KING's BBS

 
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     Around The Size World.-小人国編-  ( - / - )  
 
「うーん・・・」
健太は砂浜の上で目を覚ますと、目をこすり立ってぐぐっと伸びをした。
先ほどまで波に乗っていた健太の体は若干の塩水と汗にぬれている。
筋肉質で隆起して、乳首が下を向くほどに鍛えられた胸に、ゆっくりと水が滴る。
水はそのまま六つにきれいに割れた腹筋に滴り、へそから下に向けて生える濃い陰毛で止まった。
その下の灰色のサーフパンツが日本人の平均も同年代である高校三年生の平均も大きく超えて盛り上がり、
サーフパンツからはみ出ている 毛が余計にいやらしく見せていた。
健太はそれを見せ付けるかのように腰を左右に振った。
ふくらみは上下にゆれ、周りのいやらしげな視線を集めるが健太は気にもしない。
そのまま短く切った黒色の髪の毛をかいて、大きなあくびをした。
「あー・・・・いかんいかん、昨日やりすぎたぜ・・・」
健太はそういいながら太い首に染み付いたキスマークをぽりぽりと掻く。
「うーーー・・・んと・・・あー昨日の女の穴、よかったなぁ・・・」
薄くぬれたパンツの生地がゆっくり膨らんだ。
「・・・まあ、いいや・・・さあて、もー,一回いくかぁ!!」
健太はそのまま広い肩で風を切りながら海に向かってその大きな足を振り出した。

健太は夏休みを利用して、地元の海に来ていた。
一ヶ月前にキックボクシングで全国二位を獲得して、久しぶりの休暇を謳歌していた。
部活のキックボクシングによって高校生離れした逞しい肉体を久しぶりに日々のトレーニングから開放していた。
なおかつ途中で女を引っ掛け、毎日のようにやりながら波に乗る毎日。
健太の夏休みは恐ろしいほど充実していた。
今日もいつものように波に乗りに着ていた。
そのころ、まったくのいきなりながら猛烈な勢いで台風がちかづいていた。

「おー、いい波見っけ!!」
健太はそのままサーフボードの上にのり、目の前の巨大な波にちかずいてゆく。
そして、サーフボードの上に乗ろうとしたとき。
びっしゃーーーーん!!!という稲妻が空を切り裂いた。
「うわぁあ?!?!」
健太があわてて後ろを振り向いたとき、そのままバランスを崩してしまった。
「やべっ・・って・・・うわぁぁあ」
どぼんっ!!
健太はそのまま波間に沈んでしまう・・・

   ♂♂♂♂♂

男は酔っ払っていた。
一人でふらふら、酒を片手に砂浜を歩いてた。
「あー・・・かかぁがなんでえ・・・ひっく・・・どすん!?」
男は何かにぶつかった。それは適度なやわらかみがあって、しかし硬くあったかい、そして巨大なもの・・・
その周囲は少し温度が上がり、潮のにおいとともに青春期の男特有の汗臭いにおいがその物体の周りに充満していた。
「なんだこりゃ・・・?」
男はその物体に手を置きそれが何か探ってみたが、まるで壁のように巨大すぎてまったく見当がつかない。
そのとき、朝日が昇って、その巨大な物体を照らし出した。
男が顔を上げたとき。その物体の姿が全体を現した。
「・・・・・?!?!?!・・・・・ウぎゃーーーーーーーーーーーー!?!?」

「・・・こかぁ、どこだぁ・・・」
青い空、白い雲。
汗ばむからだ。体・・・
うごかん。まったく。
なんだ、このピーピー声・・・

健太は体をサーフパンツそのままに砂浜に体を縛り付けられていた。
健太の頭上をけたたましく飛ぶ、ペットボトルほどの小さな模型のようなヘリコプター。
その音と風圧に健太は顔をしかめた。
「っぷ…ラジコン?くそっ、どこのどいつのいたずらだ…っ」
健太はそのまま首だけを、横に向けた。
そのときの健太にはすべてが異様に移った。
ちいさい。
健太の目に映るすべてが小さかった。
健太を遠巻きで見ている人間たちも、銃を持った兵士も、戦車も車も。
「ぅ…ぅぁ!!・・・動ぃた!!!」
その小さな人間たちから悲鳴が上がった。
「えっ?!何でおめえら、そんなにちいせえんだ??」
健太は目の前の信じられない光景に思わず声を上げた。健太の目の前にいた人間たちはぱっと見、
1cm〜2cmくらいしかない。
健太は昨日、嘘のような通報によって発見され、この国の軍によって動かないように地面に固定されていた。
戦車体も出動し、砂浜を埋め尽くすような巨体を一目見ようとたくさんの人が集まっていた。
小人たちには健太の頭ですら、戦車より大きいのだ。
健太の驚いた声でさえ、巨大な雄たけびに聞こえるほどに。
「・・・う・・・撃てぇ!!」
と、先頭の小人が叫んだ瞬間、戦車がけたたましい健太の美しい体に火の雨の降らせた。
健太の体にたくさんの砲撃が降り注いだ。
「アチッ…てめぇらやめ・・・ぶ!?」
ある一発の砲弾が健太の口に思いっきり命中した。
もちろんこの小人たちから見て大巨人である健太にとってこの攻撃自体、
少しだけ熱い、少しつねられたような感触でしかなかった。
しかし、口への一撃で健太の思考回路はぷつり。と音を立てて切れた。
「…てめえらぁ・・・殺す!!」
健太は体中の筋肉に力を入れて、からだを起こす。
「ふんっ!!・・・ぉらぁぁああ!!」
健太の太い右腕に絡み付いていた紐がぶちぶちっと音を立ててきれ、そのまま一気に体を起こした。
小人から見れば巨人が右腕をさらけ出したと思うとぐぅあっとすさまじい音を立て、
その巨大な頭ははるか上空に持ち上げられた。
健太はそのままその巨大な足を振り上げて、目の前でまだ自分に向けて撃っている戦車を狙う。
「ぅらぁぁぁぁあ!!」
恐ろしい爆発音を立て、戦車は打ち落とされた巨大すぎる質量に踏み潰された。
その健太の足は小人にとって戦車に勝る武器であった。
小人たちは我先にと巨大な砂浜から四方八方に逃げていく。
戦車隊は前線でその恐ろしい足と戦い続けるしかなかった。
普通の人より、幅がひろく、骨も太い健太の足は高校時代、キックボクシングでたくさんの相手をリングに沈めてきた。
その巨大の足の裏が戦車を砂浜に押し付け、つぶし、うずめてしまう。
多少毛の薄いすねにはたくさんの砲撃が当たっているが、まったく利いていないようだ。
健太の目は、獲物を攻撃するワシのようにひかっていた。
ところが砂浜という足元の悪条件が影響したのか。ふいに、健太はバランスを崩し、砂浜に倒れてしまった。
「うわっつ?!」
健太はまるで雷のような覇音を立て、砂浜の上にこけた。
健太の巨大なしりで一台の戦車がつぶれた。
こけた健太の目の入ったのはたくさんの戦車と上空を飛ぶ飛行戦闘機。
どうやら小人たちが救援を呼んだらしいのだ。
健太はすくっと立ち上がると左手を前に出し、軍隊を挑発する。
目には野生動物のような獰猛な怒りの炎で満ち溢れているかのようだった。
「いいぜ・・・こいよ、お前・・・ら・・・?・・・」
そのとき、けたたましく空中を飛ぶヘリの音に負けないほどに大きな低い音が砂浜を包んだ。
健太はそのまま腹を抑え、工事現場の重機よりもさらに巨大な音を立て、どっかりと胡坐をかいて砂浜に座り込んだ。
「・・・はらへったぁ・・・・」
すかさず、腹や胸に二三発の砲弾が飛んできたが、すぐに終わり、
砂浜を埋め尽くす戦車の村の中から拡張機のついたジープが現れた。
少し聞き取りにくい音が流れた。何か言っているようである。
「巨人よ、今降参するならこちらにもそなたに提供するだけの食料を用意する準備はある!!
 これ以上の先頭はそなたにとっても酷なはず。あきらめて降参してほしい!!」
健太としては別に戦車とやりあうことは苦ではなかったが、空腹には耐えることはできなかった。
それほどまで健太の腹は空っぽだったのだ。立ち上がれば少し立ちくらみがするほどに。
「あ〜・・・わかったわかった!!降参だよ!っくそ・・・」
健太は両手を挙げた。
健太の周りをヘリがばたばたと飛び回り、涼しい風が健太の汗を若干乾かした。
健太の足下を小人の軍隊の歩兵たちが銃をもって、何を言っているかはよく聞き取れなかったが
何かを高い音でピーピーと何かを行っていた。
空腹で頭に血が上っている健太にとって足元で虫のようにちょこまかを動かれるのは非常に腹が立った。
「が〜〜〜!!!!?もう、わかったから飯食わせろよ!!腹へってんだよこっちは!!!」
健太は足を振り回し、手を振り回した。
小人の軍隊は悲鳴を上げながら撤退していく。
手を振りかざすたびに小人が宙に舞い、健太の巨大すぎる足に踏み潰され、砂浜に鮮やかな模様を作っていく。
歩兵隊のすぐ後ろに構えていた拡張機付のジープがあわてて大声を出した。
「落ち着きたまえ!!食料はもう二三分で到着する!
 今、そなたに有害物質などついているか確かめているところだ!!これ以上私の部隊の人間を減らさんでもらいたい!!」
健太はその小さな声ではっとわれに返った。
その細かすぎる砂に刻まれた小さな紅色の模様は姿が小さすぎるとはいえ確かに同じ人間だったのだ。
その模様に小さな兵隊たちが寄り添って泣いたり、騒いだりしていた。
「・・・わるかったよ・・・」
しかし健太は実際にはそうは思っていなかった。
健太の心の中はただ、人間を意図も簡単につぶし、殺したことへの驚きとどうしよも無い跳躍感にあふれていた。
この人間たちが戦車まで使っても自分を倒すことができないと考えるとぞくぞくとした。
いままで、喧嘩では誰にも負けたことの無い健太だったが、決して自分の力に酔いしれたりはしなかった。
しかし、今回のそれは、その健太の硬派な意思をも忘れさせるほどのちからだった。
再度、小人たちはびくびくと作業を始め始める。
健太は頭をかきながら、小人の行為をにやついてみていた。
今、足を動かすだけでそれを殺すことができる・・・と思うとそれが自然に顔に出ていたのである。
しばらくして、四台のヘリがそれぞれ袋をつけて向こうから飛んできた。

「っ・・・たったのこんだけなのかよ!!」
健太はジープを目の前まで持ち上げ、思わず怒鳴り声になってしまっていた。
「そ・・・そういわんでいただきい!これが今の我々に精一杯の量なのだ・・・」
ジープの中から震える声が響いてきた。
それは米のように、否、米よりの小さいゴマのような軍隊用の乾燥パンが茶碗に一杯ほど
砂浜の上に敷いたシートの上に置いてあった。
健太はその大きい手でシートごとむんずとつかみ、彼らの用意したパンをぺろっと食べてしまう。
パン50000個は一瞬にして健太の腹の中に消え、それを見ていた兵士が二三人腰を抜かしていた。
「げぷ・・・たりねえよ!!約束が違うじゃねえか!!」
健太は駄々をこね、片足を上げまた暴れだそうとした。
ジープはあわてて、ヘリにもう50000個詰まった袋を開けさせた。
「ちぇ。。。しゃあねえ。こんどはゆっくり味わって食うかぁ・・・」
健太は指で1/4ほど摘むと、ゆっくり口に運んでいった。
口が開くと、待ち構えていたようにだえきの線が切れ、舌を突き出し、
軽くかんで、飲む。
「・・・これじゃ食ってる気がしねえ・・・」
健太は残りを全部口に放り込むと、すくっと立って、歩き出した。
足元に小人がいようとお構いなしだ。健太の足にプチプチとした感触が伝わった。
「おらぁ、お前ら邪魔なんだよ!!どけ!!」
健太はそのまま砂浜から離れた場所に向かった。
「ちょ・・・どこにいくんだぁ・・・」
ジープから、あからさまに狼狽したなさけない悲鳴が上がった。
「るっせーよ、しょんべんだ!!」

「こちら、ヨルズバ特報員です・・・もんみのたさん、聞こえます?」
そこでは森の陰に隠れて、TV局の取材用の車がカメラを仕込み、巨人を待ち構えていた。
取材規制がされていたが、一人の若い男性アナウンサーとカメラマンがこちらに巨人が来ているのをかぎつけ、
急いでセッティングしたのである。「え〜とですね・・・おっと、なにやら規則・・・正しい・・・振動がちかずいて・・・!・・・」
アナウンサーが困惑した悲鳴をあげる中、カメラはずっと、健太をとり続けていた。
がちゃっと、音がした。カメラマンが振り向くと、となりでADが腰を抜かし、照明は照明器具を投げ捨てて逃げ出していた。
しかし、カメラマンはなおもカメラを回し続ける。
健太は入り江に入ると森の木とぶちっと抜いてみた。
「へへへ・・・もろいもんだぜ・・・」
健太はそのまま木を手のひらの中で粉々にすりつぶしていく。
(しかし・・・この状態はどうすりゃいいんだろう・・・俺がでかくなったのかなあ・・・
 もしそうだったら、町を襲ったりはできねえなあ、先輩とかいるしなぁ・・・。)
そう思いつつ、健太は片手で穴を掘り始めた。図らずも、健太はTV局の近くに穴を掘っていく。
ざっくざっくと規則正しい音が響く。まったくTVカメラには気づいていないようだった。
若いアナウンサーはひめいをあげ、失禁していた。カメラマンもとうとう腰を抜かした。
しばらく掘っていると何か硬いものに出くわした。
それは、ペットボトルだった。パッケージが古ぼけて何かは見えないが、なかにオレンジ色の液体が少々入っていた。
「・・・これ・・・そか・・・おれ、ガリバーなんだな・・・ってことは・・・へへへ・・・」
健太はペットボトルをもち、立ち上がると、野球のピッチャーの構えをする。
「目標・・・あの船!!」
健太はそのままぐっと踏み込んでペットボトルを投げた。砂浜が足の形に陥没する。
海になげられたペットボトルは沖合いで漁をしていた漁船にあたり、船員が逃げ出すまもなく沈んでしまった。
にやりと凶悪なわらいをこぼしながら、さらに穴を掘っていった。
そして、健太が立ち上がりサーフパンツに手をかけたとき。
TV局の車の下の地盤がいきなり崩れ、車とカメラマン、ADとアナウンサーも穴に落ちてしまった。
三人が小さな悲鳴を上げ、穴を登ろうとしたが、健太はそれを見て、にっと笑う。
そして、今まで何人もの女を泣かしてきたその巨根をパンツの中からぐっと出した。
ぼろん!という擬音語がぴったりなほどに大きな浅黒いその巨根は、
亀頭はかなり黒く変色し濃い陰毛があふれんばかりにはみ出ている。
その大きさたるや、平常時であるのに、12m以上あるように見える。
この国の電信柱よりも大きかった。
そして。
じゃあああ!!とダムの放水のような音を立て三人の頭上に黄金色の雨…否、消防車の放水のような勢いの小便をぶっ掛けた。
三人は悲鳴を上げるまもなく、車もろとも黄金色の小便に沈んでいった。
「さーて、暴れるかぁ・・・」
その呟きを聞いた人間はいなかった。
健太は振り返り、砂浜に戻っていく。これからの展開に胸震わせながら・・・


Around The Size World.
   小人国編 前半終
  2012/04/07(Sat) 18:46:09 no.154
 
 
  


     某携帯CMパロディー  ( - / - )  
 
 その日、一人の青年が昼間の町を歩いていた。
「なんか、暑くねぇ・・・?」
 その日は30℃を超す炎天下。
 照りつける太陽にうんざりしつつ、ぼんやりしながら歩いていた。
 すると目の前には人だかりが出来ていて、ちょっとやそっとでは通り抜けられなかった。
「なんか、通れなくねぇ・・・?」
 ため息まじりにつぶやいたその時、突然視界が真っ暗になった。
 やがて明るくなると、その人だかりは視界から消えていた。
 再び足を踏み出したとき、何かを踏んだようだった。
 しかし、それを気に留める気力も無く、青年はぼんやりと歩き続けた。
--------------------------------------------------------------------------------
 そんな青年とは裏腹に、青年の周囲は騒然としていた。
 街を歩いていた青年が、突然巨人となって現れたのだった。
 美しく整った顔立ち、軽く拳を握っているたくましい腕、ジーパンをはいた長い脚、その全てが数10倍の大きさだった。
 さらに、青年は足元を気にすることも無く巨大な脚を踏み出した。
ズゥゥゥンン!ズゥゥゥンン!
 その巨大なスニーカーで足元にいた人々を踏み潰していった。
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 周囲のパニックをよそに、青年はさらに歩を進めていった。
 気温はさらに高まっていた。
「なんか、暑くねぇ・・・?」
 再びつぶやくと、再び視界が真っ暗になった。
 やがて明るくなると、少し暑さが和らいでいた。
 すこし、体に違和感を感じたが、青年はそれには構わず再び歩き出した。
--------------------------------------------------------------------------------
 巨大化した青年を、人々はおそるおそる見上げていた。
 すると突然、青年の服が消えていって、後にはぴっちりとしたビキニパンツが残った。
 そして、適度に引き締まった肉体が露わになった。
 ところが、それに青年は気づかないらしく、再び巨大な素足を踏み出した。
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ズン、ズン、ズン、ズン・・・
 巨大な青年は脚を進め続けた。
 その度に巨大な素足は逃げ惑う人々を踏み潰し、たくさんのビルを踏み潰し倒壊させていった。
 その時、おもわずつまずき地面に倒れこんだ。
ドズゥゥゥンンンン!
 もちろんその下の建築物は跡形も無く潰された。
 青年が起き上がりかけると、目の前に小さなビル街が広がっていた。
 ビル群から美しく整った巨大な顔が覗き込むと、小さな人間達が悲鳴をあげて逃げていった。
「なんか、小っちゃくねぇ・・・?」
 近くの小人を摘みあげる。小人は全力で暴れていた。
 少し力を入れると、プチッ、と音を立てて指に赤い染みが残った。
 この時初めて、青年は自分が数10mに巨大化したことに気づいた。
 そこで、地面に寝そべったまま、青年は近くのビルを掴んで力をこめた。
メキ、バギッ、バリバリバリバリ・・・
 ビルは音を立てて軋み、ついには潰れた。
 思わず笑みがこぼれた。
「なんか、弱くねぇ・・・?」
 青年は立ち上がり、近くのビルを手当たり次第に蹴飛ばし始めた。
ズドン、ズドン、ズドォォン!!
 瞬く間にビルは崩壊し、辺りは瓦礫の山となった。
 青年は、たとえようのない快感を覚えた。
 その時、股間が締め付けられていくのに気づいた。
 下を見ると、自分の息子がキツめのビキニに締め付けられていた。
 すでにビキニは自分の息子の先走りで染みを作っていた。
 青年は近くを走っていたバスを掴みつぶやいた。
「なんか、一発抜きたくねぇ・・・?」
 小人が詰まったままのバスに、自分の肉棒を挿し込んでいく。
 必死にもがく小人、中の座席が肉棒を最高に刺激する。
「なんか、キモチい・・・アァン!」
 立っていられず、その場にへたり込む。
 地面にひざを付いた衝撃で、さらにビルが崩壊していく。
 荒い息をつきながら、バスをゆっくり上下させる。
 その度に最高の快感が襲った。
「な、なんか・・・マ、マジ、キ、キモチよくねぇ・・・?」
 美しく整った顔は快楽にゆがんでいった。
 バスは上下するスピードを上げ、
 青年の快感は限界に達しようとしていた。
「な、なんか・・・ハアッッ!」
ブシュ、ブシュ、ブシャアアアアッッッ!!
ブシャアッ、ブシャアッ、ブシャアアアアアアアッッッッッッ!!!
 大量の精液が発射され、残ったビルを白く染めていった。
 青年はその場に座り込んで、白い粘液を吐き出し続ける肉棒をさすりながら快楽の余韻に浸っていた。
  2011/12/03(Sat) 15:13:51 no.153
 
 
  


     体育館倉庫で。  ( - / - )  
 
「……ぁ…」
 辺りに俺の陰湿なあえぎ声が響く。
 放課後の体育館倉庫…。
 俺はいつもの日課を果たしていた。
 目の前の筋肉野郎は体育教師で、バスケ部の顧問の霧島だ。
 確か二十三歳だとか。
 単発でツンツンの髪は茶色っぽくなって、肌と同じく日焼けしている。
 霧島の三白眼の目が卑猥に細くなって、俺は指だけで、犯されていた。
 その指使いに、俺の息子は反応しまくりで、先走りをたらたらと流してしまう。
 太く長い指がゼンリツセンを刺激。
 それだけで、体はのけぞり、あえいでしまう。
「まったく、これだけでこんなんになっちまうなんて餓鬼臭せぇなぁ」
「ひっで〜の」
 そう、ムッとすると、霧島はちょっと笑って、俺の頭をガシガシ撫でて髪をぐちゃぐちゃにした。
「可愛いから許すけどな」
 歯を剥き出しに笑った顔は爽快だった。


 俺を指で犯すのを一通り楽しんだのか、霧島はカバンから瓶を一個取り出した。
 黒くて小さな…瓶だ。
「今日はとびっきり活きの良いヤツ連れてきてやったぞ」
 霧島はシニカルに笑う。
 瓶の中から現れたのは三センチほどの人間だった。
 三匹の小人は霧島の掌の上でかすかにうごめいている。
「…早くしよーぜ」
 快楽が欲しくて欲しくて……ただ欲しくて。
 二人そろって下半身だけ裸になると、霧島はまず一匹の小人を手にとり、残りを瓶に戻した。
「さーて、ヤりますか」
 一匹の小人を自分の無駄に太くデカい息子の鈴口にねじりこむと、霧島は俺の股を掴んだ。
 そして、勢いよく俺のケツマンに挿入した。
 躊躇も何もありゃしない。
 俺の穴に突っ込んだチンコは太くて太くて…、くわえこむのが精一杯。
 絞めるなんて悠長な事は言っていられない。
 イくのを我慢するのでマジで手一杯。
 しかも…、先程の小人が逃げ出そうと暴れまわるから………。
「う…ゎ」
 霧島が腰を振るたびに、小人が動き回るたびに、快楽が俺を電撃のように激しく襲った。
「そーだ」
 ふと、霧島は瓶からもう残りをつまみだした。
「お前も欲しいやろ?」
 俺のチンコの穴にもその一方の小人が挿入された。
 先走りでヌルヌルのチンコは小人が這い出ようとすれば這い出ようとするほど、はちきれんばかりに勃起した。
 そして、追い討ちをかけるように霧島はもう一匹を口に含み、顔を寄せ、口づけをした。
 舌と舌で絡み合い、小人をしっちゃかめっちゃかにいじめる。
 もう…駄目だ。
 ヤバイ。
 気持よすぎて気持よすぎて………!!!!!!!!!!!!!!
「んっ…あ…も…もうイっちまうよ…霧島……」
 唇を離してそう漏らす。
 四方向からの攻めはあまりにあまりにあまりにヤバかった。
「早ぇぜ…馬鹿」
 腰を動かしつつ霧島はいまにもイきそうな俺の息子を片手で根本から強く握った。
 イくのをとめたかったんだろうけど、俺には逆効果。
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 破滅的な快楽と共に、破裂するかのようにザーメンと小人が俺の息子から発射された。
 白濁色の液体は霧島の顔にかかり、服を汚した。
「早いっつうの…このドMが」
 なかば溜め息混じりのセリフで、霧島はいやらしく笑った。
「俺はまだイってねえよ」
 腰の振りがいっそう強くなり、霧島の顔も快楽に歪む。
 俺も頑張って、肉棒を絞めあげる。
「霧島…」
「な…んだ?」
「大好き」
 唇に唇を重ね、舌で小人を霧島の口の中に移し、舌で転がした。
「ん……」
 霧島と俺は一緒に絶頂に達した(俺は二回目だったけど)。
 ケツからは白濁の液体が漏れだしていた。


「さーて取り合えず洗ってやるか」
 精液まみれの小人たちの目の前で俺と霧島で仲良くそろって仁王立ち。
 体育館のトイレで床に放した小人は息もたえだえという様な様子だった。
「綺麗にしてやるからな〜」
 二人で爆笑しながら、放尿開始。
 金色の熱い液体が小人たちを襲う。
 逃げようとするが、水圧に負けて倒れこんでしまう。
 アンモニア臭が漂い、悲惨な状況に。
「ははっ、ウケる」
「惨めだな〜」
 またもや爆笑。
 霧島と俺は、そいつらを放置してトイレを去った。

「そういえばさぁ、あの小人ってどのぐらいで元に戻んの?」
 霧島と手を繋いで帰っていると、そんなことをふと思った。
「一日ぐらいだから…明日の夕方だな」
「それまでにバスケ部員に見つかるじゃん」
「まあな〜」
 霧島がシニカルに笑う。
「あいつらも遊びてぇだろ。まあザーメンぶっかけるぐらいしか出来ねぇが」
「優しい先生だねぇ」
「だろ?」
「はは」
 霧島と俺は、また笑って、学校を後にしたのだった。


-了-
  2011/07/03(Sun) 21:47:59 no.152
 
 
  


     醜状  ( - / - )  
 
「今日は疲れたな〜…」

少年は中学校からの帰路を歩いていた。
とぼとぼとパンクした自転車をひいている。
少年と自転車は夕日に照らされ、小さな影を地面に伸ばしていた。
悲しげにうなじをたれ

「もっと僕が強かったらな…」

と溜め息混じりの負け犬の願いを口にする。
少年は身長、一五○p程で“きゃしゃ”かつ“小柄”な体つきをしている。
それに加えて眼鏡のお世話になっているものだから、クラスでは格好のイジメの対象になっていた。
自転車がパンクした理由の説明にはそれで十分だろう。
彼の長所といえば、顔の良さぐらいなもので、あとは全くと言っていいほど
長所という長所は存在しなかった。
しかしながらその長所も長い前髪と眼鏡で隠れてしまっている。
少年はパンクした自転車を停めると、エレベーターに乗り込んだ。
自宅のある七階につくのは、すぐだった。
鍵を開け、家に入ると熱気の壁に打ち当たる。
まだ誰も帰ってきてはいない様で薄暗い空のもとに洗濯物が
干しっぱなしだった。

「はぁ…まだ帰ってきてないのか…洗濯物取り込まなきゃ」

家中の窓を開けた後、ベランダの戸を開けるとヒンヤリとした風が
顔を撫でた。
少年が少しだけ良い気分で洗濯物に手を伸ばした瞬間。
彼の携帯電話が着信音をかき鳴らした。

「メール…誰だろう?」

部屋に入り、携帯に手を伸ばす。
受信したメールの送り主は見知らぬ相手だった。

「?……勧誘か何かかな…。えっと?…“世古一騎”様。あなた様は資格を
手にいれられました。おめでとうございます。この度あなた様は二つの選択肢をお受けになる事が可能です”?
……なんだろうこれ?」

メールの内容を読み終わると着信音が再び鳴った。

「…“二つの選択肢とは『自身の成長』か『他人の退化』です。
どちらかお好きな方を選んで下さい。そののち返信して下さい”
…何だろうこれ?」

少年は首を傾けたまま、携帯を見つめている。
すぐに返信する気にはならず、まだ躊躇っていた。
何か大変な事にはならないだろうか…それが彼の心を引き留めていた。
しかし、数分の後に彼は意を決してメールを返した。
『自身の成長』を選択して…。
もしこれで童顔と小さな身長というコンプレックスが解消できるならば…
その無邪気な考えが少年をつき動かしたのだ。
返信して十秒もたたないうちに再びメールの着信音が鳴った。
あまりに生真面目に期待したせいか、先程より大きな声と早いテンポで
メールを読みあげる。

「“選択承りました。後程『自身の成長』をお送り致します”……」

一騎はメールを読み終わると携帯電話をポケットへしまい込んだ。
携帯から意識がずれると、ふいに洗濯物が出しっぱなしだった事を
思い出した。もう夕日も沈みかけ、辺りは暗くなり始めている。
急いでベランダに出ようとした瞬間。
少年の体に異変が起こった。

「うっ…何…だろ…体が…熱い……」

少年の高い声が吐息と混ざり合った。
頭には激痛が走り、心臓の音と同じく時間を増して強くなっていった。
まるで体の中から殴られている様な感覚が神経を襲う。
薄れていく意識の中で一騎が見たものはガラスに映る見たことのない
自身の姿だった。


空には風に揺らめく薄紫の雲が漂っていた。
朝日は色を変え、何一つ例外なく世界をつつみこんでいる。
その空の下、一人の青年が目を覚ました。

名前を世古一騎という。

服などはいっさい身に着けておらず、その彫刻の様な筋肉を外気にさらけだしていた。
半開きになった一重の目は何を見る訳ではなく、只呆然と前を見据えている。欠伸をして段々と目が冴えてくると、
一騎は自らの肉体の変異に気が付いた。分厚い胸板に盛り上がった背筋。
それらにつながるごつごつとした二の腕。
しっかりと割れた腹筋の下には股間から生える陰茎が薄紫の空めがけて勃起していた。
慌てて股間を隠すが、朝立した彼の肉棒は手の中に収まるサイズではなかった。
覆った手から血管が脈打つ感じが微かに伝わった。

しかし、隠したところで辺りには誰も居らず、家具も何も無い。
只、いつも彼が生活している部屋とは明らかに違っているのは確かだった。
声変わりした低い声でおろおろしながら状況を把握できずにいると、
背後からつんざく様な高い音が彼の耳に飛込んできた。
多数の黒い影が一騎の頭上を飛び去り、大きく旋回する。
影の正体は高速で空を駆け抜ける戦闘機だった。
その機体は光を弾き、風を切って飛んでいた。
よくイベントなどで行われるショーの様に数機一体で円を描いている。
しかし一機一機が実弾を積んだ戦闘機で、ショーの様なほがらかな雰囲気ではなかった。

そして、それらの標準は確実に一騎を狙っていた。
突然、慌てふためく彼に銃弾の雨が降り注いだ。
狼狽し頭をおさえてビル街に逃げ込む。
だが、銃弾の軌道は一騎からずれることはない。
筋肉の壁があるため、幸い肉体に食い込む事は無かったが、あたるたびに痛みが彼を襲った。
戦闘機から走って逃げる最中、一騎は自分よりも少し小さいビルを見つけた。すかさずそのビルに背をもたれると、
砲撃は止んだ。

ふぅっと溜め息をついて、ゆっくりと立ち上がる。
歩きながら辺りを見回すと、彼が走ってきた一直線上に沿って町は滅茶苦茶になっていた。
くすぶる煙や崩れる建物が痛々しく見える。
振り返ると、もたれたビルの硝子に巨大化した自分の姿が映っていた。
一騎はその時初めて自らの体に起きた状況を理解した。
その姿は朝日が射し込む崩壊した街に対し酷く醜く見えた。


高層ビルにも勝る身長やどんな武器でも貫く事は出来ない筋肉の鎧を
手に入れ、見た目は八頭身の巨大青年に…。

それら全ては一騎の望んだ結果だったが、スケールが違いすぎた。
メールがきた時は面白半分に期待していたし、まさかこんな事になるとは
誰も、望んだ本人さえも分からなかっただろう。

薄く曇った空の下、彼の心はあらゆる面で不安定になっていた。
戦闘機に襲われ、街を破壊し人殺しをした。
そんな様々な理由から理性が爆発寸前だった。
そして彼の人間やそれが使う兵器に対する疑心暗鬼は徐々に苛立ちに
変わっていった。
耳障りなキャタピラ音と共に戦車の一団が瓦礫の街に現れたのを
一騎はしっかりとその目にうつした。
砲弾は彼の胸に当たった瞬間、怒りが最高点に達し、理性が吹き飛んだ。
「こっちが何もしないからっていい気になりやがってェ!!」
戦車を掴んで地面に叩き落とし、思いっきり足を降り下げ、
兵器たちを鉄屑に変えていく。
たった数秒で戦車は一つも存在しなくなった。

「………」

辺りには煙が立ち込め、視界を灰色が覆ったが、すぐ風に吹き消された。
その風は強く吹き続け、太陽にかかった雲をずらした。
曇りがかった空は晴れ、太陽は真上に上がっている。
いつのまにかもう昼になっていた。
突然、一騎の腹の虫が鳴った。


「そういえば…お腹空いたな」

辺りを見回しても一騎の目に見えるのは廃墟ばかりだった。
食べ物を探しようもないだろうし、そもそも彼の巨大な胃には量が足りない。

「ん〜…」

腕組みして考え込んでいると、耳障りな音に気が付き、空を見上げた。
一騎が見たものは空を飛ぶ大きな陰だった。

「ジャンボジェット…かァ。空港に行けば…」

空港には自分から逃げるために人間がいるのではないか…
と一騎は心の中で確信した。
彼は昼食に加えストレスの発散対象も見つけた様だった。


空港は一騎が適当に『かん』で睨んだとおり人間でひしめきあっていた。
我先にと列に割り込み、便に無理矢理乗りこむ。
巨人に対する恐怖が完全に人間達の秩序を破壊しているようだった。
その為にあちらこちらで大声が飛び交っている。

飛び立っていく飛行機を見て、一騎は足を速めた。
せっかくの昼食に逃げられては面白くないからだ。
とはいっても彼がそれら気が付いてから二機が離陸しただけだったのだが。
一騎は自らのトップスピードで走り続け、やっとの事で空港が見える所まで
やってきた。
その巨大な歩幅でも空港まで距離があり、時間がかかってしまったのだ。
息があがり、巨大な荒い呼吸音が辺りに響いた。

「やっと着いた…」

溜め息混じりの台詞が彼の口からこぼれた。
巨大な影が飛行場にうつり、全ての人々が威怖すべき存在の登場に恐怖した。まだ四機も飛行機は残っていた。
その周りを愚かにも人間が無数に蠢めいていた。
雲が完全に晴れた青空の下、巨大な筋肉に固められた男に睨まれ、
彼らは完全に硬直してしまった。
人間から視て遥か彼方の目は空と同じくの澄み切った青色だった。

「さ〜て…どうしたものかな…」

一騎は心の中でそう呟いたが、次の瞬間、一騎の口もとに無邪気な笑顔がうかべた。
彼は考えるよりはまず食欲を優先したようで、スッとしゃがんで、鉄の翼に集まる人間に手を伸ばした。
すると、数十人ほどが彼の右手に捕獲され、微かに動いて、逃げられる筈のない肉の檻を必死に押し返そうとしている。

「これって……踊り食い?」

一騎はそんな事を思いながら少し緊張した面持ちで手の中を見つめる。
一センチ足らずの人間は一騎に恐怖し、狼狽していた。
躊躇う様にゆっくり口を開き、また閉じる。
そして、開いてまた閉じる。
それを繰り返したのは、人間を食べる事が虫などの下等な生物を食べようとしているかの様に感じられたからだった。
躊躇う一騎の背中を押すように腹の虫が鳴った。

「もう我慢できない…」

空腹に耐えかね。
勇気をだして、手を傾ける。
バラバラッと口内に数十人の人間が散らばり、巨大な舌が敏感にそれらを察知した。
硬くて柔らかいそれは自らの上に落ちた人間達を涎にまみれにしながら奥へ奥へと転がしていく。
人間達は出口を探し光に手を伸ばすが、届くはずもなく粘着質の液体に呼吸を奪われていった。
そして追い撃ちをかけるように、一騎の巨大な歯が人間達に襲いかかった。
それらに抵抗などできるはずもなく、滑稽に潰れていった。
鉄の様な香りが一騎の口内に広がった。
まだ噛み切れていない人間もあったが結局、一緒に飲み込んでしまった。

「…案外、美味しい…かも」

ちょっとした発見をして、一騎は幸せそうに笑った。
しかし味が良いとはいえ、一騎の胃には量が半端無く少ない。
次に手を伸ばそうとするが、すでに飛行機の周りには人だかりは無く、巨人を避ける様に辺りに散らばっていた。

「わぁあ…あ…昼飯に逃げられる!!」

両手で齷齪と人間を掴み、口に運んでいく。
数千人いた人間達の約八割が一騎の胃袋にまたたくまに放り込まれていった。それは一瞬といわんばかりの速さで、
人間に逃げる暇などをいっさい与えなかった。

「うう…お腹一杯…かも」

上蔵をかいて一騎が満足そうな笑顔で腹を摩っていると、耳障りなクラクション音が微かに聞こえてきた。
空港からのびる道路はどこも車で埋め尽されている様に見えた。

「逃げれた奴らもいたんだ」

一騎は感心しながら立ち上がり、音が聞こえる方へ足を向けた。
ひしめきあう車体はゴミのごとく汚く蠢めき、しまいには中から人間が狂った様に這い出るしまつ。
一騎の目にはこの光景がこの世の何よりも汚く、みすぼらしくうつった。

鼻唄混じりに蹴りあげる足は破滅のリズムを奏で、アスファルトごと車を吹き飛ばした。

「まったく…ゴミばっかりだなァ…。腹ごなしに…ゴミ掃除でもしようかな♪」

微笑んだ彼の視線の先には人間達の巣ともいえる世界が写っていた。

-了-
  2011/03/03(Thu) 21:44:48 no.151
 
 
  


     某缶食品パロディー  ( - / - )  
 
T
 ある日の昼下がり、広々とした平野の小高い丘に一人の青年が立っていた。
 だが、その青年はとてつもなく巨大だった。
 鮮やかな緑のコスチュームに身を包み、腰には一枚の布が巻いてある。
 悠然と足元に広がる景色を見下ろしていた。
「ハイ、OKです!」
 と足元から声が上がった。
 と同時に、場の緊張がほぐれた。
 ここでは、ある食品の新CMの撮影が行われていたのだった。
 缶のデザインでお馴染みのキャラクターを実写で撮る、というCMに抜擢されたのが亮という高校二年生の青年だった。

 しかし、性欲と好奇心の盛んな年頃である高校生を選んだのがいけなかった。

「ちょっと、出かけてくっから。」
 亮はそう言うと、片付けた荷物を載せ始めていた車に足を踏み降ろした。
ズドォォン...!
 巨大な足は中にいたスタッフもろとも車を押し潰した。
 足元はパニックになっていた。
 亮はその車をさらに何度も踏みにじり、瓦礫をさらに細かく粉砕していった。
「証拠隠滅しなくちゃな…」
 そう宣言すると、近くの車や人間を手当たり次第に踏み潰し始めた。
 その作業を一通り終え、ふと足元を見ると、一人の生き残りが必死に電話をかけていた。
「お前で最後か…」
 男はその言葉で一目散に逃げ出した、すぐ近くに止まっていたロケバスに乗り込んだ。
 バスがあわてて急発進する前に、巨大な手のひらが車体ごと持ち上げてしまった。
「ヘッ、逃げたって無駄なのにな…」
 足元の小人の無力さに、なんだか笑えてきた。
 そして、小人たちに自分の強大さを見せ付けたいという欲望はある好奇心を呼び起こした。
「逃げ出した奴には、罰を与えないとなぁ…?」
 その好奇心はさらにさらに強まっていった。
 そして布を取り去り、太く硬い肉棒を掴みだした。
 逞しく勃起したペニスから、男の臭気がたちこめる。
 ためらうことなく、小人のいるバスに挿し込んだ。
 積み荷、座席、全てのものを押し潰しながら、肉棒は横倒しの状態のバスに挿し込まれていった。
 運転席の窓から、小人が迫り来る肉棒から必死に逃げようとしているのが見えた。
 潰される直前、肉棒は全てバスに挿し込まれた。
「…よし、これくらい脅かせば誰にも言わないだろ。」
 バスを肉棒から引き出そうとした時だった。
 男はなおも巨大なペニスに怯え必死に暴れた。
 それがいけなかった。
「…ウッ!」
 亀頭に刺激を受け、さらに肉棒が巨大化し始めた。
 紅い亀頭が男に迫っていく。
 とうとう、
ブチィッ!
 男は潰され、最高の快感が亮を襲った。
「ウッ!ウオッッ!!ハッ、ハアッ!!」
 大量の精液が噴き出し、潰れた男を吹き飛ばしていった。
 巨大なペニスはビクン、ビクンと何度も上下しながら、まだ白い粘液を発射し続けている。
 亮は潰れた男を踏み潰した。
「ヘヘッ、チンコに触らなきゃ潰れちまわなかったのに。」
 しかし、思春期の性欲がこれだけの快感では満たされることはなかった。
 亮は小さな布だけを腰に巻くと、都心部へと向かって歩き出した。
  2010/11/05(Fri) 10:32:03 no.148
 某缶食品パロディー  ( - / - )  
U
 歩き続けると、都心部との境界の山が見えてきた。
 山の間を縫う高速道路を跨ぐと、せわしなく動き続ける街が見下ろせた。
 その中で、ひときわ目立つビルがあった。
 偶然にも、その会社は亮をCMに採用した会社の最大のライバル会社だった。
 その会社は徐々に業績を伸ばしていて、亮の会社は窮地に立たされていた。
「でっかくしてくれたお礼に、ちょっとサービスしてやるか。」
 こっそりとその高層ビルに近づく。幸いあまり大きな騒ぎは起こらなかった。
「このビル、みんなぶっ潰してやるよ…」
 再び勃起し始めた肉棒を掴みだす。ひざをつくと腰をひねり、
 肉棒をビルにたたきつけた。
ズドォン…!
 バスほどに勃起した巨人のペニスが、うなりをあげてビルに襲いかかる。
 さらに何度も肉棒を往復させる。
ズド、ズド、ズドォン…!
 すると、入り口から中の人間が我先にと飛び出してきた。
 亮はそれをあっさりと踏み潰した。
 プチプチッ、という感触と、足の裏で温かい物が広がっていく感触とが、
 亮になんともいえない快感を与えた。
 それだけでは物足りず、つま先をビルの入り口にねじ込む。
 足の指をくねくねと動かすたびに、さらに多くの人間が潰れていった。
プチ、ブチ、ブチチッ、ブチャァッ…!
「ホラホラ、こっちに来ると踏み潰しちまうよ…?」
 一通り人間を踏み潰しつづけ、ふと足元を見ると、
 奇跡的に生き残った人間が瓦礫の中でなにかを持って話していた。
 おそらく、それは携帯電話で、電話の相手は警察だろう。
 亮はそれをしばらく黙って見ていたが、突然、その男を摘み顔の前にもちあげた。
 さっきとは違う、冷たい巨大な目が、男を睨み付けた。
「お前には、とっておきの罰を与えてやるよ…」
 腰を後ろに引き、思い切り突き出した。
 肉棒は轟音を立ててビルに突き刺さり、大きなくぼみを作った。
 そしてその中に男を押し付けた。
 再び腰を引き、肉棒をその場所に勢い良く突き刺した。
 自分よりはるかに巨大なペニスを叩き込まれ、男は苦しそうにうめいていた。
 さらに何度も、肉棒をビルに突き刺していく。その度に人間はばらばらに潰されていく。
ズン、ズン、ズチャッ、ズチャッ、ズチャッ、ズチャッ…!
 ようやく腰の前後運動が終わった時には、人間の代わりに赤いしみが残っているだけだった。
「よし、これで証拠は残らないな…」
 亮は半壊状態のビルを見つめながらつぶやいた。
  2010/11/05(Fri) 10:33:15 no.149
 某缶食品パロディー  ( - / - )  
V
 足元を見下ろすと、たくさんの人間がガレキに埋もれてうめいていた。
 そのガレキに、つい先ほど男を引き裂いた肉棒の照準を定めた。
 肉棒を握り締め、ゆっくり上下させる。
 足元でたくさんの人間が、自分の自慰行為を恐怖に怯えながら眺めているのを想像すると、
自然と腕のスピードは速まり、力が強まっていった。
「クッ…フッ…ウゥ!」
 白い粘液が足元の人間たちの上に降り注ぎ、人間たちを瞬く間に沈めていった。
「じゃあな」
 数発足を打ち降ろすと、人間もガレキもすべて粉砕され、精液に溶け込んでいった。

 エスカレートした亮は、自社の工場に歩み寄った。
 そして、水をためるタンクを握り、あっさり引き離した。
 巨大な手に握られた、自社のマークがペイントされたタンクは、さながらアルミ缶のようだった。
 次に、足元を逃げ惑う人間をありったけすくい上げ、"缶"の中に入れた。
 そこへ、再び勃起した肉棒を荒々しくぶちこんだ。
 人間たちは自分たちよりはるかに巨大なペニスに、為すすべもなく潰されていき、
ついに巨大な肉棒は上下運動を始め、生き残りたちを片っ端から磨り潰しはじめた。
「ハッ、ハッ、ハァッ…」
 その快感に亮はひたすら"缶"を上下し続けた。しばらく上下運動を続けた後、
タンクが巨大な手の握力に耐え切れず潰れるのと同時に、
「ウッ、クッ、ウアッッ!!」
 タンクを突き破り、最大量の精液が噴出した。
 その白い粘液はあらゆる街並みを白く塗りつぶした。
 そのとき、亮は自分の周りを新聞社のヘリコプターが飛び回っているのに気づいた。
 そのヘリに向けて、タンクを握りつぶしてみせた。
「よし、これでいい宣伝になっただろ…」
 興奮する肉棒をさすりながら、ゆっくり足を投げ出した。

 もちろん亮の会社は倒産したが、
一部の男性客が巨大な亮の印刷された製品を大量に購入するという奇妙な現象が起こったらしい…


  2010/11/05(Fri) 10:35:03 no.150
 
 
  


     バトル・ロワイヤル  ( - / - )  
 
T
「おい、俺が昨日いくらもって来いって行ったか覚えてるか?あ?」
「やめろよ。このオチビちゃんたちがママにせびって4000円も持ってきたんだぜ?」
「ぎゃはは、そーだな。このちびどもじゃバイトもできねーだろし、身長制限で。」
「ぷっ、ははは…」

日の当たらない校舎の裏側を3人の男がタバコを放りつつ笑いながら出ていった。
残された日かげにはぼろぼろになった3人の子供…いや高校生が身を寄せ合っていた。
皆、ひどい暴行を加えられたようで顔はぼろぼろだった。
制服の少年の前にいる二人の顔はあちらこちらに傷が作られている。
ふたりが着ているサッカーのユニフォームはあちらこちら破れ血がついていた。
破れ目からは瞬発力のありそうなほどよく引き締まった筋肉が見え隠れしている。
それぞれ、目のきついほうを翔太。
坊主頭のほうを大輝と言う。
三人目は一人、制服で傷は少ないものの右頬と口元に大きな青アザを作っていた。
名を幸太と言った。
3人とも顔も悪くない。
性格だって悪くないのだ。
彼らのいじめられる理由はただ一つ。
背が低い事だ。
3人とも身長155cm以下。
幸太にいたっては身長は146cmしかないのだ。
泣いている幸太に肩を貸しながら大輝が立った。
「いこうぜ…」
翔太も無言で立ちあがった。
片目に掛かった髪を直すと、幸太に肩を貸した。
大輝と翔太の目は怒りに燃えていた。
この二人はもともと喧嘩には強いのだ。
ただ、幸太を守りながらの戦いはきつかったのか。
もともと不良たちにいじめられていた幸太を守るため、この二人は立ちあがったのだが。
が、不良は中には学校の柔道部やボクシング部の輩も混じっていたのだ。
歯も立たなかった―――わけではないが勝てるはずもなかった。
翔「ほら、幸太。もう泣くなよ。」
幸「うぐ…うえ…だ…って…ひっく…」
幸太の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
幸太は2人に立ち上げられ、袖で涙と鼻水を拭いた。
拭いた顔には小学生にも思えるような童顔と、赤く泣き腫らした目が浮かんだ。
大「だって?どうしたんだよ。」
大輝は無理に笑顔を作って、足元に転がっている財布を拾った。
幸「だ…って…ふ…二人とも…僕のために……ほん…と…ごめっ…ん…」
翔太は幸太の頭をそっとなでた。
翔「何言ってるんだよ…俺達親友だろ?」
大「そうそう。いいってことよ。」
幸「でも…」
翔「もういいって、さあ幸太の家行こうぜ…」
3人は足を引きずりながら二つに並んだ校舎に背を向けた。
遠くには、梅雨の晴れ間の美しい夕暮れが顔を出していた。

三人は幸太の家に着くとまず傷の手当てをした。
幸太の両親は2人とも居なかったので、三人で交代交代に済ます。
幸太の家は割りと大きなお寺である。傷の手当てをした3人は夕日の中の境内の上で話していた。
翔太は右頬に、大輝は鼻にそれぞればんそうこうをつけていた。
幸「ねえ、これ・・・・さっきのお礼。貰ってくれる?」
幸太は話しを割ってポケットの中から物を取り出し二人に手渡した。
幸太が手渡したのは青いお守り・・・
翔「いいのか?幸太んちのお守りはよく効くらしいってうわさだぞ。」
大「そうそう女子は、買うと絶対告白に成功する!!とか言ってたな。」
大輝は女子のまねをし、翔太が真顔で「きもい」とそれを静止する。
幸太はそれを面白そうに見ていた。
それはいつもの教室の風景のようだった。
幸「そうなんだ…ねえ、二人のお願いって何?」
幸太は、二人を見ながら突拍子も無く聞いた。
翔「そりゃ…」
大「もちろん…」
2人は顔を見合すと、
「「大きくなりたい!!!」」
声をそろえていった。
幸「あはは…じゃ僕はいつまでも翔太と大輝と友達でいられますように・・・」
そういって、幸太は三人おそろいのお守りを脇においてある鞄にくくりつけた。
翔「おまえらしいよ…」
大「あはは…」
その時、まだ誰も知らなかった。
その願いが血にまみれた現実になる事を…
--------------------------------------------------------------------------------
その次の日。
幸太達の高校(男子校)にて。
夏の日差しを避けたカーテンの脇の机の上に眠りこけている大輝と翔太の二人を尊敬と憧れ…
そして愛情の目で見ている目…
(大きな翔太と大輝か〜)
幸太は昨日の境内での光景を思い浮かべた。
二人の"願い"を元に授業も聞かずに妄想にふける幸太。
彼は知らず知らずのうちに幼馴染の二人に恋をしてしまっていた。
幸太は自分より大きな人間が好きと言う少し変わった趣向の持ち主だった。
いつも二人の寝顔を見て空想しては股間を膨らましていた。
(身長は…そうだな二人とも190ぐらいあってさ…)
妄想はさらに発展していく。
(二人ともサッカーやってて筋肉質だし…そんで僕は二人のおおきな……)
幸太はその可愛らしい顔を大きくにやけ二人を見ていた。
(…あの三人なんかちっちゃい…二人が本当に大きいや…いいよ、そんなチビたちぼこぼこにしちゃえ…)
幸太の頭の中で2人の大男が髪を染めた高校生をぼこぼこにしていく。
(すごいや、ふたりとも…かっこいいや…)
しかし、至福の時もチャイムとともに終わりを告げる…
周りががたがたと立ち始めるのに二人はまだ眠りこけている。
(ああ、二人とも本当におっきくなったらいいのにな・・・)
幸太が席を立ち上がりぼそりと思ったその時。二人の「お守り」が光りはじめた。
「なんだなんだ?」
周りのざわめき、ふたりは困惑し、一気に目覚めて、席を立った。
「なんだ?これ・・・!?!?」
次の瞬間、お守りは回りを真っ白にするほど強く光りだした。
と、同時に大輝と翔太に耐え難い力が掛かった。
それは体の内側から、湧き上がり、心臓の鼓動のたびに強くなっていった。
その圧力はふたりを体の内部から破壊してしまうような強い衝撃だった。
そして、二人の身体に変化が訪れた。
二人の身体が内部から膨れるように巨大化しはじめた。
腕や胴、足もどんどん太く大きくなっていく。
2人は光の中でその得体の知れない内圧と戦いつつ、それが温かみのある人肌なような感触に気づいた。
やがて学生服はどんどん膨れていく二人の体に耐え切れずボタンはすべてはじけ飛んだ。
ふたりはその衝撃に耐えかね雄叫びを上げはじめた。
「「うおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!」」
ついに机やいすなど簡単に蹴り飛ばせるほどに大きくなっても巨大化はとまらない。
「うわああ・・・」
クラスメイトは急に巨大化しはじめた二人を見て逃げはじめた。
そして幸太一人が机に隠れて二人の様子を見ていた。
そうこうしていく間に二人の巨大化がどんどん進んでいった。
ズボンやベルトは内部からの巨大な圧力に耐えかね離散していく。
パンツいっちょうになるころには二人の頭は天井に届いていた。
「「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!!」」
幸太は怖くなり目を硬くつぶり頭を押さえた。
--------------------------------------------------------------------------------
幸太が目をあけた時―――
目の前には半分の床が抜け半壊した教室があった。
窓際の壁はほぼすべて大破し、埃の舞う窓の外の先にあったのは―――
四つの小麦色の柱だった。
幸太はそれか何かはすぐにはわからなかったが、しばらくしてそれが自分の願ったものだと理解した。
「ま…、まさか…」
(二人が本当に大きいや…いいよ、そんなチビたちぼこぼこにしちゃえ…)
幸太はなかなか立たない足を無理やりに立たせ屋上に向かった。

「ん…、ここは?」
翔太は硬く目をつぶっていた目をあけた。
その眼に映ったものはなんと空と自分たちの住んでいる街の町並みであった。
「え…?俺、浮いてるのか?もしかして…死んだ?」
いや、翔太の足はしっかりと校庭をつかんでいる。
そして翔太は周りを見渡して理解したのだ。
目の前の、いや眼下にある校舎も、目の前の町も、自分が素っ裸の理由も。
そう、翔太が大きくなったのだ。ご丁寧にバンソウコウまで。
隣の大輝もそれにきづいたらしく目をぱちくりさせている。
「なあ、大輝…」
「なんだよ…」
「もしかして…昨日の、あれ?」
「…んな、あほな…」
大輝はしゃがみ、自分の膝ほどもない校舎を観察した。
授業をサボっていたであろう数名が驚嘆していた。
校内では急な巨人の出現でパニックになっていた。
「俺たち…まさか…」
翔太はちょうどマグカップほどの給水タンクをつかんでみた。
丈夫に屋上に固定してあるはずの柱は翔太の巨大なてと握力の前には無力に等しいものだった。
ぐぐぐ…ばきばきっ…ぼき…
タンクは屋上から切り離され、遥か上空である翔太の目の前に持ち上げられた。
「やべ、壊しちまった。まあいいか…」
「どうすんだそれ?」
「いやさ、今の俺達、すげ―力じゃねえか?」
そう言うと翔太は驚愕して腰が抜けている屋上の数名の頭上にタンクを持っていった。
「見てろよ、大輝…」
ぐぐぐ…ぎゅ…ばきばき…
「ひい…た…すけ…」
小人たちは立ちあがる事もできずにおびえている。
大輝はその様子を興味深げに、そして面白そうに見ていた。
ぐぐ…ばき…ばきばき!!ざばーーー!!!
ついにタンクはこられきれずに翔太に握りつぶされてしまった。
大量の水が小人達をおぼれされていく。
大輝はたちあがると翔太の手の中の鉄くずを見た。
もうすでにそれはタンクではない。
 ただの哀れな鉄くずだ。
「お前どのくらいの力で潰したんだ?」
 大輝は少し悪がかった笑みを浮かべる翔太に問い掛ける。
「ぜんぜん。…アルミ缶のほうがまだもつぜ…」
 翔太は手の中の鉄くずを校庭のど真ん中に放り投げる。
 大輝もそれを見て興味がわいたのか眼下の校舎の上でおぼれ、衰弱していた生徒を摘み上げようとした。
 しかし。
「よっと。」
 その生徒をつまんだ瞬間、生徒は段殺魔の叫び声を上げた。
「ぎゃああああ、ぐ…あ…」
ぐぐぐ…ぷちゃっ…
「…!!!…」
 その生徒は骨も肉もなく、大輝のゆびのしみになった。
 ほか数名が叫び声を上げ逃げようとした時、大輝はすばやくその巨大な掌でさえぎった。
「…あ、おい!まて!!」
ずどーーーーーん!!ぐしゃ…
 その手刀は不運な先頭の生徒と、屋上を切り裂いて、したの階まで到達した。
「あ…またやっちまった…」
 大輝は右手で頭を掻くと左手を生徒(もうこの状態ではこいつしか生き残っていない。)の前に差し出した。
「………」
2人は大輝の手にこびりついている肉塊を見ながら口をパクパクさせている。
そこについている肉塊は紛れもなくさっきまで人間だったのだ。
2人は不意にこの人間をこの世から消してしまったのだ。翔太の足が振るえ、大輝の目が潤みだした。
大輝はすぐにその場を離れたい衝動に襲われ、足を動かそうとした時、
頭の中でぼんやりと、しかしはっきりと幸太の声が聞こえたのである。

(二人が本当に大きいや… いいよ、そんなチビたちぼこぼこにしちゃえ…)

大輝はその声を聞いてぽかんとしてしまった。
と、同時に今までの恐怖心や罪悪感が霧のように晴れ、代わりにある言葉がココロの中に響いた。
(そんなチビたちぼこぼこにしちゃえ…)
大輝は頭がすっとする感じがした。長い間の悩み事がはれたような心地だった。
もう迷いはなかった。
(そうだよな・・・こんなチビに何遠慮してたんだろ…)

「のれよ。」

大輝のドスのきいた声にびびった生徒は、震える足で巨大な掌の上に載った。
乗ったのを確認すると一気に大輝に顔の前まで上げられる。そこは地上70mの世界…
生徒の目線からは自分が乗っている畳より大きい掌に、骨太な腕から、彼がサッカーで鍛えた逞しい肉体が映った。
そして目の前には、大輝の巨大な顔。にやりと、いたずら小僧のような目で生徒をにらんでいる。
「なあ、」
びくっ!!生徒は思わず後ずさりした。
「なあ、お前はなんにも見なかった。そうだろ?お前の友達見てえになりたくはねえだろ?」
そういって右手の二つのしみを生徒に見せる。
赤いそれにはかすかに内臓や骨らしき物体が見え隠れしていた。
大輝はそれを大きな舌で'ぺろっ'となめてしまった。
二人の生徒の生きた証はわずか一秒足らずで大輝に消されてしまった。
しかし翔太はその生徒を優しくつかみ自分の前にもっていった。
「ばかだな…こうすりゃ、真の証拠隠滅だ。」
そして、その生徒を口内に落とした。
「ぎゃーーーーーーー!!」
大輝はふと、翔太も自分と同じ眼をしていることに気づいた。
きっと翔太も"声"を聞いたのだ。大気は翔太を見てにっこり笑った。
「そりゃいいや。腹ん中で暴れねえようにしっかり噛み砕いとけよ。」
翔太はそれを見て笑い返す。
「おうよ。」
気の毒な生徒はなんとか逃げ出そうと巨大な舌の上を這ったが無駄であった。
やわらかい舌の上ではすべてのもがきは無駄になった。
舌の上で転がされ、熱い熱風と翔太の体液が生徒の体を襲う。
ついに鋭い前歯の下に運ばれ、のどのおくから聞こえた「あばよ。」を一言が彼の聞く最後の声となった。
「た…たすげ…ぎゃーーーーーっ…」
ぶちゃ!!
彼の身体は無残に二つに引き裂かれそれぞれ奥歯に運ばれやはり無残な肉塊と帰した。
くっちゃ、くっちゃ…
「どうだ?味のほうは?」
大輝が茶化してきいた。
しかし翔太はまじめなかおをして答えた。
「いや…こりゃふつうに美味え…」
ごくん。
哀れな生徒の肉塊は翔太の胃袋にきえた。
「まじで…」
大輝は言うよりも早く校舎を巨大な二本の股で跨ぎ屋上にまだ人がいないか探していた。
春の日差しも暖かい昼前時。
若い大輝の巨大な胃袋は哀れな犠牲者を求めはじめた。
大輝は膝を曲げ巨大な、そして幼さの残る顔には似合わない、りっぱな"巨根"を校舎の真上にかざし探している。
翔太の胃袋も新たな栄養を求めた。
翔太はしゃがむとまだ校舎に人間はいないか探しはじめた。
二人の身体は毎日の練習量に似合う、大盛りを常に求めていた。
今日も朝練習の為に朝飯を食ってこれなかったせいもあり、二人は人間を"生き物"から"食べ物"にしてしまった。
そして大輝の太い指は屋上に出ていた一人の人間を捕らえた。
それは―――
「やったー、め…幸太?」
翔太も驚いて大輝の指を見た。
「幸太?…お前…」
幸太は巨大な大輝の掌でも怖くはなかった。しかし。
「翔太…大輝…二人ともごめん…僕の…僕のせいで…うえ…ひっく…」
幸太が泣きはじめたのを見て二人の巨人はあせった。
「わわ…なんで、幸太が泣くんだよ?!」
「そうだぜ、幸太はなんにも悪かないからさ、なくなって。」
「でも…ひっく…」
大輝は笑顔を作ると、幸太に向け言った。
「だいじょうぶだって、見てろよ…」
大輝は足元の校舎から机を一個摘んだ。
「ほら、幸太のおかげでおれ、こんなに強くなったんだぜ?!」
大輝は机を一瞬でプレスし元がなんだかわからないものにかえてしまった。
「だからもう泣くなよ。な?」
「…ぐす…うん…」
そこへ翔太が大声で叫んだ。
「そうだ!!」
大輝は若干驚き「どうした?」と静止する。
「いい事考えた。」
翔太の目はいたずら小僧のような目でいった。
「なんだよ?」
「それはさ…」                            
翔太は生徒が非難している体育館の前に歩いていき、
ぐぼっと足を地に付きたて体育館から体育館の前に広がる校庭をぐるりと囲み、
校庭の北に二つ並んだ校舎を通り過ぎ、体育館の後ろの理化棟の校舎を囲む線を引いていく。
そして、体育館に足を乗せた。
体育館は巨大な足の重さに合えかねみしみし音を立てた。
「今から、第一回バトル・ロワイアルを開催しようぜ!」
「「へ?」」
「ルールは簡単。"そのまんま"だ…おもしろそうだろ?」
翔太は凶悪な顔で笑った。
大輝も顔をにやっとさせ、いった。
「いいねえ。よっしゃ、おれもやるぜ。」
大輝は体育館のほうに歩こうとし、校舎を蹴っ飛ばしてしまった。
そんな事を待ったくきににせず、体育館に足をのせる。
数人、すでに体育館から逃げ出している。
「おうおう、みんなやる気みたいだなあ…」
「あ、そのまえにさ、幸太は落ちねえように、俺の頭の上にいな。」
「…う…うん…」
「よっしゃ。じゃ、せーのっ!!」
ばきばきばき!!ぐしゃ、がっしゃーーーん!!
3階建ての体育館はその巨大なやねを砕かれ、中の人々を外に押しやった。
悲鳴が交錯する中、二人の巨人は腕をぱきぱきと鳴らし、たからかと宣言した。
「「バトル・ロワイヤル、スタート!!!」」
  2010/08/14(Sat) 01:05:48 no.144
 バトル・ロワイヤル  ( - / - )  
U
ばきゃばきゃ…ぐっしゃーーーん!!!
二人の巨人の巨大すぎる足によって体育館は瞬く間に破壊されていく。
二人の足によって体育館の外壁は押し倒され、その衝撃により照明やバスケット…ゴールがぽろぽろ落ちていく。
「おらおら、ちびども!!早く逃げないといっしょに潰しちまうぞ!!」
二人の巨人にとって体育館はあまりにももろすぎたらしくすごい勢いで破壊されていく。
右から大輝が、左からは翔太の巨大な足が体育館の床を踏み抜き一階の卓球場と畳部屋まで破壊していく。
大輝はふいに半分ほど残っている体育館の床に目を移すと、五、六人のその場にへたり込んでいた。
大輝はそれを見てにやっと微笑むとその場にしゃがんだ。
「なあ、翔太。ここは俺に壊させろよ。」
翔太はそれをきくと、しょうがなさそうに最後の一蹴りをいれた。その蹴りは巨大な体育館を三分の一ほどにしてしまった。
「しょうがねえなあ…じゃ、俺校舎のほうにいってるからな。」
翔太は頭の上の幸太を掌の上に押せると校舎に向かい、わざと人間の上に足を落としていった。
大輝はそれを見送ると体育館に視界を戻した。
しかし、大輝から見ると体育館は膝小僧までほどしかなく、へたり込んでいるものの顔を覗く事は出来なかった。
大輝は一度舌打ちをすると一番近くにいた男を見た。
学生服の男にピントを合わせると男はそれに気づいたのか悲鳴にならない悲鳴を上げた。
男は全身を、大輝から見ても震えている事がわかるほど振るわせ本能的に手を後ろに回した。
しかし、その手は滑り、男はそれでも四股を懸命に動かしてなんとか後ろに下がろうとしていた。
大輝はそれを見てクスリと笑ってしまった。
大輝は左手をあげ男のほうに向けた。
男はさらに聞き取りにくい奇声を上げると、足をばたつかした。
それを見た後ろの腰が抜けた数人も大体おんなじように逃げようとしていた。
大輝はあえてゆっくりと手を男のほうにやっていく。
やっと聞き取れるほどの聞き取る事の出来るほどの声が男から発せられる。
「く…くる……な…、…た…たす…ったすけ…」
真っ青な顔から、命乞いが聞こえた。
大輝は楽しくて仕方がなかった。
目の前の立派な高校生が全身を冷や汗でぬらし、命乞いをする姿が。
大輝はその街路樹より太い指人差し指と親指で男をなるべく優しく摘んだ。
摘むと、さっきまではろくに動かせもしていなかった足を動かし、なんとか逃れようとした。
大輝はそのままゆっくりと立ち上がり男を右手にやや乱暴に乗せた。その小人を良く観察する。
小人は、自分の手の中でまるで小鳥のようにぶるぶると震えていた。
大輝はそれを見てにやりと笑うと、片足で思いきり体育館を蹴りつけた。
体育館は大きな音を立てて、蹴った所からぐしゃぐしゃと崩壊し、
最後に残っていた体育館の一部はそのたったの一撃で人間ごと皆、つぶれてしまった。
「見ろよ…お前みたいに腰が抜けてたやつ、みーんなつぶれちまったぜ…」
大輝の掌の上で男は目をぱちくりさせ小さな声で「助けて…」と言っているのがかすかに聞こえた。
「じゃあ、お前にも情けなく腰抜かしちゃったから、罰ゲームだな。」
大輝はにやりと凶悪そうに笑うと、小さな男を頭以外を掌の中に入るように握り替えた。
そしてゆっくりゆっくりと、その拳に入れる力を強めていった。
「さあ…どんどん強くしてやるぜ…」
「あ…たすけ…ぎゃーーーー…ぐあ…あ…」
大輝は掌の中の男をどんどん握りつぶしていく。男の顔は必死に苦悶を訴え、顔が真っ赤になっていく。
大輝はその様子をとても楽しそうに見ていた。
まず、小さな小枝を握りつぶすような「ぽきぽき」と言う感触があった。
「ぎゃーーーーー…ぐす…ぐ……ぎゃ…」
つぎに、「ぱちん、ぱちん」と、いう妙な感触がした。恐らく内臓系はもう駄目であろう。
手の中にはぬめぬめとした血の感触があった。
男はもうすでに言葉はなくただ苦しそうな顔をするだけであった。口からは、大量の血が流れている。
大輝はそれを見ると、人差し指と親指で男の頭を摘むと、笑いながら男に話しかけた。
「じゃあな」
ぶちゅ…
二本の巨大な指が男の頭を握りつぶしてしまった。
一瞬男の体が「びくっ」と動いてそれ以上動くなくなった。
大輝は「ぎゅっ」とその肉塊を全力で握りつぶした。
手をあけた時にあったそれは、もはや何も意味もない、元が誰かもわからないただのひき肉だった。
大輝はそれをぽいっとすてると、手についていた血をぺろりとなめる。
「へへへ…たまらねえな…これが俺の力…」
崩れた、元体育館であったはずの場所で、その大輝の姿を見れたものはいなかった。
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こちらは第一校舎と第二校舎の間の駐輪場。
二つに並ぶ校舎
翔太の眼の先にはたくさんのこの学校の生徒が翔太から逃れようと、必死の形相で走り回っていた。
翔太はしばらく腕を組んで仁王立ちになり、それを高みから見物していたが、
彼らの歩みの遅さに嫌気が指したか、それとも破壊衝動が押さえきれなかったか、ついにその巨大な足を振り上げた。
ずしん……ずしん………ずしん…ずしんっ……ずっしーーーんっ!!
翔太の巨大な足の歩幅は恐るべきものだった。
約100mは離れていた人間達にたったの数歩で追いついてしまった。
その振動は何人もの人間を転ばせ、駐輪してあった自転車や、車を転倒させていく。
「へへへ…お前ら、そんなんじゃ ちょっと遅いぜ…」
ずっしゃーーーーんっ!!ぶちぶちゃ…ぱき……
その巨大な足はついに追いついた最後尾の4cm足らずの一群に振り下ろされた。
すさまじい衝撃で多数の生徒が転び、後ろを振り返った時、そこにあったのは地獄絵図だった。
その巨大な足は真っ赤に血塗られていた。
指の間からはかろうじて手が見えたり、ひき肉のようなものが覗いたりしていた。
その足の周りのアスファルト陥没し、血がゆっくりと周りに染み込んでいた。
翔太は、腰が抜けている小人たちの驚き絶望したその間の抜けた顔がたまらなくおかしくて仕方がなかった。
自然とにやけてしまったその口からは「くっくっくっ…」と、笑い声がすこしずつ溢れていた。
そしてまた人間達が悲鳴を上げて逃げるのを面白そうに見ていた。
翔太は先ほど振り下ろした足に体重をかけ片足をぐわっと持ち上げ、そのままもう一度人間達の群れに振り落とした。
ずーん、という巨大な衝撃が走っていた多数の人間達を再度転ばせた。
翔太の足裏にぶちぶちっと、なんとも形容しがたい味わった事のない快感が走った。
翔太はそのままそのまましゃがんだ。
翔太の火照り、少し汗ばんでいた体がゆっくりと校舎と校舎の間に下がっていく。
眼下には逃げる群れから遅れ、さっきの衝撃で転び、翔太を見て動けなくなってしまっている人間がたくさんいた。
完璧にしゃがむと、その驚き恐れて、あるいは泣き、あるいは足をばたつかせ、
あるいは失禁してしまっている人間の表情が驚くほどよく見えた。
と、同時に、その表情がたまらなくこっけいに見えた。
翔太はぺろりと舌なめずりをし、目の前で腰が抜けている人間たちをこれからどうしようかしばらく考えていた。
翔太は不意にその場から走り去ろうとする一人の人間を見つけると、その巨大な指で摘んで目にまえに持ってきた。
その人間は涙で顔をぐしゃぐしゃにして、足をばたつかせていた。
「くるな…はなせよ…ひっく……」
目の前の人差し指と親指の間の4cmほどの大きさの人間は失禁してしまっている。
翔太はその人間の制服(学らん)を巨大な指で器用に破き裂いていった。
「たすけて…たべないで…」
翔太はその人間の服を破くと口の前に持っていき唇から巨大な舌をだしぺろっと、舐めた。
少ししょっぱい身体を二…三回舐め、散々に悲鳴を聞いた後。
翔太はそのまま男を口の中へ放り投げた。
男は口の中でじたばたと動いているのが分かった。
そのまま翔太は男の腕をがぶりと噛みきった。
翔太の口から翔太の声でない悲鳴が上がり、舌の上にじわっと血と生肉の味がした。
翔太はじたばたと動く男をちぎれた腕ごとごくりと飲み込んだ。
割れた腹筋を二三回さすると、ぽんっと腹をたたき、そのにやけた目を小人の群れに戻した。
「さあて、遅い昼食でもいただくか。」
わざと、そんな事を宣言して翔太はその巨大な腕で小人に襲い掛かった。
その宣言を受けた人間も、
まさに蜘蛛の子を散らすように逃げるがその巨大なうでからは逃げられたものは数えられるほどだった。
手当たり次第に巨大な腕と手の平に捕まえられた数人単位の人間達は巨大な口まで一気に運ばれ、
そのまま口の中で、大体一人目と同じような目似合わされた。
その巨大な唇が血で赤く染まりはじめたころ、
大輝がこちらにずしんずしんとやってきて人間の上に遠慮もなく腰を下ろした。
大輝のけつの下で幾人かが肉の塊となった。
「おう、楽しそうだな翔太。俺にもくれよ。こうたは?」
「ああ。ここ。」
翔太は大輝の口に二三人の人間を突っ込むと片目に掛かるほどに伸びた髪の中にいた幸太を手の平の上に置いた。
幸太は手の平で、また泣きそうな顔になっていた。まあ、無理もないが。
翔「なんだよ、幸太…そんな顔すんなよ…」
幸「…ぼくは…食べない…よね?」
大「当たり前だろ?お前は友達だからよ。こんなちび虫なんかとちがうさ。」
大輝は口をくちゃくちゃしながら言った。その唇には鮮血が流れている。
幸「…うん…」
翔「…お前…もう帰るか?」
幸「へ?」
翔「…やっぱお前に取っちゃ、俺達怖いよな…
 でも、こんなすげぇ力貰ったら…俺たちはやっぱ押さえられねえや。」
幸太はすぐに、二人に言った。
幸「ううん。…こうなったの僕の責任だし。
 それに…二人とも怖くないよ。…そりゃ、人食ってるのはこわいけど…
 やっぱいつものふたりだしね。」
二人は顔をお互い見た。
翔大「……ぷっ…はっはっはっはっはっは!!」
大「ひっひっひ…いつもと同じか…くく…」
翔「そうか…ん?」
大幸「どうした(の)?」
翔太はすっと立ちあがると、校舎の裏にいた人間をぐわっとつかまえ、目の前にもってきた。
そしてにやけると、大輝にウインクをした。
大輝のほうに向けられた手の平に乗ってたのは―――
「みぃ〜つけたぁ。」
そう、あの不良3人がへたりと座り込んでいたのだった。
  2010/08/14(Sat) 01:07:54 no.145
 バトル・ロワイヤル  ( - / - )  
V
「みぃ〜つけたぁ。」
翔太の巨大な手の平の上には不良3人がへたりと座り込んでいたのだった。
3人とも、腰を抜かして、がたがたと振るえているのが見て取れた。
「おっ、こいつら…へへへ…さっさと逃げてりゃよかったのにな…」
大輝はにたにた笑いながら3人のうちの一人の、茶髪の男を手に取った。
摘んだ瞬間、何か叫んでいたようだが、大輝はまったく気にしなかった。
「へへへ…ちっちぇえな、お前。」
大輝は、はじめて袋にされた時の彼の一声を覚えていた。それが今のこの言葉だった。
茶髪の男はがたがた震えながら助けてを連発していた。
涙目になっていたのも覗えた。
「助けてだと?お前さあ…助けてもらえる立場だと思ってるのか…?
へへへ…お前らにはたっぷり復習してやらなくちゃなぁ…」
大輝は目の前の茶髪の少年を乗せた手の平をゆっくりと閉じていく。
「このまま握りつぶしてやる…」
翔太は大輝をゆっくり諌めた。
「おい、大輝…まてよ。」
「なんでだよ…こいつ等にかける情けなんてねえだろ?」
「ばかだなあ…だからこそ、ゆっくりいじめ殺そうぜ?」
「…なるほど、そっちのほうがいいな。…どうやるんだ?」
「…さあ?」
大輝は軽く握った手の中の人間を、目の前まで持ち上げた。
「なあ、お前はどうやっていじめられてえ?へへへ…」
茶髪の男は恐ろしさに声を出す事もできなくなっていた。
大輝は、その茶髪の男がおびえきっているのを見ていると、本当にどうしようもなく心臓が高鳴った。
恐らく翔太も同じだったんだろう。
鼻息を荒くさせ、手の平の矮小な生き物を見下ろしている視線はとても楽しげで、同時に、恐ろしく冷たかった。
まるで慈悲のかけらもないようなその視線は手の平の上の生物をますますおびえさせていった。
幸太は、今までにない高ぶりを見せている二人に、恐怖と同時に興奮していた。
巨大な舌を出し、ニタリと緩んだ口元。復讐に燃えている眼は、幸太の目に、とても格好よく映った。
巨大な力をもった、妄想上の二人の恋人がそのちからを
今まさに発揮させんとしている光景に幸太の幼い欲情を一気に張れ上がらせたのだった。
大輝は何か考え付いた顔をすると、翔太に提案した。
「じゃあさ、二人で交代にいじめてやろうぜ?
まずおれが、次はお前がいじめてさ、最後はいっしょに…な」
大輝は翔太に瞬きをした。翔太は一瞬なんの事かわからない表情を浮かべたがすぐににたりと笑った。
「よっしゃ、俺も賛成だ。幸太はどうする?」
幸太はいきなり意見をもとめられ少し困惑していたが、すぐにOKをだした。
「…いいよ。二人の好きなようにさ、僕の替わりに"復讐"…してw」
「「よっしゃあ!!!」」
大輝は今の会話に腰を抜かしている三人をまとめて手に取ると、にたりと笑って話しかける。
「よし、じゃあ、まず俺が復讐してやるぜ…よし、じゃあ百メートル走だ!」
手の平の三人はぽかんとしている。
「おいおい、なんだよそれ…」
翔太は苦笑いをしながら突っ込んだ。
「よし、ちびなお前らでも分かりやすいようにせつめいしてやるぜ!」
大輝は校舎の破片や腰の抜けた生徒などをお構い無しに踏みつけ、第二校舎の前に立った。
「まず、第二校舎は要らないから、蹴り壊しま〜す☆」
と、言うのが早いが、大輝は脚を高々と持ち上げ、その巨大な足の裏を第二校舎の上にかざした。
「かくごしろっ!!」
そのまま大輝は勢いよく、校舎を踏み潰した。
すさまじい音を立てて、校舎の中央部分は一階まで激しく陥没してしまう。
大輝はその脚を休めず、右半分に思いきり蹴りを食らわす。
その蹴りにより、右半分の校舎全体が宙に浮き、すさまじい音を立て、中に隠れていた人間もろともぶち壊してしまう。
今度は左校舎に足を乗せ少しずつ体重をかけていった。
校舎全体が大きく陥没していき、次々に窓ガラスが割れていく。
かろうじて左校舎から渡り廊下で抜け出した人間達も、
あるものは翔太の巨大な手の平によって巨大な口の洞窟へと運ばれ、
あるものはその巨大な足のうらにへばりつく哀れな肉の塊と化した。
左校舎はばきばきとすさまじいを音を立て、机や逃げる生徒たちをを押しつぶしながら後ろに倒れた。
すさまじい音があたりに響く。
大輝はそれをぐしゃりと踏みつけると、しゃがんで、手の平の三人に見せ付けた。
「ほら!、お前等も、コウなる運命なんだからナ!よっしゃ、次だ!」
破壊をめいいっぱい楽しんだ大輝の脚はさらに右の第一校舎へとシフトしていく。
その時、幸太の目は大輝の身体のちょっとした変化を見逃さなかった。
大輝の身体のわりにふてぶてしいチンコが完璧に勃起していたのだ。
それはへそに届くほどにでかく、薄い陰毛と重なって余計に巨大に見えた。
大輝は第一校舎につくと、窓際の廊下側の壁を右手のつめではがし、その中に三人を落とした。
三人は腰が抜け、逃げたくても逃げる事はできなくて、ただ、じたばたすすり泣くばかりであった。
大輝はそこで、なんと自分のチンコを校舎にぶちこみはじめたのだ。
三人から見ると巨大な黒い塊が自分たちの後ろに壁をぶち破り、挿入された。
それは三人の大きさではすぐには何かはわからなかっただろう。
パキパキと、音を立てて、その巨根は校舎に挿入されていく。
大輝の巨大なものは廊下をつきぬけ教室を破壊し中に入っていく。
全部が入りきると大輝は説明をはじめた。
「いいか、俺のチンコと、お前等で競争すんだ。こっから、この校舎の先までな。
お前等に俺のチンコが追いついたらお前等の負けだ。一番遅いやつは…へへへ、お楽しみを受けてもらうぜ!?」
それを聞いた三人は動かない腰を必死に立たせて一目散に走り出した。
「おっ、やる気だな!よしじゃあ、おれもいくぜ!!」
大輝はチンコが突き刺さったまま、身体を横にスライドさせていく。
大輝のチンコは壁を破壊し、いすなどを押しつぶし黒板を踏み潰してどんどん進んでいく。
先っぽのこすれる感覚に大輝は雄叫びを上げる。
「あああ、いいぜ〜!!壁が壊れるのが…たまんね!!」
大輝はついにその巨大な腰をも、校舎に打ちつけはじめた。
校舎の上層階はすさまじい音を立て、巨大な腰と、チンコによって破壊されていく。
必死に逃げる3人の後ろにふてぶてしい怪物が迫ってくる。
「うわあああああああああああ!!!?」
三人は悲鳴をあげながら揺れの激しい校舎の中を必死に逃げ回った。
三人から見れば巨大すぎてなんだかよくわからない黒い物が割りと速いスピードで迫ってくる。
その質量とエネルギーは見るからに恐ろしげで三人を恐怖で包み込んだ。
黒板を簡単に割り、壁を砕き、丈夫な教卓を押しつぶす質量。
そして、先端から粘質の液体を出しながら、校舎を破壊するエネルギー。
三人は最初は快調に逃げていた。
三人はとりあえず校舎から逃げ出そうと、階段を目指していた。
箱利と瓦礫にまみれた校舎を走ってあと少しというときに、なんと大輝が校舎に腰を押し付け始めたのだ。
それにより校舎はゆれに揺れ、三人のうちの一人が転んでしまった。
他の2人は助けることなど出来る状態ではなく、転んだ一人が振り向いた時―――
後ろにはちょうどその怪物が迫っていたのである。
「う……うわあああああああああ!!?」
大輝はその幽かな感触を確かめると、荒い息使いのまま腰を引いた。校舎の一部ががらっと崩れ落ちる。
「しゃ!俺の勝ち!さあ、びりちゃんは誰かなあw」
大輝は中に手を入れ、三人を再度手の平に乗せた。
二人は大丈夫だったようだが、最後にいた金髪の男は片腕がもぎ取られ、悲鳴を上げていた。
「 よし、お前だな☆金髪ちゃんwさて、どうやってお仕置きしてやろうかな☆
そういや、俺前にお前に小便かけられたことあったよなー…」
それはずいぶん前のことだったが確かに大輝はこいつに小便を引っ掛けられたことがあったのだ。
大輝はそのまま運動場の真ん中に数歩歩くと、手のひらから金髪をおろす。
金髪はそこから逃げ様と動いてはいたが大輝から見たその姿は本当に微々たる物だった。
大輝は腕を組んで仁王立ちになり、暫くその様子を見ていた。
左手では残った2人が早く逃げろ、とかいっているのがたまらなくこっけいだった。おもわず、噴出してしまう。
「よし、金髪ちゃんには俺サマの小便をプレゼントしてやる。ありがたく受け取りナ!!」
そういうと、大輝は未だに硬くそそり立つ巨根をつかみ、先からすごいいきおいで小便をしていった。
「へへへ、これで流れちまえ!!」
その量は半端ではなく、片腕をなくした金髪はその酸のような小便に耐えられるわけもなく、
その臭気立つ小便の中に沈んでいった。
勢いはまるで消防車のホースのようだった。
運動上には小便があふれ、その中で金髪はかすかに動いていた。
しかし、勢いは衰えることはなく、金髪はやがてそこから動かなくなり、小便とともに流されていった。
二人はその光景に大笑いし、不良二人は確実に青ざめていった。
「へへへ…よっしゃ、次はお前の番だぜ!翔太!」
手を出した大輝の手の平にはおびえた二人が乗せられてた。
  2010/08/14(Sat) 01:10:43 no.146
 バトル・ロワイヤル  ( - / - )  
W
翔太は大輝の手の平から二人を摘み、自分の手の平の上に乗せた。
二人は顔面蒼白になり、手の平の上で悲鳴すらあげることができずにへたりこんでいた。
翔太はその様子を見ながら、それらをどうしようかと頭を回らせていた。
大輝は少し困惑気味の翔太の左の手の平から幸太を摘んで自分の手の平に乗せた。
大輝は幸太の乗った手を股間のほうへ下ろしていく。
「ほら、こんなに大きくなっちまったぜ☆さっきのやつマジで気持ちよかった、幸太のおかげだな!」
大輝はしばらく興奮気味に自分の暴れ馬を触る幼馴染の小人を満足そうに見ていた。
一方翔太は一度その血でぬれた赤い唇を興奮気味に舌なめずりをした。
手のひらの上の哀れな二人にもわかるほどに、興奮し、鼻息が荒くなっている。
翔太は左手で長く伸びた前髪をいじくった。
手のひらの二人にはいっそう熱い鼻息が頭上からかけられる。
翔太は右手を顔の前にもってきてにやりと二人の哀れな囚人に笑いかける。
「おめぇらにはた〜っぷり世話になったからよ…どういう目にあわせてやろうかな…?へへ…」
二人からすれば、翔太の頭ですら、一回分の建物ほどのサイズがある。
二人は震えながら、腰をぬかしている。
二人とも、翔太を直視することなどできなかった。
「なんだよ〜…こっち向けよ…そんなに俺がこええか?」
そう言いながら右手を左右に振った。
二人は泣きながら手の平に捕まり、かすかに命乞いをしている。
ついに一人に恐怖に飲まれ顔を翔太の手の平にうずめ始めた。
その生後間もない鼠のような行動を見て翔太はいっそうにやついた。
「よっしゃ、き〜めた☆」
翔太はあぐらを掻くと右手の平をひっくり返し、サッカーで鍛えた逞しいふくらはぎに二人を落とした。
もうすでに二人は腰が抜けているような感じになっていて逃げる事も、立ち上がる事すらままならなかった。
「よし、じゃあルール説明するからな。
まあ、簡単なルールだ。俺の身体を上ってこいよ、先についた奴が勝ちだ。わかったか?」
簡単な説明を終え、翔太は手の平をぱしんっ!とたたいた。
しばらくは放心状態になっていた二人だがすぐに目の前の逞しい身体に手をかけ始めた。
まず、金髪のほうが翔太の割れた腹筋に手をかけ 茶髪がそれに続いた。
翔太と大輝は二人が一進一退で翔太の身体をよじ登っているのを時に吹き出しつつ見ていた。
二人はやがて腹筋をよじ上がり隆起した胸部にさしかかったとき、金髪はある行動に出た。
金髪は 茶髪に遅れ、胸部の下のほうにいた。
翔太の胸部は大きく膨れ上がり、多量の熱を放出していた。
汗臭く、しがみついているだけで汗が滝のように出てくる翔太の胸筋をわずかな体毛と、はだの凹凸に足を引っ掛け上るのは至難の技だった。
茶髪が少しリードして、ちょうど金髪の文字どうり頭上に足をかけたとき、なんと金髪が 茶髪の足を思いきり引っ張ったのだ。
茶髪はバランスを崩し、再び翔太の股間に落ちていった。
金髪が再度上にすすもうとした時、金髪は翔太の手にきつく握られ、そのまま頭上に持って行かれた。
金髪の目の前にはすごい剣幕の翔太がいた。二つの巨大な目玉がこちらをにらんでいる。
金髪は身体をがくがくと振るわせ、顔中に恐怖の色を出した。
「おまえさ、」
びくっ!と金髪の身体が硬直した。
「そうだよなあ…俺はお前のそういうところが大っ嫌い"だった"ぜ…くくく…」
翔太は金髪の多少なりに手の加えられた違法の制服をびりびりに引き裂いていく。
金髪は幽かな悲鳴を上げ、抵抗したがまったくそれは意味をなさなかった。
「お前の反則負けだ、金髪ちび。」
そう重い声色で言うと翔太は金髪を口の中に放りこんだ。
金髪はひめいをあげ、翔太の口の中に落とされた。
うつぶせにぬれた布団のような生暖かい場所にたたきつけられ、それを金髪が翔太の舌だと理解するまで、少し時間がかかった。
翔太は舌の上の金髪が動き出すのを待っているかのようになにもしず、口を半開きにさせていた。
金髪が危険を感じたのは下に気がついたその直後、体の周りからどんどんと分泌されている粘質の液体が自分を包み込んでいる状態になってからだった。
金髪は放心状態を無理やり解き、いまだ半開きになっている口の外に向かって立ち上がり走ろうと思ったその瞬間、金髪は足元が動いたのを感じた。
と、どうじに金髪は翔太のたんすほどもある上あごにたたきつけられた。
「!?」
「ひゃっとほきはか、ひび。(やっと起きたか、ちび)」
舌を上げているせいで、呂律がうまく回っていない不鮮明な言葉が金髪の頭に響いた。
そのまま翔太はゆっくりゆっくり、下に圧力をかけていく。
金髪はちょうど腹が圧迫され苦しそうにうめき声を上げたが、翔太は気にしなかった。
翔太は、いったん力を緩め金髪を舌におろすと、そのまま奥歯のほうに器用に運ぶ。
「ほーら…・」
翔太の顔が大きくにやけ、金髪に再度、圧力をかけていく。
「おら、お前のせいでぼこぼこになった歯がお前に刺さってるぜ…」
翔太の歯はあちらこちらかけていてぼろぼろだった。
口の中では金髪の悲鳴が響き、かすかに血の味がしみてきた。
それを察知した翔太の敏感な舌はだんだんと唾液を分泌していった。
翔太がかすかにこぼれた唾液を手で拭いたとき、ぱっと目に映ったのはこちらをちらちらと見ている大輝だった。
素っ裸なせいか、彼の考えは翔太はすぐに理解することができた。
かすかに赤い顔、ちらちらと翔太を見て、だらしなく半開きになった口。
…そして、いまだに点に存在をアピールしているかのような巨大な一物…
翔太はすくっと立ち上がり、大輝の前まで歩いていった。
右手には最後のいけにえが握られている。
「よう、何見てんだよ?」
翔太はわざとらしく大輝の耳元でぼそりといった。
その瞬間、大輝の耳がかっと赤くなり、それに負けないくらい顔も真っ赤になる。
「そうか…もうスイッチはいっちゃってるんだよな…」
「翔太…俺…」
翔太は左手に状況把握のできていない幸太をつかむと、そっと、理科棟の校舎の上に置いた。
かつて、この地域で一番の理系大学入学者数を見込み、新しく建てられた理科棟の校舎だったが、今はこの建物しか残っていない。
「幸太…こいつはな…」
翔太はチラッと幸太の方を向きながら、金髪を吐き出し、いった。
次の瞬間、翔太は力任せに大輝を押し倒し、熱烈なキスを浴びせていく。
巨大な二人が倒れたことによって、巨大な砂埃が瓦礫と、避難がすんでいない人々をおそった。
二三人が理科棟の前で腰をぬかしている。
目の前には高さだけでバスより大きそうな坊主頭が校庭をおおっているのが見て取れた。
翔太は唇と唇が触れるだけのようなじれったいキスをなんどもなんども、大輝の顔中に浴びせかけていった。
そして、さっきまでへらへらと笑っていた大輝は一気に顔を赤くさせ、ついには顔中が性感帯であるかのようにあえぎ声を上げ始めた。
翔太はそのまま大輝の唇に自分の唇を押し当て、唾液を流しこんだ。
そして唇をすうっと離した。
「はあぁ…」
大輝が切ないような酔ったような声を上げると同時に、そそりたつ大輝の肉棒にさっきまで唾液で散々蒸らし、
ぐちゃぐちゃになっている金髪を大輝の一物におしあて、そのままやさしくマッサージをするようにゆっくり、ゆっくり揉んでいく。
翔太が力を入れるたびに。大輝は何かしら日本語になっていないあえぎ声を上げていた。
「翔太…翔太ぁ…意地悪…しな・・ああぁ…!!」
その様子を楽しそうに見ていた翔太はふっと顔を上げ、"状況が理解できない"と"大変興奮しています"を足して二で割ったような顔をしている幸太ににっと笑いかけた。
「こいつはな…俺の玩具なんだぜ?!」
そういいはった翔太に、されるがままの大輝が何とか口を開いた。
「はぁあ…!!…ぁ…!!…ぁああ!!」
翔太は左手で茶髪ごと大輝の乳首を強くつまんだ。
「おいおい…素直になれよ…」
そのまま左手は茶髪の小人ごと大輝の体をやさしくはうように動く。
そのたびに大輝は甘ったるいあえぎ声を上げた。
翔太は一度舌を絡めあうように深いキスをすると、いった。
「なぁ、大輝…せっかくでかくなったんだし、幸太もいるしさ…
 とびっきりに、気持ちいいことしようぜ…」

翔太の心にあの言葉が響いてくる。
(…いいよ、そんなちびたち、ぼこぼこにしちゃえ…)

「おもちゃもたくさんあるし、な。」
そう付け加えた。
  2010/08/14(Sat) 01:13:26 no.147
 
 
  


     加菅春陽  (  w / - )  
 
1.名前
加菅春陽-カスガハルキ

2.身長・体重
180p 75s〜180m 75000t

3.年齢・誕生日
17歳(6月5日生まれ、双子座)

4.好きな物
透明感のある色、高い建物、甘い食べ物

5.嫌いな物
数学、苦い食べ物

6.趣味
水泳、昼寝

7.特技
人を寄せ付ける不思議な信頼感

8.刺青
空色で頬
名称は“Caerula”性格は温厚。風とともに登場する。

9.説明
主人公。普段は普通科高校二年生。
水泳部に所属。
一方向でしか仲良く出来ない性格のために、好かれている分、嫌われているというたち。
そのせいで、よく絡まれたりするが、相手をしようとは思っていない。
ストレスが溜まりやすいが、発散がなかなか上手く出来ずに溜め込んでいるタイプ。
巨大化できるようになった後は、ストレスを全てリセット出来るようになった。
快活な性格で、口調は滑舌が良く普通くらいの早さ。
また、一人称は俺。
これと言った口癖は無いが、笑いで話を流したりする事が多い。
声は男子にしては高い方。
基本的には蹴りとか、踏み潰すとか足技が好き。
かなり童顔。
パッチリとした目と大きい口が特徴。

10.イメージ声優
福山潤
  2010/04/14(Wed) 01:17:31 no.138
 櫻崎空  (  w / - )  
1.名前
櫻崎空-サクラザキソラ

2.身長・体重
174p 70s〜174m 70000t

3.年齢・誕生日
16歳(3月24日生まれ、牡羊座)

4.好きな物
春陽、日向ぼっこ、住宅街、酸っぱいもの(主に果実)

5.嫌いな物
細かい事を気にするやつ、小さくて密集しているもの、ファーストフード

6.趣味
陸上(短距離)

7.特技
突っ込み

8.刺青
桃色で腕、特性として狼の耳と尾が生える。
名称は“Cerasus”性格は高飛車。桜とともに登場する。

9.説明
普段は某有名私立高校二年生。
陸上部に所属。
ブルジョワ階級並みのお金持ちのご子息。
嫌いなものは嫌いと、さっぱりしているが、生まれのせいもあり、高飛車な性格。
その為に人望は非常に乏しい。
遺産相続問題などで、ストレスが溜まっている。
一度巨大化すると、気が済むまで走って踏み潰しまくる。
滑舌は悪くないが、少々早口。
一人称はボク。
口癖として、よく舌打ちをする。
声はまあまあ低い方。
顔立ちは女性的。
睫毛が長く、目も大きい。
顎は細く、身体はキャシャではないが細身。

10.イメージ声優
辻谷耕史
  2010/04/14(Wed) 01:19:02 no.139
 樋野竜乃助  (  w / - )  
1.名前
樋野竜乃助-ヒノリュウノスケ

2.身長・体重
190p 92s〜190m 92000t

3.年齢・誕生日
17歳(11月20日生まれ、蠍座)

4.好きな物
春陽、古い建物、辛い食べ物

5.嫌いな物
英語、風でくっついてくるビニール袋、甘い食べ物

6.趣味
ジグソーパズル(自分の部屋一面に貼りまくってある)

7.特技
馬鹿力、柔道

8.刺青
黒色で肩、特性として刃物状の角と爬虫類(蜥蜴類)の尾が生える。
名称は“Nigritia”性格はツンデレ。地震とともに登場する。

9.説明
春陽と同じ高校の生徒で、春陽の幼馴染み。
柔道部のせいもあり、体つきは水泳部の春陽よりしっかりとしている。
また背がかなり大きい。
すぐ怒ってしまう短気な性格。
そのおかげであまり人付き合いは得意ではない。
春陽以外は、竜之助が一度キレると手がつけられない。
一人称は俺でゆっくりだが、少し億劫な喋り方。
典型的な“ツンデレ”。
顎が太く、かなりいかつく見えるが、結構内向的な面もある。
顔立ちは日本人らしい感じ。
鼻が低く、目も細い。
凄く低い声。

10.イメージ声優
置鮎龍太郎
  2010/04/14(Wed) 01:21:21 no.140
 宮ノ内勇丸  (  w / - )  
1.名前
宮ノ内勇丸-ミヤノウチイサマル

2.身長・体重
150p 45s〜150m 45000t

3.年齢・誕生日
12歳(9月8日生まれ、乙女座)

4.好きな物
春陽お兄ちゃん、甘い食べ物、自分が乗っても崩れないほどの建物

5.嫌いな物
春陽お兄ちゃんの嫌いなもの全て、春陽お兄ちゃんを嫌う全て

6.趣味
器械体操

7.特技
体が異常に柔軟

8.刺青
白色で背、特性としてエルフの耳が生える。
名称は“Album”性格は無邪気。雪とともに登場する。

9.説明
春陽の住んでいる町の隣町の中学校に通う生徒。
体操部に所属。
体力や運動の面で異常に秀でているので、学校では浮いた存在。
友達はいることにはいるのだが、同じ部活だからという理由。
周りの期待や、応援などが勇丸にとってすごいストレスになっている。
基本的には明るい性格なのだが、影を帯びる面も少なからず持っている。
まだ声変わりをしていないボーイソプラノの元気いっぱいな口調で、とても早口。
一人称は僕。
たまに本性が表れる腹黒。
癖として、すぐに側転をしたり、バク転をしたりする。
空と竜乃助は好きではあるが、恋している訳ではない。
やはり、一番は春陽お兄ちゃん!
童顔というか童なので童顔。
頬がとってもやわらかい。

10.イメージ声優
くまいもとこ
  2010/04/14(Wed) 01:23:41 no.141
 
 
  


     KING's第2話"Cerasus"  (  w / - )  
 
T.

「またか…」

 俺は夢の世界へとダイブしていた。
 淡く輝く青い紋様が辺りを取り巻き、その下に白い地面が見えている。
 俺はゆっくりと目を瞑ると、降下する感覚が風と共に駆け抜けた。
 Caerulaと一つになってからというもの、俺は以前にも増して、よく寝るようにになった。
 巨大化の反動らしい。
 そして、よく夢をみるようにもなった。
 Caerulaが絶対現れて、なにやら喋る夢だ。
 夢を見るのは眠りが浅いってことじゃないのか?
 とか思うのだけど…彼との夢では、そんな夢ばかりだ。
 目を開けると、真っ白な空間にポツリとCaerulaが座っていた。
 夢の中でこんなに意識がはっきりしているのも、彼と一つになってからだった。
 今日はいったい…何を喋るんだろう?
 ある意味期待しながらCaerulaの第一声に耳を傾ける。
『桜が…咲いたよね?』
「? …うん」
 なんでそんなこと聞くんだろう?
「それが…どうかした?」
『桜はね…前ぶれなんだ』
 意味深な言葉を呟いて、Caerulaは目を閉じた。
 そして、
『春陽なら…上手くやれるさ』
 続けてそう言った後、俺の夢は途切れた。
--------------------------------------------------------------------------------
「にゃ!?」
 目が覚めると、最初に見えたのは少しボヤけた天井だった。
 もう…朝か。
 今日も何気無い一日が始まる。
 特に…何をするでもない。
 特に…何をしなければならないこともない。
 いたって普通な日常及び朝。
 とはいえ…いつもと違う…というか、ほんの些細な違いはあった。
 夢の内容が思い出せないのだ。
 これは…珍しい事だ。
 でも…所詮は“些細”は“些細”。
 そんな事…本当に些細な違い…。
 俺は背伸びをすると、そそくさと部屋を出た。
 バタンと、ドアが閉まる音がこだました。
 誰も居ない家(マンションだけど)というのはこんなにも静かなのか…と慣れたはずの空気に俺は驚いていた。
 平凡とは言い難い現状。
 …両親の自殺。
 自分の自殺未遂。
 他人の死から自分の臨死体験まで…狂った負の体験のオンパレード。
 その重みを、その反動を…俺は感じていた…のかもしれない。
 多分違うけど。
 ふと、時計を見ると、針は七時五十分を回っていた。
「……もうこんな時間か」
 世間一般でいう…銀行員の父親と弁護士の母親とその高校生の息子という円満な家庭が崩壊してからというもの、
死ぬことから取り残された俺は一人で暮らすことを余儀なくされている。
 両親の保険金と貯金、バイト、親族の仕送り…それらで、今の所は不自由の無い生活をおくることができる。
 いずれは住居は変えるだろうけど…。
 そんな…ありがたい現実に対し、俺はそれを何とも無いと思ってしまっている。
 と、いえば語弊があるかもしれないが。
 顔を洗い、タオルで滴を拭き取る。
 そんな…今の今行った下らない日常の行動と同一視しているのだ。
 両親の死も何もかも。
「だからどーという訳じゃないけど……」
 例えば…凸凹で、進みづらい道と平で進みやすい道があったとする。
 普通の人はそれを進むのは困難で両者に差を感じるのだろう。
 しかし…俺の場合、凸凹だろうが普通の道だろうが、同じなのだ。
 外見では矛盾しているが…自分から見れば、それは概念では同一。
 というわけ。
 なんら差もない。
 ただの道と見える。
 たとえ俺の目の前で大量殺人が起ころうが、新手のスタンド使いが現れようが、同じ。
 何にでも刺激が同一。
 今の俺にとっては…。
 それが、Caerulaとの合体が原因なのは明白なのだけど、別にそれ自体どうということではない。
 楽しみのない人生に意味は無いという言葉があった気がする。
 たしかに…無いといえば無い。
 何せ全てが同一なのだから。
 つっても、例外は勿論ある。食事…セックス…友達…巨大化…殺人。
 まだまだあるかもしれない。俺の“同一視してしまう感覚”を楽しませる何かは…。
 いや…新手のスタンド使いが現れたら…楽しいな…。
--------------------------------------------------------------------------------
 テーブルにコップと陶器の皿を並べた。
 市販のサンドイッチを皿にのせ、コップに牛乳を注ぐ。
 椅子に腰を下ろし、テレビをつける。
「ニュース見なきゃ…」
 朝はそう決めているから。
 リモコンでチャンネルを切り替える。
 余計な事をやらないNH系のニュースが俺のお気に入り。
 余計な占いとか…特集とかは…朝は不必要なのだ。
 格好つけて言うならば必要な情報の入手の確率とスピードが下がる、というわけ。
 サントイッチを口に運びながら…ニュースに目を向け、耳を傾ける。
『───地震による被害は先日発生した局地型地震と──』
 ん?……昨日、地震があったのか。
 気付かなかったな…。
『──震源地は青羽市近郊を周辺とした局地的な──』
「………」
 まさかな…。
「………」
--------------------------------------------------------------------------------
 ついテレビを見ていたから、もう時間がない。
 急いで学校の支度をする。
 そろそろ幼馴染にして、親友の竜乃助が来てしまう。
 制服に着替え、ネクタイをしめて…。
「春樹ー!」
「あ〜今行く〜」
 インターホンと同時に竜乃助の呼ぶ声が聞こえる。
 ドアを開けるときに、A4サイズの封筒が郵便受けに入っているのが見えたけど、
 もしかして、そう、いろいろなモノが脳裏によぎった。
 しかしながら、急いでいたのでそのまま放置して俺は家を出た。

 …俺の“普通”の“日常”は両親を失ったとしても何も変わりはしなかった…。
--------------------------------------------------------------------------------
 
 市立青羽高校。

 俺の通う高校だ。
 いたって普通、普通すぎるただの普通科高校。
 制服は襟と袖にラインが入った白いシャツに青と黒の縞のネクタイ。
 それに黒いズボンだ。
 俺はこの制服をえらく気に入っている。
 校則がゆるい為にどんな格好をしてもいいんだけど…、俺はいたって“普通”な格好をしている。
 だからどーということも無いが…。
 兎に角…俺はこの学校の制服が大好きだ。

放課後、十五時四十分ごろ。

 掃除をしていない掃除の時間の途中で竜乃助と、そんな…何でもない話をしていると…。
 あまり聞いていなかったからか、竜乃助がグラウンドを見て呟いた。
 二階からはグラウンドかまるまる見渡せる。
「春陽、あれさー」
「何?」
 竜乃助の指差した先には、この学校とは違う制服の生徒が何人かいた。
「どこの学校だ?」
「あ〜たしか…典麗じゃない?」
 俺は自分の学校の制服が好きな故に、他校のモノと比べる癖がある。
 いわゆる制服オタクな訳で、近隣の学校ならば何でも分かる。
 典麗学園は超々々…超金持ちが通う私立の学校だ。
 上流階級及び、資産家など、何ともいかついやつらが市外からも数多く通っているとか。
 中学、高校、大学と昇降機式に卒業できるらしい。
 何でも施設や教育環境が世界トップクラスだとか…。
 まっ…俺ん所みたいな庶民とは格が違う学校だ。
 そもそも比べるのが間違っているのだが…。
「なんで典麗の生徒がいるんだろー…???」
「試合とかじゃねぇ?」
「あ〜」
 どうやら陸上部の試合らしい。
 トラックに白い線を引いている。
 わざわざこんな学校でやらなくても…と思うけど…。
 何かしたらの理由があるんだろうが…。
「まっ関係無いか…制服は可愛いけどな〜」
 箒を竜乃助に渡して、背伸びをする。
 その動作と一緒に「あ〜そ〜かぃ」という落胆の声が聞こえた。
 竜乃助は制服とかにまったく興味が無いから、俺の話をメンドいとか言って…聞いてくれやしない。
 いつも、俺を見てぽゎ〜っとしてるだけだ。
 そんなに見つめて何が楽しいのやら…。
 いや…馬鹿にしてるのかな?
 う〜ん……?
「まっ…いっか」
 考えるのを止めて、俺はグラウンドを再び目を向けた。
 竜乃助が箒を片付けに行く間、制服の観察と洒落こもうと思う。
 典麗の制服は水色のシャツに、灰色のズボンだ。ネクタイは赤。
「あれはあれでやっぱ可愛いよな…」
 ジーッと制服を見つめていると、一人の生徒が振り向いた。
「……なんだ?」
 思わず目があってしまう。
 耳が隠れる位の髪のその生徒は俺の方を…じっと見つめていた。
 別に…関係ないはずなのに…。
 いや…可能性は限りなく零と等しいというのに…。
 俺の頭の中に一つの考えが浮かんだ。
「………」
 まさかね。
--------------------------------------------------------------------------------
 その日は、竜乃助は部活で、水泳部を休み続けている俺はいつも通り、一人で帰路につくつもりだった。
「部活行けよ。俺がいないときにお前になんかあったらどうすんだよ」
 と過保護な竜乃助が五月蝿かったけど、
「俺は女の子じゃないから大丈夫だよ」
 と軽くスルーした。
 そもそも…俺は襲われたら…そいつを確実に殺すから…大丈夫だ。
 もちろん竜乃助にはそんな事は言えない。
 友達や親しい人以外の人間は俺にとって虫けらと同一だとは。
 別に急ぐ理由が見つからないから、俺はゆっくり駐輪場まで足を進めた。
 その途中…、季節は夏…というのに、あの桜がまだ咲き続けていた。
 ここまでくると、不気味なもんだ。
 いったいどんな理由があって、こんなにも…。
「あの…」
 ?
 後ろで声がする。
 低い…けど、竜乃助の低さとは違う…何か絹のようなしなやかな声。
 俺が振り向くと、そこには陸上のユニフォームを着た生徒が立っていた。
 …高校生で童顔の俺が言うのも何だが…この生徒は何とも女顔な男子だった。
 童顔……。

 ………。

 自分のトラウマに自分でスイッチを押してしまった。
 こんなデカい(竜乃助よりかはもちろん小さいけど)のに、俺は童顔…。
 もっと顔が大人っぽければ良いのに……。
「?」
 俺の悩みなんて、知るよしもなく、目の前の男子は首を傾げた。
 そういや…この人、俺に声かけたんだっけ。
 少し間をあけて、気持をしきりなおした。
「…何ですか?」
 ちょっと不自然に時間が空きすぎた…。
 でもこの人は気にもかけず淡々と会話を繋げた。
「ちょっと、確認したかっただけなんで、もう結構です」
 は?
 意味深な言葉だった。
 けど、その前に…この人は…結構な性格をしていらっしゃると…感じた。
 人の事は言えない、そう断言はできるが…、この人もなかなか。
「あ…そーっすか」
 余計に関わりたくないな…。
「じゃ…僕はこれで」
 わざとらしく“僕”と一人称を変えて、無理矢理立ち去ろうとすると、彼も。
「あぁ…では僕も」
 お互いに背を向けて、歩き出す。
「……じゃあまた」
 そう…彼が呟いた。
「?」
 振り向くと、ゆっくりと歩く後ろ姿が見えた。
「いったい何なんだよ…?」
 後には、ただ、俺と、舞い散る桜の花びらが残された。
 
 ソレガハジマリダッタ。

--------------------------------------------------------------------------------
矛盾な季節。

矛盾だらけの質問。

矛盾、矛盾、矛盾。

儚くも散っていくのに、消える事がない絶対的な存在価値。

それこそ矛盾。

否、花は生殖器であり、美しさは飾り。

否、それは人の主観的な一概。

否、それこそ矛盾。

矛盾無くして生きる存在など皆無。

生存=矛盾。

我等が王とて矛盾の化身也。

青が風とて、

桜が桜とて、

黒が深淵とて、

白が絶対零度とて…。

全ては矛盾を抱いた存在。

それが、どうして世界を変えようか…。
  2010/04/13(Tue) 20:51:25 no.134
 KING's第2話"Cerasus"  (  w / - )  
U.
 凛と駆け抜けてゆけ、後ろなんて見なくていい。
 ただ、吹き荒ぶ、あらぶる風のように。

 例えるならば、それは世界の異物。
 例えるならば、それは世界に対する危険因子(リスファクター)
 例えるならば、それは反逆者。
 
 例えぬならばそれは……“敵”。
 この異物は、
 この危険因子(リスファクター) は、
 この反逆者は、
 この…“敵”は……、
 俺の眼の前に存在した。
 世界全体の合計質量内には存在しない様な存在。
 それすなわち、違和感。
 外の存在。
 俺が巨大化して、こんなことは初めて、だ。
 いや、生まれてきて初めて…か。
 これは異常……。
 異常だ。
 まともとは到底言えない。
 完全に人生のマニュアル外。
 このビル街にも、この世界にも、馴染まない存在。
 こいつは…?

 少しだけ、後退りする。
 足もとにいた何匹の小人がそれで死んだ。
 いつもだったら“楽しんで”るとこなのに…。
 今日は厄日…かもな。
 超喫驚最悪な。
 小人をイジメて一発抜いて…おもいっきり楽しんでやるつもりだったなのに…。
 今日はスパッツの上で小人をイジメようと思ってたのに…。
 あ〜あ…
 あんたいったい何なんだァ───? って感じ。
 夕陽をバックに眠っているかのような…。
 いったい…?
 その影は長くなりビルの影と重なっていた。
 …なんか不気味だ。
 いったいなんなんだよ?
 なんなんだ?
 なんなんだよ?
 俺以外に巨大化する奴がいるなんて…いや、そもそもこいつは…。
 そして、更に一歩、後退り。
 それは不思議な感覚に対して、だ。
 自分に似ているようで、何かが決定的に違う。
 そんな違和感。
 限りなく似ているけど、決定的に、破壊的に、破滅的に“違う”。
 そんな……感じ。
 矛盾してるな…。
「う〜ん…」
 夕陽は沈むまでにはまだ時間がある。
 オレンジに染まる世界もまだ続く。
 その中にポツンと在る…何か…。
 ある意味の静けさ。
 恐怖に叫ぶ小人達の悲鳴。
 後ろに遠ざかるバスの音…。
 ある意味の騒がしさ。

 何を望む?
 何が望み?
 これは悪い夢だろうか?
 夢?
 前のように夢ではないかと思ってしまう。
 でも、これは現実。
 まがう事なき現実。
 及び真実にして事実。
 実相及び実情にして史実になりうる出来事。
「……」
 そして…彼は眼を覚ました。
 それは望まれざる事。
 夕日を臨み、覚醒…。
 それは望まれる事の無い事。
 目覚める。
 封印が解けるかの様に……。
 その瞬間、まるで、怒り狂ったような咆哮が爆発した。
 全てを破壊するような、低い低い低い、圧倒的に巨大な声。
 辺りの建物を音波が襲う。
 窓ガラスは当然割れ、コンクリートも崩れそうな勢いだ。
 耳が痛い。
 鼓膜に直接叩き込まれる振動は不快で、不快でしかなかった。
「!???????????????!!!!」
 眼は血の様な紅。
 四肢の先は、太く長い爪。
 そして橙がかっている鱗。
 長い尾。
 あくまで人の形を保った…獣。
 亜人…いや、半獣と言えばいいのだろうか…。
 そう考えれば、トカゲの半獣。
「ひゃは…ひゃはは…ひゃははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 悪人笑い。
 何がそんなに愉しいのか、彼は笑っていた。
 ただただ愉快そうにその顔を醜く歪めて。
--------------------------------------------------------------------------------
 ニヤッと笑ったトカゲの青年は、突然、俺に向かって進み始めた。
 でも、それは知れた事の様な。
 以前から知っていた様な…。
“当然”いや…“必然”の様にも思えた。
 襲いかかるような勢い。
 そして、徐々にスピードを増す。
 それに比例する破壊音。
 崩れていく街。
 俺を殺すという行為が生んだ結果…。
 その瞬間、俺の頭の中に純粋で、無垢で、純度百パーセントの、殺意が満たされた。
 相手が殺意を抱いたが為の防衛本能。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 殺意。
 今まで抱いたことの無い、殺意。
 殺したい、殺したい。
 この眼の前に存在する、敵を。
 殺したい。
 眼の前の存在を殺したい。
 殺したい。
 胴体をまっぷたつにして、内臓を引き裂きたい、ブチ撒けたい。
 肉を切り刻み、もとの形なんて残らない程に破壊したい。
 純粋に…ただ、そんな風に…思った。
 言葉を付け加えるなら、完全に殺意が頭を支配していた。
 とでも言おうか…。
 俺が抱いた殺意。
 彼が抱いた殺意。
 それは…イコールだった。
 
 絶対殺意。
 
 絶対純粋殺傷衝動。
 
 百パーセントと百パーセント。
 彼は鱗の巨大な足で、ビルを薙ぎ倒し、俺に跳びかかってきた。
 あ〜、それ、俺が壊したかったのに…。
 でもまぁ悠長な事は言ってられない。
 彼のスピード。
 それは俊敏。
 それはトップスピード。
 これは、ヤバイ。
「ひゃは♪」
 一回転した足が俺の前髪をぎりぎりかすめた。
 避けるのがあと一瞬遅かったならば、クリーンヒットだった。
 剣呑、剣呑。
 第二撃がくる寸前…。
 後ろへ更に後退。
 殺意があれど、武器は無し。
 当たり前だけど…俺には鋭い爪は無い。
「これってアンフェアだよなァ」
 愚痴を溢す余裕は無い。
 …が、つい口が動く。
 トカゲの爪が俺の首を狙い、足が頭を狙った。
 建物が壊れる音が、風をきる音が、それに続く。
 こんなことなら竜乃助に柔道教えてもらうんだった。
 応用すれば…何とかなったかもしれない。
「って今更無駄だけどさ」
 と、独り言。
 白兵戦では、凶器がないこちらが不利過ぎる。
 反撃に転ずることがかなわないかもしれない。
 逃げるのが精一杯。
 でも…逃げてばかりではらちがあかない。
 反撃しなきゃ。
 このままでは…殺される。
 殺される前に殺さなきゃ。
 でも…どうやって?
 この速さは避けることしか…。
 逃げながら頭をフル回転させる。
 この状況ではいっきに決める事が必要だ。
 そして、こちらに武器が無い事、スピードが劣る事。
 この三つを考慮するならば、答えは簡単。
 不意をついていっきに攻める…。
 それしかない……。
「ちぇ」
 舌うちをして、屈みこんだ。
 ぐんッと視界が急降下。
 チャンスが無いのなら作るまでだ。
 そうでもしなければ、体力がもたない。
 そして、半獣の首めがけて、手をおもいっきりのばした。
 片腕で首を掴むと、全体重で一気に地面に叩き付けた。
 土煙と一緒に建物の残骸が飛び散った。
 もう、小人は何百人も死んだだろう…。
 いとも簡単に。
 でも、この巨大な生物はそう簡単には殺せなかった。
 そのまま…両手をそえて、強く強く絞めあげる。
「死ね!死ねよ。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね!」
 あくまで原始的。
 あくまでシンプル。
 トカゲ青年の体が少し痙攣した。
 が、次の瞬間、鋭い三白眼が俺を睨んだ。
 そして、また…ニヤッと笑った。
 それは何か含みを持たせる様でなおかつ確信的な…不気味な表情だった。
 その次の瞬間、俺の首を拘束感が襲った。
 長く鱗に覆われたモノ。
 嗚呼…尻尾か。
 ……俺は、絶望した。
「ひゃはは♪♪♪」
 トカゲ野郎がまたもや醜く笑う。
 窒息ギリギリまで締め付けられ、俺の手は自然と離れた。
 締め付けをほどこうと、四苦八苦するが、そのまま蹴りをくらってしまう。
 爪が腹に刺さり、そのまま吹っ飛ばされた。
 いっきに世界が回る。
 流れる景色……。
 そして…何かの建物に衝突し、俺の体は停止した。
 もう周りには町という景色は残ってはいない。
 グラウンドゼロ。
 戦地。
 そんな情景だった…。
 と、顔の目の前に先ほどのバスが転倒していた。
 小人が何人も必死に逃げていた。
 ちぇ…。
 いたたまれない気分になる。
 ……。
 瓦礫の山の街。
 そのなかに見えるトカゲ野郎。
 あ〜やっぱ駄目?
 このまま殺されちゃう?
 眼の前に立った彼は、無表情だった。
 髪を掴み、持ち上げられると、腹をまた何回も蹴られた。
 吐血、出血、内出血。
 苦しい…苦しいよ…。
 苦しいんだ。
 ………苦しい。
 死ぬ。
 死ぬ。
 死ぬ。
 死ぬ。
 死ぬ。
 ………。
 俺の上に跨り、その爪で俺の体が切り刻まれる。
 顔も何もかも。
「痛…い」
 ……………。
 ていうか…いきなり出てきた新キャラ? のくせに…。
 なんで俺がこんな風にならなきゃ駄目なんだよ…。
 意味不明。
 理解不能。
 でも…やっぱ悔しいなァ…。
 喧嘩にゃあ負けたくないな。
 負けたくない。
 勝ちたいよ。
 視界も終には真っ暗になった。
 嗚呼…。
 なんか…やだ。
 いったい、何を望んでいる?
 俺の破滅の先に何があるの?
「ぅぅぅ……ぅぅぅ」
 頭のなかでノイズみたいな風の音が聞こえた。

ザザ、ザザザ。

ザ─────。


 ノイズが止まらない。
 コレが終焉?
 コレが死?

ザッ──ザザ───。

 終わり?

 T H E E N D?

 弥終?

………ザ─────────────。

--------------------------------------------------------------------------------
 
 それはまるでそよ風の様に微か。
 
 しかし、突風が如く力強い鼓動。
 
 それは戦いの気運の胎動。

「……The fools who angered KING.Compensate by dying.…(王の怒りに触れし者よ。死をもって償いなさい。)」

 歌ったこともない歌。
 呟く様な微かなその声は、俺の様でもあり、まったく違うような声にも聞こえた。
 正確には、途中から、俺の声が始まっていたと言うべきなのだろう。
 俺ではない声、は、彼でしかなかった…。
 多分。
 まるで、それが自然。
 それが流れ。
 それが運命。
 と、次々に歌う俺…。
 狂ってしまった様にも見えるのかもしれない。
 操られているかの様な感覚で歌はまだ続く。

「……Ah, fools defy KING of blue wind.(嗚呼、青い風の王にたてつく愚者たちよ)」

 止まらない詩。
 止まらない声。
 それに関係あるのか無いのか、体が…軽い。
 さっきまでの痛みも辛さも苦しさも、段々と薄れている。
「……??」
 徐々にはっきりしていく視界に異形の者を見るような…何かを恐れているような…そんな眼のトカゲ野郎が見えた。

「Kneel! When its life is killed by KING, sin will be forgiven!(さあ、ひざまずけ!命の絶たれるその時に、罪は許されるだろう!)」

 そこで歌は終わった。
 その歌は、聞いた事が無いくせに、まるでどこかで聞いた様な…懐かしい感じがした。
 いつしか、トカゲ野郎の体重が無くなり、起き上がる。
 気のせいか頭がくらくらする。
 ノイズはいつの間にか止んでいて、歌はいつの間にか歌っていた。
 何がなんで何れがどうで…。
 もう破壊的に訳が分からない。
 …が、一つだけははっきりしていた。
 それは、まだ続くという事。
 それは……。
「勝負はまだ終ってない♪」
 そういうこと。
 俺は笑った。
 ニッと、トカゲ野郎に向かって中指をたてた。
「絶対ェ(ゼッテェ)ぶっ殺ーす」
 完全に傷がふさがって、体が軽い。
 反撃の狼煙は、今あげられた。
 こっからは俺の番(ターン)だ。
 アンタが何を望むか知らないけど、俺の望みはハッキリクッキリしてる。
 アンタを殺す。
 ただ、それだけ。
--------------------------------------------------------------------------------
 
 咲かしてみせましょう、青き風で、紅き血の華を…。

 もし風に色があるなら…。
 コバルトブルーの風がもし在ったなら…。
 こんな感じなんだろうな。
 辺りは真っ暗。
 そこに闇しか無いような…そんな暗闇。
 そんな中に、青い風だけが輝いて見えた。
「………」
 この感覚は…夢だ。
 夢の世界だ。
 でも…何故、今?
 この類の夢はある程度周期化していた。
 しかし、今はそうではなく、夢の中だ。
 この現象が意味するものは、何かが起こるということ。
 夢は前ぶれ。
 青き夢は胎動。
 輝く青き風は只、それが世界の秩序で、それが世界の仕組みかの様に、極々自然に、俺の周りを舞い踊っていた。
 そして、声がした。
 周りに木霊する様に。
 予定されていたことの様に。
『さァ…一緒に行こう』
 彼の声だ……。
 その台詞…たしか前にも聞いたなァ…。
 そして、今度は違う台詞。
『裁きの剣を…執って』
 それは切望するかの様な言い回し。
 何を望む?キミは…。
--------------------------------------------------------------------------------
 ……夢は本当に束の間で一瞬だった。
 実際の時間では、ほんの数秒にも満たないのだろう…。
 トカゲ野郎の顔は夢の前に見た顔のままだ。
 引きつり、何かに脅えるような顔だ。
 さて…体は絶好調、心はハイテンション。
 トカゲ野郎の相手をどうやってするかな…?
 まるで遊ぶ様な感覚で、俺は笑っていた。
 楽しい、とっても。
 I'm very very very very very fun!
 優勢だから。
 俺が。
 主導権は俺。
 こんなに嬉しい事は無い…ってね。
 とりあえず、足元のバスを踏み潰し、小人達を挽肉にした。
 あはは。
 楽しすぎる。
「あはは。あはははははははは。最高!!!!!!!!!!!!!!!! あははははははははは」
 左頬が熱くなる。
“裁きの剣”
 それが俺の爪…すなわち武器?

「The time when you are judged comes.(裁かれる時が来る。)」

 あの歌を、その意味を、この言葉を、俺は理解した。
 1+1=2。
 簡単な式を理解するように。
 理解。
 それはとるにたらない当たり前な事なのだと……。
 風が吹いて、大気が動く。
 世界が裁きの時を祝福した。
 左頬が更に更に熱くなり、淡く輝く………。
“裁きの剣”は、その姿を現した。
 刺青の様な。
 第三の腕。
 刺青の様な。
 大剣。
 形は腕と大剣。
 しかし表面のみしか存在しない、刺青の集合体。
 微妙に動きつつ存在し続ける。
 これが武器。
 これが“裁きの剣”。
 腕が一本増えた感覚は不思議だったけど、案外普通だった。
 握り締めた刺青だけの拳を更に強く握り締める。
 戦う喜びといえば良いのか…、今この時が…嬉しくて仕方がなかった。
 戦い=快楽、だ。
 それが、その先が、望みだから、俺は大地を蹴り、トカゲ野郎を襲う。
 廃墟をさらに廃墟たらしめながら…。
 スピード、最高速度。
 殺意、最高純度。
 刺青の大剣は風を纏い、敵に向かった。
 何度も何度も。
 時には円を描く様に、時には十字に剣を振りかざし、トカゲ野郎を追い詰めていった。
「あははははは♪ 殺してやる。殺す。殺す。あはははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 追っている最中、何回も避けられた。
 けれど、時間がたつにつれて体が新しいパーツに慣れてきた。
 より速くなる。
 より正確になる。
 一瞬前より、より強くなる。
 これは進化。
 成長を遥かに凌駕する身体能力向上。
 進化。
 戦いによる進化。
 はぐれメタルをいっきに何十体も倒した様な、
 矢で射たれた様な、
 使徒を喰った様な、
 真理を見た様な、
 石仮面(エイジャの赤石をつけたもの)を被った様な……。
 瞬間的超速進化。
 そして……、トカゲ野郎はついにバランスを崩し倒れかけた。
「一本貰い(もーらい)!!」
 俺は最高の笑顔で大剣を振り下ろした。
 トカゲ野郎の片腕が鮮血を散らし、宙を舞った。
「ひゃ…はっ…!?」
 一回転して、体勢を整える。
 痛みに顔を歪め、血の止まらない片腕をかばっている。
 断面からは、まるで滝の様にどすぐろい血が流れ落ちていた。
 辺りにその臭いが立ち込める。
 痛みの象徴の様なドス黒い臭い……。
 さて…そろそろ決着をつけようか?
 心の中でそう呟く。
 …足を一歩進める。
 望みよ叶え。
 ゆっくりと、愉快に、軽快に。
 歌をくちずさみながら…。

「When its life is killed by KING,sin will be forgiven.(命の絶たれるその時、罪は許されるだろう。)」

 振り下ろした青き裁き。
 沈み始めた夕陽をバックに、輝いた。
 世界で一番青い青。
 鈍い音が響いた。
 鉄どうしがぶつかるような、反発音だった。
「な…」
 頭から切り裂いてやるつもりが、俺の刃は何か固い物に弾き返されてしまった。
 これはトカゲ野郎の力では無い、だろう。
 これは…?
 …盾…か?
 紫の刺青の盾だった。
 そして、突然、誰かが何処かで呟いた。
 テレパシーの様に、此処ではない何処かから。
「この続きは……また今度」と。
 トカゲ野郎の声ではなかった。
「な……。え…!?」
 次の瞬間、トカゲ野郎は忽然と姿を消した。
 いなくなった。
 消失。
「……ァ」
 “裁きの剣”も消失した。
 残ったのは、破壊しつくした街の残骸及び廃墟。
 そして、一陣の風。
 髪が揺れ、体に少し温度が低い風が当たった。
 沈みかけた夕陽は瓦礫の街を照らしていた。
「まあ…一応は、終ったな…」
 溜め息混じりにそう呟いた。
 その刹那、突然体がズシッと重くなった。
 あ…れ…何が…起こった?
 これは…反動なのかも。
“裁きの剣”の。
 巨大化すると、反動がくる。
 それと同じか。
 眠いなァ…。
 あまりの眠気に体が崩れ落ちそうになる。
「……」
 でも、楽しかったから……。
 いいか…。
 睡魔に襲われ、意識が遠ざかる。
 人間…ましてや巨人でさえ、睡魔に勝てる時代は絶対に来ないのかもしれない。
 人類はまだまだ克服できないものが有るようだ。
 ……。
 マジ眠い…。
 …………。
 瓦礫の上に膝をつく。
 その時だ。
 俺の目の前に人影が現れたのは。
「まっ…最初にしては上出来だぜ」
 どこかで聞いた声。
 抱き寄せられる体。
 暖かい…腕。
「久しぶりだなァ……兄弟」
  2010/04/13(Tue) 20:56:46 no.135
 KING's第2話"Cerasus"  (  w / - )  
V.
「………ん」
目が覚める。
「……」
気のせいか体が重い。
いつかと同じ感じだ。
いつだったかは思い出せないけど。
最近、寝てばっかだなァ…。
「…にゃ……」
何かいい臭いがする。
花の香りみたいな……。
まだ寝惚けた眼に映ったのは順和風の部屋だった。
木の天井、襖に、障子。
そして、床の間に架けられた掛け軸に、生けられた桜の花。
「ここ…どこ?」
どうやら俺は見知らぬ場所にいるらしい。
見覚えなんてあるはずが無かった。
りあえず、状況を把握しよう。
薄いベージュの掛け布団を退けて、起き上がる。
「あ〜……れ???」
俺って、たしか……。
記憶を辿っていく…。
そうだ…、ぶっ倒れる前…。
どこかで聞いた声がした。
誰だっけ?
いつだっけ?
その記憶が消え失せてしまったのか、ただ思い出せないだけなのか…分からないけど…。
こんな自問が虚無に等しい事を知っているのに…。
意味が無い事を知っているのに。
こんな事を考えてしまうのは、まだ寝惚けてしまっているのか……?
勿論、答えが導き出される事は無いようだった。
「う〜ん……」
首を傾げながら、腕組みする。
その時、障子に人影が写った。
「……」
女性の様だ。ゆっくりと、障子が開く。現れたのは、一人のメイドさんだった。
--------------------------------------------------------------------------------
メイドさんに言われるまま、導かれるままに、俺はある部屋まで連れていかれる。
別に興味があるわけじゃないけど、初めての生メイドだった。
何というか、どこもかしこも高級なものばかり(俺の勝手な判断だが…)だった。
客間らしきこれもまた順和風の部屋に待つように言われたので、おとなしく座布団の上に座っていると……。
しばらくして、ゆっくりと襖が開いた。
裸足の足が最初に見えた。
次の瞬間には人物の全体が見えた。
「あ…」
思わず指をさす。
女顔で、耳ほどの髪の…。
あの…イイ性格していらっしゃる人だ。
えっと…たしか、陸上部で、典麗の生徒だった様な…。
当たり前だけど今日は陸上のユニフォームじゃあなかった。(ジンベイだった)
「…やっと起きたかよ」
それが第一声。
「?」
首を傾げる。
やっと?
その表現が引っ掛かる。
なんだか凄く長く寝てたみたいな…。
「……。丸一日寝てたんだぜ? お前」
「あっ、そうなんだ。へ〜。それは、ご迷惑をおかけしました。………。……? って、えぇ!?」
一日!?
一日って丸一日ですか?
二十四時間なんですか?
「えっ……」
と、驚きを隠せないでいると、開けっぱなしの襖からメイドさんが二人現れた。
片方はお膳を持っている。
今時メイドさんがいる家なんてあるのか…って、メイドさんがいる時代があるどうかすら定かじゃないけど…。
兎に角、喫驚な訳で…。
つうか…こんな“和”な雰囲気の建物にメイドさんって……。
洒落た彫刻が施されている美しい木の机に手をつくと、
メイドさんの片方が、ティーポット、ティーカップ、サンドイッチ(がのった皿)等をお膳からテーブルに移した。
「腹減ってる…よな?」
そう言われてみれば…と、タイムリーに腹が鳴った。
「ぁ……うん」
うはぁ…恥ずかしぃ…。
ちょっと目をそらすように、サンドイッチを手を伸ばす。
そして、ゆっくりと口に運んだ。
何だか…滅茶苦茶美味しかった。
でも…なんで…こんな“和”な雰囲気なのにサンドウィッチって……。
しかもお膳にサンドイッチかよ。
「で…まあ本題に入るんだが」
そう言って手をポンっと叩くとメイドさんたちは礼をして、部屋を出ていった。
俺はサンドイッチを咀嚼しながら軽く会釈をした。
「うん」
頷くと、ストン、と襖が閉まった。
「三度目か? 会うの」
「うん…」
「……」
黙々と食べる俺を気遣ったのか、他に理由があるのか、目の前の人は俺を黙って見つめた。
人に見つめられながら食べるのは少し恥ずかしかったけど、とにかく食事を済ませた。
五つあったサンドイッチはすぐに無くなってしまった。
「…ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
多分この人が作った訳じゃないんだろうな…。
って…そんな事はどうでもいいけど…。
考えても意味が無い。
美味しかったし。
俺にはそれで十分過ぎる。
「……」
そういえば、やっぱこの家…滅茶苦茶金持ちだよなァ。
部屋の内装を見ながら思う。
う〜ん…流石は典麗学園生徒だな…。
いったい何の仕事したらこんな儲かるんだよ。
そもそもお手伝いさんがいるって事自体金持ちだよな〜…。
家政婦は見た…みたいな…。
いやみたいなって…違うけど。
と、余計な事に頭を巡らせながら飲んだ紅茶もすごく美味しかった。
そんなこんなで、まだお腹一杯では無いけど、空腹感は収まったのであった。
--------------------------------------------------------------------------------
「で…、やっと本題に入るけどな…」
目の前の人は、半ば呆れた様な口調で俺に話しかけた。
「うん」
上目使いで返事をする。
「感想としては……まあ…最初にしては上出来だったぜ? それに、見世物としてもまあまあだ」
「それはどうも」
誉めているのか、馬鹿にしているのか…。
あまりいい気がしない。
「ボクとしてはあのまま駄目だったら加勢しようと思ってたよ。
内心ハラハラっつう感じ? 大事な大事な弟だからよぉ〜」
「は?」
いつ俺がアンタの弟に?
「なんだ、知らねえのか」
この言い方、なんか感に触るんだよなぁ。
って、もしかして生き別れた兄弟なんてオチが……。
有るわけ無いよなァ…。
つうか有ってたまるか…。
「なら、折角だからボクが知ってる事を教えといてやる。後々聞かれて逐一答えるの、ウザいし」
分かった…この人…一言多いんだ。
「え…ちょ…何」
「この櫻崎空、末っ子の為に一肌脱いでやるよ」
あと、人の話、全く聞いてない………。
--------------------------------------------------------------------------------
目の前の人は、上蔵をかきなおして、机に手をついた。
「まあ…あれだ。あんま気ぃ張らなくていいぞ? 大まかに話すからな。まあ質問は後でお願いするわ」
「了解」
そう了承すると、ゆっくりと落ち着いた様子で、“さくらざきそら”は、話を始めた。
--------------------------------------------------------------------------------
「昔、有るところに、狂った二人の魔術師がいました。
AsiaとCorneliaっつう名前の二人。
その二人の研究は、“完全な生命の生成”。
何十年もの間、その二人は研究に没頭し続ける訳なんだが…まあ取り付かれた程に狂って…な。
地位も、名誉も、恋も。
何もかもを犠牲にして。
やがて、そいつらは、“答え”を導きだす。
…“個体としての肉体を持たない生命”=“エネルギー生命体”=“完全な生命”だってな。
その、“答え”から生まれたのは、
まず赤色の刺青の少女。
次に、白色の刺青の少年。
次に、黒色の刺青の少年。
そして、最後に、桜色の刺青の少年。
“種”としては限りなく個体数が少ない生命。
しかし“個”としては限りなく強い。
そんな存在。彼らこそは恐らく無敵の存在。
ひとたび人に憑けば、刺青となり自らを同化し、
宿主を巨大化させる(正確には高エネルギー生命体である為に、宿主の耐久性をある程度確保しなければならず、なおかつ定期的なエネルギーの調整の為で、結果的に巨大化するだけである)。
戦うべき時がこれば、個々の武器を用いる(実際は実験の副産物)。
その“種”を二人は“王(KING)”と、名付けた。なぜなら、“個”として無敵の“種”だったから…だ。
ヒトに寄生し共生し続ければ、寿命も無ければ、死も無い。
しかも恐ろしいほど強いとくる。
誰がどう見たって、無敵の生命だろ?
そして、その後は…お決まりの展開だ。
Asiaの方は彼らを兵器にしようと企んだ。
まあ…戦争は儲かるからな。
もう片方はそれに強く反発したんだが…。
そこで、Corneliaは姉弟全員を連れて逃げ出した。
兵器にだけはするまい、と…な。
もともとは研究として、実験の副産物として武器を創った。
それが間違い…いや研究自体間違いだったかもしれないが…。
しかし、まあ研究は完成していたから、Asiaはその集大成として紫の刺青の少年を生み出した。
姉弟全員と何ら遜色も…いや優れている最悪の奴を。
そこからはイタチゴッコになってしまうんだが…。
“二人”の子らは姉弟で争う事になっちまったっつう訳だ。
一対四の比率で。しかも死なないし、それぞれに無敵。
しかも…人間に憑いて、巨大化して戦うから、規模が半端無い。戦争みたいなもんだな。
姉弟戦争っつうんか?
まあいいか。
んで、イタチゴッコに終止符を打ったのは、最後にCorneliaが生み出した青色の少年。
“どうやって”かは知らないが、そいつは紫の野郎を破壊した。
というかある程度……消滅寸前まで破壊した。
で……、その後は、事態は急速に終息に向かう。
もちろん危険因子の紫の野郎の行動が沈静化したからだな。
あと、それは魔女二人が死んだことか…。
そして、だんだんと姉弟はバラバラになっていく。
人から人に、流れに流れ、また流れて、今にいたる。
今までは何も起こらなかった。
しかし、面倒な事に、“今は”起こってるんだ。むしろ本当は、今まで水面下で起きていただけなのかもしれないがな…」
--------------------------------------------------------------------------------
と、長々と話した終わった後、“さくらざきそら”は
「まあ…分からんトコは無くなったハズだな? なぜ刺青が生まれたのか、なぜ巨大化するのか、なぜ戦わなければならなかったか、とか……」
と付け足した。
「………」
俺は少々考えた。
刺青がなぜ生まれたのか…それが、なぜ人間を巨大化させるのか……か。
「そうそう…。ボクたちの間では、刺青の宿主のことも“王”と呼んでる」
「?」
「例えば、ボクの場合、桜色の刺青の少年。…名前はCerasus(ケラスス)なんだが…。だから刺青の色からとって桜の王…だ」
「………」
信じられない話だった。
今までならば。
何も知らないままだったら誰でもそうだろうな、とも思う。
刺青の効力を知ってこそ、実際に宿主になってこそ、初めて理解できる。
…って、俺みたいな奴があとこの人も合わせて五人もいるのか…。
物騒な世の中になったもんだよ。
「そういや…」
「ん?」
「あの…トカゲ野郎は、王なのか?」
「トカゲ…? ああ…。違うな。あいつらは王じゃない」
手をヒラヒラと振りながら、彼は笑った。
「? 巨大化するのは王だけじゃないの?」
「そんなことは言ってないがな…。って…あいつらは王の僕だ。vasallus(ワーサルス)っつうんだが…」
「…僕って…さっきの話には無かったよ」
「ぁん? ああ…そっか…すまんすまん。王の僕はな、その言葉のままだ。
王の従者。
王の召使い。
王の奉仕者。
とか、なんでもいいんだが、通常の人間の体に王の……あ〜…その…」
不意に止まる言葉。
「?」
「その…分泌液を…だな」
不思議がる俺から目をそらすように、ボソッと言うのが聞こえた。
「ああ…」
顔を赤らめたところを見ると、まあ言いたいことが何なのかはよ〜く分かった。
いわゆる通常サイズの時にヤるとそいつが僕になる訳だ…。
…にしても、こんなことで恥ずかしがるなんて…餓鬼か…。
と、笑ってしまう。まあ…童貞確定ですな…。
--------------------------------------------------------------------------------
それから…、何十分か話して、帰り際に、お互いメールアドレスの交換をして、お互い名前も確認した。
なんと、御丁寧に名刺をくださった。
流石は典麗の生徒、と感心する限りで……。
加えて、驚いた事がもう一つ。
不在着信:70件。
Eメール:860件。
全て竜乃助の携帯電話からだった。そんなこんなで、俺は“櫻崎空”宅を後にした。
  2010/04/13(Tue) 21:12:07 no.136
 KING's第2話"Cerasus"  (  w / - )  
W.
「ぁ……ん…竜乃…助……苦しぃ…よ」
声が漏れる。
強く絞まる筋肉質な腕が、太い指の一本一本が、厚い胸が、全てが…温かい。
竜乃助の、ほの赤い頬。荒い吐息。熱る体は、夏の暑さも気にならない程、熱かった。
--------------------------------------------------------------------------------
「って…、痛いよ竜乃助」
ヤケに猥褻な描写だった事…。
と訳不明な事を思いながらそう呟く。
「ぉ…おう…すまん」
目の前の顔が真っ赤になって、腕が離れる。
「???」
なんか…一日会わないだけで、凄く久しぶりに会った気がする。
短い間に沢山のことがあったから…か。
沢山のことがありすぎて、ありすぎて…頭がパンクしそうだった。
とは言え、無事にこう帰ってこれた訳だから、結果オーライかな?
と、ここで話を戻すと、俺は竜乃助に再会するやいなや、またも強ぉく抱きしめられてしまった訳だ。
竜乃助には抱きつき癖があったのか…。
と言うことも分かった。
感極まると、どうも抱きつくらしかった。
夏の夜。
俺の家(マンション)の玄関。
目をそらしたつり眼の三白眼。
閉じたままの薄い唇。
真っ赤な顔の竜乃助…。
何だか気まずい…。
竜乃助は俺の住んでる階(六○六号室)の三階下に住んでいる。
そこからダッシュで来たらしい。
まあ息が切れてるのはそのセイだ。
昨日の夕方に巨大化して、一日たって、色々あって、今は午後七時半を回っている。
竜乃助に連絡をしたのは、家についてからだった。
このままじゃ良知があかないから、俺は「まあお茶でも飲んでったら?」と、竜乃助の手をとる。
「ぅん…」
ゆっくり、優しく、握りかえしてくるその手は、素敵に暖かった。
--------------------------------------------------------------------------------
「本っ当に心配したんだぞ!!」
と、麦茶を一気に飲み干した竜乃助がコタツ机(勿論布団は無い)を叩いた。
その振動で、一日休んだ分の授業のノートが少し浮いた。
竜乃助が気をきかせて持っていてくれていたのだった。
竜乃助ったら物に当たるんだから…。
と笑って竜乃助に謝る。
まあ…公然に言える事をしてきた訳ではないので、あったことは全て黙っておく。
黙っておけば嘘はつかないで済むから…。
「…怪我無かったから……良かった…けど、な」
優しげな目でそういうと竜乃助は軽く溜め息をついた。
先程にもまして気まずく、しんみりになってきたので、俺はテレビの電源をつけた。
竜乃助の前に座り、チャンネルをパチパチと変えていく。
どこもかしかも、どのチャンネルも、衛星放送さえも、街が全壊するほどの大災害を報じていた。
今回は局地的な地震と竜巻。
それによる、爆発事故及び火災の多発だった。
まったく…刺青(カエルラ)には頭が下がるねぇ…。
何とも無責任な話だが、事実を書き換えてくれる、この力は便利なものだ。
「大変だったみたいだな。隣町だろ、これ」
テレビを観ながら竜乃助が何のことはないといった表情で俺を見た。
え…何? 何でこっち見んの?
「そ、そうだね…」
「まァ兎に角お前に怪我が無くて良かったゎ」
そういや…あのトカゲ野郎…まだ生きてるんだったな…。
邪魔が入って………。
あいつ俺みたいに怪我…治るのか?
もしそうであったとしても、そうでなかったとしても、撃退して、殺傷して、破滅させてやるけど…。
そんな殺伐した考えが浮かぶ様になっても、何も知らない竜乃助は俺に優しく接してくれる。
それは…例え故意の裏切りではない裏切りだとしても、裏切っている事に変わりがない裏切りに対して、限りなく虚無で、限りなく喜びだった。
「…ありがと」
そう微笑んで返すと、竜乃助は何故か目をそらすように立ち上がった。
…?
「じゃ…俺、そろそろ帰るわ。今日、母さんと兄貴が帰ってきてるしな」
今日はやけに付き合い悪いじゃん。
なんて、言おうとした。
けど、そういう事ならしょうがない。
竜乃助のお母さんとお姉さんはどちらも博士号を持つツワモノ。
海外に出張が多い為か、いつも家にいない。
小さい頃はよくお姉さんには面倒をみてもらったな…。
お父さんは教師らしいし、今更ながら勉強のお好きな家庭だなァ…。
家訓は
"知らぬまま終るな"
らしい…。
まあ竜乃助もその血を受け継いでいて、家系(俺の知る限り)唯一の体育会系という点を除けば、(偏っているけど)頭が良いし、勉強ができる。
「と…説明はこれくらいにして…」
「?」
意味不明な独り言に続いて、
「お姉さん達によろしく言っといてね」
そう、玄関に向かう竜乃助の背中に言った。
「……あ〜…。おう、あと二、三日居るらしいから暇だったら顔出してやってくれ」
「りょーかい♪」
そう俺が軽く敬礼のポーズを取った後、竜乃助はフッと笑って、手を軽く振った。
いつもみたいな口調で。
いつもみたいに気だるく。
すこし億劫に。
「良く頑張ったな」

そのセリフは──。

バタン…というドアが閉まる音。
彼から聞いたセリフ。
竜乃助から聞いたセリフ。
まるで、同じことを指している様な。
「え……?」
気のせいだ。
気のせい。
きっと…。

──いつもと違う表情で……。

--------------------------------------------------------------------------------
それから、何日かたったある日…。
初夏の暑さが本格的になり始めた頃。
昼下がり。
第五時間目。
何人かが抜けた教室。
クラスで亡くなった人の葬式も終わり、通常の授業に戻り始めた日。
気だるい空気の中、携帯電話のバイブがムームー鳴った。
差出人は、櫻崎空だった。
そういやメアド交換したっけ……。
机の中で、傾けたケータイの画面に目を凝らした。
内容:[こんちわっ(>O<)/★ハルキン今日、巨大化して遊ばない?]
あ〜…この人こんなメールするんだ…。
なんとなく左手で顔を覆う。
って、ハルキンはどうだろう……。
そんな風に、呼ばれたのは初めてだ…。
カタカタとメールを返す。
内容:[分かった。君の家に自転車でいく。]
と、すぐに返事がくる。
レスポンス早いなぁ…。
内容:[迎えに行くからハルキンの学校の西門に居て(-人-)時間は四時より少し前に]
更にその返事。
内容:[了承。]
それ以上メールは来なかった。
っていうか、ちゃんと文末には"。"をつけろよォォォ。
それにちゃんと改行しやがれェェェ。
今日会ったら言ってやろう。
なんて、少し気になることがあったけど、俺はおとなしくその時間を待つことにした。
まあ…たまには平凡な日常も楽しまなければ…と。
--------------------------------------------------------------------------------
「ぅゎぉ」
と軽く驚くと、櫻崎空はニッと笑った。
「や」
俺の遥か頭上に位置する場所からの声は、やけに爽快だった。
この櫻崎空が巨大化した(四十メートルくらい)姿で現れたのはつい先程だ。
よもやこんな風にやって来るとは思いもしなかった。
車か何かかなと思っていたんだけどな…。
キャラ的に。
まだまだ明るく青い空。
くっきりしたシルエット。
櫻崎空は迎えにやってきた。
--------------------------------------------------------------------------------
腰を屈め、俺の目の前に巨大な手が伸ばされた。
この展開からして…取りあえず乗るしかないな。
なんて、思いながら俺は櫻崎空の人指し指に足をかけて掌に上った。
「…ぅわ」
暖かい掌の上に乗ると、ゆっくりと上昇した。
ある意味、もう見慣れた風景が俺の目に広がった。
「…」
少し揺れるな。掌の上はあまり乗り心地はよくなかった。
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「どこに行くの?」
ふと、移動中の巨人に聞いてみる。
「取りあえず〜…前んとこと逆側の町だろ」
「ふぅん……」
と、巨人はどうやらまだ被害にあっていない町に足を進めるようだ。

俺の住んでいる青羽町はかなり大きな町なんだけど、その周りの町もなかなか大きな町だ。
壊しがいがあるのは嬉しい事だけど、だからといっていろいろと困る事もある。
例えば、この前トカゲ野郎と戦った所も周囲四キロはほぼ壊滅状態だった。
そんなに壊すつもりはなかったんだけど…と今更後悔している。
あそこには安い服屋が多くて重宝してたのに……。
だから、暴れる場所も考えようだ。
まあ今日今から行くところはあんまり行かないし、あまり知らないからどうでもいいんだけど…。
知ってる事といえば、海に面している町で、デカイ橋があるくらいだな。
ガキの頃社会見学にいったような記憶がある。
--------------------------------------------------------------------------------
それから五分もたたずに、巨人はその町までついてしまった。
早くて渋滞にもひっかからない。何ともいいではないか。
巨人タクシー登場。
ただしお代は………。
儲かる見込みはまったく無いな。
きっと。
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「じゃあそろそろ俺…」
そう上を向いて話しかけると、「ん」と短い返事がした。
メールと現実のキャラが違いすぎるなぁとか思ったりしながら。
「よいしょっと…」
そう言って、これからの展開に心踊らせながら、俺は掌から飛び降りた。
風が取り巻く。
どんどん近付いてくる地面。
それは…まるでアノ時の様で、少し心が痛かった。
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一瞬視界全体が青くなり、次の瞬間には、俺の視界は櫻崎空と同じ比率のサイズになっていた。
何度か巨大化すると、巨大化した後すぐに立っていられるようになった。
前は毎回倒れてたんだけど…。
櫻崎空は俺より少し低い身長で、女顔で、髪が長くて、垂れ目で、まあ巨大化しても通常サイズの時と変わらない。
変わったのは、櫻崎空は巨大化すると、髪が桜色に、そして、獣の耳と尾がついていることだ。
狼?っぽいなぁ…。
「うわ…奇抜…」
桜の王という通り、勿論、刺青は桜色だった。
腕に見えるのが確実にそうだろう。
たしかケラススって言ったっけな。
刺青の名前。
彼はいったい櫻崎空にどのような武器を与えたんだろうか???
「悪いかよ。お前だって青色だぜ?」
まるで答えが決まっていたかのように返事が早かった。
もしかしてそうじゃなくて頭の回転が早いからレスポンスが早いのかな?
「そっか…。そんなもんか?」
と、無理矢理消化し、理解しようとした。
……でも、ピンクだよ?
誰かに話しかけるように、俺は誰かに同意を求めていた。
「…って話は変わるけど、今から何して遊ぶの? 言い出しが考えてないって事は無いよね?」
「そうだな〜…、まあ取りあえずは……」
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「負けるかぁ…!」
「現役陸上部をなめんな」
俺たちは何故かカケッコをしていた。
住宅街の様な低い建物が多いせいか前よりか走りやすい。
あの時は必死だったからあんま覚えてないけど、とにかくビルよりかは住宅街の方が幾分かマシだった。
とは言え、踏み潰しながら走るのは大変なんだけど…。
ゴールはこの街のシンボルの橋らへん。
あと少し。
というところで櫻崎空に抜かされてしまった。
「ふっ…勝った」
「畜生っ」
やっぱ負けた。
うわぁ息一つ切れてない…。
橋に向かう直前の直線の道路で足を止めた櫻崎空がクスッと笑う。
うわあ…ムカつく。
負けず嫌いな俺に戦線布告かっつうの!!
「馬──〜──鹿!」
はらいせにそのまま足に力を込めてジャンプする。
前方に続く橋の上に綺麗に着地、…とはいかなかった。
失敗した時の走り幅跳びみたいに、けつから着地すると、簡単に橋は打ち壊れ、海水が飛び散り、しぶきが上がった。
車も人間もゴミみたいに飛び散って、浅い海に沈んだ。
分かっていたことだけど、俺はずぶ濡れである。
「ぅわっ」
櫻崎空にも大いにしぶきは飛んだらしく、髪も耳もびちょびちょだった。
「ちょっ…テメぇの方が馬鹿だろうが!」
なんて言われたもんだから。
「あははは」
櫻崎空の腕をおもいっきり引っ張ってみる。
「ちょ…おっ…」
またまた大しぶき。
「びしょ濡れおそろいだねー」
「馬鹿野郎」と笑って櫻崎空は答えた。
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橋の残骸の周りでは人間や瓦礫が散らばっていた。
別に気にせずに座ると、櫻崎空も俺の隣に座った。
「そーだ」
「何だ?」
まだ生きている人間をつまみあげて、隣の男はゆっくり返事をした。
その玩具を楽しそうに眺めている。
「君ってさ」
「〜…っ。名前でいいぜ。呼ぶの」
「そっか。分かった」
呼びにくかったんだよね…実は。
名前で呼んでいいって許可がでたので、そうさせていただきますか。
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「空ってさ、初めて巨大化した時ってさ、エッチィぃ事した?」
唐突エロ会話。
「なななななっ何ですと!?」
顔から湯気でもでるんじゃないかって程真っ赤になる。
人間の頭がプチっと潰れる。
「な…何でそんなこと聞くんだよ…」
「俺は、したから。空はどうしたのかな?って」
……。
…………。
……………。
「…〜〜〜〜。…した…ょ…」
けっこう間があって、返答がきた。
「そっか」
何だか反応が可愛かった。
やっぱやるんだねぇ…オナニーとか。
……。
「よぉし…じゃあエッチぃ事しにいきますか!」
立ち上がって、空の手を取る。
「ぅわ!?」
空も慌てて立ち上がる。
足をズカズカと進めた。
空の股間のものは大きく膨らんでいた。
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今日のファッションは俺が白地にピンクのラインが入った競パンで、
ソラは黒地にブルーの模様が入ったスパッツだった。
背の低い建物ばかりの町には直線状に瓦礫の道が出来ていた。
「って、言っても何やろうかね〜?」
瓦礫を踏み潰しながら、足を進める。
ソラに問いかければ、うつ向き加減の顔を少し赤らめて「…知らねぇよ」と、はにかみ気味に答えた。
「……」
マジでカワイイ事で…。
ソラのウイウイシイ態度に微笑む。
ところで、本当に何をしようかな。
えっちぃ事がしたいし、小人ちゃんでも遊びたいし…。
辺りを見回して………………見付けたのは学校。
私立白雪中学校。
あはは。
見付けちゃいました。
御愁傷様。
美味しく、素敵に、ぐちゃぐちゃっとツカわせてもらいます。
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さっきの追い掛けっこせいもあってか、学校には生徒がかなり少なかった。
つっても、遊ぶのに十分な量は確保できた。
逃げ遅れた生徒の足を踏み潰しておく。
「さて…と」
何だか笑ってしまう。
「ちょ、ちょ…ちょっと待ってくれ!」
「やだよ。えっちぃ事したいもん♪」
ソラのスパッツを無理矢理剥いでいく。
「や…やめ…」
逃げ出そうとするところを尻尾を掴み、押し倒す。
そして、腕に力を込めて、股を開けた。
「やめろ〜ッ」
竜乃助には劣るけど俺の腕っ節も強い方だ。
ソラは細い方だから俺に抵抗出来ない。
ピンクの陰毛といきりたった男根が姿を表す。
全裸になったソラが腕で顔を隠した。
「……っ」
耳と尻尾は小刻に震えている。
「可愛いね。何だか犬みたい」
「五月蝿ぇ…狼…だぁ…っ」
小人を一匹、つまみあげる。
小人はかなきり声で命ごいをした。
下半身が潰れているのによく叫べたもんだ。
それに対し、ニコッと笑って、俺はソラのケツの穴に押し付けた。
ドップラー効果で悲鳴が消えていった。
何度も何度も、頭からすりつける内に、小人は潰れ、赤い液体になり、ローションになった。
そうなるとアエギと連動したソラの足や手が校舎や辺りにある物を薙ぎ倒した。
「っ…は……ぁ…ッ」
中指を徐々にずぶずぶと挿入するにつれて、呼吸は荒くなり、猥褻な顔付きになってきた。
指だけでこんなに反応するっつうことは今日は処女体験なのかな?
ますますカワイイなぁ…。
真っ赤に染まった指の抜き指しの速さを速める。
すると、「や…そこ…や…ぁ」あえぎ声と一緒に、ソラが何か言った。
「とろけそうな顔して…何言ってんだよ」
どうやら余り深く挿さず、中途半端な位置をいじり回されるのがイイらしい。
「さて…と」
体勢を変えて、競パンから自分の息子をゆっくりと抜き出した。
ソラのケツの穴はヒクヒクしてなんとも………。
とにかく準備万端…ってこった。
「挿入れるから力抜いて」
「…いれ!?」
「うん?」
「………」
やっぱ抵抗があるのかな…。
ソラって……ドウなんだろうか?
俺は…バイセクシャルって自覚してる。
ソラは…いったい???
「そっか…」
いくら義兄弟っと言っても初対面に近いもんなァ…。
抵抗あるのかな…。
…………。
我慢汁でとろとろなソラの息子を見つめた。
…………。
……。
「あは」
…ソラの腰の辺りに馬乗りになる。
そして、俺の穴にソラの息子を迎え入れた。
ゆっくり…ゆっくり…挿入していく。
「っ…あ」
「♪」
ソラの眼が薄く涙で潤う。
「どう?」
ニッと笑ってソラに問掛けた。
どうって何も…って自分で思った。
自分が童貞を捨てた時もこんなんだったなぁ…なんて…懐かしい記憶を思い出す。
「あ…あったかい…な」
「だろーね」
もう一回笑う。
ソラが俺の温もりを感じている様に、俺もソラの肉棒の温もりを感じていた。
何だか…こういうのは久しぶりだな…。
竜乃助は…きっと嫌がる…いや退くだろうな。
ふと…そんなことが頭をよぎった。
いくら幼馴染みって言っても、竜乃助はノンケなんだから…。
ちょっとだけ、嫌なこと思いだしちゃったな………。
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「ふぅ…」
一息ついて、小人を一匹つまみあげる。
今はソラの事に集中しよっ。
今度の小人は…虫の息だった。
残念な事に何匹かはソラの足や手がすり潰してしまっていた。
最後の…十センチくらいの小人を自分の息子に押し付けた。
「死ぬ前に面白いことしてやるから」
笑って、手の上下運動を始める。
それと同時に、ケツを閉めあげ、こちらも上下運動を。
急な行動にソラは驚く。
「あ…待て…ちょ………ぁ」
段々と赤い汁が、俺の息子を覆い、気持よくなってきた。
小人様様だねっ。
歩飛ばしる快感に、ソラは顔を真っ赤にして何か唸っている。
そして…、唸りが止まり、何秒かたった後に、櫻崎ソラは射精した。
暖かい液体が…感じられた。
早いなぁ…。
俺は手の運動を速める。
やっぱ…気持イイ。
一瞬、電撃のような快感が走り抜け、俺もソラに続いて射精した。
ピンクがかった精液は…辺りに飛び散り地面を汚したのだった。
一匹の小人が、その精液に溺れていた。
まだ生き残りがいたのか……、まあどうでもいいか…。
--------------------------------------------------------------------------------
その後、俺とソラは、お互い向かい合うように壊れかけた校舎にもたれかかった。
「どうだった?」
「……気持よかったっす」
「あは、良かった良かった。アンドオメデトー。脱童貞でしょ?」
「………」
ソラの顔が真っ赤になる。
「あーあ…何だか小人との絡みが少なかったな〜…なんて」
「そうか?十分殺しちまったぜ?」
………。
「ん…まあね」
罪の意識ってやつか?
ソラは何だか少し悲しげな顔をしている。
「ねえ」
「何だよ?」
「気になってたんだけど…」
「早く言えよ」
「ソラの家って何やってるの?」
話題変換。
転換会話。
「はぁ? 今の話からまったく脈絡無ぇぜ?」
「いいからいいから、教えてよ」
「……あのなぁ…」
少し辛そうになる、ソラの顔。
そして、言葉が続いた。
「罪で悪の最低でしかない…下劣な事で金儲けしてんだ…ボクの家はな……。って思った所で商売を突然やめられるわけでもないけどな」
「ふーん…………。」
しばしの沈黙。
ソラも真剣に考えたりするんだ〜。
って、失礼だけど…。
「じゃあ…さ、…その……罪は、誰が罰を与えるの?それとも、誰が許すの?」
「え……」
突然…ソラの顔が幼く見えた。
罪なんて…、そんなこと…。
誰でも、罪なんてものは持っていて…。
誰かの価値観がそれを決める。
どんなに悪だって、どんなに最低だって、どんなに下劣だって、だいたいは…結局人の価値観なんだから……。
だいたいは っていっちゃうのはなんだけど。
「許してあげるよ」
「は?」
「俺がソラの分の罪も何もかも背負ってあげるってこと〜」
「お……お前…ボクは……誰に殺されてもいいような…最低な人間なんだぞ!?」
ソラの手を掴んで、引き寄せる。
そして、抱き締めて、抱き締めて、抱き締めた。
「何…」
そしてキス。
「〜〜〜〜〜!?」
ザラザラしたソラの舌が俺を拒んだが、そのまま絡み付いて、熱〜い濃厚なキスを。
「っは…ぁ……だから…友達になろ? 理屈は抜きにして、正直、罪とかそんなことって関係ないし」
少し息が荒いながらも笑う。
「…馬鹿だろ、お前…」
「アホだよ。お義兄ちゃん♪」

桜と青は繋がった。
  2010/04/13(Tue) 21:27:25 no.137
 
 
  


     KING's第1話"Caerula"  ( - / - )  
 
T.
「俺に…いったいどうしろっていうんだ…」
 不思議な浮遊感の中で、俺はそう呟いた。
 いや…正確には呟けたかどうか分からない。
 声に出しているかどうかもさだかではなかった。
 ただ心の中で呟いただけなのかもしれない。
 きっと無意識に溢れ出てしまったのだ。
 心が痛みで壊れてしまいそうだから…。
 …俺の母さんも、父さんも死んだ。
 二人とも自殺だ。
 父さんは母さんを追ってだけど…。
 そろって遺書は無かった。
 少し落ち着いた今になって分かったけど、俺は…両親の死にそれほど悲しみをおぼえなかった。
 たしかに…悲しかったことは悲しかった。
 けど、涙は一つとして流れはしない。
 むしろ、馬鹿げた死に方の両親がムカついていた。
 結局、対比として、悲しみよりも憤りが大きかった事は、言うまでもない。
 後には只…嫌悪感が残っている。
 それは、自分に対してであり、両親に対するものだった。
 決して拭いとれない黒く醜い感情は自分も含めて、全ての存在に牙を向けていた。
 もう何もかも…嫌になった。
 うずくまって…世界との干渉を断ち切りたいと願った。
 俺を呼ぶ声が微かに聞こえたのはその時だった。
 最初は空耳かと思ったけど、確かに俺を呼ぶ声がした。
 透き通る青空の様な清んだ、清んだ…"空色"の声が俺を呼んでいた。
 その声の方向を見る。
 だけど…その先には何も見えない。
 只…黒くよどんだ広がる世界があるだけだった。誰にも話しかけられたくないのに…。
 誰とも話したくないのに…。
 呼び続ける声は俺の意思とは逆に強くなっていく…。
 目を強くつぶり、耳を手で押さえ付けた。
 心で拒絶の声をあげだ瞬間…俺を呼ぶ声は唐突に止まった。
 そして…俺の前には"何か"の気配があった。
 恐る恐る目線を上げる。
 暗い空間に青く星の如く輝く存在がそこにはあった。
 青空を何百倍にもしたような…、まるで吸い込まれる様な瞳を持つ子供が立っていたのだ。
 歳は十歳くらいだろうか…髪も美しく、海の様な色をしている。
 少年?
 少女?
 どちらともいえない顔立ちだ。
 声の主である彼は、俺に
『やっと会えた』
 と微笑みかけた。
 心の中に直接届くその声は恐ろしい程に清んで…閉ざされた心の扉をこじ開けてしまう。
 でも…、はかりしれない優しさを兼ね備えていた。
「俺に…会いたかった?」
 そうちゃんと言えたのか分からない…、もしかしたら声が出ていなかったのかもしれない。
 それでも…意味は伝わった様だった。
『うん…。春陽に会いたかったんだ』
 声の主はその言葉の後、優しくゆっくりと、俺の唇に自らの唇を重ねた。
 そして…
『これからは…ずっと一緒だから』
 と耳元で呟いて泡のように消えた。
 俺はなぜだかその時、少しだけ…拒絶の意思が緩まった様に思えた。
 安心感というのだろうか…?
 氷ついた心が微かに暖かくなった…。
 そして、そのすぐ後…俺の夢は途切れた。

「……陽!…春陽!」
 俺はまた誰かに呼ばれていた。
 ……誰?
 今度は聞き覚えのある声だ。
 アルコール臭を帯びた空気が微かに鼻についた。
 ここは病院?
 なのだろうか?
 ゆっくりと目を開けると、目を真っ赤にして泣きそうな顔が九十度傾いて見えた。
「…竜乃助?」
 幼馴染みで、ずっと親友だった竜乃助がベッドごしに俺を呼んでいたのだ。
 起き上がろうとすると、竜乃助は俺に痛いくらいに抱きついて
「良かった。…良かった」
 と声にならない声で笑った。
「…え?」
 竜乃助は何に悲しみ、何に喜んでいるのだろう?
 その問いの答えは俺の頭に蘇る断片的な記憶が知っていた。
 靴とその先に広がる地面。
 吹き付ける風。
 迫り来る路上。
 そこで途切れた意識…。
 竜乃助は…俺が生きていて笑ってくれてるのか。
 それが今分かった。しかしながら、俺がした事は何とも笑えない話だった。
 滑稽ではあるけど。
 自殺した親を恨んだくせに自分も自殺しようとしたのだから…。
 醜態をさらすとでもいうのだろうか、俺は自分が醜く、しかも惨めな存在に思えた。
 でも…竜乃助は恨まず、に悲しんでくれた。
 憎まずに、笑ってくれた…。
 只、それが嬉しかった。
 そう頭に浮かんだ時、
「本当に良かった…」
 と竜乃助が少し笑って呟いた。
 そして、少し間を置いて竜乃助はハッと何かに気付いた様に抱きついた腕を離した。
 顔を真っ赤にしながら、パイプ椅子に軋む音で座った。
 俺が上半身を起こすと、竜乃助は顔を一変させ、口から重々しい言葉をもらした。
「学校の屋上から飛び下りたとか聞いたから…俺…」
 まだ泣きそうな赤い目で、竜乃助は押し黙った。
「大丈夫だよ。もう自殺なんかしない」
 そう言いたかったけど、重い沈黙にはその言葉はあまりに似つかわしくない。
 息苦しい空気が続く。
 …が、その時…病室のドアが開いて、医者と看護師あわせて三人が現れた。
 手にはカルテの様な物や服を持っている。
 竜乃助はそれをみると、
「飲み物買ってくるな」
 と言って、たどたどしく席をたった。
 看護師は俺に服の着替えを渡した。
 そういえば、今着ている服は汗でびっしょりだった。
 少し恥ずかしかったが、さっさと着替えを済ました。
 ベッドに再び座ると、医者はゆっくりと聞き取りやすい口調で俺に話し始めた。
 話によれば、特に体に問題なく、明日には退院できるらしい。
 なんでも、建物の四階から落ちて無傷なのは奇跡だとか…。
 そんな事言われなくても分かる。
 死のうと思って学校の屋上から飛び下りたのだから。
 他にも、自殺の相談とかの話があったけど、適当に聞き流しておいた。
 もう自殺する気なんていっさい無いからだ。
 志新たに…と思うけど…一つ気にくわない事があった。
 それは、みずしらずの他人の医者が俺の気持を分かった様な口をきく態度だった。

 翌日、俺は退院した。
 時刻は昼ぐらいだ。
 大きな建物ばかり集中した場所にある病院をあとに、俺は近くのバス停まで歩き始めた。
 混雑する道を無気力に歩いていく。
 強く日差しがさす晴天の空は雲一つとして無く、清んだ青が広がっていた。
 日差しは巨大なビル街に反射していた。
 まるで俺が嘲笑われているような惨めな気分になってしまう。
 空は晴れているし、世界にとっては俺の存在などとるにたりないもなのだ。
 幾等不幸に打ち当たろうと、全ては他人事なのだから…。
 少し…卑屈かな…。うなじをたれながら歩き始めると、唐突に"どこか"で聞いたことのある声に足が止まった。
 最初は空耳かと思ったけど、それが再び聞こえた時、はっきりと聞こえた…。
『一緒に行こう』
 と。
 そうだ…この声は…。
 体に異変があったのはその直後だった。
 体に風が吹き抜ける様な感覚とともに激しい快感が俺を襲った。
 まるでイく寸前みたいな…強い快感だった。
 声の正体を思い出すが、体が熱くなり、意識が爆発しそうになる。
 あえぎごえが少しもれると、最後に一陣の風が吹き抜けて俺の意識は暗闇の渕へとつき落とされた。
  2010/04/13(Tue) 13:37:16 no.130
 KING's第1話"Caerula"  (  w / - )  
U.
 真っ白な霞の様な煙の中、俺は目を覚ました。
 焦臭い空気が辺りに立ち込めている。
 視界はくもって、周りがよく見えないでいた。
 起き上がろうとすると、体が一瞬脈うった。
「っ……?」
 気持悪くはない…けど、俺の中を何かが巡っている様な…凄く変な気分だ。
 不思議と体が重い、それに何だか変に熱っている。
 そういえば、俺ってあの後どうしたんだ?
 急に意識が遠退いて…。
 事故でもあったのかな…。
 倒れていたってことは俺も巻き込まれたのか…?
 それなら場所は動いてないはずだけど…。
 辺りを手探りで確認しようとするけど、砂や小さな石に触れるばかりで何も分からなかった。
 不安な疑心が脳裏をかすめた。
「いったい…」
 そう言いかけた時、ふと消えてしまいそうなくらい小さい救急車や消防車のサイレンに気がついた。
 自分が今どこにいるのかまったくわからなかったけれど、何だかその音が心配する気持ちを少し軽減してくれた。
「…どうしたもんかなぁ…」
 そう呟いて、周りをきょろきょろと見回してみた。
 音はするが姿は見えず。
 それらしい光は見えやしない…。
 どれだけ遠くにいるかは知らないけど、その音に少し不可解な点があった。
 確かに遠くから聞こえる。
 勿論見えるはずもない。
 だとしても、こんな聞えかたはしないだろうな…と思う。
 何だか…低いというか、聞こえる位置が少し変だったのだ。
 まるで…高層ビルの天辺から聞いた様な…そんな感じだった。
 ふと、その音が聞こえなくなるぐらいに強く風が吹き荒れた。
 白い靄のような煙が布が破れる様に吹き飛んでいった。
 思わず目を瞑る。少しその風は目に染みた。
 そして、風が止んですぐ、ゆっくりと目を開けた。
 最初は…空が見えた。
 あの真っ青な空だ。
 なんだ…と安心しかけたその刹那、俺の目に信じられないものが飛び込んできた。
 その光景に驚きのあまり、声が出なかった。
 三百六十度広がる世界、サイレンの音、ビル街、空に消え行く煙…。
 その時、俺は鼓動が狂った様に激しくなったのを聞いた。
 たしかに、俺は倒れていた場所から動いていなかった。
 ただ…倒れていただけだった。
 けれども世界は一変していた。
 まるで、おもちゃの様に全てが小さくなってしまっていたのだ。
 正確には俺が巨大化したというべきなのかもしれないけど…。
 足下には陥没した地面と火のくすぶる建物の残骸が見えた。
 いったい何があったんだ?
 夢か現か、分からぬまま、俺はそう心内で叫んでいた。
 何か…変わった事…。
 自殺を試みた後に、変わった事といえば……。
 その時唐突に、俺の頭にある記憶が鮮明に蘇った。
 青い空の瞳…、碧い海の髪…。
『コレカラハズットイッショダカラ』
 あの夢…だ。
 今まで忘れていた。
 いや故意的に忘れさせられていたとでもいうのか…?
 ばらばらになった記憶が今蘇った様だった。
 あんなに印象的な夢は忘れるはずがない。
 そして、その時再び断片的な記憶が連なり一つの記憶となった。
 気絶する瞬間…
『イッショニイコウ』
 って聞こえた。同じ声で…。
 きっと青空そのものを声にしたらあんな声になるんだろう。
 今思えば、やけに…リアルな夢だった…。
 いったい何の意味があったのだろう?
 ただの偶然?
 …リアルな夢という事ならば、今のこの状況も夢なのだろうか?
 素足に触れる大地の感触や、焦げた臭い、はたまた空気の動きまで、全てが現実としか考えようがない。
 夢の中で意識を持ったことなんて無いからかもしれないから、分からないけど…。
 でもやっぱり、リアル過ぎる夢だろう…きっと。
 というか、人間が巨人になるなんて、有り得るはずがない。
 そもそも巨人なんて、昔は居たらしいってだけで、今は完全にファンタジーの住人なんだ。
 しかも、今の俺みたいにビルやマンションより背が高いのなんて聞いたことも、もちろん…見たこともない。
 これはただのリアルな夢なんだ…。
 疑心暗鬼の心も晴れ、世界は夢という非現実と知った。
 そう思うと、驚いたり、怖がったりしたのえらく馬鹿らしくなる。
 何だか…損した気分だな…。このまま夢が覚めてしまうのがもったいなくなった。
「どーせなら…」
 その時、俺は異常な程の好奇心が沸き上がるのを感じた。
 例えるならば肉欲に似ているだろうか…。
 足をゆっくりと一歩進めると地響きがした。
 鳥たちが舞い上がり、遠方の青空に消えていく。
 どうせ夢なんだ。と、俺は好奇心に歯止めがきかなくなった。
 それはまるで…初めて自癒を知った子供の様に…。

 俺は一歩目より歩幅を少し小さく二歩目を踏み出した。
 もしかしたら、まだためらう気持ちがあったのかもしれない。
 地響きがして、土煙が舞い上がる。
 まるで自分が地震を起こしている様だ。
 そう思うだけで、俺は自分がとんでもない力を持っているんじゃあないか?
 と心踊った。
 優越感とでもいうのだろうか。
 夢の中だけど、何だか強く絶対的な存在になった事に俺は味わったことのない快感を感じていた。
 歩くたびに素足に細かな瓦礫がくっついたけど、今更そんな些細な事は気にしなかった。
 思いっきり地面を踏みつけてみようとして、わざと足を振り上げると、俺は股間に妙な拘束感を覚えた。
 そういえば、俺って今どんな格好をしているんだっけ…?
 ふと頭に浮かんだ疑問に、首と目が下を向いた。
 腹筋の先に見えたのは黒い競泳用の水着だった。
「……?」
 俺が水泳部だからなのかどうかは知らないが、夢でこんな格好をするとは思わなかった。
 そしてちょっと恥ずかしいことに、ぴっちりと締め付けられたアソコは半勃ち状態だった。
「あ…?」
 思わず声が出た。
 俺っていったい何に興奮してるんだ?
 と、首を傾げてしまう。
 その時、ふいに倒壊したビルが俺の目に止まった。
 俺にはそれが少しだけ目立って見えた。
 何故なら、回りは瓦礫の山というのに、崩れながらに形を保っているからだ。
 かろうじて…といったぐらいだけど。どうやらそのビルは位置的に俺が蹴り倒したらしかった。
 って…夢の中だけど、俺、人…殺しまくっちゃったな…。
 蹴っただけで死んじまうんだもんな…。
 と、心の中で反省してみた。どんな状況だって人は人だし…。
 けど、やっぱ夢の中だよな。
 これは…夢。
 そう、夢の中。
 今、俺が殺したのは人間。
 ……だけど…。
 そして、なぜだか不完全燃焼な気分がする。
 まるで正反対な意見が頭のなかにぐるぐると回っては消える。
 まるで、何かが俺の中で、言葉を呟くようだ。
 …いや…実際聞こえている。
 そう…頭の中に直接…。
『…どうせゴミみたいに小さいんだよ』
 こんなにも
『壊しちゃおうよ』
 はっきりと
『殺しちゃおうよ』
 愉しげに。
『さぁ…!』
 心に響くその声は、あの清んだ…青い空色の声だった。
『春陽!』
 頭にあの少年が俺に手を伸ばす姿が浮かんだ。
「……あぁ」
 反省した事なんてすぐに忘れてしまって、俺は横たわったビルの上に足をのせていた。
 その瞬間、快感への欲望が精神を支配した。
 そして、いっきに体重をかける。
 パキパキと小枝を踏み割る様な感触がした後、簡単に踏み潰せてしまった。
 耐震構造がどうなのかは知らないけど、脆いものだ。
 まだ取り残されたり逃げ遅れた人が中にいたんだろうか?
 そしたら、その人たちは恐怖におののきながら、俺の足に潰されてくんだな。
 そう思うと股間が熱く、固くなっていくのが分かった。
 そうか…。
 …俺は…これに興奮してるんだ。
 …その時、俺の理性は爆発した。

 ずかずかと足を進めると、大きな道路が開けてきた。
 とは言え今の俺にとっては、小さいのだけど…。
 道路には車が沢山停まり、ごったがえしている。
 様々な色の車は四車線に渡り、苦しそうにクラクションを鳴らしていた。
「せーの」
 わざと大きな声で足を踏み出し、少し先にあった車を何台か踏み潰した。
 固いものが潰れる感触がして、いっきに数台のの車が火を吹いた。
 黒い煙が空に舞い上がるが、俺の顔に届く前に風でかき消された。
 クラクションもサイレンも止まり、一瞬、静寂がこの場を支配した。
 けれど、そのすぐ後、堤防が決壊したかのような勢いで一斉に車から人間が溢れでてきた。
 叫び声が次々に上がり、人間が俺の回りから離れていく。
 これだけの渋滞では車なんかより走った方が早いのかもしれない。
 それでも、俺にとっては五十歩百歩だ。
「…逃げてるのか?これで」
 こいつらこんな速さで俺から逃げられるとマジで思ってんのかな?
 無駄なのにさ。
 そう頭に浮かぶ。
 俺の息子は破壊や殺人をする度に大きくなっていく。
 生まれてこのかた、これほど興奮したのは初めてかもしれない。
 今は競パンをはいているのがきついくらいだ。
 上を向いている為に競パンから少しだけ頭を出している。
 何だか、ためらいを覚えていた自分が馬鹿みたいだ。
 そして、あの時決断して良かった。
 こんなにも気持よくって、爽快な気持ちになれたのだから。
「みぃぃんな、ぶっ潰してやる」
 そう叫ぶように言って、笑顔で地面をおもいっきり踏みつけた。
 車ごと数人が俺の足の下敷きになり、火の中で挽き肉となった。
 でも、不思議と、痛くも熱くもない。
 夢の中だから、もちろん火傷もなかった。
 足の下から溢れるように出てくる煙を避けようと、一歩だけななめに足を進める。
 すると、あまりの恐怖に腰が抜けてしまったのだろう。
 人間が一人うずくまっているのが偶然目にはいった。
 たまたま中央分離体に足を踏み下ろした為に、そいつは車の爆発で死ぬことはなかった。
 このちっぽけな人間は俺が足を少し動かすだけで挽き肉になっちゃうんだよな…。
 どうしよっかな?
 そういえば踏み潰すだけじゃ芸が無いな…。
 そう言って、足下の人間を潰さないように慎重に掴み上げた。
 有り余る力でそのまま掴めばせっかくのオモチャが死んでしまうから…。
 丁度溝内ほどの高さで手を止める。
 すると、手の中の小人が泣きじゃくっているのがはっきりと聞こえた。
 まあ…そんな言葉に耳を傾ける事すら馬鹿馬鹿しいから、俺は小人を少しだけ強く握ってやった。
 すると、パキッという音がして更に叫び声があがった。
 骨でも折れたんだろう。
 黙らせるつもりだったんだけど逆効果だったらしい。
「五月蝿いなァ…」
 俺はその時面白そうな事を思い付いた。
 どうなるのか分からないけど。
 思わず笑ってしまった。
 小人をボールにみたて、丸まらせて骨が折れない様に握った。
 野球のピッチャーみたいにふりかぶって
「せぇーの!!」
 とおもいっきり小人を道路の袖のビルに投げつけた。
 小人は豪快な音でビルに穴を開けてぶつかった。
「凄い勢いだったな〜」
 大笑いしながらビルにあいた穴を覗いてみると、中で小人はぐちゃぐちゃになっていた。
 かろうじて内臓や骨が見えたけど、もう人間の形を保ってはいなかった。
 それが何故だか面白くってしかたなかった。
 実に傑作だった。
 もう、目に映るもの全てをこんな風に面白おかしくぶっ壊してやろう。
 そう、頭の中で誰とも知らず、約束を交わした。
 でも、一つ、不可解な点があった。
 ガラス張りのビルに俺の姿が映ったときだった。
 俺の目は青空をそのまま切り取った様な空色に…、髪は海を切り取ったように碧色になっていたのだ。
 ……?
 そして、極めつけは、頬に青い刺青があったのだ。
 それは、淡く光るように見えた。
「…まあ夢だし何でもありか…」
 気にしない気にしないと俺は気分を取り直して、力任せに回し蹴りで穴のあいたビルをぶっ壊した。
 コンクリートがぶっ飛び、瓦礫になっていく。
 真ん中から折れたビルが自壊するのはもう時間の問題だろう。
 崩れ落ちていく瓦礫は足下の人間を押し潰していた。
 その中で、ビルからやっとのことで逃げられた人間が数人、道路に出てきた。
 きっと、俺が見えたんだろう。
 何やら叫びながら俺から遠ざかっていく。
「あ〜あ。そっちは」
 少し大きめの瓦礫が落ちてきて数人のうち一人を残し、後は汁とゴミとなった。
 残った一人はそれでも俺から逃げようと前へ進んで行く。
 可哀想だから、俺は優しくそいつの頭上に足を持っていった。
「一人残るのは可哀想だよな。皆の所に逝かせてあげるから安心しな」
 ゆっくりゆっくり、足を地面に近づけていく。
 瞬間、柔い骨の感触と叫び声がして、小人は俺の目の前から赤い染みになって消えた。
 つい俺はあえぎに似た声を出してしまった。
 潰れる感触がたまらなく性感体を刺激した。
 その染みを見たとき、
「もっと…もっと壊したいな」
 そう感じた。
 でも、ただ壊すだけじゃつまらない。
 破壊衝動と共に燃え上がる性欲が体を感じさせる何かを求めていた。
 次の瞬間、遠くにある電車が俺の目にうつった。
「♪」
 微笑みながら、足を軽やかにその方向に進めていく。
 あれほどいた人間がもう周りにいないのは逃げ道があったからに違いない。
 この辺りに地下鉄は無い。
 そして今道路には主人のいない車で埋め尽されている。
 しかも駅はここから見えるのだ。大半の人間は駅に逃げて行ったに違いない。
 きっと、あそこならばこのいきりたった息子をなだめられるだろう…。
  2010/04/13(Tue) 13:39:39 no.131
 KING's第1話"Caerula"  (  w / - )  
V.
俺の予想は大方間違ってはいなかった。
ただ、小人たち、その"多く"がこの駅に集まっていたというだけだったというだけで。
俺の膝ほどの高さの駅にはまるで、蜜に群がる虫のように人で溢れていた。
我先にと、他人を押しのけ、三、四センチ程の人間が新たに止まった電車に吸い込まれるように入っていく。
俺があと少しで駅にたどり着いてしまうというのに…。
なんとも滑稽な姿だった。
そして、あと二歩程で届く…という所で電車は発車してしまった。
駅にはまだ多くの人間が残っていた。
醜いな〜…と、つい苦笑してしまう。
自分さえ逃げられればいいんだな。
こいつら…。
もしかしたらこの笑顔は嘲笑にも似ていたかもしれない。
眺めているのもこれくらいにして…。
駅をたった電車を見ると、結構な距離になっていた。
それでも、俺は急がなかった。
逃がさない自信というか、確信があったから。
「せーの!」
足を振り上げて電線の上に振り落とす。
ピリッと静電気程度に痺れたけど、それ以外に何の傷も痛みも感じなかった。
電線が繋がっていた柱が二、三本巻き込まれ、線路に倒れると、線が千切れ、周りに風を切りながら落ちた。
きっと通常の人間が触ったら感電死していただろう。
その衝撃で駅が崩れ始めた。
入り口や、非常用階段。
人間達は逃れる術をことごとく失ってしまった様だった。
電気の流れはもちろんそこで途切れ、電車は鉄と鉄とが擦れる音と一緒にその動きを止めた。
そして、先に逃げた電車の中の奴らも逃げられなくなった。
にこやかに笑いながら俺は電車に手を伸ばす。
すると、小さな窓に、恐怖に顔を引きつらせる小人の顔が見えた。
本当に、これからする事が楽しみでしょうがない…。
腕より短く、手首ほどの太さの電車は、持ち上げると意外に軽かった。
握った部分なんか簡単にひしゃげてしまう。
電車がこんなにもやわいものだとは、思いもしなかった。
その時、"ガシャンッ"という音がして、四両あるうち、丁度半分が地面に衝突した。
連結部分が千切れてしまったのだろう。
まあ…それでも二両は残っている。
それで、俺には十分だった。
掴んだまま線路に腰を下ろし、駅に寝転んだ。
逃げようと路線にでていた人間の潰れる感触を背中に感じた。
駅は俺の体重にギリギリ耐えているようで、ちょうどソファーに寝転ぶような感じで俺は
「ふぅ…」
 と恍惚のため息をついた。
 上を向いたその先の青空は素晴らしく美しかった。
 その下で、俺は競泳用のパンツをゆっくりとずらし、自分の肉棒を掴み出した。
 もちろん、もう片方の手には人間の詰まった電車がある。
 もう説明は無用だろう。
 車両を引き離し、片方を放り投げた。
 そして、残った車両を亀頭の先に押し付けた。
 ぐちょぐちょに先走る息子を電車の中へと挿入していく。
 最初は鉄の感触がした。
 それを貫くと、肉の生々しい感触がした。
 きっと中は地獄絵図なのだろうな…。
 きっと皆挽き肉だ。
 そう、微笑みながら更に奥まで射し込んだ。
 根元まで突き刺さると、一度手を離す。
 すると、巨大な肉棒は電車をまといながら上を向いた。
 俺のペニスの長さが足りなかったためにできた隙間にいた人間が落ちてくる。
「んっ…」
 ちょうど鈴口のすきまに何かわからないが、小人のパーツが入った。
つい体を捩じらせてしまう。
「危ない危ない」
 こんなことでイってたまるか…と必死に押し寄せる快感を我慢した。
 少し落ち着いた所で、俺は電車を強く握り、肉棒に密着させた。
 そして、ゆっくりと擦り始める。
 肉のこすれる感触が、最高に気持ち良い。
 じょじょにスピードを上げていくと、小人が電車と亀頭の間をぶつかりながら上下した。
 き…気持ちよすぎる…。
 もう、こんな快感は生まれて初めてだ。
 というくらい、本当に気持ちがよかった。
 ローション代わりの肉塊も、丁度いい硬さの電車の硬さも、絶妙だった。
 もう形をたもっていないけど、車両の先頭がぶつかる音がどんどん早く乱雑になっていった。
「ぁ………」
 ガクッと腰が動き、ペニスに最高潮の快感の波が押し寄せた。
「アあアアアァアぁ!!」
 言葉にならない叫び声と、小人を殺した爽快感、そして、目に映った清んだ空…。
 全てが一つに重なり、俺は射精した。
 その衝撃で、駅は崩れ落ちて、俺の背中は地面に叩きつけられた。
 でも、そんな事は今はどうだって良かった。
 精液は何度にもわたり、鈴口から射出していった。
 白濁色の暖かい液体は辺りに四散していく。
 俺は、恐ろしいほどの電撃のような性的な快感を官能していた。
 そして、俺は心地よい気だるさとともに、俺の意識はまた薄れていった。
  2010/04/13(Tue) 13:42:49 no.132
 KING's第1話"Caerula"  (  w / - )  
W.Epilogue of "Caerula" & Prologue of "Cerasus"
「君…大丈夫か!?」
 頬を軽く叩かれて、俺は眠りから覚めた。
 空気が…ほこり臭い。
 またか…。
 今度は本当に事故か何かか?
 青空をバックに誰かが俺の顔を覗きこんでいた。
 ヘルメットをかぶっているから…この男性は救助隊か何かなのだろう。
 俺の目が覚めたのを見て笑顔になった。
 その顔は少しだけ…雰囲気が竜乃助に似ていた。
 やっぱり、俺は何かの事故に巻き込まれていたのかもしれない。
「立てるかい?」
「…あ…はい」
 立ち上がろうとするとバランスを崩して男の人に倒れかかってしまった。
「ァ…」
「大丈夫?」
 ガッチリとした腕が俺を支える。
「あっ…はい」
 竜乃助が見たら機嫌を悪くするかな…?
 何故だか分からないけど、竜乃助は小さい頃から俺が彼以外の人に助けられるのが嫌いだから…。
 そう…余計な事を考えていると…。
「もし痛いところとかがあったらあそこに見えるテントに行った方がいい」
 救助隊の人はそう言って振り返って、その方向に指差した。
 その先には小さく白に赤い十字のテントがあった。
「あぁ…はい」
 そして、俺を立たせてすぐに、どこかへ行ってしまった。
 きっと、救助に忙しいんだろうな…。
 俺には目立った怪我も見られないし体に異常は無い。
 それでも、まずはあのテントまで行ってみることにした。
 歩く度に靴と砂利のすれる音が聞こえた。
「……」
 無言で後ろを向いてみた。
 別にあの人を見送る訳じゃない。
 ただ、彼が行った先を見たかっただけだった。
 橋の様に高かった駅はことごとく崩壊していた。
 それも、何かが上から乗ったように駅のホームだった場所を中心に崩れ落ちている。
 その側で俺は気絶してたんだな…。
 ………。
「夢…だよな」
 あの芳しい夢の記憶が蘇った。
 その記憶はまだ頭にくっきりとある。
 射精した瞬間の快感は…忘れようもない。
 でも…、精液は飛び散ってもいない。
 それに、元に戻るなんて…。
 ただ…大きな水溜りがいくつかあるだけだ。
『まさか?現実に決まってるよ』
 その声は、俺の後ろから聞こえた。
「え?」
 その方向を向いても、何の姿も無い。
 気のせい…だよな…?
 そのまま歩き出そうとすると風が強く吹いた。
目に砂が入りそうなり、思わず目を瞑った。
そして、その次の瞬間、再び目を開けると…。
「え……」
『なァに?』
あの…彼が俺の目の前にいた。
夢のなかで会った、夢のなかで声を聞いた、彼だった。
今も、あの眼と髪を輝かせている。
「!????」
彼がいるということは、あの夢は……。
「ァ…あ」
 思わず…息を飲んだ。
 ………。
 どうか…今この瞬間が夢ではありませんように…。
 そう、俺は願っていた。


--------------------------------------------------------------------------------

 季節外れの桜の花びらが、道を歩いている俺に舞い落ちた。
 もう七月間近というのに、この学校へと続く桜並木は“春”を謳っていた。
 ふと立ち止まり、咲き誇った木を見上げる。
 白に近い桃色は淡く花びらを色付けて、何とも美しかった。
「春陽?」
 隣で立ち止まる竜乃助が俺を呼んだ。
「……ん。何?」
 一瞬、桜で埋め尽された空に見とれていた俺は、竜乃助の声で我に帰った。
「あんましゆっくりしてる暇無ぇぞ?」
「あ…うん」
 その時、朝の予鈴が鳴り、思わず二人で走り出した。
 遅刻して、後で面倒な事にるのは勘弁だった。
「いつも思うけど、なんで駐輪場からこんな遠いんだよぉ!」
「なら早く起きろよなぁ…」
「しょうがないじゃん」
「────!!」
「───」
「──」
「─」
 並木道を抜ける時…。
 何故だか気になってしまって…。
 …一瞬だけふり返る。その時、風が吹いて桜の花びらをさらっていった。
 それは、螺旋を描く様に空へと舞い上がっていた。

 俺は“日常”に戻っていた。
 竜乃助との登下校も学校生活も…何もかもが。
 とはいえ、正確には今まで通りに“近い”生活なのだけれど…。
 両親を失い、自らは自殺(未遂だったけど)…。
 失ったモノはあまりにも多く、哀しいものだった。
 けれど、引き替えに得たモノはそれを十分に満たし、お釣りがくる程だった。
 Caerula(カエルラ)…彼はそう名乗った。
 俺の中にいる…そして、今でもその存在を感じられる…彼。
 夢で会った…空色の声の正体だった。
 あの刺青は彼の形態の一つ…らしい。
 俺と彼が一つになると…俺は巨人になることができる。
 …のだそうだ。何が何だか分からない…けど、俺にとってこの事態は悪影響では無い。
 むしろその逆だった。
 勿論、いったい何者なのか?
 とか彼の目的は何か?
 とか色々気になってはいるのだけど…。
 俺の頭では理解しようがなかった。
 まあ…それでも分かった事はいくつかある。
 先程挙げた巨大化ができるという事。
 また、巨大化してもその被害は何かしらの災害に置き換えられるという事。
 彼は俺にしか見えていないという事。
 そして…人知を超越した存在…であるということ。
 それが彼だった。

 彼が俺の前に現れたことが、何かしらの始まりとはその時は気付きもしなかった。
  2010/04/13(Tue) 13:46:03 no.133
 
 
  


     オデュッセウス  ( - / - )  
 
サイト(ブログ)の(更新)再開おめでとうございます。
  2010/04/02(Fri) 18:03:32 no.129
 
 
  


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Special thanks to SaCco!!
 


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