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大谷院長との一問一答…全染色体診断
悩む女性救うのが責務
大谷レディスクリニックの大谷徹郎院長との一問一答は次の通り。
――新型着床前診断を実施した理由は何か。
「不妊に悩む人は多い。高齢での結婚が増え、卵子の染色体異常が増える現実がある。日本の体外受精は数多く行われているが、その割に着床率は低く、がっかりする人は多い。そうした人を救うのは産婦人科医の責務だ」
「染色体異常のある受精卵は着床せず、着床しても流産に終わるのが現実だ。実際に流産となった胎児の染色体を調べると、66%に染色体の異常がある。それが40歳代になると80%を超える。育つことのできない受精卵を避け、育つことのできる受精卵を子宮に戻すことで、妊娠の確率を高めることができる」
――従来の着床前診断とはどう違うのか。
「これまでは、最大でも12種類の染色体しか調べられなかった。それが今回、全て調べられるようになった点が違う。異常のある染色体は着床しないか、着床しても流産するかどちらかだ。精度も異なる。旧型の精度は95%だったが、新型は97%に向上した」
――実際に診断を受けた患者の声はどうか。
「3回流産した経験のある40歳代前半の方がいる。この方はこの技術のおかげで子どもを授かり、我が子は本当にいとおしいと話していた」
――日本産科婦人科学会は一般の女性への着床前診断を会告で認めていないが、どう考えるか。
「流産は女性の心身を大変傷つける。それを避けたいと思う患者のためになることをするのが医療のはずだ。染色体の数の異常が原因と考えられる不妊の女性にも、この技術の適用を認めてほしい」
――これまでも障害者団体は強く反発している。
「流産を予防するためであり、障害を持っている人を排除しようという気はまったくない。赤ちゃんを助けたい。不妊症の人を救いたいという思いだけだ。妊娠したいと願うのは人の本能であり、それがかなわない人を救うことこそが医療だと考える」
(2012年7月11日 読売新聞)
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