手術後の会見に臨む執刀医の川副浩平・心血管センター長(右)ら=11日午後6時51分、東京都中央区の聖路加国際病院、関口聡撮影 |
入院中の三笠宮崇仁(たかひと)さま(96)は11日午後、聖路加国際病院(東京都中央区)で約2時間半の心臓手術を受けた。病院側によると手術は成功し、心臓の弁が閉じずに血液が逆流する症状を止めることができたという。今後も感染症などの危険はあるが、心機能が回復したことで腎臓や肺などの機能も回復が見込めそうだという。
記者会見した福井次矢院長や執刀した川副浩平・同病院心血管センター長によると、三笠宮さまは持病の「僧帽弁閉鎖不全」で心臓の弁が閉じず、血流の半分以上が逆流して血圧が低下する鬱血(うっけつ)性心不全の症状が続いていた。今回、僧帽弁のうち閉じなくなった部分を切り取り、残った部分を縫い合わせる「僧帽弁形成術」を施したところ、弁の開閉機能が回復し、血流が戻ったのが確認された。
手術では人工心肺を1時間あまり使い、大動脈への血流を35分間止めた。終了後は集中治療室で人工呼吸器を使っての治療が続いており、12日朝までには意識が戻る見通し。順調に回復すれば数週間から1、2カ月程度で退院の見通しが立ちそうだという。
今回の手術は、病院側が10日、投薬による内科的治療と手術による外科的治療の見通しを説明した結果、妻の三笠宮妃百合子さま(89)が「手術を希望します」と要望したことで実現した。手術を終えた川副医師らは、待機していた百合子さまと長女の近衛やす子(やすはうかんむりに心の下に用)さん(68)に「大変うまくいきました。血流もよくなり、あらゆる臓器がよくなっている段階です」と説明。百合子さまは「ありがとう」と感謝していたという。(北野隆一、島康彦)