中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 芸能・社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【芸能・社会】

世界のYONEKURAへ!! 「シカゴ」熱演に絶賛

2012年7月12日 紙面から

 【ニューヨーク=関龍市朗】女優の米倉涼子(36)が主演するミュージカル「CHICAGO(シカゴ)」が10日(日本時間11日)、米ブロードウェーにあるアンバサダー劇場で初日を迎えた。日本人女優がブロードウェーで主演するのは1958年のナンシー梅木さん以来、54年ぶり。白人の主人公をアジア系の女優が演じる史上初の快挙も成し遂げ、世界の“YONEKURA”へ歴史的な第一歩を踏み出した。

 午後8時の開演から2時間半。老舗劇場を埋め尽くした観客の前で、米倉演じる主人公ロキシー・ハートは予想をはるかに超えて躍動し続けた。

 外国人キャストに見劣りしないスタイル、クラシックバレエで鍛え上げたしなやかでセクシーな踊り、数々のドラマ出演で積み重ねてきた演技力。ほぼ全編英語による歌やセリフも昨年4月からの猛特訓で克服。本場の「シカゴ」にすっかり溶け込んだ米倉の姿に、観客席からは自然に笑いや拍手がわき起こった。

 そして感動のフィナーレ。総立ちのスタンディング・オベーションに迎えられ、カーテンコールに登場した米倉。2010年に日本版「シカゴ」で共演して以来の盟友アムラ=フェイ・ライトから「日本の有名な女優が『シカゴ』ファミリーに入ってくれて、うれしく思います」と言葉をかけられると、クールな米倉の目から思わず大粒の涙があふれた。

 終演後の会見で米倉は「まだ手が震えています。楽しかったけど、今まで生きてきた中で一番緊張しました」と心境を吐露。何度も緊張という言葉を繰り返した。

 舞台成功のカギとなった英語力について米倉は「皆さまに伝わらないくらい苦労しました。でもこれって生きてる証しだなと思いました」とコメント。5月末に渡米してから日常生活も日本語をシャットアウトして稽古に励んだが「なかなか上達しないもんですね」と苦笑いもみせた。

 日本人女優としての快挙には「まあ、どうでもいいこと」と淡々と答えた。だが「シカゴ」への思いを聞かれると「マイ ライフ。ダイヤモンドのようなものだと思います。磨きますよ。まだまだ泥かぶってますから」とあらためて熱い気持ちを明かした。

 芸能界入りのきっかけとなった「全日本国民的美少女コンテスト」からちょうど20年。99年の「女優宣言」を経て、ついに国内から世界に手をかけた米倉。将来ブロードウェーを拠点にしていく可能性を質問されると「アイ ホープ。(他の作品にも)いつでもチャレンジしたい」とキッパリ言い切った。

◆共演陣も絶賛

 米倉の初舞台に共演キャストや関係者からも称賛の声が相次いだ。ヴェルマ役で米倉とコンビを組んだ南アフリカ出身の女優アムラ=フェイ・ライトは「本当にすばらしかった。ホントに自己規制して頑張っていたので、きょう花開いたのでしょう」と絶賛。米倉も「アムラと出会わなかったら私は今ここにいない。ここに来ようという勇気やチャレンジ精神も持たなかった」と感謝した。

 米倉の母親も「本人の夢がかなって本当にうれしい」とコメント。本番前日の9日にけいこ中の米倉の元を訪ねたことも明かした。また、米倉の所属事務所「オスカープロモーション」の古賀誠一社長は、所属する6500人の美女軍団との違いも指摘しながら「(ブロードウェーで活躍できるのは)米倉が最初で最後になるんじゃないか」と成長ぶりに驚きを隠さなかった。

◆「パーフェクト」 チケットほぼ完売

 劇場前には、開演前から外国人を中心に長蛇の列ができた。1100人を収容できる劇場だが、この日のチケットは完売。米倉が主演する15日までのチケットはほぼ完売状態という。上演後、米倉の演技について観客は「英語も演技力もパーフェクト」などと高い評価だった。ドイツから来た男性は「ブロードウェーでも生き残れる」と太鼓判。上演後のキャスト出入り口には、米倉目当てのファン約100人が集結。米倉が登場するとサインを求める人が殺到し、米倉も笑顔で応じていた。

◆8・30〜凱旋公演

 米倉主演の「シカゴ」は10日から15日まで米アンバサダー劇場で上演後、日本凱旋(がいせん)公演も決定している。8月30日から9月16日まで東京・赤坂ACTシアターで、ブロードウェーと同様に全編英語(日本語字幕あり)で上演。米倉とコンビを組んだアムラ=フェイ・ライトをはじめ、本場で活躍中の外国人キャストも出演する。

 ◆「シカゴ」 物語の主人公ロキシー・ハートは、1924年に愛人を殺害し、後に正当防衛で無罪を勝ち取った実在の人物がモデル。ジャズ全盛時代のシカゴを舞台に、殺人、賄賂、暴力、不倫など女性たちのさまざまな欲望や競い合いを描く。鬼才ボブ・フォッシー振り付けのセクシーなダンスや名曲の数々も見どころ。75年にミュージカルとしてブロードウェーで開幕し、96年からリバイバル上演開始。トニー賞6部門受賞をはじめ各賞を総ナメ。これまでの16年間で計6400回上演され、リバイバル上演記録を更新中。02年には映画化され、アカデミー賞で作品賞など6部門を受賞している。

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ