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さらば“箱舟” 気仙沼中央公民館の解体始まる
 | 解体工事が始まった公民館=11日、気仙沼市潮見町 |
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宮城県気仙沼市潮見町の気仙沼中央公民館の解体工事が11日始まった。東日本大震災で公民館には約450人が避難。津波に襲われ、猛火に囲まれながら、建物が盾となり全員が助かった。この日は震災の月命日でもあり、避難した住民たちは「命の恩人」に感謝しながら、復興に向けて心に一つの区切りを付けていた。
解体工事は午前10時に始まり、バックホーでコンクリートの壁を少しずつ壊した。館内にあった断熱材や座席などの廃棄物も、トラックでがれき置き場に搬出した。 震災では3階建ての建物の2階天井まで水没した。周辺では火災も発生し、近くの市一景島保育所の園児71人を含む446人は恐怖に震えた。 元保育所所長の林小春さん(60)は11日、工事現場で解体の様子を見守った。「死を覚悟するほどの恐怖の中で、公民館は子どもたちの命を救ってくれた。壊される姿を見るのはつらいが、新たな出発のきっかけにしたい」と語った。 公民館は1983年12月に完成。人口の増加が著しい南気仙沼地区で、住民の活動拠点として親しまれてきた。 近くの内の脇地区では年1回、津波を想定して公民館に避難する訓練をしていた。住民のまとめ役の内海勝行さん(67)は「訓練のおかげで住民は公民館を目指すことができた。多くの命を助けてくれたことに感謝したい」と話す。 公民館業務は現在、内陸部の分館が担う。館長の小野寺宏志さん(53)は「震災では一定の役割を果たしたが、備蓄物資が足りなくなるなどの教訓も示した。新館建設の際の課題としたい」と語る。 解体工事は8月末まで続く。
2012年07月12日木曜日
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