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最終更新:2012年7月12日(木) 5時16分

中2男子自殺、市教委と中学校を捜索

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 いじめをめぐる一連の問題は、ついに刑事事件に発展しました。滋賀県大津市で中学2年生の男子生徒が自殺した問題で、警察は11日夜、市の教育委員会と男子生徒が通っていた中学校を捜索しました。

 1人の少年の死から9か月。事態は突然大きく動き出しました。捜査の目が向けられたのは教育委員会。極めて異例のことです。大津市で去年10月、中学2年の男子生徒が自殺した問題で、滋賀県警は11日夜、市の教育委員会と男子生徒が通っていた中学校を家宅捜索しました。容疑は男子生徒に対する暴行です。

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 こうした事態を招いたのは市教委や学校のこれまでの対応です。この9時間前、県がようやく対応に動き出したばかりのことでした。滋賀県の教育委員会が、いじめ対策会議の初会合を開きました。

 「私たちには子供たちを守る大きな使命がある。いじめを絶対に見過ごしてはならない」(滋賀県 佐飛晃教育次長)

 大津市の問題のほか、県内で起きたいじめの事例が紹介されましたが、いずれもそれに対する具体的な解決策を見出す話し合いにはなりませんでした。

 一方、自殺した生徒が通っていた中学校。この学校では1時間目の授業の前に、「命の大切さ」をテーマにした詩を校内放送で流したといいます。しかし、生徒が抱える不安は消えていません。

 「(学校の雰囲気は)ピリピリしている。落ち着かない」(中学校に通う生徒)
 「もうちょっと調査を深くまで、亡くなった子のためにもしてほしかった」

 そんなさなか、また新たな事実がJNNの取材で明らかになりました。学校が去年10月、全校生徒を対象にしたアンケートの結果を自殺した生徒の父親に渡す際のことでした。条件として内容を口外しないよう「誓約書」を書かせていたというのです。取材に対し父親は、「やむなくサインしたものの、真相の解明が遅れる原因となった」と話しています。

 さらに2回目のアンケートをめぐっても、「自殺の練習で首を絞めた」や「葬式ごっこ」などの記述がありました。しかし、父親に対しては、「新たな事実が見つからなかった」として全容を明らかにしていませんでした。

 大津市の教育委員会は一貫して、「いじめと自殺の因果関係についてはわからない」としています。

 「いじめ=自殺と判断してしまうことはできない」 (大津市教育委員会の会見 10日夜)

 相次いで明らかになる学校や市教委の対応に、男子生徒の遺族は悔しさをにじませます。

 「生きていてくれたら何でもするけど、どうにもできない」(自殺した男子生徒の祖父)
 「ええ子やったからね。返してほしいです」(自殺した男子生徒の祖母)

 遺族は現在、いじめと自殺の因果関係をめぐり、大津市と同級生らにおよそ7700万円の損害賠償を求める裁判を起こしています。

 大津市の越市長は11日夜、ニュース23クロスの取材に応じ、いじめと自殺の因果関係はあるという前提で調査をしたいと話しました。

 「学校と教育委員会の調査がいいかげんだったことによって、因果関係が立証できないとなったら、それについて市は何らかの責任がある」(大津市 越直美市長)

 これまでの市教委の調査がずさんだったとして、今後は第三者委員会を設け、実態解明にあたりたいとしています。

 「遺族の方が求めているのは、学校で何があったか事実を知りたいと。まず徹底した事実解明をやる。その結果として和解があると思う」(大津市 越直美市長)

 一方、遺族側の弁護士は、いじめと自殺における因果関係の認定の難しさをこう話しました。

 「いじめ自殺の裁判というのは勝訴が難しい類型に入ってきます。今後も立証については、いくつものハードルを越えていかなければいけない。この裁判に続く訴訟の礎になるような、そういった裁判が得られるように全力を尽くして訴訟活動をしていきたい」(遺族側の弁護士 石川賢治氏)
(11日22:56)

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