スズキは、従来のポリプロピレン(PP)に比べて約10%軽く、着色性にも優れた「スズキ スーパー ポリプロピレン」(SSPP)を開発し、2012年7月11日に一部仕様変更した「エスクード」のスキッドプレート(飛び石などに対する保護板)に採用した(図)。SSPPは樹脂に着色剤などを添加して着色し、それを射出成型して部品に仕上げるので塗装を省くことができる。
従来の自動車用PPは剛性と耐衝撃性を両立させるために、ベースとなるPPにタルクなどの無機系充てん材とゴムを添加することが多かった。ところが、タルクの添加は質量増や、樹脂の透明性劣化による発色性の低下を伴っていた。
SSPPは、ベースとなるPPの剛性を高めたために、スチレン系熱可塑性エラストマを添加するだけで必要な剛性と耐衝撃性を得られることが特徴。タルクを添加せずに従来のPPと同等の曲げ剛性を備えるので比重が小さくなり、同一形状部品で約10%の軽量化を実現できる。さらに、材料の透明性も高いため優れた発色性を維持でき、無塗装化が可能となるのでコスト面でも優位とみられる。
エスクードに装着したスキッドプレートは、SSPPの高い発色性を生かして無塗装で高輝度のシルバーメタリック色を実現している。塗膜がないため、走行中の飛び石などによる傷が目立ちにくく、塗料から排出される揮発性有機化合物もない。スズキは今後、SSPPを内装部品やバンパなどの外装部品に採用していく方針だ。
(日経ものづくり 高田憲一)
[Tech-On! 2012年7月11日掲載]
スズキ、ポリプロピレン、エスクード、スキッドプレート
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