大津市長、遺族と和解意向 因果関係 市教委「判断できず」
大津市で昨年10月、中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺し、いじめとの関連が指摘されている問題で、越直美市長は10日夜、「いじめと自殺の因果関係はある」と明言した。因果関係を立証する新しい事実が出るまで外部の調査委員会で調べる方針を示し、「判決を待たずに和解したい」と述べた。
市はいじめと自殺の因果関係や市の過失責任について争う姿勢を見せていたが、越市長はこれまでの主張を一転させた。
越市長が市教育委員会から「首をしめる」「葬式ごっこ」などの具体的な記述について報告を受けたのは9日午後だったという。市教委が事実として確証が得られないと判断したことに対し、越市長は「市教委や学校といった素人が認定したことは信用できない。初めから外部の専門家に調査を任せるべきだった」と悔やんだ。
男子生徒の両親は、自殺はいじめが原因として、市や同級生らに計7700万円の損害賠償を求める訴訟を大津地裁に起こしている。17日に予定されている訴訟の第2回口頭弁論について、越市長は「次回以降の期日の延期を求める。調査委員会の結果が出るまでは市の主張は控えたい」と話した。
越市長が和解の意向を示したことに対し、澤村憲次教育長は11日、「いじめと自殺との因果関係は判断できない」と述べ、従来の市教委の主張が変わっていないことを強調。市と市教委の認識のずれが、あらためて浮き彫りになった。
越市長の意向について、澤村教育長は「(和解の意向は)直接聞いていない」とし、「市長がそう判断したと受け止めるしかない」と繰り返した。越市長が一連の調査で、教諭に聞き取りした議事録を作成していなかったことを指摘した点については、「録音などが必要という認識はなかった」と釈明した。
【 2012年07月11日 23時30分 】