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最終更新:2012年7月10日(火) 1時32分

いじめ自殺、認定に高いハードル

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 中学1年の娘を自殺で亡くした両親が国などを相手取り「いじめ防止の対策を怠った」として起こした異例の裁判。明らかになった「いじめ隠し」とも思われる実態を裁判所はどう判断したのでしょうか。

 「本当に良い判決を佑美に報告できなくて、本当に残念です」

 母親は声を振り絞り、無念を口にしました。自殺は学校でのいじめが原因だったのか・・・中学1年生の中井佑美さん(当時12)の自殺をめぐり両親が北本市と国に損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は両親の訴えを全面的に退けました。

 「生きるのに疲れました。本当にごめんなさい。死んだのは、クラスの一部に、勉強に、テストのせいかも」(佑美さんの遺書)

 佑美さんが自ら命を絶ったのは7年前のことでした。

 「今年、誕生日が来れば20歳になるけど、何か想像できない。中学1年の子どものまま止まってしまっているので」(佑美さんの母 中井節子さん)

 真相解明を・・・北本市と文部科学省を相手取り起こした裁判。しかし、この中で明らかになったのは“いじめ隠し”とも思われる実態です。

「一字残らず黒塗りなので何が書いてあるかわからない」(佑美さんの父 中井紳二さん)

 文部科学省が中学校に対して行った聞き取り調査に関する資料はほとんどが黒塗りに。中学校が実施した生徒のアンケートも「処分した」として一切開示されませんでした。

 “いじめ隠し”とも言える問題は滋賀県大津市でも明らかになりました。生徒へのアンケートで、自殺した生徒が「担任に泣いて電話していた」という回答がありましたが、教育委員会は担任にのみ確認し、生徒には聞き取りをしていなかったといいます。

 「『いじめられている』という内F$G$J$+$C$?$HJ9$$$F$$$^$9!W!JBgDE;T650i0Q0w2q!K

 教育現場での問題について、専門家はこう語ります。

 「隠蔽体質というか、自分たちの評価が下がるのを恐れている。学校の評価、担任の評価、教育委員会の評価。調査するときには第三者機関でなければダメ」(教育評論家 尾木直樹氏)

 自殺の原因が“いじめ”となることはまれです。児童・生徒の自殺は毎年100人を超えているものの、2010年度、自殺した状況としていじめの問題が挙げられているのは147人中4人にとどまっています。

 「例えばコップの水がだんだんたまっていって、最後の一滴があふれて自殺に至ることがあると思う。裁判所の判断はその一滴をとらえて、それは死ぬほどのいじめではないと」(佑美さんの父 中井紳二さん)

 9日、東京地裁は「いじめを受けていたとは認められず、学校が実態を隠しているとは認められない」と指摘。中井さんの望む答えはまたも得られませんでした。中井さんは控訴する方針です。(09日23:53)

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