して成功してもらえるように(結果として社会保障費が全体として下がる)、日々奮闘している姿が紹介されている。
「むすび」にあるように、同図書館の活動を知った日本人は、「そこまでやるのか」と一様に思うほど、その活動は日本の図書館(県立図書館クラスであっても)のそれとは桁違いに広範囲で多分野に富み、エネルギッシュである。しかも、その活動は戦前から続いている。こんな国を相手に戦争したって勝つわけがない。
こうした、「情報を活用して成功する」、「その手助けをする」、「社会貢献は当然」という価値観がアメリカの社会の中で広く一般に共有され、そして長く受け継がれているからこそ、「Wikipedia-全ての知恵を全ての人に-」というプロジェクトが誕生し、発展していったのだろう。
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