自殺との因果関係判断できぬ 大津市教育長主張変えず
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺し、いじめとの関連が指摘されている問題で、越直美市長が因果関係はあるとして訴訟での和解の意向を示したことに対し、澤村憲次教育長は11日、「いじめと自殺との因果関係は判断できない」と述べ、従来の市教委の主張が変わっていないことを強調した。市と市教委の認識のずれが、あらためて浮き彫りになった。
■市長との認識のずれ浮き彫りに
越市長の意向について、澤村教育長は「(和解の意向は)直接聞いていない」とし、「市長がそう判断したと受け止めるしかない」と繰り返した。因果関係が判断できない理由は「他にもいろんな要素が考えられる」としたが、具体的な内容は明かさなかった。
越市長が10日夜、一連の調査で、教諭らに聞き取りした議事録を作成していなかったことを指摘した点については、「録音などが必要という認識はなかった」と釈明。調査の不備を謝罪した上で、「有識者による外部委員会の調査結果を待ちたい」と話した。
滋賀県警の捜査には協力する方針で、「子どもに混乱が起こらないよう配慮がほしい」と要望した。
■父親「真意見極める」、市長和解方針に
大津市の越直美市長がいじめと自殺との因果関係を認め、訴訟での和解の意向を示したことについて、男子生徒の父親(47)は11日、「和解の内容も提示されていない時点では何とも言えない。こちらの要望をどれくらい受け入れてくれるかなど真意を見極めたい」と話した。
訴訟で市側が「いじめが自殺の原因とは断定できない」と主張し、市の過失責任や因果関係について争う方針を一転させたことには「怒りしかない。市教委と市長で言っていることが違う。市として本当に足並みがそろっているのか」と不信感をあらわにした。
また市教委が2回目のアンケート内容の一部を見落としていたことに対しては「一人の命がなくなった重みを感じていなかったのではないか」と憤った。
9日にも市教委にアンケート結果の開示を求めたが、応じなかったという。
【 2012年07月11日 16時00分 】